動画主体の教育アプリが、研修システムに革命を起こす。TANREN代表 佐藤 勝彦インタビュー

創業手帳

これからはセンスとノウハウを磨き、実行できる人が勝つ時代

(2018/04/12更新)

人材を育てる際に、様々な研修を行う企業は多いと思います。ですが、「社員全員の出来をチェックするのが大変」、「成功事例を見つけるまでに時間がかかる」といったことで悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

そんな人材育成においての不便さに着目して開発されたのが、ナレッジシェアアプリ「TANREN」。研修の課題を動画で可視化することによって、実行と改善をスムーズに行うことができるアプリです。

今回は、このアプリを開発したTANREN株式会社の代表取締役 佐藤勝彦 氏に、開発までの経緯や起業についてのエピソードを伺いました。

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佐藤 勝彦 (さとう かつひこ)
TANREN株式会社 代表取締役
東京都出身。日本料理店「なだ万」で調理師として勤務した後、携帯電話販売の業界に転職し、店頭販売スタッフおよびセールス支援研修の講師を務める。2014年10月、TANREN株式会社を設立し、代表取締役CEOに就任。モバイルクラウドを利用した接客スキル向上サービスとして、ナレッジシェアアプリ「TANREN」を開発・運営中。

起業のきっかけはある「スピーチ」

ー御社のサービスの概要を教えてください。

佐藤「TANREN」は、いつでもどこでも簡単に練習風景などを可視化・共有化できるナレッジシェアアプリです。
特定のスタッフが課題を配信し、その課題を行なったスタッフが、課題の動画をアップロードします。その動画をもとに管理者が評価し、好事例や問題点を分析することができます。

例えば、多店舗経営の企業で行う社内研修では、時間がなく、属人的な教育になってしまう傾向があります。それを解消するために、「TANREN」を開発しました。

ーこのビジネスを始めたきっかけはどのようなものでしたか?

佐藤:きっかけは2013年、あるプレゼンテーションを聞いた時でした。
当時は、携帯電話業界などの企業向けに研修サービスを提供しており、人が高い成果を上げるには何が最も重要かということを日々考えていました。

そんな時に、※TEDでアンジェラ・リー・ダックワース(ベストセラー「GRIT」の著者)の「成功のカギは、やり抜く力」というプレゼンテーションを聞いたのですが、「やり抜く力」という言葉に強く共感しました。教育・研修に熱い想いをもって携わってきた自分だからこそ「やり抜く力」を高め、浸透させる方法があるのではないかと考え、起業を考え始めました。

「やり抜く力」というのはとても日本文化に合っている言葉だと思います。日本語で他に適切に表現しようとすると何だろうと考えた時に、しっくりきたのが「鍛錬」という言葉です。鍛錬の重要性を広げたいという気持ちを込めて、社名をTANREN株式会社にしました。

※TED:学術・エンターテインメント・デザインなど、様々な分野の第一線で活躍する人物を講師として招き、定期的にカンファレンスを開催しているグループ。カンファレンスの模様は、TED Talksという動画アーカイブとしてインターネットを通じて全世界に無料で公開されている。

ー起業する際に、一番大変だったことはなんでしたか?また、それはどうやって乗り越えていきましたか?

佐藤基本的にヒト・モノ・カネのすべてが大変でしたが、なかでも資金集めは一番大変でした。起業するとは言ったものの、起業時に蓄えのなかった私は、前職の社長と当時の顧客企業から資金を集めて起業しました。

その後は、日本政策金融公庫からの資金調達に2度成功し、その後も資金調達のお話をいただくことが多くなりました。ですが、資本政策を含め、起業時に自己資本や、個人として蓄えをもっと持っておくべきだったと反省しています。

ーこの事業をやっていて、嬉しかったことは何ですか?

佐藤「TANREN」を導入したお客様から、「眠れる人材が発掘できた」や「努力の指標を作れた」と評価してくださった事が、最大の喜びですね。

「原石を磨き上げ宝石たる人財となすのが我々の大義であり、0から1を考え創出する事が我々の名分である。」と弊社のホームページに記しているのですが、
自らが0から起こし1とできた、まさに新たな学びを創造できたと感じることができました。

ー起業した際に、人材はどのように集めましたか?

