個人事業主も必ず得する「青色申告特別控除」とは?

創業手帳

絶対おトクな青色申告のおすすめ

(2018/03/09更新)

個人事業主の方も法人の方も、確定申告をしようとすると必ず「青色申告」「白色申告」という言葉を聞くと思います。「何が違うかわからない…」という方もいらっしゃるかもしれませんが、実は「青色申告」には、起業する方なら知らなきゃ損するメリットがたくさんあります。今回はそのひとつ「青色申告特別控除」についてご紹介します。

本文を読む

「青色申告特別控除」とは

そもそも、青色申告とは「一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人」が、所得金額の計算などについて有利な扱いを受けられる制度のことです。

一方、「白色申告」ですが、青色申告以外の方はひとくくりにそう呼ばれています。

最低限の帳簿作成や保存は法律でも義務付けられているとはいえ、本格的な簿記ができなければ事業をしてはいけない、ということはありません。したがって、確定申告のやり方としては、簡単な帳簿しか作成しない方も含めて誰でもできる「白色申告」を基本として、一定の条件を満たす人は税務署の承認を受けて「青色申告」ができる、という仕組みになっています。
ちなみに、法律上「白色申告」という言葉はありませんが、国税庁も青色申告と対比して使用しています。

「一定水準の記帳」と言われると、「毎日忙しいのに気が重い」、「手間がかかって面倒だ」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際に個人事業主でも多くの方が青色申告を行っているのは、かかる手間以上のメリットがあるからです。

青色申告の「かかる手間以上のメリット」には、青色事業専従者給与(配偶者や親族の専従者に支払った給与が、必要経費として認められる)や、純損失の繰越し・繰戻し(損益通算しても相殺しきれなかった損失を、翌年以降の黒字から最大3年間にわたって差し引くことができる。つまり、その分の所得控除を受けられる)など、様々なものがあります。今回のテーマ「青色申告特別控除」も、こうしたメリットの代表的なものです。

青色申告特別控除は「所得税青色申告決算書」の中で

収入金額 – 経費等 – 青色申告特別控除 = 所得金額

として計算します。同じ収入・経費等なら、白色申告の場合に比べて青色申告特別控除額の分だけ所得金額が少なくなりますので、税額が少なくなる計算です。

では、「青色申告特別控除」を受けるためにはどんな条件があり、その条件によって控除額にどんな違いが出てくるのか見ていきましょう。

最高額65万円の特別控除を受けるための要件

青色申告特別控除は、「黒字決算の青色申告者」であれば誰もが受けることのできる控除です。控除金額には10万円と65万円の2段階があり、節税効果がより大きい最高65万円の控除を受けるには、以下の条件をすべて満たさなくてはなりません。

(1).不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること

つまり、山林を所得しているだけの青色申告者は対象になりません(該当する方は少ないかもしれませんが…)。また、「事業として行われない不動産の貸付」による不動産所得は他に事業所得がある場合を除き、65万円の控除対象にはならず、10万円の控除のみ適用可能です。

(2).(1)の事業の所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること

青色申告の条件となる「一定水準の記帳」では、一般的な複式簿記のほか、現金出納帳、売掛帳、買掛帳などによる簡易な記帳も認められていますが、65万円の控除を受けるためには複式簿記で記帳する必要があります。簡易な記帳の場合は10万円の控除が適用されます。また、「現金主義」で記帳している方も10万円の控除になります。

青色申告の記帳方法については下記記事も参考にしてみてください。
>>単式簿記と複式簿記の違い。青色申告・白色申告はどっちで行う?

(3).(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること

必要書類を添付しなかったり、確定申告の法定申告期限を過ぎると、他の条件を満たしていても10万円控除のみになってしまいます。また、所得税青色申告決算書に控除額を記入することも肝心なポイントです。書き忘れに注意しましょう。

また前述の通り、青色申告特別控除は「黒字決算の青色申告者」なので、赤字決算の場合は適用されません。ただし、赤字の場合は純損失を繰り越せる特典があります。

なお、所得額が65万円未満の場合は、青色申告特別控除額もその所得額が上限となります(特別控除10万円に対する、所得額10万円未満も同様)。

※2018年度の税制改正に伴い、2020年度から最高65万円の青色申告特別控除の適用にはe-TAX(電子申告)による申告などが必要になり、紙の申告書の場合は控除上限を55万円に減額となる見込みです。
理由としては、e-TAXの普及促進と、システム管理にすることよって管理コストを下げたいことなどが挙げられます。e-TAXでの申請には、電子機器を買う必要があることや、システムの理解や準備に時間がかかるというデメリットがありますが、税務署へ行く必要がなく、24時間受付可能になるなどのメリットも大きいので、e-TAXの活用も視野に入れてみてください。

実際、どのくらい納税負担額が減るの?

