中小企業のDX化は低予算から始められる!コストを抑えても成功するポイントとは

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中小企業のDX化は低予算から始めよう


近年、中小企業においてもDX化が推進されています。
DX化とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語です。データやデジタル技術を活用してビジネスの発展を目指すことを指します。

IT技術を活用して業務改善を行い、効率化を目指すほか、新しいサービスを作り出すことで企業の発展を目指せます。
大企業ではDX化が日に日に進んでいますが、中小企業においてはなかなか進められていないのが実情です。
DX化が進めば中小企業にとっても様々なメリットがあります。導入の恩恵を受けるためにも、DXに取り組むことのメリットを把握することが大切です。

そのほかにも、中小企業でDX化が遅れている理由や気になる予算についても解説していきます。
DX化は低予算からでも始められるので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

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中小企業がDXに取り組むことのメリット


DXに取り組むと中小企業はどのような恩恵を受けられるのでしょうか。DXのメリットを解説していきます。

1.生産性・効率性が向上する

DXに取り組むと、生産性や効率性がアップします。業務効率化に必要なシステムを企業で導入すると、業務の自動化や仕事の見える化による不要な業務削減が可能です。
その結果、無駄な業務の必要性がなくなり、効率化を図れる仕組みです。

業務のやり方や人員の配置を見直せばコスト削減にもつながります。また、作業時間の短縮も可能なので残業時間の削減も目指すことが可能です。
働きやすい環境が手に入れられるので、従業員の離職を防ぐことにも役立ちます。そのため、新しい人材も確保しやすくなるはずです。

2.市場ニーズに合った商品・サービスを展開しやすい

デジタル化が進んでいくと消費者のニーズにも変化があります。
特にインターネットショッピングは広がりを見せており、ファッションアイテムや玩具、食品やデジタルアイテムまで様々なアイテムを購入できます。
Webへの対応に出遅れが見られると時代の波に乗れず、利用者の減少にもつながってしまいます。
消費者行動に対応できるよう、DX化の推進は必要不可欠なので、新たなサービスを取り入れてニーズに合った商品やサービスの展開を目指してください。

3.柔軟な働き方を取り入れやすい

前述したように、DXを取り入れると作業効率が図れるので作業時間の短縮が見込まれます。
それ以外にも、デジタル技術を活用すればビデオ会議やテレワークの導入も可能です。
場所を選ばず働けるので、自宅やカフェ、コワーキングスペースを活用して仕事ができ、柔軟な働き方ができるようになります。

新しいワークスタイルが確立すれば、働きやすい職場になり従業員の満足度も高まります。生産性向上にもつながるでしょう。

4.DX化への投資が節税になる

企業がDXを取り入れると、節税につながります。DX投資促進税制は2021年の税制改正によって創設された制度です。
内容としてはデジタル関連の投資額の3%もしくは5%の税額控除、または30%の特別償却の措置です。
費用がネックに感じているなら、税制度を活用して導入を目指してみてください。DX投資促進税制には適用期限があります。
対象となる設備も限定されているため、あらかじめ要件に当てはまっているか確認しておくとスムーズに活用できます。

5.BCP(事業継続計画)対策にも活用できる

BCPとは事業継続化計画のことです。地震や台風、土砂災害といった自然災害、火事や事故、新種のウィルスの発生など、現代には様々なリスクがあります。
サービスや製品を継続して提供できるように準備をしておくことをBCPと呼んでいます。
DXはBCPともつながりがあるので、事業継続計画対策としても有効です。
最近では、新型コロナウィルスの影響によって、多くの企業において従来のビジネスモデルからの脱却や働き方の見直しがされてきました。

DXを実現していれば、デジタル化によって業務の変革も可能なので、有事の際でも迅速に事業を進められます。
紙の書類をAI-OCRで電子化する、テレワークやWeb会議を取り入れるなど、様々な方法でDX化を推進し、万が一の時でも柔軟に対応できる企業を目指してください。

なぜ中小企業でDX化が遅れている理由


日本にある企業のうち、99.7%は中小企業です。DX化を進めている中小企業は少ないといわれています。
なぜ中小企業ではDX化が遅れているのか、その理由を解説していきます。

1.予算をかけられない

DX化が進められない理由のひとつが予算です。DXを企業が導入する場合、ツールを使えば費用がかかります。
中小企業では、大きな予算の確保が難しいケースもあり、導入ができない中小企業も多いです。

しかし、DX化を行えば業務改善を目指せます。作業効率がアップすればコスト削減にもつながります。
長期的な目線でDX化を進めていくとDX化の恩恵を受けられるでしょう。

2.ICT人材が不足している

中小企業のDX化が進まない背景には人材不足といった問題も隠れています。日本は労働人口が年々少なくなっており、新卒や転職者の採用も難しい状況です。
IT市場に従事するDX人材は特に人材不足が深刻化しているため、ITやDXに関する知識を持つ人材を増やす必要があります。