佐藤:人材は、前職からの繋がりをもとに、集めました。
取締役の目野は前職時代の取引先であり、営業責任者でした。新たな人材教育の重要性に気づき、ビジョンに共鳴し、参加してもらえることになりました。

バックサポートの喜田は、前職時代は私の部下でした。約8年も共に行動したこともあり、信頼関係も高いです。

より良い仕事につながることが、仕事をする上での最高の報酬

ー顧客との信頼関係を築く上で、実践していることはありますか?

佐藤「徹底的に現場にこだわること」、「再現性のある成功事例を連発すること」
この2つにこだわっています。
徹底した顧客サポートの実施と伴走支援を行なっています。

例えば、全顧客に対して、平日10:00-17:00の間は、チャットサポート・電話サポート・営業訪問サポートなどのカスタマーサクセス、いわば「お客様対応」を行なっています。これは同業の中でも、安価な上に、クオリティを高く保っていると自負しています。

ー事業を行っていく上で、大切にしている信念はありますか?

佐藤:これからは、創造性豊かな人が輝ける時代だと思っています。ですが、そういった人材の決定的な弱点は「鍛錬できないこと」です。私もできませんでしたから(笑)。

鍛錬のコツは、目的(夢)と目標(KPI)の設定をすることです。今、メジャーで大活躍の大谷選手は良い例ですね。花巻東高校1年の時にたてたマンダラチャート表が話題となりました。
目的 → 8球団からドラフト1位指名受ける事
目標 → 9つの目標達成指標[コントロール、キレ、メンタル・・・等]
それを、年次/月次/週次/日次に分けて、ひたすら鍛錬に励んだそうです。

「夢」という強烈な目的意識さえブレなければ、目標はいくらあってもいいし、途中で目標変更してもいいんです。ですが、夢という目的を見失ってしまった場合、すべてがつまらなく見えてしまいます。そのような人たちに、鍛錬を繰り返し促しても、目的に向かっていきません。いくら営業目標を達しても、報酬をいくら得ても、虚無感すら感じる事になると思います。故にビジョンが必要、なければ影響を受けられる環境やヒトに巡り合うことが必要です。

仕事においての最高の報酬は、より良い仕事に繋がることだと考えています。
TANRENは見える化を促進する事で、経営者に近く、全店で調子が良いスタッフが見え、心底頑張っている仲間を日常的に観る事で、自然と視座が高まり、目的意識がぶれないように設計されています。
日々是鍛錬!これこそが私の信念です。

ー今後の目標はありますか?

佐藤:経営も4年目に入りましたので、確実に売上が出ることに注力したいと思っています。

現代はAIや※IoTが話題ですが、「これらを利用してどんなことが解決できるのか?」を提案できないと実のある話になりません。私が現場から重宝されているのは、その答えをたくさん持っているからだと自負しています。

AIやIoTについては、実験レベルでは挑戦しますが、主力の事業にするかどうかは慎重に考えています。使う側の理論が定まっていないと、火傷してしまうこともありますから。

※IoT:「Internet of Things」の略で、あらゆるモノがインターネットと繋がること。
tanren

ー最後に、起業家に向けてメッセージをお願いします。

佐藤:「EdTech」という言葉をご存知でしょうか?教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、テクノロジーの力を使い、教育に革新を起こすビジネス領域のことです。

経済産業省でも2018年1月に「未来の教室」とEdtech研究会が始まりました。日本の教育は確実に変わっていきます。
これからはセンスを磨き、自分自身のノウハウを持って、きちんと実行できる人が勝つでしょう。

創業期はまだお客様も少なくリスクも最小限ですので、大いに夢を語り早々に仲間を増やしていきましょう。

(取材協力:TANREN株式会社 代表取締役CEO 佐藤 勝彦
(編集:創業手帳編集部)

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