会社設立に必要な定款とは|経営者のための基礎知識

創業手帳

定款とは何か、記載事項や作成方法・注意点とは!会社設立で必要な定款作成の流れを確認

定款は、会社設立には欠かせない重要な書類の一つです。起業を考えている方は、定款について情報や作り方を知っておく必要があります。
実際の作成にあたっては、全部経営者自身が行う必要はありませんが、作成された定款の内容を確認するだけの知識は必要です。
また、相談先や作成の代行を依頼できる場所も知っておくと安心でしょう。

定款とはどんなものか、記載事項の内容や法的根拠、さらに作成するために必要な情報について解説します。
定款を作成することは自分でできるか、また、基本的な作成の流れも確認してみましょう。

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定款とは


定款とは、会社設立の際に作る書類の一つで、いわゆる「会社の憲法」のようなものです。
とても大切な書類で、必ず作ることが決められています。内容にも決まりがあり、様々なルールに沿って作る必要があるため、作成には慎重を期すことが大切です。

まずは、定款とは何か、基本的な情報を確認しておきましょう。

定款とは会社の憲法のようなもの

定款とは、会社を設立する際に必ず作らなければいけない書類で、内容は会社を経営する上で守るべき基本的な規則が書かれています。いわば会社の憲法であり、会社を興した後は作成した定款に従って経営していくことが必要です。

また、会社の憲法として、どんな会社にも存在しており、その内容に記すべき事項も決められています。
絶対に書かなければいけないことや必要に応じて加えていいことなど、決まりに従って作成することが大切です。

定款には法的根拠もある

会社の定款には、きちんとした法的根拠もあります。定款は、会社法によって定められており、会社法の定款に関する部分に従って作成されることが必要です。
どのように作成するべきか知りたい場合には、会社法をひも解くと良いでしょう。

【定款について定められている会社法の内容は以下のようになります。】
  • 第26条 定款の作成者
  • 第27条 定款の絶対的記載事項
  • 第28条 定款の相対的記載事項
  • 第29条 定款の任意的記載事項
  • 第30条 定款の認証
  • 第31条 定款の保存方法
  • 第295条 株主総会と定款の変更

定款の記載事項とは


定款の記載事項も会社法で定められており、その通りに漏れなく記載することが必要です。会社法では記載事項の内容によって以下の3つに分けられています。

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

定款に記す必要のある記載事項は会社ごとに異なるため、自社の事業内容に合わせて選びましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、どの会社も定款に絶対に記載しなければいけないものです。会社法によって定められており、欠かすことはできません。
絶対的記載事項にあたるのは以下の項目です。

商号

会社の名称のことで、会社の看板となります。長く使っていくものなので、慎重な決定が必要です。
また、会社の商号は使用文字や他社との類似など、いくつかの基本ルールに従って決めなければいけません。

本社所在地

登記する際の会社の住所です。事業実態のない住所や商用利用できない住所は避ける必要があります。
また、バーチャルオフィスを利用することも可能です。

事業の目的

会社でどのような事業をするのか記載します。営利性、適法性を守り、営利性のある目的を作成することが必要です。
「飲食店の経営」や「○○の製造および販売」などの主事業、許認可が必要な場合は「一般労働者派遣事業」や「古物の売買」といった記載になります。

資本金額(出資財産額)

資本金は法人設立のために出資した金額です。1円~会社設立できるようになりましたが、その後の融資審査や取引先への印象など、総合的に検討して決定しましょう。

発起人の氏名と住所

発起人全員の氏名と住所を記載します。

相対的記載事項

定款に記載した場合にのみ効力が認められる事項を相対的記載事項といいます。相対的記載事項は、必ず記載しなければいけないものではありません。
その中でも「変態設立事項」として挙げられる以下の4つについては「第28条 定款の相対的記載事項」で明確に定められています。
「変態設立事項」については、発起人による権限の乱用で会社に不利益を与える恐れがあるためです。

  • 現物出資
  • 財産引受
  • 発起人の報酬
  • 設立費用

 

