shizai 鈴木 暢之|梱包資材プラットフォーム「shizai」で理想のパッケージとコスト削減を実現

創業手帳

全国約500カ所の一次製造工場と連携して、顧客のニーズに最適な製造工場を導き出す


ECマーケットの活性化に合わせて、ニーズの高まりを見せている「梱包資材」の分野ですが、お客様と工場の間に複数の中間業者が立ち、アナログな業務フローが多い業界でした。

そこで全国約500カ所の一次製造工場と連携し、顧客のニーズとコスト削減を同時に実現しているのがshizaiの鈴木さんです。

大企業の電通を退職して起業した背景や、梱包資材業界に革命を起こすshizaiの取り組みについて、創業手帳代表の大久保が聞きました。

鈴木 暢之(すずき のぶゆき)
株式会社shizai 代表取締役
新卒で株式会社電通に入社。国内/海外のエンタープライズクライアントの事業支援を担い、2016年末に退職。2017年よりライドシェアプラットフォーム「CREW」を運営する株式会社Azitに最初の社員としてジョイン。事業開発、オペレーション、CS、PR、コーポレート、採用/組織戦略等、プロダクト開発以外の領域全体を統括する経営メンバーとして活動後、2020年3月に退職。2020年10月に株式会社shizai創業。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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大手企業の電通やベンチャー企業のAzitを経て「shizai」を創業

大久保:起業までの経緯を教えてください。

鈴木: 2011年に電通に新卒入社し、丸6年間勤務しました。電通では法人営業を担当し、サントリーさんやJINSさんなどのマーケティングコミュニケーション全体の支援を行いました。

電通の後は、オンデマンド・デリバリー・プラットフォーム「CREW Express」を運営している株式会社Azitというベンチャー企業の初期メンバーとして入りました。Azitには3年半ほど在籍し、現場から経営まで全体的に経験させていただきました。

Azitでの仕事はすごく楽しかったのですが、自分で起業したいと思うようになり、Azitの代表に無理を言って退職し、shizaiを創業しました。

大久保:大企業とベンチャー企業でそれぞれどのようなことを学べたと思いますか?

鈴木大企業では大きな組織の力学を学べたのが良かったと思います。社内稟議や部署内の役割など、大きな会社がどういう構造で動いているかということを把握できたのは非常によかったです。

また、大きな組織で働いている方々がどのようなインセンティブで働いているのかを知れたのも良かったと思います。

例えば、クライアント担当者の社内評価の向上に繋がるような取り組みをすると、その担当者も一緒になって頑張ってくれるというようなことを、実体験を通して学べた経験は今にも活きています。

一方でスタートアップでは組織らしい動きが少なく、すごくオープンでフラットな雰囲気でした。しかし、スタートアップでしか働いたことがない方の中には、大企業の組織構造を理解できていない方もいて、大企業相手の交渉で苦労していました。

その点、私は大企業もベンチャー企業もどちらも経験できて良かったと思っています。

大久保:なぜshizaiの分野で起業したのでしょうか?

鈴木:どの分野で起業すべきかと分析した際に、大きい産業でテクノロジーの介在余地のありそうな場所をまず探しました。30種類ほどのビジネスモデル案を考えて、「包装資材/加工容器」の分野に決めました

この分野は市場全体で約5兆円規模のマーケットサイズがあり、近年のEC化率の向上が重なり、更なる市場拡大が見込まれています。この分野で海外で成功しているプレイヤーはいますが、日本国内の市場ではまだ戦う余地があると判断し、梱包資材の分野で挑戦しようと決意しました。

「ヤフーCEOの小澤氏」から学んだマーケット分析手法を実践

大久保:しっかりと分析をして起業する分野を選ばれたんですね。

鈴木:そうですね。起業がうまくいく確率が高い領域は「市場の大きさ×テクノロジー充当率の低さ」だと考えて、色々な角度から分析を行いました。

大久保: マーケット分析についてはどこかで勉強されたんですか?

