注目のスタートアップ

一般社団法人UMF 高村 治輝|選挙の投票を行うと様々なモノやサービスが無料/割引になる「選挙キャンペーン」の事業開発が注目の企業


選挙の投票を行うと様々なモノやサービスが無料/割引になる「選挙キャンペーン」の事業展開で注目なのが、高村治輝さんが2019年に創業した一般社団法人UMFです。

政治離れ、選挙離れが言われて久しい日本。直近で行われた選挙は2021年10月31日に行われた衆議院議員選挙で、その投票率は約55.9%、戦後3番目に低い投票率でした。
現状、日本においては政治の話を公の場や教育現場であれこれ話したり議論したりすることをタブー視する側面が強く残っており、家庭内においても積極的に政治の話題に触れる機会は少ないと言われます。
また、どんな政治家がどんな取り組みやマニュフェスト実践に取り組んでいるかについて、わざわざ調べたり確認したりする機会もあまりない状況です。
政治家たちが話す内容が小難しくて、今一つ何を伝えたいのかが測りかねる、と言った声も散見されます。

一方、諸外国においては子供のころから教育現場などで政治について考えたり触れたりする機会があり、政治家たちもより分かりやすく自分たちの考えや主張を表現できるよう工夫をしています。そうした活動が功を奏してか、日本と比べるとエフィカシー(自己効力感)が高い人が多く、選挙にも前向きに参加しようとする傾向があり、選挙への関心や投票率も高い水準を保っています。

本来政治とは、国民によって選ばれた代表者たちが、国民のより良い暮らしを実現していく為に議論したりルールを創り、国民にそれを納得してもらい実践していくべく先導役を果たし、それによって一人一人の生活の質を向上させることに繋がる、といったループが回っているもののはずです。
ところが、そもそもこの代表者を選ぶ選挙に行く国民が少ないということは、自分が納得して支持できるリーダー(代表者)がいないということ、あるいは限られた一部の人たちだけが支持する偏った代表者選出がなされている、ということであり、それは結果、政治の中身や国民との信頼関係にも影響してきます。

こうした中、少しでも多くの人々が政治を身近に感じ、意識し、エフィカシーを高め、より良い自分たちの生活を自分たちの手で創造していくきっかけとなる取り組みに、今注目が集まっています。
一般社団法人UMFの「選挙キャンペーン」事業です。

一般社団法人UMFの高村治輝さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

当団体は選挙の投票を行うことで様々なモノやサービスが無料/割引になる「選挙キャンペーン」という取り組みを展開しています。
社会課題の中でも公職選挙法の遵守やセンシティブな話題であることから取り扱いが非常に難しい分野ですが、事業者の方々が安心してソーシャルアクションに参入していただける土台を整えていることが特徴のひとつです。
そして、イベント制作会社として音楽フェスを主催する立場だからこそできるクリエイティブなアプローチも強みとなっています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

まず、パートナーとして日本の選挙投票率の低さに課題を感じている同志の事業者さんとともに高みを目指していきたいと考えています。
既に独自で取り組んでいる事業者さんはもちろんですが、「うちがやってるのは居酒屋/エステサロン/雑貨屋 etc. だから事業の中で社会的アクションを起こすのは難しい」とハードルの高さを感じていらっしゃる事業者さんもいらっしゃいます。
僕たちはそんな方々の背中を押せる仕組みを持っていますのでぜひとも活用してもらえれば幸いです。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

日本の選挙投票率は世界的に見ても低く、民主主義・選挙支援国際研究所の調べでは日本は139/194位という結果になりました。政治参画の基本である選挙投票率が低いことで政界の堕落が起き、さまざまな社会課題の解決は遠ざかります。
その中で民間主導のアプローチとして選挙キャンペーンという取り組みを行い、当団体主催で投票者が無料で楽しめる音楽フェスも開催しています。
こうした具体的なメリットとエンタメ手法を用いた魅せ方で投票行動を起こしやすくするモデルを開発しています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

1つは資金面、もう1つは社会的イメージです。
資金面に関して、創業する前に自己資金を持ち出しで実証実験(選挙の投票をすると無料で楽しめる500人規模の音楽フェス)を行い、関わる人々や社会的な反応を確認し、事業を始めたのですが「お金を誰からいただくか」ということにハードルの高さがありました。
政治家/政党などからは一切受け取らず、行政の予算は簡単には取れない。実績がない中でスポンサーや寄付を集めることも難しかった中で、日本財団様の助成金(2,491万円)をいただけて2年間の時間を与えていただけたことが大きかったです。

2つめの社会的イメージは、提携者を集める中で大企業になればなるほど「政治」というワードが出るだけで「関わるべきではない」「ネット炎上が起きるかもしれない」とNGになるケースが多く、思うように提携数が伸びませんでした。その中で数に固執せず1社ごとに丁寧に議論を重ね、両社の想いやストーリーを発信していくことで有権者の方々からも賛同の声をたくさんいただくことができました。

・今の課題はなんですか?

炎上対策やメディア露出方法、売上を効果的にあげる方法などを2年間で地道に積み重ね、いよいよ本格的に提携パートナーを増やす段階になってきました。
当団体でも積極的な新規営業を仕掛けていますが、夏の参院選や来年の統一地方選挙に向けて社会的なインパクトを高めるためには、まだまだスピード感を上げていかなければなりません。その中で協力してくださる同志の方々とどう繋がっていくかがポイントになっています。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

「#政を祭に」というテーマを実現すべく、国政選挙だけではなく全国で毎年600~1,000回行われている地方選挙でも活用できるモデルにしていき、選挙というイベントをアップデートすることで投票率やリテラシー向上のキッカケをつくっていきます。
そうしてエンタメが娯楽性のみならず社会的な価値をより高めることにつながり、様々な社会課題解決に必要とされる存在になれば嬉しいですし、私たちもそうなるように貢献して参ります。

・読者にメッセージをお願いします。

事業を行う中で「社会性」というものが問われる時代になってきました。その中には既に取り組んでいるけれどうまく発信やメディア露出ができない方もいれば、取り組みたいけどどこから始めたらいいかわからない方もいらっしゃるかと思います。そんな時に私たちが旗振り役となって事業者の方々のソーシャルアクションを応援して参ります。選挙や音楽のみならず、幅広いアプローチが可能ですのでぜひ気軽にお問合せください。

会社名 一般社団法人UMF
代表者名 高村治輝
創業年 2019年
社員数 3名(インターン生含む)
事業内容 選挙の投票を行うと様々なモノやサービスが無料/割引になる「選挙キャンペーン」を全国の約150店舗のプロジェクト提携者の方々と展開。一般社団法人UMF主催では投票日当日には「投票を行うと無料で楽しめる音楽フェス」も開催しています。
サービス名 #政を祭に 変える #vote_forプロジェクト
所在地 〒554-0012 大阪府大阪市此花区西九条1-10-18 Famhaus
代表者プロフィール DJとして活動する中で、19歳から音楽フェスを主催し、全国に展開。「”いいフェス”はまちづくりに貢献している」と気づき、地域に入り込む中で、様々な社会課題に直面した。そして、たくさんの解決プロジェクトに携わってきた中で、エンタメ的手法を使ったアプローチを行う必要性を感じ、一般社団法人UMFを設立。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ UMF プロモーション 政を祭に 政治 音楽 飲食店 高村治輝
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