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2023年3月14日株式会社nanoni 張聖|企業の女性活躍を推進するフェムテック事業を運営する注目の企業
企業の女性活躍を推進するクラウドサービス「carefull」事業。それを運営するのが、張聖さんが2020年5月に創業した株式会社nanoniです。
2015年8月に女性活躍推進法が制定され、女性が活躍できる職場環境の整備が進みつつあります。コロナ禍による新しい働き方の潮流ができたことも追い風になっているのかもしれません。
しかし世界目線で見てみると、日本における女性の社会進出は依然遅れています。WEFが2021年に発表した「ジェンダーギャップ指数」によると、世界 156 か国中120 位(前年は153か国中121 位)、主要先進7か国(G7)では最下位という結果です。
女性が企業内で活躍するための環境整備を進めることは、企業のイメージアップだけでなく、優秀な人材確保、事業の推進や社内の活性化、国際競争力の向上にもつながります。
そのためには、まず社内で女性のキャリアを妨げるライフイベント(妊活、育児、更年期、介護)への理解浸透を深めることが必要です。
社員それぞれがライフイベントへの共通認識を持ち、必要な対応を当たり前のように行えるるようになれば、女性の可能性はより大きく広がっていくと考えられます。
そんな中、国内初のフェムテックに特化した福利厚生プラットフォームを作り、企業における女性活躍を推進しようと奮闘しているある起業家の取り組みに注目が集まっています。
株式会社nanoniの張聖さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
「carefull」は、国内初のフェムテックに特化した福利厚生プラットフォームで、企業の女性活躍推進を支援します。フェムテック(feminine + technology)とは、テクノロジーの力で女性特有の課題を解決する製品やサービスを指す言葉で、海外では既にビジネスのスタンダードとなりつつある分野です。
プロダクトの主な機能は、①セミナー、②匿名コミュニティ、③福利厚生、の3つ。
①セミナーでは、組織全体の風土改善と性別を問わないリテラシー向上を目指し、男女ともにリテラシー向上を目指させたいダイバーシティ推進にまつわるeラーニングなどを実施します。②匿名コミュニティでは、従業員が、健康・キャリア・会社の制度など実名では難しい相談をすることが可能です。さらに③福利厚生として、提携先のフェムテック企業の割引特典をご提供します。
企業が女性の健康課題や男性育休といったライフイベントに起因する課題をサポートし、キャリアとの両立を実現できるよう支援します。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
昨今の日本の法改正や世論の高まりを受け、女性活躍推進は企業にとって解決が必須の問題となりました。女性の就業者数は、すでに就業者全体の44.5%を突破しています(総務省、2021年)。人手不足が叫ばれる中、企業が女性特有の健康課題に向き合う必要性は増すばかりです。
しかし日本では、まだまだ女性活躍のための企業の取り組みが少ないとされています。「carefull」は、こういった状況の中、「やるべきだと思いながらどこから手をつけたらいいか分からない」と考えている企業様に利用していただきたいと考えています。
さらに、米国では、すでに大企業の47%が体外受精治療を、15%が卵子凍結の補助を福利厚生として導入しています(Carrot調べ)。国内企業におけるライフイベントにまつわる社内サポートが進まないと、優秀な女性が外資系企業に就職し日本の国際的な競争力低下につながることも考えられます。このような現状をより多くの企業様に知っていただくきっかけとしても、気軽に利用していただきたいです。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
日本の企業では、生理や更年期、性教育などの健康課題について、オープンに話すことが長年タブーとされてきました。こうしたタブー意識は、女性従業員に婦人疾患や妊娠・出産に関する福利厚生を使うハードルを感じさせ、産後の職場復帰への不安を与えます。
「carefull」は、こうした従業員の意識を変えることができる包括的なtoBサービスです。従業員の働きやすさを確保するだけでなく、企業が優秀な人材や労働力を確保することを助け、経営面に大きなメリットを与えます。
さらに、「carefull」はDEIの促進とフェムテック市場そのものの拡大も目指しています。フェムテックが、現代女性のライフイベントの計画設計を守る武器となり、性別や個性に関わらず誰もが輝ける社会になることを目指します。
・創業期に大変だったことは何でしょうか?またどうやって乗り越えましたか?
