中小企業基盤整備機構(中小機構)ってナニ?起業前に知っておきたい4つのサポート

創業手帳

創業期・新規事業開発で活用したい中小企業基盤整備機構(中小機構)の経営支援サービスまとめ

創業期・新規事業開発で活用したい中小企業基盤整備機構(中小機構)の経営支援サービスまとめ

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中小機構は、中小企業を支援するためにつくられた経産省傘下の独立行政法人です。正式名称は「独立行政法人中小企業基盤整備機構」。「中小機構(中小企業基盤整備機構)」は、名前のせいか起業家にとってはなじみのないものになっているようです。企業経営者・起業家に聞いても、実態を知らない場合が多いので、中小企業基盤整備機構の知名度は高くないようです。

しかし、この中小機構(中小企業基盤整備機構)、実は起業家にとってたくさんメリットがあります。中小企業基盤整備機構は、創業支援から事業再生、人材育成、販路開拓など、ベンチャーや中小企業の成長段階に合わせた経営支援サービスをたくさん提供しているためです。

今回はたくさんある中小機構(中小企業基盤整備機構)の支援サービスの中でも、特に起業に際して活用したい起業支援サービスについてまとめました。

創業手帳の冊子版(無料)では、中小機構(中小企業基盤整備機構)を含むあらゆる機関の創業支援についても詳しく解説しています。この記事と併せて参考にしてみてください。

中小企業基盤整備機構とは

中小企業基盤整備機構は、独立行政法人として日本の中小企業の経営を支援するために、2004年に設立されました。全国358万社の中小企業を支援することを目標に、全国に地域本部や中小企業大学を9か所設置しています。また、29か所のインキュベーション施設も設けています。中小企業基盤整備機構は、こうした施設を通じて中小企業や起業家と接点を持ちながら、適切な支援を実現しようとしています。

中小企業基盤整備機構の主な事業は次の通りです。

<創業・新規事業開発関連>
  • インキュベーション事業:国内最大級の全国29か所に、活動拠点として利用可能なビジネス環境施設を提供しています。ニーズに合った事業スペースを提供する「ハード」と、常駐の専門家が成長と事業をサポートする「ソフト」の両面から応援します。
  • TIP*S:学びアイディアを磨くための東京駅前ビジネス創発拠点で、年間約200回の対話型イベント・ワークショップ・講座を開催しています。
  • BusiNest:起業を目指す、創業期のビジネス拠点として、創業のアドバイスを受けられ、安くビジネススペースを借りられます。
  • 地域資源活用・農商工連携・新連携:異業種の中小企業が連携し新ビジネスをする際のサポートを行います。
  • Japan Venture Awards:志ある創業・ベンチャー企業の経営者を表彰するイベントで、創業意欲の促進をはかります。

<企業経営サポート関連>
  • 販路開拓:ECを活用した販路拡大に取り組む中小企業へ、専門家によるアドバイスのほか展示館・商談会の開催、オンラインマッチング支援などを行います。
  • J-GoodTech/Ringcrossing:J-GoodTechは、ものづくり企業と国内外の企業とを結ぶマッチングサイトです。ニーズに合う法人を検索する機能のほか、登録企業同士の情報交換もできます。Ringcrossingは、伝統技術とバイヤーを結ぶサイトです。地域資源をいかした販路拡大に活用できます。
  • 海外展開:海外展開を検討している企業に向けて商談会や相談会を実施するほか、海外展開セミナーや情報ポータルサイトを通した情報提供なども行っています。

<事業継承・再生>
  • 事業継承:全国展開する支援センターのデータベースを活用した引継ぎに関するサポートを提供します。全国の中小機構に配置した事業承継コーディネーターが取り組みを応援します。加えて経営者・サポート機関向けセミナーや後継者育成を目指した長期研修も行っています。
  • 中心市街地活性化:まちづくりの専門家を派遣して、組織や団体をサポートします。

<その他>
  • 経営相談:各分野の専門家と対面、電話、メールでいつでも無料で相談可能です。
  • 専門家派遣:中小機構に登録する約3,400名の専門家を、経営課題に応じて一定期間派遣し、派遣先企業の基盤強化をサポートします。
  • 中小企業大学:経営者、管理者、経営指導員を対象とした研修メニューを提供しています。
  • 共催制度:小規模企業の経営者や役員、個人事業主が対象の積立式退職金制度で、税制優遇などあらゆるメリットを受けられます。
  • 情報提供/経営講座:経営に必要な情報をテキストや動画などで配信しています。経営課題の解決に役立つポータルサイト「J-Net21」を設置し、タイムリーな情報提供を行います。

より細かな業務内容については、中小企業基盤整備機構のホームページをご覧ください。

次からは、中小企業基盤整備機構の活用が、起業家にとってどのようなメリットになるか見ていきましょう。経営に課題を感じていたり、新たに事業を始めるにあたって不安を感じていたりする場合は、特にメリットを感じられるでしょう。