鈴木:電通を辞める時にヤフーCEO 小澤隆生さんの起業家勉強会に参加していました。

その中で、「市場の大きさ×テクノロジー充当率の低さ」を兼ね備えた市場を狙うべきだというお話がありました。

また、すでに2〜3社の大企業があって、その下に中小企業があるという業界で、ユーザーが自社サービスを選び(続ける)理由となる突出した強みが必要とお聞きしました。小澤さんはこれを「センターピン」と表現していました。

さらに理想としては、海外で同じ領域でやってるサービスがあって、それを日本にローカライズにすることを考えると良いと言われ、その通りに考えて行動したのがshizaiです。

大久保:shizaiのセンターピンは何ですか?

鈴木: 「安くて早く、そしてアナログ処理を除外する」ことですね。

提携した全国約500カ所の工場から最適解を導き出す

大久保:shizaiの事業概要を教えてください。

鈴木:梱包資材の分野は複数の中間業者が入りやすい業界なので、 shizaiでは最適な一次製造元ネットワークを構築して、お客様と工場をマッチングしてコストダウンを実現しています。

具体的には、ダンボールや化粧箱、袋などの包装物の一次製造ネットワークを全国に500ヶ所くらい提携しています。そして、お客様のご要望に応じて、どのエリアのどの工場で作るのが1番安いのかを最適化できる仕組みを構築しています。

大久保:お客様と工場が直接やり取りする仕組みですか?

鈴木:いえ、shizaiがお客様と工場の間に入ってディレクションを行います。工場としても効率良く発注を受けるために、コミュニケーションコストを抑えて窓口を一本化した方が助かります。

工場に細かな要望を伝えるためには専門用語や梱包資材の業界知識が必要で、お客様が直接やり取りするにはハードルが高いのです。

そこでshizaiがディレクションすることで、お客様と工場の両者にとってメリットがある形で、コストを抑えつつお客様の要望を形にしています。

理想のパッケージとコスト削減を実現するshizaiの「5つの特徴」

大久保:サービスの特徴を教えてください。

鈴木:shizaiのサービスには大きく分けて5つの特徴があります

1つ目の特徴は先ほどお話しした「一次製造工場の全国ネットワーク」です。

一言で「梱包資材」と言っても、工場ごとに得意・不得意があり、同じ構造の梱包資材を発注しても、品質や値段に差が出るのです。

shizaiではお客様が希望するパッケージを実現するために、最適な設備・製造工程・配送形態を持つ工場を全国から選定します。画一的で不適当な発注による無駄なマージンがなく、さらなる低価格を実現できます。

2つ目の特徴「ディレクション」です。

shizaiではお客様と工場の間に立ち、ご要望を形にするためにディレクションを行っています。単にお客様のご要望をお聞きするだけでなく、積極的に改善のご提案も行っています。

例えば、サイズを縮小して梱包材や配送費を削減したり、代わりに仕切りを入れて見栄えを良くしたりと、価格を変えずにできる品質向上をご提案しています。

3つ目の特徴「スピード」です。

shizaiには、自動計算システム等の設計もあり、お客様が梱包資材についての専門知識をお持ちでなくても、短期間でこだわりのパッケージを作ることができます。

ご要望があれば、パッケージデザインの段階からサポートさせていただくこともあります。

4つ目の特徴「サステナブル対応」です。

近年はSDGsの流れもあり、サステナブルなパッケージを採用したいというお客様も増えています。具体的にはプラスチック製から紙製の容器に変えたいというご要望が多くなっています。

shizaiではサステナブルなパッケージのご提案の他にも、製造で消費した木を自然に戻すために植樹活動の支援や、環境に優しいインキの使用なども行っています。

そして5つ目の特徴「原価全体の最適化視点」です。

お客様の立場になって考えると、本当に必要なことは売上原価の削減です。梱包資材のコスト削減は、売上原価の削減の一つの選択肢でしかありません。

例えば、今使っている箱のコストが5円上がったとしても、在庫を預けている倉庫の費用が10円安くなるのであれば、全体を見るとお客様にメリットが出るということです。

shizaiでは全国20〜30カ所の倉庫と提携しており、お客様の在庫をお預かりして、注文が入るとパッキングして発送することも支援しています。

創業初期は様々な創業支援制度を活用するべき

大久保: 社員数は何名ですか?

