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「インテリジェント・サーフェス」が「栃木精工」と資本提携

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2022年6月29日、インテリジェント・サーフェス株式会社は、栃木精工株式会社と、資本提携を実施したことを発表しました。

インテリジェント・サーフェスは、生体親和性材料「MPCポリマー(MPCoat)」を開発・保有する、東工大発・東京大学発ベンチャーです。

MPCポリマーは、ヒトの生体膜を組成するリン脂質と同様の成分を含んだ材料で、MPCポリマーで物質をコーティングすることで生体反応を軽減できます。

これにより、たとえば、体内埋め込み型医療機器をMPCポリマーでコーティングすることで、生体反応の起きにくい医療機器の開発が可能となります。

MPCポリマーは生体親和性のほかに、タンパク質非吸着性、血液適合性、超親水性、防曇性、潤滑性、セルフクリーニング機能などユニークな特性を物質に付加できます。

インテリジェント・サーフェスは、さまざまな材料に付与するため、このMPCポリマーを適切な構造にカスタマイズして合成する技術を有しています。

また、独自の前処理方法やコーティング技術の開発にも成功しています。

栃木精工は、国内シェア約5割を誇る歯科用麻酔針をはじめとする注射針や、カテーテルや医療用コネクタなどの製品群の製造、精密パイプの加工、磁気センサーシールド(パーマロイ)の製造などを展開しています。

栃木精工とは以前から注射針への「MPCポリマー」のコーティングで業務連携していましたが、栃木精工が有するカテーテルや医療用アダプタなどさまざまな「管(くだ)」の内外面にコーティングすることで、より高付加価値なプロダクト開発の可能性を見出し、今回の資本提携に至っています。

今回の資金は、MPCポリマーを化学結合により強固にコーティングするための前処理をさまざまな素材・径のチューブ内外面に施す手法の開発、潤滑性を向上させる「MPCポリマー」開発に充当する予定です。

さまざまな人工材料が人工臓器や人工組織の部材として利用され、体内に埋め込まれたり血液と接する状態で使用されています。

しかし人工材料は生体にとって異物であるため生体が自己防衛してしまうことが課題となっていました。

たとえば、人工材料が血液と接した場合には血栓が作られることがわかっています。人工材料の表面に血栓が作られてしまうと、その材料の本来の機能が発揮できなくなってしまいます。

この状況を大きく改善したのがMPCポリマー(リン脂質極性基を有するポリマー)です。

MPCポリマーは、東京医科歯科大学の中林宣男教授らによって1978年にはじめて合成された新材料です。しかし合成そのものが困難であり、日本油脂によって工業生産が開始されたのは1999年のことです。

それからMPCポリマーはコンタクトレンズや人工肺などさまざまな材料のコーティングで利用されてきました。

国内においては生体埋込み型の医療機器を実現するための研究が進められ、2011年に埋込み型人工心臓の表面処理剤として製造承認を得ています。

インテリジェント・サーフェスは、このMPCポリマーの合成において独自の技術を保有しており、これを活用して内視鏡レンズコーティング剤などを量産販売しています。

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