この4つについては、決定したら定款に書き記し、裁判所の専任した検査役の調査を受けます。報酬や出資に関する内容で、どれも適正かつ公平な評価が必要です。

その他、取締役会、監査役の機関設計や株式譲渡制限といった内容も、相対的記載事項にあたります。

任意的記載事項

任意的記載事項は、会社法の規定や公序良俗に反しなければ、盛り込むことが可能です。
定款に記載しなくてもその効力が否定されるわけではありませんが、書いておくとルールとして簡単に変更ができなくなります
株主や取締役を定めると、内容を変更するには定款変更の手続が必要です。

任意的記載事項の内容には決まりはありません。例としては、取締役の権限、監査役の員数、事業年度、定時株主総会の招集時期などがあります。

定款の作成するには


定款には、特に書式フォーマットや用紙に決まりはありません。しかし、何もない状態から定款を作り上げるのは難しいものです。
また、内容に決まりもいろいろあるため、ある程度の道しるべは必要となるでしょう。定款を作成するにあたって、知っておく必要があること、情報の取り方を解説します。

基本の形式を知る

まずは、定款の基本的な形式を掴んでおきましょう。基本的には、A4用紙の縦に横書き、文字は黒で作成します。
数ページにわたるため、1部ずつホチキスか製本テープでまとめましょう。契印も必要です。

内容の構成は、総則、株式、株主総会、取締役、計算、附則の全6章です。6章に分けて条文を記載し、各条文は最初の項目から順に「第1条」「第2条」…とします。

総則

総則は、商号や事業目的、所在地など、会社の基本情報を記します。

株式

株式の発行数や譲渡制限といった、株式に関する取り決めについてです。

株主総会

株主総会の運営方法を書きます。招集の方法や決議、議事録などの取り決めです。

取締役

取締役の員数、選任、任期、報酬の規定についてです。取締役会、監査役や監査役会を設置する場合には、別章で記載します。

計算

事業年度や余剰金、配当金などの取り決めを記載します。

附則

発行株数、取締役の任期、発起人の氏名や住所など、上記以外の取り決めを記載する部分です。

最後に定款の作成年月日、発起人名を記名、押印します。

市販の書籍やネットを参考にする

定款は非常に重要なものであり、正しく記載する必要があります。
目安となる形式やルールが分からないまま作成することはできません。そのため、正しい情報を集め、参考にすることも必要です。

市販の書籍でも定款について書かれたものはありますし、ネット上にも情報を公開しているサイトはあります、
また、定款のフォーマットをダウンロードできるものもあるため、適宜活用して参考にしましょう。

公的相談機関に相談する

定款を経営者自身で作成する際に相談できるのが、公証役場です。公証役場とは、公証人が公正証書や定款、私文書の認証や確定日付の付与などを行う組織です。

公証役場は、定款を認証する公的機関ですが、作成時の相談機関としても利用できます。
定款の作成や認証に関する基本的、一般的な相談に応じてもらえますが、個々の企業に応じて詳しく具体的なアドバイスは求められません。

司法書士に相談する

定款のより具体的で細かい相談に乗ってもらったり、サポートを受けたい時には、司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。
司法書士は、登記の専門家である、登記手続きの代理ができます。行政書士も書類作成のサポートはできますが、登記の代理ができるのは司法書士だけです。

書類の作成サポートとして依頼したい場合には行政書士へ、法務局への会社設立の登記手続きまで依頼したい場合には司法書士へ、と相談相手を選ぶことが必要です。
ただし、許認可が必要となる事業を営む場合には、行政書士のほうがいい場合もあります。

定款を作成する手順


定款を作成する基本的な流れについて解説します。定款は、書面を作成するだけでなく、公証役場において定款の認証手続きを行うことが必要です。
作成から完成した定款を公証役場で認証してもらうまでの手順をチェックしておきましょう。

公証役場を探す

公証役場は、会社の所在地と同じ都道府県内で探します。会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証役場であれば問題ありません。
会社設立の場所を決めた時点で探しておくと安心です。

事前チェックを受ける・予約する

定款ができたら、そのまま直接公証役場へ行くのではなく、事前に定款のチェックをしてもらうことが可能です。
チェックを受けたい場合には、定款をFAXで公証役場へ送ります。チェックを受けて、問題がなければそのまま公証役場へ認証を受ける予約を取ります。
問題が合った場合には、修正が必要です。

