個人事業主とは?年収別の判断基準とメリット・デメリットを徹底解説
個人事業主はやめたほうがいい?定義・事業としての実態・社会的責任などをご紹介

●個人事業主とは: 法人化せず個人で事業を営む形態。
●メリット: 開業が簡単・低コスト、経理がシンプル。
●デメリット: 社会的信用が低く、個人資産を守れない。
●必要な手続き: 開業届の提出、確定申告、健康保険や年金などの変更。
●なるかどうかの判断:「自分に合った働き方」をまず整理しよう。
個人事業主になるべきか、それとも会社員のままがいいのか。あるいは法人化した方が得なのか。多くの方が悩むでしょう。
本記事では、個人事業主の基本から、年収いくらから損をするのか、法人化すべきラインはどこかをなど解説します。
この記事の目次
個人事業主とは?フリーランス・自営業・副業との違いをわかりやすく解説

個人事業主とは、文字通り「個人」で「事業」を営む人のことです。
そう言われると、「フリーランス」や「自営業」が思い浮かぶ方もいると思います。最初に、この3者の違いをはっきりしておきましょう。
個人事業主とフリーランス・自営業との違いとは
| 項目 | 区分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 税法上の名称 | ・開業届を出している ・法人化していない |
| フリーランス | 働き方の名称 | ・開業届の提出は問わない ・法人化は問わない |
| 自営業 | 事業形態の名称 | ・開業届を出している ・法人化は問わない |
個人事業主は、税務署に開業届を提出して事業を営む人を指します。法人でないのが最大の特徴ですが、ひとりで事業を営む必要は特にありません。従業員を雇うこともできます。
対してフリーランスとは、特定の企業や団体と雇用契約を結ばず、独立して案件ごとに仕事を請け負うという働き方を指します。法人かどうかは問われません。
そして自営業は、店舗経営や職人仕事など自ら事業を営む状態の総称です。こちらも法人かどうかは問われません。

フリーランス・自営業は、法人を設立することもできます。つまり、フリーランスや自営業の人のうち、会社を設立していない人が個人事業主と言えます。
個人事業主と副業との違い
開業届を出してから副業を行えば、会社員をしながらでも個人事業主になれます。
個人事業主として副業を行うことで、事業所得として認められれば、青色申告特別控除や損益通算などを利用できる可能性があります。ただし、社員が個人事業主になるのを就業規則で禁止する会社もあるため、勤務先の就業規則はよく確認しましょう。
個人事業主のメリット・デメリット
個人事業主には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自由に働ける(時間・場所・仕事内容を自分で選べる) | 社会的信用が低い(法人に比べ、融資・ローン・審査で不利になりやすい) |
| 能力次第で収入が伸びる(単価交渉・実績で年収を伸ばしやすい) | 収入が不安定(案件量や景気によって収入が大きく変動しやすい) |
| 起業・運営コストが低い(開業届だけで始められ、事務負担も小さい) | 事業リスクと社会保険料をすべて自分で負う(無限責任+保険料全額自己負担) |
| 経費と資金管理の自由度が高い(屋号口座で管理しやすく、交際費の上限なし) | ほぼすべての実務を自分で行う必要がある(営業、見積書や請求書の作成など) |
個人事業主のメリット|会社員・法人と比べて何が有利か
自由に働ける(時間・場所・仕事内容を自分で選べる)
個人事業主は、働き方を自分でデザインできる点が大きなメリットです。
勤務時間・作業場所・受ける仕事の種類をすべて自分で決められるため、会社員のような制約が大幅に減ります。
ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方がしやすくなり、育児や副業、介護と両立をしながら働いている個人事業主も少なくありません。
こうした自由は、実は「自分の最もパフォーマンスが出る時間に集中し、意思決定のスピードを最大化できる」という点にこそ本質があります。組織のしがらみに囚われず、自分の価値観に沿ってリソースを配分できることが、最大の魅力と言えるでしょう。
能力次第で収入が伸びる(単価交渉・実績で年収を伸ばしやすい)
