All About創業メンバー・石川明氏EXPO登壇。新規事業開発に特化した専門家の思考方法とは?!

創業手帳

世の中の変化に合わせ創業し続ける企業経営とは?事業創出の手法について

6月21日に完全無料イベント、第10回創業手帳EXPO「事業創出」を開催しました。

今回のイベントでは、新規事業創出をサポートする「株式会社インキュベータ」代表取締役の石川明氏をお招きし、講演いただきました。

基調講演の前半では「新規事業のテーマをいかに着想し、案の検討を深めていくための思考法について」後半は「実際に組織の中で、事業化をすべく動いていくための方法について」というテーマに沿ってお話いただきました。

セミナー後半は「5分間事業PRタイム」です。参加希望された方々の中から選出された2名によるピッチセッションが行われ、それぞれのプレゼンに対して創業手帳代表の大久保によるフィードバックもありました。

今回のイベントも参加は完全無料、定員数は最大1000名です。Zoomにてオンライン配信され、多くの方にご参加いただきました。参加者の方々からはチャットでたくさんのコメントやご質問が寄せられ、イベントは大盛況のうちに終わりました。

本記事では、当日のイベントの内容を要約してお届けします。

石川 明(いしかわ あきら)
株式会社インキュベータ 代表取締役
1988年リクルートに入社。リクルート社の社風を最もよく体現すると言われる新規事業提案制度「Ring」の事務局長を務める等、 新規事業開発室でマネージャを7年務め, 総合情報サイト「オールアバウト」社の創業に参加し事業部長等を務めた後、2010 年に企業における社内起業をサポートすることに特化したコンサルタントとして独立。大手企業を中心に100社、2000案件、4000人以上の企業人による新規事業を支援。大学院大学至善館や明治大学ビジネススクールでも教員を務める。著書に『はじめての社内起業』『新規事業ワークブック』『DeepSkill』がある。

モデレーター 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

石川明氏講演「事業創出とディープスキル」とは

まずはじめに、石川氏は「創業」自体に価値があるわけではなく「業」によって世の中の「不」を解消するからこそ価値がある、創業後も世の中の変化に合わせて「業」を変え「次の業」を創業し続けていくのが企業経営と言われました。
そして、長い歴史のある会社ほど、社内で何度も「社内創業」を繰り返しているとのこと。
このように、今回の基調講演では、参加者の方々も同じように創業後も社内創業を繰り返していく方々であるということを大前提として話を進められました。

前半では、テーマの着想を得るための視点や、着想してから深掘りして案を磨いていくための思考法について石川氏の手法をお話いただきました。新規事業案を考えるステップとして、いきなり具体的な「事業案」からは考え始めないとのこと。そして、アイディアを計画に落とし込むまでの流れについて解説されました。

石川氏の経験則によると、天才的な発想やひらめきで起業が上手くいく人は多くない、実直に積み上げていった案の方がしっかりと足腰が定まっていて、良い事業案になるそうです。どんなビジネスチャンスがあるのかしっかりと考えていれば、アイディアは出しやすくなると言われました。

次に新規事業テーマの着想の仕方についての解説です。石川氏は、会社の中で新規事業を創業する際には「アンゾフのマトリックス(※1)の4象限」を応用したマトリクスの9象限で考えているそう。既存事業を軸にしながら、市場・顧客・チャネルを拡げていくのか、もしくは同じ市場において別の製品・別の技術・別の手法でやっていくのかという形で発想を広げていくのが良いと言われました。

また、起業する場合で言えば、今まで仕事として経験してきたことを既存事業の軸に置き換えて考えてみると良いとのこと。経験してきたことから、別の市場に行ってみよう、別の製品を扱ってみようと考えても良いし、世の中で面白いと思うビジネスがあれば、それを既存事業の軸に置き換え、自分であればどう広げていくのか、というふうに考えると良いと言われました。

また、石川氏が「アンゾフの成長マトリクス」(※1)の4象限ではなく9象限にこだわる理由や、9象限のマトリクスを使うときに重要なことについて解説。そして、新規事業テーマを着想したところの深め方については国語や算数などの教科を挙げ、具体的にその手順を解説されました。

続いて後半では、組織の中で上手く事業案を推進していくための話や社内創業が上手いく会社の特徴、また社内創業を上手く進めるためのコツなどを話されました。

最後に、社内創業に取り組もうとされている方々へ向けて、企業で社員として働く方々と経営者の方々にそれぞれメッセージをいただき、講演は締めくくられました。

今回お話いただいた内容について、より詳しく知りたい方は、石川氏の著書『Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」をおすすめします。

※1:アンゾフの成長マトリクス・・・・・「戦略的経営の父」とも呼ばれるロシア系アメリカ人の哲学者、イゴール・アンゾフ(1908‐2002)によって提唱された、事業の成長・拡大を図る際に用いられるフレームワークのこと。