ここまで、青色申告特別控除の概要を解説しましたが、「結局のところ白色申告と青色申告でどのくらい納税負担額が減るのか」が最も気になるポイントではないかと思います。

税額計算は、事業や個人的な状況など様々な要因が関わるため一概には言えないものですが、ここではイメージとして、青色申告特別控除と所得税だけに注目して単純化した計算をしてみましょう。

売上500万円、経費等150万円で65万円青色申告特別控除の対象となる個人事業主のイメージ

青色申告 白色申告
売上(収入)金額 5,000,000円 5,000,000円
売上原価及び経費 1,500,000円 1,500,000円
青色申告特別控除前の所得金額 3,500,000円 —―
青色申告特別控除額 650,000円 —―
所得金額 2,850,000円 3,500,000円
社会保険料等の所得控除 650,000円 650,000円
課税される所得金額 2,200,000円 2,850,000円
(所得税率と控除額) (10%)-97,500円 (10%)-97,500円
所得税額 122,500円 187,500円
所得税の差額(白色申告-青色申告) ▲65,000円

※実際は復興特別所得税2.1%が加算されます。
※社会保険料も所得金額に応じて変わることがあります。

この例では、適用される所得税率はどちらも変わりませんが、青色申告特別控除額を差し引くことで課税される所得金額が減り、適用される所得税率自体が一段階下がり(例えば10%から5%へ)、二重に特をするケースもあります。また、所得金額から計算される住民税などにも影響していきます。

65万円の青色申告特別控除を差し引くことで、節税になることがご理解いただけると思います。実際には、青色申告に用意されている他の優遇も適用できればメリットはより大きくなるはずです。

青色申告承認申請書の提出期限

ここまでにご紹介した青色申告特別控除などの特典を受けるためには、そもそも確定申告を「青色申告」で行うことが大前提です。

青色申告を行うには、あらかじめ税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出して承認を受ける必要があります。一度承認を受ければ、不正行為などで取消されたり、取りやめを届け出るまでは継続的に青色申告者として扱われますので、申請書を毎年提出する必要はありません。

個人事業主の方で、これまで白色申告をしていて新たに青色申告を申請する場合は、その年の3月15日までに申請書を納税地の税務署に提出します。例えば、2018年(平成30年)3月15日までに申請して承認されると、2018年度(平成30年度)分、つまり、次回の確定申告から青色申告できます。

新規に起業した方の場合は、業務を開始した日から2ヶ月以内に申請して承認されると、起業初年度分から青色申告にすることができます。(1月15日までに起業した方の申請期限は通常通り3月15日です)

法人の場合は、原則「青色申告にする事業年度開始の日の前日」が期限ですが、起業初年度の場合は「設立日以後3ヶ月を経過した日」、または、その年度末のいずれか早い日までに申請して承認されれば、初年度から青色申告とすることができます。

なお、承認されても特に通知は来ませんので、12月31日までに承認しない旨の通知がなければ承認されたとみなして対応しましょう。

ちなみに、個人、法人いずれの場合も申請自体は年間通していつでもできるので、期限を過ぎてしまっても大丈夫です。その場合、申請したその年度分は白色申告になりますが、翌年度から青色申告に切り替わることになります。青色申告にしようと決意して準備ができたら、まずはとりあえず申請することをおすすめします。

まとめ

記帳や会計処理に苦手意識がある方も多いかもしれませんが、低価格な会計ソフトやオンラインサービスの普及で、青色申告の条件を満たすことはさほど難しいものではなくなっています。税務署でも相談や指導をしていますし、各地の「青色申告会」など青色申告をサポートする団体もあります。

青色申告には、今回ご紹介した青色申告特別控除だけでなく様々な節税メリットがありますので、積極的に活用しましょう。

法人税や確定申告に必要な青色承認申請書を提出し、メリットを最大限に享受しよう!
法人/個人の青色申告と白色申告の違い、それぞれのメリット・デメリットとは

(編集:創業手帳編集部)

この記事に関連するタグ

創業時に役立つサービス特集

リアルタイムPVランキングトップ3

カテゴリーから記事を探す