公証役場へは事前予約をした上で行きます。定款の認証を受けるためには、公証役場へ発起人全員が行かなければいけません。
あらかじめスケジュールを確認しておき、スムーズに動けるようにしておきましょう。また、当日欠席する場合には、その人の委任状を作成します。

定款の認証を受ける

公証役場では、定款の認証を受けます。発起人全員で、定款は3部準備して行きましょう。
認証が行われたら、定款は1部を公証役場で保管、残り2部を認証文を添付して返却してもらえます。1部はそのまま会社で保管し、もう1部は登記用として使用します。

【その他の持ち物は以下の通りです。】
  • 発起人個人の印鑑証明書
  • 身分証
  • 発起人の実印
  • 欠席者の委任状(必要あれば)
  • 代理人の印鑑・身分証(必要あれば)

 

電子定款の認証は司法書士への依頼が必須

電子定款の認証は、法務省の登記・供託オンライン申請システムのソフトを利用した認証方法です。定款をPDF化して、認証を受けます。

電子定款の認証では、紙の認証でかかる収入印紙4万円分が必要ありません。
しかし、電子定款の認証には、電子署名対応ソフトやカードリーダーなどを準備しなければならず、個々に行うとそれ以上に費用がかかることもあります。

そのため、基本的には電子定款は司法書士へ依頼することになるでしょう。
司法書士に依頼する際にも費用はかかるため、最初から司法書士への依頼を検討している場合に、合わせて検討することをおすすめします。

定款を作成する際の注意


定款を作成するにあたって押さえておきたい注意点を紹介します。定款の作成は慣れていない人も多く、それでいて非常に重要な書類なので、慎重に行動することが必要です。

自力での作成には手間と労力が必要

定款作成を依頼する際にはコストがかかるため、自力で作成し、コスト削減を考える経営者の方もいるかも知れません。
もちろん自力でも不可能ではありませんが、すべて自分の手で行うにはかなりの手間と労力がかかります。
基礎知識も必要となりますし、慣れないために間違った方法で作成しやり直すなど、無駄な行動も増えてしまいます。

定款は、自分で作成するだけでなく、専門家の力を借りることを検討するのもおすすめです。
コストはかかりますが、専門家に依頼すればミスなく進められ、自分たちは定款の頭を悩まされることなく本業に精を出せるでしょう。

司法書士への依頼では依頼先の検討を慎重に

定款作成を専門家である司法書士に依頼する際には、依頼する相手を慎重に見極めてください。
いくつかの司法書士事務所を比較して、コストや質などで選択することが必要です。
また、司法書士にできること、行政書士にできることも理解した上で、自社に必要な専門家を選びましょう。

「原始定款」はなくさないように

定款は1部を会社に保管することになります。公証役場から認証を受け、会社に保管する定款を「原始定款」といいます。
原始定款はこのように非常に重要なものであり、決してなくしてはいけません。

この原始定款は今後も長く保管し、必要な場合にはコピーを取って利用します。
定款のコピーを利用する際には原始定款とコピーが同じものであることを証明する書類を添付します。
もしも原始定款を紛失したら公証役場での再入手ができますが、定款変更があり、現行の定款を失くした場合には再作成が必要です。

定款の認証について


定款の認証の必要性は、会社の形態によって異なります。
認証が必要となるのは、株式会社や一般社団法人、一般財団法人です。合同会社や合名会社、合資会社には定款認証は必要ありません。

また、2018年からはその法人の「実質的支配者となるべき者」を申告することも必要となりました。暴力団やテロ組織などに法人を不正利用されるのを防ぐための措置です。

まとめ

定款は会社の憲法、ルールブックのようなものであり、会社設立では作成が必要となります。
自作も可能ですが、かなりの手間と知識、労力が必要となり、公証役場でのやり取りも必要となるため、プロに依頼したほうが安心です。

定款は会社の土台になる大切なものなので、しっかりと作成しておく必要があります。そのためにはコストをかけても司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士ならば電子定款の認証も可能となります。ただし依頼する場合には、司法書士の見極めにも注意しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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