個人事業主は、成果がそのまま収入につながりやすいのが強みです。
なぜなら、会社員とは違って固定給ではないため、スキル向上や実績に応じて単価を上げ、仕事量を調整することで収入を直接コントロールできるからです。
例えば実績を積めば、単価交渉で報酬アップを目指したり、高単価案件に挑戦したりすることも可能です。結果として、会社員より高い年収を実現している人も珍しくありません。
努力がしっかり収入に反映されるため、やりがいのある働き方を求める人に向いています。
起業・運営コストが低い(開業届だけで始められ、事務負担も小さい)
個人事業主は、低コストで気軽に起業できるのが大きなメリットです。理由は、法人のように設立費用が必要なく、開業届を提出するだけで事業を始められるため、初期費用がほとんどかからないからです。
さらに、社会保険や会計処理も比較的シンプルで、従業員を雇わない限り、給与計算や複雑な事務作業を抱える必要もありません。実際、「まず個人事業で始め、軌道に乗ってから法人化する」というケースもよく見られます。
このように、ローリスクでスタートできる点は、初めて起業する人にとって大きな安心材料となります。
経費と資金管理の自由度が高い(屋号口座で管理しやすく、交際費の上限なし)
個人事業主の大きな税制メリットは、事業に関わる支出を幅広く「経費」として計上できることです。会社員にも給与所得控除がありますが、個人事業主は実費に基づいて課税所得を圧縮できるため、同じ額を稼いでも手残りをコントロールしやすいのが特徴です。また、法人特有の交際費ルールもありません。
個人事業主は屋号入りの銀行口座も開設できるため、事業資金とプライベート資金の分散管理も簡単です。取引先との打ち合わせや贈答など、事業に必要な支出を必要に応じて経費計上でき、資金の流れも整理しやすくなります。屋号口座は、金融機関から信用を得やすいという利点もあります。
ただし、事業と無関係な支出は経費にできないため、ルールを守った上で柔軟に活用することが大切です。
個人事業主のデメリット|やめた方がいいと言われる理由
社会的信用が低い(法人に比べ、融資・ローン・審査で不利になりやすい)
個人事業主は開業届だけで始められるため、法人よりも社会的信用が低いと見られがちです。定期収入が保証されない点から、住宅ローンやクレジットカードの審査では会社員より不利になるケースもあります。
また、事業資金の融資では銀行の審査は厳しめで、日本政策金融公庫や自治体の制度融資の方が通りやすい傾向があります。起業初期は、資金調達の選択肢が限定されやすい点に注意が必要です。
収入が不安定(案件量や景気によって収入が大きく変動しやすい)
個人事業主は固定給がないため、案件量や景気の影響をダイレクトに受けます。営業や事務作業に時間を取られると、収入につながる仕事時間が減り、思うように稼げない時期も出てきます。
そのため、起業前にある程度の生活防衛資金を準備したり、軌道に乗るまでは副業として始めたりするなど、収入の波に備えた計画が大切です。
事業リスクと社会保険料をすべて自分で負う(無限責任+保険料全額自己負担)
個人事業主は「無限責任」で、事業で発生した負債はすべて個人が支払う必要があります。
事業用資金が不足しても、最終的には自分の私財で補填しなければならない点は大きなリスクです。
さらに、社会保険料も会社員のように「会社が半分負担」という仕組みがないため、国民健康保険・国民年金などの負担を直接意識しやすくなります。税金の管理も含め、事業以外の運営面の負担も大きくなります。
こうしたリスクに備えるために、保険の活用やコミュニティ参加、専門家への相談など、サポート体制を作っておくことが重要です。
ほぼすべての実務を自分で行う必要がある
個人事業主は、ほぼすべての実務を自分で担う必要があります。
具体的には、仕事を獲得するための営業活動から、見積書や請求書の作成、入出金の管理、確定申告に向けた帳簿付け、契約書の確認・作成に至るまで、多岐にわたります。会社員であれば分業されているこれらの業務も、自ら対応しなければなりません。本業に時間を割けないケースも、生じがちです。
税理士や外注サービスを活用すれば負担を軽減できますが、コストが発生します。こうした実務負担も踏まえて、個人事業主が自分に合った働き方かどうかを見極めましょう。
年収300万・500万・800万で、個人事業主の損得はどう変わる?