参加者2名によるピッチセッション


セミナー後半は、参加者の中から選ばれた2名に方々による「5分間事業PRタイム」です。それぞれの事業内容についてお話いただきましたのでご紹介いたします。

山下 崇 氏 GoGreenGroup株式会社

GoGreenGroup株式会社は、使用済み使い捨てカイロを回収し、中身を加工して水圏環境改善材「GoGreenCube」を製造しています。そして「GoGreenCube」を使ってヘドロで汚れた水環境の浄化や、貧栄養化で磯焼けを起こしている海藻へのミネラルの補給による環境改善をテーマに事業を進めています。

【3つの事業ポイント】

1.ゴミとして捨てられるだけだったカイロを回収してアップサイクル
2.日本全国、1万人以上が参加しているプロジェクト
3.教育機関と協業することで学生の学びにも寄与

2021年から現在まで、日本全国から回収した使い捨てカイロは約120トン。1万人以上が参加しているプロジェクトでは「使い捨て」ということに抵抗があった方が、プロジェクトに参加後は安心してカイロを使えるようになったとの声もあるそうです。

この他にも、応援メッセージや感謝のメッセージをいただくことが多いとのこと。このように、地球環境を守るために何かしたいと考えている方が非常に多いと実感しているそうです。水圏環境や地球環境の改善への取り組みは、一人ひとりの意識の変化が重要だと山下氏は言います。

現在の具体的な活動内容は、大阪の役所の池を地元の小学生の子供たちと一緒に浄化して学びにすることや、釣り堀やゴルフ場の池や寺社仏閣にある池などの浄化を行っているそうです。また、将来的な目的としては、川や湖、海の浄化を行うことだそうですが、そこまでのステップとして、現在さまざまな所で浄化の仕組みづくりをしているとのこと。

この他のテーマとしては、水の浄化に加えて磯焼け対策があります。沖縄や和歌山県で海草の養殖実験を行っており、経過は順調とのこと。現在、沖縄のどこの海に移植するかなど、琉球大学と一緒に調査して進めているそうです。

また、大阪桃山学院の学生の皆さんとの「桃山GoGreenプロジェクト」では世界遺産の古墳群の浄化を行い、姫路工業高校の学生の皆さんとの「ホタルを呼ぶプロジェクト」では姫路城のお堀にホタルを呼ぶことを目標に、それぞれ活動されています。

今後の展望は大阪湾の浄化とのこと。まずは大阪湾に流れる河川の浄化から始めようとさまざまな取り組みをしているそうです。

最後に、参加者の皆さんに向けて浄化して欲しいところがあれば、ぜひお声がけくださいとお話されました。

高橋駿斗 氏 EnoGG株式会社

EnoGG株式会社は、お客様の「想い」を目に見える形のビジュアルで共有伝達を促すサービスを展開。言葉の捉え方によって、目的と目標が変わってしまいがちなお客様の「想い」を、目に見える形に具現化しています。

【3つの事業ポイント】

1.企業理念や想いを言語ではなく、ビジュアル化し、共通認識させられる。
2.選定した全国美大芸大の卒業生で「高い画力」「高品質」「高い創造性」を提供。
3.日本全国に技法や画材等の専門知識を元にお客様にあった商業アートを提供。

現在、EnoGGでは20名ほどのアーティストが所属しており、全国どこへでも出張してサービスを提供しています。

サービスの具体例としては、山形駅のコアワーキングスペースに、企業理念のビジュアル化としての壁画アートの制作です。また、ヘアサロンの新店舗を構えるにあたり、インテリアや記念品のオーダーアート。その他には、東京神田明神の全国大会規模のイベントの際に、集大成として依頼されたアートプロジェクトでは、6m×1.5mサイズの超巨大な垂れ幕を制作したそうです。さらに今年の9月には、愛犬愛猫家向けのペットアートのリリースを予定しているそうです。

お客様の「想い」を見える化することのメリットについては、次のように紹介されました。法人・店舗の場合は、新入社員に向けて企業の目的や理念をアートとして見える化できたり、無機質なオフィスの壁にPR要素としてアートを飾ったり、付加価値の向上に役立てることができます。

個人の場合は、生活水準の向上だったり、趣味としてこだわりのインテリアだったり、また一生の買い物として黒龍をモチーフとしてオーダーされた方もいるそうです。

全国の美大芸大の卒業生の立場としては、報われない芸術家が多い中で、認知度の向上や収入の増加を見込めます。また大学卒業後も創作活動の継続が可能になり、社会貢献にも繋がるというメリットがあるそうです。

以上、EnoGGでは「想い」や「強み」を文字ではなく、ビジュアルで描き起こすサービスを提供しています。

「創業手帳EXPO」とは?

「創業手帳EXPO」は、これまで創業手帳が取材してきた起業家や専門家をお招きし、ご講演いただくトークイベントです。

参加は完全無料。オンラインで実施しますので、全国どこからでも参加可能です。

セミナー後半には参加者の方々にご登壇いただき、事業についてプレゼンしていただくピッチコンテストもあります。また、参加者同士チャットでコミュニケーションいただけるので、新たなネットワークづくりにも役立つでしょう。

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