メリット1.先立つものはやっぱりお金!助成金・補助金が受けられる

独立行政法人 中小企業基盤整備機構 公式HP画像引用元:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 公式HP

中小機構(中小企業基盤整備機構)には、都道府県と一体となり造成したファンド(基金)があります。地域貢献性が高い新事業として採択されれば運用益からの助成をうけることができます。このファンドは、都道府県の役所や地方銀行などが共同出資して組成されており、運用は、中小企業支援組織により実施されています。
具体的には、「地域中小企業応援ファンド」と「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類。地域中小企業応援ファンドは、起業家も助成の対象なので該当する場合は、挑戦するとよいでしょう。

地域中小企業応援ファンド

対象:中小企業者・創業者
地方の名産品や伝統技術の販路開拓や商品開発に係る費用が助成の対象となります。

農商工連携型地域中小企業応援ファンド

対象:中小企業者と農林漁業者の連携体
中小企業者と農林漁業者が有機的に連携する販路開拓や商品開発に係る費用が助成の対象となります。

なお、「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」については、中小企業者等と農林漁業者との連携体を組織する必要がありまするが、どちらも地域の工芸・特産品・観光資源を活用した地域経済の活性化につながる事業であれば、創業から新商品開発、販路開拓等に至るまで、幅広い経費が助成対象となります。

また、このファンドは都道府県単位で造成されており、助成対象や助成額がそれぞれ異なっています。助成金を受けるためには、各都道府県のファンド運営管理者に事業計画等を提出し、審査会で採択される必要がある。まずは中小機構(中小企業基盤整備機構)HPで詳細を確認してみると良いでしょう。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

生産性革命推進事業に係る補助金

「生産性革命推進事業に係る補助金」は、ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金の4種類があります。従来と違ってどの補助金も通年で公募があり、十分準備が整った時点での申請・事業実施ができるようになりました。

ものづくり補助金は革新的なサービス開発や試作品の開発、生産工程の改善に必要な設備支援が目的で、持続化補助金は経営計画に基づく販路拡大の取り組みを支援します。IT導入補助金はIT業務の効率化と新たなITツール導入を支え、事業承継・引継ぎ補助金は引継ぎ後の新しい取り組みや引継ぎ時のサポートが目的です。

資金調達に関する情報をまとめた資金調達手帳(無料)では、中小(中小企業基盤整備機構)機構の助成金以外の資金調達方法についても詳しく解説しています。中小機構(中小企業基盤整備機構)以外にも補助金・助成金制度はありますので、ぜひチェックしてみてください。

さらに、補助金・助成金の必須知識や最新情報を掲載している補助金ガイド(無料)や、自分の条件にあった補助金や助成金の情報が届く補助金AI(無料)もご用意しています。起業の成功率を上げるためにぜひご利用ください。

メリット2.不安解消!無料で経営相談ができる

起業したてのころは、とにかく誰かに相談できることが心強いですよね。中小企業基盤整備機構に相談することでこうした不安を解消できるかもしれません。

E-SOUDAN画像引用元:E-SOUDAN 公式HP

無料経営相談:E-SOUDAN

起業家は、中小機構(中小企業基盤整備機構)の全国の地域本部で、無料で経営相談を受けることができます。資金調達、財務、法律、人事、知的財産権など、幅広い経営課題に対して、経験豊富な専門家が相談に乗ってくれます。

直接窓口への訪問が難しい場合は、メールによる相談(無料)や電話による相談(通話料有料)をすることも可能です。
相談には予約が必要な場合もあるので、詳しくは中小機構(中小企業基盤整備機構)に問い合わせてみると良いでしょう。

また、最近ではAIチャットボットへの問い合わせもできます。主に、資金調達、IT活用、災害対策、コロナ支援策や対策に関する質問に答えています。チャットで解決しない場合は、専門家ともチャットで30分程度相談ができるようになっています。課題解決に活用してみてはいかがでしょうか。

経営相談|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

地方ならでは相談:よろず相談

よろず相談画像引用元:よろず相談 公式HP

また、中小機構(中小企業基盤整備機構)は、独自の相談窓口のほか、国が全国に設置している「よろず支援拠点」と連携して、経営相談を受け付けています。遠方などの理由で中小機構の相談窓口に行くのが難しい場合は、「よろず支援拠点」に足を運ぶこともできます。

よろず支援拠点全国本部|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

ワンストップ相談窓口:Plus One

政府系9機関が創設した「 ワンストップ相談窓口”Plus One” 」は、それぞれ独自で行ってきた取り組みを他機関の支援メニューと連携し、サポートの幅を広げる目的があります。中小機構だけでなく、国立研究開発法人日本医療研究開発機構などの支援内容も同時に公式サイトで検索できるので、必要なサポートが見つかります。

創業手帳の冊子版では、金融機関が実施している創業支援についてわかりやすくまとめています。それぞれ特徴的な支援を展開しているので、中小機構の支援と比較し、ご自身に合う支援をみつけてください。