個人事業主の損得は、年収で大きく変わります。ここでは目安として、300万円・500万円・800万円の3段階で「税負担」「社会保険」「働き方」の観点から損得を整理してみましょう。
ひとことで言えば、300万円は「慎重ゾーン」、500万円は「成立ゾーン」、800万円は「再検討ゾーン」です。
| 年収目安 | 状態の位置づけ | 手取りの特徴 | 主なリスク | 推奨アクション |
|---|---|---|---|---|
| 300万円前後 | 慎重ゾーン | 税負担は軽いが保険負担が重い | 収入不安定・生活不安 | 副業 or スキル構築期間として運用 |
| 500万円前後 | 成立ゾーン | 経費・控除で最適化可能 | 保険・税負担増で手取り伸び悩み | 単価アップ・収益構造の改善 |
| 800万円前後 | 再検討ゾーン | 税率上昇で手取り効率低下 | 税負担の重さ | 法人化を具体的に検討 |
年収300万円:慎重ゾーン
年収300万円前後では、個人事業主としてのメリットは限定的です。
所得税は低いものの、国民健康保険料や国民年金の負担が相対的に重く、可処分所得は伸びにくい傾向があります。収入が不安定な場合は生活基盤も揺らぎやすく、「自由に働けるメリット」より「安定を失うリスク」が上回るケースも少なくありません。
このゾーンは、副業として始めるか、あるいは「スキル構築期間」と割り切る位置づけが現実的です。
年収500万円:成立ゾーン
年収500万円前後になると、損得のバランスが良くなります。
経費計上や青色申告控除の効果が効き始め、課税所得をコントロールする余地も生まれます。一方、国民健康保険料や住民税も増加するため、「思ったより手元に残らない」と感じる人も多いです。
このゾーンは、個人事業主としてやっていけるかどうかの“分岐点”であり、単価の見直しや収益構造の改善によって上のステージに行けるかが重要になります。
年収800万円:再検討ゾーン
年収800万円前後は、法人化が視野に入ってくるフェーズです。
このゾーンになると、累進課税で手取りの伸びが鈍化します。そのため、法人化して役員報酬による所得分散や経費の最適化を進めた方が、税負担を抑えられるでしょう。
ただし法人は設立・維持コストもかかるため、利益率・売上見込み・事業の拡張性を踏まえた総合判断が必要です。
個人事業主と税金
会社員から個人事業主になると、税金の払い方が大きく変わります。ここでは、確定申告から節税、インボイスへの対応などについて説明します。
個人事業主が支払う税金の種類は?
個人事業主になったとき、納めるべき税金の種類は以下の通りです。ただし場合によって納めずに済む税金もあるため、基準を知っておきましょう。
| 税金の種類 | 課税の条件 |
|---|---|
| 所得税 | 所得のある人すべて |
| 住民税 | 一定の所得がある事業者(前年の所得に応じて) |
| 消費税 | 2年前の売上が1,000万円を越えた事業者 |
| 個人事業税 | 事業所得で290万円を超えた、法定業種の70種にあたる事業者 |
赤字でなければ所得税の支払いが必要となり、ほかの税金は基本的に一定の所得額に達すると納付義務が生じます。
確定申告の年間スケジュール
個人事業主の1年は、1月1日から12月31日までの取引を記録することから始まります。翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、所得税を納付するのが標準的な流れです。
住民税や個人事業税はその後、自治体からの通知に基づいて納付します。
確定申告は、青色申告がおすすめ
個人事業主は、1年ごとの所得について、翌年3月15日までの間に確定申告をしなくてはなりません。事業の開始前に「白色申告」「青色申告」のどちらかを選び、準備を進める必要があります。
節税の観点から見ると「青色申告」がおすすめです。青色申告を選択していくつかの条件を満たせば、65万円の控除を受けられます。白色申告の場合は、特別控除がありません。
控除を受けることで所得が減り、所得額を基準に課せられる税金も減少します。所得額を基準とした税金は所得税・住民税・国民健康保険税などですが、控除の大きい青色申告の方が、実質的に支払う税金が少なくて済むのでお得です。
節税を最大化するには、日々の帳簿付けが欠かせません。青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告が要件となります。最近ではクラウド会計ソフトを利用することで、簿記の知識が乏しくても効率的に書類作成を行うことが可能です。
個人事業主の確定申告に関する詳細は、以下の記事も参考にしてください。
免税事業者/課税事業者の転換点とインボイス制度
個人事業主にとって大きな分岐点となるのが、消費税の「免税事業者」でいるか「課税事業者」になるかという選択です。
原則として前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合は、消費税の納税義務が免除されます。しかし2023年から始まったインボイス制度により、売上規模にかかわらず適格請求書発行事業者(課税事業者)になることを検討する必要が出てきました。
取引先が法人の場合、こちらがインボイスを発行できないと取引先は仕入税額控除を受けられません。そのため、新規案件の獲得や価格交渉に影響が出る可能性があります。自身の事業形態や取引先の属性に合わせて、慎重な判断が必要です。
個人事業主の始め方|開業までの流れと注意点

