創業手帳が選ぶ起業経営ニュース
2022年8月30日ナノファイバーQED(量子電気力学)共振器による量子コンピューターの実現を目指す「Nanofiber Quantum Technologies」が2億円調達

2022年8月29日、早稲田大学ベンチャーズ株式会社は、株式会社Nanofiber Quantum Technologiesに2億円の投資を行ったことを発表しました。
Nanofiber Quantum Technologiesは、早稲田大学理工学術院の青木隆朗教授が発明したナノファイバーQED(量子電気力学)共振器を基盤技術とした、量子コンピューター・ハードウェアを開発しています。
ナノファイバー共振器QED方式を用いることで、単一ユニットで1万量子ビット程度を実現し、多数ユニットを接続してネットワーク化することでさらなる大規模化も可能とします。
—
量子コンピューターには、組み合わせ最適化問題の計算に特化した量子アニーリング方式と、汎用的な量子ゲート方式という2つのメジャーな方式があります。
量子アニーリング方式はすでに実用化・商用化が進んでいますが、汎用的な量子ゲート方式はまだ研究段階にあり、実用化は2030年以降になるといわれています。
従来のコンピューターは2進法の0か1のどちらか一方で情報を表現します。この最小単位をビットといいます。
量子コンピューターは、量子の「重ね合わせ」「もつれ」といった性質を利用したコンピューターです。
量子コンピューターの情報の最小単位は量子ビットといい、1量子ビットは0と1を同時に表すことができます。
これによって量子ビットが表すことができる情報の量は指数関数的に増加し、従来のコンピューターではなし得ない規模の計算を実現します。
たとえば、量子コンピューターの研究開発を行うGoogleは、スーパーコンピューターで約1万年かかる計算をたった200秒で計算したと発表しています。
一方で、量子ビットを実現する方式には研究が進んでいるものとして「超伝導回路方式」「イオントラップ方式」「光方式」がありますが、これらは現状では数十量子ビットから100量子ビット程度となっています。
また、「超伝導回路方式」「光方式」は量子ビットが不安定・消失するという課題を抱えており、「イオントラップ方式」は量子ビットの状態は安定しているもののスケールアップが難しいという課題を抱えています。
Nanofiber Quantum Technologiesのナノファイバー共振器QED方式は、こうした既存の方式の課題を克服した方式であり、単一のユニットで1万量子ビットを実現できるという大きな特徴を有しています。
低損失性・拡張性を備えているため、新たな量子コンピューターの方式として実装を目指し、Nanofiber Quantum Technologiesは研究開発を行っています。
最先端技術の開発には潤沢な資金が必要となります。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を掲載しています。
カテゴリ | 有望企業 |
---|---|
関連タグ | Nanofiber Quantum Technologies ナノファイバーQED共振器 ナノファイバー共振器QED方式 ハードウェア 早稲田大学 株式会社 量子コンピューター 量子力学 量子電気力学 |
有望企業の創業手帳ニュース
関連するタグのニュース
2019年7月8日、株式会社primeNumberは、総額約1億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 SaaS型のビッグデータ分析基盤向けデータ統合自動化サービス「trocco(トロ…
2023年4月6日、リンクウィズ株式会社は、3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 リンクウィズは、産業用ロボットのティーチングプログラム補正ソリューション「L-ROBOT」、インライ…
2022年1月26日、株式会社LATRICOは、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 オンライン医薬品ECプラットフォーム「東京美肌堂クリニック」を提供しています。 LINEを活用した…
2021年12月24日、Siiibo証券株式会社は、総額約5億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 社債の発行・購入が可能なオンラインプラットフォーム「Siiibo」を運営しています…
2022年1月28日、ノイン株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 化粧品ECプラットフォーム「NOIN」を運営しています。 メイクアップ術やメイクの悩みを解決する記事などのコンテンツの発…
大久保の視点
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…