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2025年5月1日作物残渣を原料とした超吸水性ポリマーを手がける「EF Polymer」が10億円調達

2025年4月16日、EF Polymer株式会社は、総額10億円の資金調達を発表しました。
EF Polymerは、100%オーガニックの超吸水性ポリマーの開発を行っています。
このポリマーは、オレンジの皮などの果物の不可食部分を原料としており、100%オーガニック、生分解性を特徴としています。
2020年にインドで農業用資材「EFポリマー」の販売を開始し、その後、日本、アメリカ、フランスなどに市場を拡大しています。2025年時点で、累計約400トンの販売を達成しています。
非農業分野では、化粧品や、日用品向け増粘剤、岩谷産業と共同開発した生分解性保冷剤「Cy-Cool」、綜研化学と共同開発した吸水シートなどを展開しています。
今回調達した資金は、研究開発の加速、組織体制の強化、国内外での事業拡大、海外製造拠点の設立の活用します。
吸水性ポリマーは、自重の数百倍から数千倍もの水分を吸収・保持できるよう設計された高分子素材です。
この特性を活かして、紙おむつや生理用ナプキンなどの衛生用品をはじめ、保冷剤、芳香剤、携帯トイレ、化粧品など、幅広い製品に利用されています。吸水性ポリマーとして広く使われているのがポリアクリル酸ナトリウムで、これは二酸化炭素、水、ナトリウムなどに分解される素材であり、安全性が高いことから乳幼児向け製品にも使用されています。
一方で、吸水性ポリマーは土壌の保水材として農園芸分野でも利用されることがありますが、ナトリウム成分を含むため、過剰に使用すると塩害を引き起こすおそれがあります。また、植物の発芽や根の成長を妨げたり、肥料成分と反応して吸水能力が低下するなどの課題もあり、これまで農業用途では限定的な活用にとどまってきました。
加えて、一般的な吸水性ポリマーは石油を原料とする非生分解性の素材であり、環境への配慮から、生分解性を備えた代替素材の開発が求められています。
こうした課題に対応するかたちで、EF Polymerは作物残渣を原料とした生分解性の吸水性ポリマーを開発・提供しています。同社の製品は、吸水性ポリマーの環境負荷を軽減するとともに、従来のポリマーでは適用が難しかった分野への利用拡大にも貢献しています。
EF Polymer株式会社のコメント
このニュースを受けまして、EF Polymer株式会社よりコメントが届きました。
EF Polymer株式会社 代表取締役
インド ラジャスターン州出身。インドの農業大学卒業(農業工学専攻)。高校生時代に農家である父親が水不足に悩む姿を見て、技術のコンセプトを考案。大学在学中で20歳の時に起業。2019年に沖縄科学技術大学院大学(OIST)のアクセラレーターへの採択をきっかけに来日し、その後沖縄本社を設立。”Nature has a solution for every problem”という考えのもと、自然の力を最大限に生かしたソリューションの開発に取り組む。
EF Polymer株式会社はインド生まれ沖縄育ちのディープテック・スタートアップです。オレンジやバナナの皮などの残渣をアップサイクルし、完全有機の超吸水性ポリマー「EFポリマー」を農業資材として製造・販売しています。また、日用品や化粧品の原材料として応用を進め、企業のグリーントランスフォーメーション(GX)に貢献します。当社技術の普及を通して、水不足を中心とした環境問題の解決を目指します。
・今回の資金調達の目的は何ですか?
今回、調達を行った資金は主に「研究開発の強化(製品開発・改良、ポリマー原材料の多様化)」や「国内外での事業開発の体制強化」、「海外製造プラントの建設に向けた検証」といった内容を目的としております。
・今後の展望を教えてください。
今後、当社はインド・日本・米国・フランスなどの注力国を中心に農業向けのEFポリマーの普及を図ります。そのほか、中南米やアフリカ諸国など干ばつの影響が深刻な地域を中心にEFポリマーを展開することで水不足に悩む生産者の支援を続けます。また、環境負荷軽減が求められる、化粧品・日用品向けにもオーガニックポリマーを展開し、新たな分野での事業展開を拡大します。
・読者へのメッセージをお願いします。
EFポリマーは自然の力を最大限に生かしたサステナブルな製品を世の中に届けています。当社はビジョンに共感いただける協業パートナーや投資家の方を探しています。
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