個人事業主としてビジネスを始めるには、開業手続きが必要になります。ここでは、やるべき手続きについて見ていきましょう。
屋号を作成する
屋号とは、個人事業で使う名前のことです。法人であれば「〇〇株式会社」あるいは「株式会社〇〇」などの会社名にあたります。
個人事業主の場合は必ずしも屋号が必要なわけではありません。本名だけで活動しても何ら問題なく、屋号を付けない人もいます。
ただ請求書や名刺に屋号があれば、取引先から信頼を得やすいのも確かです。屋号を付けて開業届を出すなら、事前に決めておいてください。
開業届を提出する
個人事業主として事業を始めるときには、税務署に「開業届」を提出します。未提出でも事業実態で個人事業主と認定される場合はありますが、税金面の優遇を受けるため、提出するのが一般的です。
提出期限は、開業から1か月以内が目安です。2026年以降に開始した事業については、原則としてその年分の所得税確定申告期限までに緩和されました。ただし、口座開設の際などで開業届の控えを求められるケースもあるため、実務上は早めに提出しておく方が安心でしょう。
節税効果の高い「青色申告」をしたい場合は、開業届とともに「青色申告承認申請書」も提出しましょう。こちらの提出期限は開業から2か月以内なので、注意が必要です。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、税務署で入手可能です。パソコンを使い自分で作成もできますが、その際は2部作成する点に注意してください。
開業届以外の書類は、従業員を雇う場合など必要に応じて用意します。主に挙げられるのは以下の書類です。
| 書類 | 目的 |
|---|---|
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告をする場合 |
| 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 | 家族の給与を経費にする場合 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇う場合 |
| 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書 | 従業員の源泉所得税納付で特例を受ける場合 |
詳しい開業届の書き方と提出の際の注意点については、以下の記事で確認してください。
事業用口座を開設する
開業届を出すタイミングで、銀行で事業専用の口座を開設しておきます。口座名は、個人事業主として使う屋号や個人名です。
個人事業主は法人口座の開設はできませんが、屋号名などの事業用の口座をプライベート用とは別に持つことで、使い分けできます。経理の処理がスムーズになるので、プライベートとは分けて管理しましょう。
必要であれば、屋号や個人名による事業用のクレジットカード作成もしておくと、管理がさらに明確になるのでおすすめです。
青色申告か白色申告かを選ぶ
事業の開始前には、上段でご説明した確定申告について「白色申告」「青色申告」のどちらかを選びます。確定申告は先述通り、青色申告がおすすめです。
健康保険・年金に関する手続きをする
会社を退職して個人事業主になる場合は、国民健康保険への加入か、健康保険の任意継続かのどちらかを選びます。
国民健康保険への加入は退職した日から14日以内、健康保険の任意継続を選んだときは退職した日の翌日から20日以内に手続きをしましょう。
厚生年金は継続加入ができないため、国民年金への加入が必要です。被扶養者として厚生年金に加入していた配偶者も国民年金への加入手続きを行います。
もしひとりでも従業員を雇用した場合は、雇用保険と労災保険へ加入しましょう。業種によっては従業員数により、厚生年金などへ加入する手続きが必要です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済の加入を検討する
個人事業主が加入する国民年金は、会社員の厚生年金よりも保障が薄く、年金額が少なくなってしまいます。手厚い保障を受けるには、国民年金基金への加入や個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用も選択肢のひとつです。
iDeCoとは個人で運用する年金で、月々5,000円から始められ、1,000円単位で設定できます。iDeCoも小規模共済も、掛け金が所得控除の対象になるため、節税対策にも役立ちます。
個人事業主のよくある疑問Q&A

こちらでは、個人事業主にまつわるよくある質問をまとめています。ぜひ参考になさってください。
個人事業主が経費にできるものは?
個人事業主は、法人に比べると経費設計の自由度は高くありません。しかし事業に使っていることを証明できれば、以下のようなコストを経費にできます。
- 家賃や水道光熱費の一部
- 通信費の一部
- 接待費
- 勉強のための資料代
家賃や水道光熱費の一部など、プライベートと兼用するものについては「家事按分」が欠かせません。事業での使用割合を計算し、事業用の支出のみを計上します。
経費にできるものは計上しておけば所得が下がり、納めるべき税金が少なく済むのです。
個人事業主でも補助金・助成金は利用できる?
国や地方自治体、商工会議所などが募集する補助金や助成金は、個人事業主も対象になるものがあります。例えば、地方自治体による創業支援金や、ITツール導入費用の補助金などです。
個人事業主でも税理士は必要なの?