経済産業省の予測データによれば、2025年にはIT人材の数が約36万人、AI人材に関しては約8万人も不足すると予測されています。
今後はさらにIT人材の奪い合いが激化する可能性があり、中小企業は人材の確保が難しくなるかもしれません。

自社で人材を育成するといった対策は可能ですが、教育環境が整っていなければ難しいです。その場合は、外注を考えて人材確保を目指していく必要があります。

3.DXについて理解していない、必要性を感じていない

DXを理解していなければ必要性を感じられません。「現状に不足はない」「取り入れなくても大丈夫」だと感じている企業もあるでしょう。
中には「IT系企業のみに関係している」と間違った認識を抱いている方もいます。

2023年に独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した「中小企業のDX促進に関するアンケート」においては、「DXを理解している・ある程度理解している」の回答が全体の約4割に留まっています。
DX推進を進めていくためには、企業のトップ自らがDXについて学ぶ必要があると考えられます。

中小企業のDX化、どれくらいの予算が必要?


DX化を進めていくにあたり、気になる点といえば費用です。DX化にはどの程度の費用が必要なのか解説します。

DX関連の平均予算は?

DX関連の平均相場は、2021年にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が発表した「社内におけるDX推進に関する実態調査」から調べられます。
全国にいる600人の経営者や役員、部長クラス以上を対象にしたアンケートです。

  • テレワーク推進:1億7,879万円
  • バックオフィス:2億6,263万円
  • 営業:2億4,197万円
  • マーケティング:1億8,120万円

DX化を進めるにあたっては、平均で上記のような予算を確保しているとの回答が得られました。
高いか妥当であるかは企業によって考えが違いますが、中には10億円以上もの予算を用意している企業や、50万円未満の予算を用意してDX化を進めようと考えている企業もあります。

システム導入の費用内訳

システムを導入する際の費用内訳はどのようになっているのかも把握しておくことが大切です。ここからは、システム導入における一般的な費用内訳をご紹介します。

システム導入にかかる初期費用

システム導入にかかる初期費用はシステムの種類にもよりますが、10万円ほどのシステムから数百万円以上発生するシステムまで幅広くあります。
一般的には一度費用を支払えば将来的な支払いはありません。

中には、無料キャンペーンやキャッシュバックといったキャンペーンが適用されるシステムもあるので、コスト削減できるよう導入時にチェックしてみてください。
DXに取り組むための社内体制づくりにも費用が発生します。

チームの発足や運営のほか、ITやDXに関する専門家への相談料もかかります。
新しく稼働するビジネスモデルの企画開発費も必要です。新しい設備の導入が必要になるケースもあるので、余裕を持って予算を決めてください。

維持・保守にかかる費用

システムを安定的に稼働するためにも維持費や保守費は欠かせません。
維持作業ではトラブルが起きないようチェックする作業費がかかり、保守作業ではシステムのアップデートにともなう作業に費用がかかります。

クラウドタイプの場合、初期費用もしくは月額費用に維持費や保守費が含まれているものもあります。
コスト削減を狙うなら、維持費や保守費が含まれているものを選んでみてください。

人材の補充・育成にかかる費用

DX化を進めるにあたっては人材育成費用も忘れてはいけません。DXに関する知識を深める教育の場を設けるほか、人材の補充のための採用活動にも費用は発生します。
新規採用を行った際には新たにDXに関する教育も行う必要があります。

DX開発のサポート会社による育成サービスを利用しながら、正しい知識を身に付けてDX化を進めてください。

低予算でもDX化を成功させるためのポイント


中小企業が低予算でもDX化に成功するためには、以下のようなポイントを意識しながら取り組む必要があります。

経営層が中心となって取り組む

DXは、新しいビジネスモデルへの転換が必要です。これまでのビジネスモデルとはやり方が変わるケースもあります。
企業全体でDX推進に取り組む必要がありますが、中には従業員による反対が起きる可能性もあります。

トラブルが起きた時でもすぐに対処できるようDX推進をリードできる経営層の役割は大きいです。
業務改善や効率化を目指すためにも、経営層が中心となり、推進に取り組んでください知識を持った人材が集まるDX推進チームを作るのもおすすめです。

何を改善すべきか明確にさせる

DX化に取りかかる前に「何を改善したいのか」を明確化させる必要があります。企業によって課題の数には違いがあり、中には複数の課題がある企業もあります。
その中でも改善することで業務が効率化される、もしくは売上げアップが期待できるものを優先的に取り組んでください。