鈴木: 内定者を合わせると9人です。

大久保: 外部資本は入ってますか?

鈴木: 入ってます。ANRIさんとグローバル・ブレインさんです。

大久保: 起業初期にやっておけば良かったと思うことはありますか?

鈴木色々な機関が提供している創業支援のサポートについてもっと調べて、活用すべきだったと思っています。

起業家の中にはすぐにベンチャーキャピタルから資金調達をしようとする人がいますが、創業初期に外部から資金調達をしてしまうと、会社の評価が低く、通常よりも多くの株を要求されるかもしれません。

1,000万円くらいであれば日本政策金融公庫から無保証・無担保で借りられる可能性が高いので、起業したばかりの方は活用するのも良いと思います。

大久保:資材梱包の分野は歴史が長いと思いますが、近年急速に注目が集まっていますよね?

鈴木: そうですね。オンライン販売のニーズが高まり、急速に産業が拡大しました。

大久保:海外のプレイヤーはどのような企業がありますか?

鈴木:アメリカ、ヨーロッパ、中国に合わせて4社大きなプレイヤーがいます。

大久保:海外の大手企業が日本に進出してくると影響がありますか?

鈴木:海外の勢いのある大手企業の多くはネット完結型のビジネスモデルが多いのですが、日本のお客様は日本ならではの高品質対応に慣れています。

手厚いサポートができる企業は選ばれ続けると思うので、仮に海外のネットプレイヤーが参入してきても、市場が大きく変わることはないと思います。

起業の動機は「未解の問題を解きたい」という思い

大久保:日本企業で競合となるのはどこですか?

鈴木: 個社名は控えさせていただきますが大手/中堅を問わずパッケージ会社様は勿論競合にあたりますし、倉庫会社様、配送会社様などもパッケージ取り扱いをしている場合は競合といえると思います。

他方、常にそうしたプレイヤーと連携もしているので一概に競合とは言えない側面もあります。

大久保:最近は「資金調達をしたい起業家」よりも「出資したい投資家」の方が多いように感じますが、出資を受けられている鈴木さんはどう感じていますか?

鈴木: 結論としては、両方足りていないと感じます。

しかし、資金調達をしたいと発信している起業家よりも、出資したいと発信している投資家の方が多い印象は確かにありますね。投資家としても起業家から選ばれなければならないという雰囲気も感じます。

投資家の投資資金が余っていて、投資先を探しているということは、資金調達をした起業家の方が少ないのかもしれませんね。

大久保:最後に読者にメッセージをお願いします。

鈴木:起業の動機は起業家の数だけあると思いますが私の場合は「未解の難しい問題を解きたい」ということが強い動機です。

他方、起業そのものの難しさは「これまで起業した経験がないから」という理由に起因することも多いと思います。

まだまだ起業にまつわる情報の流通量が足りていないのだと思います。

そうした観点で創業手帳様のような媒体によって起業にまつわる一次体験/知見が伝播し、多くの方が「不必要な失敗を避け」たり「自分に適合するアナロジーをみつけ」たりすることに、極めて大きい価値があるように思います。

今回取材いただいた内容がどなたかにとってポジティブな影響を与えられるか定かではございませんが、私自身他の起業家の皆様の姿に学びながら、学びを提供できる人間となれるよう努めたいと思いました。

大久保のまとめ

・大手企業から起業にチャレンジが増えている
・デジタル化が進んでいない古い領域は狙い目
・安く使えるものは使うのが大事

冊子版創業手帳では、様々な分野の課題をITサービスで解決に取り組む起業家のインタビューを多数掲載しています。無料で取り寄せられますので、web版と合わせてご活用ください。
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