個人事業主に税理士が必要かは、売上や業種などの状況や会計処理に対する不安、事業拡大を考えているなど将来への展望により異なります。
事業をスタートした直後でスケールの小さいうちは、必要性は高くありません。青色申告で売上が大きくなってきた、従業員を複数抱えているなど、事務処理が煩雑化してきたら依頼を考えるタイミングでしょう。
迷う場合は無料相談なども活用し、依頼費用などと比較して顧問契約を検討してください。
いくら稼いだら個人事業主?
「いくら稼いだら個人事業主になる」という明確な基準はありません。収入額ではなく、継続的に事業としてお金を得ているかどうかが判断基準になります。
副業であっても、反復して収入がある場合は「事業」とみなされ、開業届の提出や確定申告が必要になる場合もあります。売上が少なくても、事業として行っていれば個人事業主と言えます。
月30万稼ぐと税金はいくらかかる?
月30万円の収入でも、必要経費や申告方法(青色・白色)によって課税額は大きく変わります。
仮に年間360万円の売上で経費が少ない場合、所得税・住民税・国民健康保険・国民年金を合わせて年間80~100万円前後になるケースが多いです。
経費が多く利益が減れば税負担も下がります。正確な金額を知るには「利益」を基準に計算することが重要です。
個人事業主はやめた方がいい年収は?
個人事業主をやめた方がいい年収という明確な基準はありません。
しかし、目安として年間課税所得が800万円を超えてくると、社会保険料の負担増や節税の限界から、法人化した方が手取りの増加を期待しやすくなります。
逆に年収が低い場合は、個人事業主のままの方がコストもリスクも低く済みます。事業の成長度合いや将来の方向性に応じて判断することが大切です。
【比較】個人事業主と法人の違い
開業する際、「個人事業主」と「法人」の二択で悩む方も多いかも知れません。
「法人」とは、法律上の権利義務の主体となることを認められた組織です。個人事業主と比べると、開業手続きや税務手続き、社会的信用の面で大きな違いがあります。
個人事業主と法人の違いを表にまとめたので、特徴を比較してみましょう。
| 比較項目 | 個人事業主 | 法人(株式会社の場合) |
|---|---|---|
| 設立コスト (法定費用) |
なし | 25万~30万円 |
| 会計処理 | 比較的容易。個人で対応可能 | 煩雑。税理士へ依頼する可能性が高い |
| 維持コスト | 比較的低い | 比較的高い |
| 税金 | 所得税、住民税、個人事業税(一部業種のみ)、消費税(課税事業者のみ) | 法人税、法人税住民税、消費税 |
| 節税 | 経費の範囲が狭い | 経費の範囲が広い |
| 赤字の繰越 | 最長3年 | 最長10年 |
| 社会的信用度 | 低い | 高い |
| 業種の自由度 | 一部許認可がとれない | 定款に定める範囲内 |
特に費用面の違いは顕著です。例えば個人事業主は赤字であれば基本的に所得税負担が生じませんが、法人は一部が免除されません。法人住民税均等割が、地域にもよるものの年間7万円ほどかかります。
一方、法人は定款に記載さえしておけば、個人事業主では認可されない業種も扱うことが可能です。
法人と個人事業主の違いについては、以下の記事で詳しく紹介しています。どちらにすべきか迷っている場合などの参考にしてください。
個人事業主から「法人成り」したい場合

個人事業主として事業を始め、あとから法人化も可能です。これを「法人成り」と呼びます。
法人成りの大きなメリットは、節税の幅が大きくなる点です。個人事業主に比べると開業や維持にコストがかかるものの、コストよりも節税メリットが大きくなる場合、法人成りした方がお得になります。
法人成りすべきタイミングの目安のひとつは、年間の収入や所得です。一定以上の年収や所得で法人成りすると、個人事業主のままでいるよりも、消費税や所得税を節税できます。
法人成りに際する会計や税務に関しての疑問は、専門家に相談するのがおすすめです。融資のサポートや、経営のアドバイスなど、心強い味方としてサポートしてくれるでしょう。
法人成りの手続きについては、以下の記事をご覧ください。
まとめ・個人事業主になる前にメリット・デメリットを整理し準備を万全にしよう
個人事業主には、自由に働ける、収入を自分でコントロールできる、低コストで起業できるなどのメリットがあります。一方で、収入の不安定さや社会保険・税金の自己負担、社会的信用の低さといったデメリットもあります。
開業届の提出や確定申告、健康保険・年金の手続きなど、事前の準備をしっかり行うことが重要です。記事で紹介したポイントを押さえ、自分に合った働き方を整理してからスタートしましょう。
(執筆:創業手帳編集部)
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