経済産業省によるDX評価指標で現状を把握し、DX度を診断するのもおすすめです。

DX化は一新させるよりも徐々に取り入れる

DX化を推進するためにもビジネスモデルの変革を一気に進めようと考える企業もいますが、すべての内容をデジタル化することは避けてください。
業務によってはアナログが適しているものもあり、環境が変わったために生産性の低下を促す危険性もあります。

デジタル化と相性の良いバックオフィスから導入を進めていく、取組みやすいところから変革をしていくなど、徐々に取り入れましょう。また、進捗状況や効果なども検証し、効果の高いDXを継続できるよう努めてください。

DX人材の育成にも取り組む

DX化を進めていくためには、専門的な知識を持つ人材の確保が必須です。
外部への委託もできますが、自社で対応できるようになればトラブルがあった際にもすぐに対処でき、自社にとって最適なシステムの運用が可能です。
そのためにも、DX人材の育成は必要な要素となってきます。
中小企業においては、ITに精通した人材がいないケースもあります。その場合、独学では限界があるので外部研修を活用してください。

DX人材の育成を行う企業は多数あります。自社に合ったプログラムを実施している研修を選び参加してみてください。
また、資格支援の実施も検討し、取得後には手当を支給するなどしてモチベーション維持のための策も考える必要があります。

予算が足りない時は補助金を活用しよう!


「DX化にかかる費用を少しでも抑えたい」「予算が足りない」といった企業は、補助金の活用を検討してみてください。

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助するサポートがIT導入補助金です。
通常枠のA類型・B類型に加えて、セキュリティ対策推進型、デジタル化基盤導入型の4種類があります。

・A・B類型
ニーズに合うITツール導入の際に発生する経費の一部が補助されます。

・セキュリティ対策推進型
サイバー攻撃によるリスクを低減することが目的で、独立行政法人情報処理推進機構が公表しているいずれかのサービスを利用している場合のみ、サービス利用料を補助してくれます。

・デジタル化基盤導入型
インボイス制度を見据えた会計ソフトや決済ソフト、ECソフトを導入する際の費用を一部補助してくれます。

それぞれ補助対象経費や補助率に違いがあるので、公式ホームページをチェックしてみてください。 IT導入補助金については、以下の記事も参考にしてください。

IT導入補助金について、詳しくはこちらの記事を>>
IT導入補助金2023のポイントは?スケジュールや申請方法も紹介

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

生産性をアップするためにサービスや試作品の開発、生産プロセス改善を実施する中小企業を支援してくれる制度が、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金です。
資本金や従業員数、成長・収益の成長性といった項目が適用される条件となっています。

2022年から、DXに資する革新的な製品・サービスの開発をした際に補助を行うデジタル枠が創設されました。
デジタル枠で不採択となった場合も通常枠で再審査が可能です。万が一不採択となっても補助金を受け取れる可能性があります。

ものづくり補助金ついて、詳しくはこちらの記事を>>
【2024年最新】最大1億円!ものづくり補助金をわかりやすく解説!

事業再構築補助金

事業再構築を考える中小企業のための補助金で、成長枠・大規模賃金引上枠・回復再生応援枠・最低賃金枠・グリーン成長枠・緊急対策枠の6つの枠があります。
例えば、成長枠では大胆な事業再構築に取り組んだ企業を対象に、最大で7,000万円までの補助金を受け取れます。

それぞれの枠で対象となる条件には違いがあるので、申請を行う場合には公式サイトで確認しましょう。事業再構築補助金については、以下の記事も参考にしてください。

事業再構築補助金について、詳しくはこちらの記事を>>
事業再構築補助金 第10回以降の内容とは?スケジュールも含めて紹介

戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)

中小企業が大学や公設試と連携して行う研究開発や試作品の開発といった取組みに対して、最大で9,750万円もの補助金を受け取れます。
サポイン事業は単独での申請はできません。共同体を構成して申請する必要があるので注意してください。

補助の対象となるのは、人件費や旅費、消耗品費や委託費、設備備品費などです。
申請書の提出は、府省共通研究開発管理システムのe-Redでしか受け付けていません。窓口での申請は行っていないので注意してください。

まとめ

今回はDX化について解説してきました。中小企業では、大企業のようにDX化が進められていません。
DX化は、生産性のアップや作業の効率化、節税といったメリットが非常に豊富にあります。

導入には費用がかかりますが、効率化によって時間の削減だけではなくコストの削減にもつながります。
従業員の働き方改革にもつながるので、働きやすい環境が手に入り、新しい人材確保にも影響があるでしょう。
低予算しか組めなくても補助金を活用すれば無理なく導入できるケースもあるので、ぜひ検討してみてください。

創業手帳の冊子版(無料)では、ビジネスに関する様々な情報を掲載しており、DX化に関する情報もご紹介しております。DX化推進で悩んだ際にはぜひご活用ください。
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(編集:創業手帳編集部)

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