フェムテックが新しい市場だったため、導入メリットが見えづらい中でサービスを使っていただける初期の企業様を探すのに苦労しました。実現したい世界観を伝えていくことで徐々共感してくださる企業様が増え、その壁を乗り越えることができました。今では、初期から利用いただいている企業様の活用事例をメディアさんに取り上げていただく機会も増えました。本領域におけるリーディングカンパニーを支援させていただいていることをとても誇りに思っています。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
自社だけでなく、フェムテック市場全体の拡大に寄与できるサービスにしていきたいです。現在の目標は、市場に先駆けてフェムテックを導入した企業群の属性や、その導入理由をデータ化すること。そして、そのデータを自社だけでなく、すべてのフェムテック企業が営利目的で活用できるように公開することです。
この想いが評価され、「carefull」は令和4度の経産省が実施するフェムテック実証事業に採択され、「フェムテックの利用動向調査」を実施しています。実証期間中、450社以上の企業と情報交換を進めながら、企業のフェムテック導入が進まない理由を独自に分析してきました。その中で、企業の経営課題と女性の健康課題がひも付きづらく、企業の中で優先度が上がらないことが原因であると見えてきました。
例えば、「月経や妊活、更年期などライフイベントに起因した女性の健康課題は経営・人事上の課題に挙がっていますか?」という問いに対して「はい」と回答したのは、全体の約3分の1にとどまり、経営・人事上の課題に上がっていない企業が6割を超えることが分かりました。
また、女性の健康課題を認識している企業のうち、具体的な検討まで至らないと回答した企業は22.4%となりました。その理由で最も多かった回答は「何から手を付ければいいか全体像が描けていない」となりました。
フェムテックを普及するためには、企業にとって「女性の健康課題解決」を単発の福利厚生的な企画としてとらえるのではなく、経営課題の解決策の一つとして認知してもらうことが必要だと考えています。例えば就職活動を控える学生たちの間では、企業選びの際に女性の健康課題の支援制度をチェックしたいという声が多くあります。新卒採用市場において、フェムテック導入が有利に働く可能性があると言えます。
このように nanoniとしはて引き続き「経営課題解決のためのフェムテック」を追求し、情報を自社でなく他のフェムテックプレイヤーの営業活動にも役立つ形で公表し、営業のヒントとしてもらうことを考えています。
・今の課題はなんですか?
まず、60%以上もの企業が「女性の健康課題」を経営上の課題だと認識をしていないことがあげられます。(経済産業省実証事業 フェムテック利用動向調査2022 調べ)「健康経営銘柄」「なでしこ銘柄」として国から認定を受けている企業、健康に配慮すると宣言している企業でも、現場レベルでは対策や課題意識が浸透していません。
さらに、「女性の離職率・職場復帰」「女性社員比率」を優先度が高い課題としながら、その根本的な原因である「女性の健康課題」への意識が低い企業も少なくありません。経営の根幹となる課題を特定し、人事戦略のグランドデザインを立てられるプレイヤーとして、こうしたマーケットの課題を解決していきたいと考えています。
また、そもそも「フェムテック」という概念すら知らない企業が多いことも大きな課題です(経済産業省実証事業 フェムテック利用動向調査2022 調べ)。しかし、こうした大きな市場変革は、一企業のPR活動で行うには限界があります。フェムテックという概念を一般化させるためには、今後自社だけでなく、国や行政と協力して事業を進めていくことが必要だと考えています。
・読者にメッセージをお願いします。
すべての人に、仕事とライフイベントの両立を。
20代の頃に婦人科疾患が見つかった際、もっと早くに知っておきたかった知識がたくさんありました。「必要な知識とサービスへのアクセスをよくしたい」、そんな想いが創業のきっかけです。働く女性が望んだライフイベントと仕事の両立を実現していくために、早期からライフデザインできる環境を、そして安心して働ける職場環境を是非一緒に作っていきましょう!
会社名 | 株式会社nanoni |
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代表者名 | 張聖(ちょう せい) |
創業年 | 2020年5月 |
事業内容 | 福利厚生プラットフォーム「carefull」の開発・運営 |
サービス名 | 女性活躍推進クラウド「carefull」 |
所在地 | 107-0062 東京都港区南青山 |
代表者プロフィール | 1990年、中国生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。Google Japan 広告営業部にてカスタマーサクセスや SNS・ウェビナーのローンチを担当。発案した企画は APAC 全体で展開され世界で上位5%の評価を得る。その後、部門初の女性社員として顧客開発部に移り、新規営業を担当。部のダイバーシティー推進に貢献した。世界最大級の起業家支援NPO Endeavor の日本支部立ち上げを経て、2020年、株式会社nanoni 創業。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | carefull nanoni ダイバーシティ フェムテック 健康経営 女性 女性活躍推進 張聖 福利厚生 |
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