メリット3.新事業に挑戦しよう!新事業創出をトータルにサポートしてくれる

中小機構(中小企業基盤整備機構)は、新たな事業に果敢に挑戦する中小企業のサポートも行っています。市場調査、商品企画、事業性評価など、専門家による事業計画のブラッシュアップや、販路開拓のフォローなど、事業化に向けた支援を受けることができます。

地域の特産物や観光資源を活かしたい!~地域資源活用~

全国各地には、地元ならではの強みとなり得る農林水産物、鉱工業品、観光資源があります。中小機構(中小企業基盤整備機構)は、各都道府県が指定する地域資源を活用し、新規性があり地域外でも売れそうな新商品や新サービスを開発しようとする中小企業を支援しています。

地域資源活用|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

農林漁業者と商工業者で組みたい!~農商工等連携~

農林漁産業者と中小企業者が連携すれば、それぞれの経営資源を有効活用することができる場合があります。中小機構(中小企業基盤整備機構)は、農林水産分野でも、連携して新商品・新サービスを共同開発する取り組みを支援しています。

農商工等連携|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

異分野の中小企業者や大学・研究機関と組みたい!~新連携~

事業分野を異にする複数の中小企業者が連携し、各自が強みとする技術やアイデアを持ち寄れば、新商品・新サービスを創りだすことも容易になる。中小機構(中小企業基盤整備機構)では、このような取り組みを「新連携」として強力にバックアップしています。

新連携|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

メリット4.起業の場を確保する!インキュベーション施設が活用できる

TIP*S
画像引用元:TIP*S 公式HP

事業の拠点となるインキュベーション施設

中小機構(中小企業基盤整備機構)は、起業や新たな事業展開を図る個人事業者、中小・ベンチャー企業等のためのインキュベーション施設を運営しています。施設には、企業支援の専門家が常駐しており、入居者は、居室の利用だけでなく、自らが抱える課題の解決や要望について、専門家から様々な支援を受けることができます。

中小企業基盤整備機構のインキュベーション施設は、全国にあるのですが、まだ満室となっているところは少ないので積極的に活用すると良いでしょう。ただし、金融機関によってはこういうシェアオフィスだと融資を受けられない可能性もあるので注意が必要です。

中小機構(中小企業基盤整備機構)につながりがある金融機関があるはずなので、紹介してくれる可能性が考えられます。融資を検討する際には一度聞いてみるとよいかもしれません。

インキュベーション | 中小機構

東京で起業家の出会いを創出:TIP*S

中小機構(中小企業基盤整備機構)の支援は「企業スペースを貸し出す」だけではありません。中小機構(中小企業基盤整備機構)が、2014年10月に、東京駅至近に誕生させた共有スペース「TIP*S(ティップス)」
ここでは、各種起業イベントやワークショップが開催されています。全国の起業家や中小企業経営者のための新しい出会いと創生の場になっています。

TIP*S

女性・シニア向けの大型シェアオフィス:BusiNest

さらに、今年2015年4月には中小企業の新事業展開を支援する拠点「BusiNest(ビジネスト)」を多摩地区に開設。創業したい女性、シニア層や企業間での交流・連携を検討している方に向けた大型シェアオフィスとなっています。中には創業図書コーナーもある図書館もあり、専門家アドバイスも受けれるという新事業へのチャレンジにうってつけの場ですね。

BusiNest

中小機構支援の活用事例

中小機構が実際に支援を行った事例を2つ紹介します。実際の支援例を見ると、自社が支援を受けた場合のイメージがわきやすくなるでしょう。

【事例①】中期契約戦略の策定支援で活用したケース

全国展開する高品質・高付加価値の特殊鋳物製造の企業が、売上減少傾向にあり、状況を打開するために中小機構の専門家支援を活用しました。全社的な課題整理を行う必要があったため、中期契約戦略の策定支援を受けた結果、現在の製造部門をさらに強化する必要性が見え、製造現場の支援へ移りました。

現場では専門家が管理者となりサポートを行った結果、原価管理と生産現場の力の強化を達成し、強みをいかした経営戦略の再構築を達成しました。

【事例②】創業支援の体制づくりに活用したケース

人口減少と事業数減少の状況打開のため、地元金融機関が創業支援のもとに結束し、支援機関のトップ同士が迅速な意思決定を行いました。これにより利用者が支援機関をいくつも渡り歩く手間をかけず、創業について気軽に相談できる体制が整いました。

立ち寄りやすい駅前に創業サロンをつくり、ワンストップでの支援が可能になったことで、創業の第一歩を踏み出しやすくなりました。その結果、ネットワーク全体の対応の意思決定やスピードアップになり、具体的な活動を行って連携支援モデルができ、地域での創業のきっかけづくりにつながっています。

創業手帳の冊子版では、創業期のオフィスの選び方についてわかりやすくまとめています。インキュベーション施設と比較することで、最適なオフィス選びに役立つでしょう。

創業手帳冊子版は毎月アップデートしており、起業家や経営者の方に今知っておいてほしい最新の情報をお届けしています。無料でお取り寄せ可能となっています。

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