出資や融資を検討中のベンチャー企業必見!大企業・金融機関担当者の攻略法とは【元金さん連載その1】

創業手帳

『メガバンク出身、事業会社CVC担当の元金さんが語る、ベンチャー企業の大企業・金融機関との付き合い方』

金融機関の担当者
「ベンチャー企業にはヒト・モノ・カネが不足している一方で、大企業や金融機関にはそれらが潤沢に存在します。」

と語るのは元メガバンク、コンサルティングファームを経て、現在は某東証1部上場企業のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の担当として日々ベンチャー企業の方々と対峙されている元金さん。

元金さん曰く、「うまく大企業や金融機関と付き合って、彼らの持っている資源を有効活用してもらいたい!」と言います。

元金さんの経験から、ベンチャー企業の方々がどう大企業や金融機関と上手にお付き合いをしていけばいいのか、本音で語って頂くこの連載企画。

第1回目は、「担当者」にスポットをあてて本音を語って頂きます。

元金さん
メガバンク、コンサルティングファームを経て、現在は事業会社のCVC投資担当。
ハッキリもの言う性格で、銀行員時代は上司から煙たがられていたものの、お客さんからは頼りにされていた(と思っている)。
現在は、「元金さんって、元銀行員っぽくないですよね!」と言われると、ちょっと嬉しくなる。
ベンチャー企業と大企業との橋渡しがライフワーク。

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ベンチャー企業が大企業や金融機関と親密に連携することのメリット

大企業はヒト・モノ・カネをふんだんに持っています。

そして金融機関は言わずもがな、カネを貸すほど(笑)持っています(厳密にいうと、インターバンクで調達していたり、預金者から預かったものですが、「貸す」ことのできるお金を潤沢に持っています)。

そして、ヒト・モノ・カネに加えて、彼らの最大の強みは強固なネットワークです。

大企業の中でも財閥系の企業ともなれば、その長い業歴の中で培われた商売のタネとなるネットワークを有り余るほど持っています。

中堅レベルの大企業であっても、商流の中で培われた人的、物的ネットワークは非常に魅力的です。

一方で、ベンチャー企業

慢性的に人手不足で、資産などまったくなく、資金繰りもパツパツです。

大企業担当者が余裕な顔をしているのとは180°うって変わって、ベンチャー企業経営者は常に必死です。

そんな「持つ者」と「持たざる者」といった関係ともいえる、大企業・金融機関とベンチャー企業ですので、ベンチャー企業にとっては上手く大企業や金融機関と付き合うことで、いろいろな意味でメリットを享受できるということは言うまでもありません。

大企業や金融機関が持つ商売のネットワークを紹介してもらったり、販路や人材の紹介をしてもらったり。

また、資金調達の際はエクイティ(※1)として出資してもらったり、デット(※2)として借り入れさせてもらったり。

はっきり言って、ベンチャー企業にとって、大企業や金融機関は「使い倒す」べき存在なのです。

そんなメリットしかない大企業や金融機関を使い倒せていない状況って、もったいないと思います。

※1 エクイティ…株主資本のこと
※2 デット…負債のこと

大企業・金融機関の担当者は「サラリーマン」

そんな大企業や金融機関ですが、ベンチャー企業と比較してみると、あたかも巨象とアリンコみたいな感じかもしれません。

かたや年商数千億や数兆円といった大企業に対し、創業間もないベンチャーの年商は、その数千分の一や数万分の一だったりで、近づくことさえ気おくれしてしまう威圧感があります。

大企業や金融機関の担当者として気高い威厳を持って名刺交換してくる相手も、一見巨象を意のままに操る象使いのように見えてしまうかもしれません。

ただよく考えてみてください。

象使いのような気高い威厳を持っているかのように見える担当者ですが、彼らはサラリーマンに過ぎません。

はっきり言って、大企業や金融機関のカンバンを降ろしてしまえば、普通のオジサンやオバサン、お兄さん、お姉さんです。

正直何も偉くはありません。

一方で、組織に安住することを選ばずに自身でリスクを背負い、そして大きな意思と意義のもとに事業展開しようとしているベンチャー企業経営者の方が、サラリーマンに比べて数倍、数十倍アグレッシブですし、敬意を表される立場だと思います。

また、どんな高給取りのサラリーマンでも限界がありますので、サラリーマンが稼ぐ生涯年収を、成功するベンチャー企業経営者は一日で稼いでしまうことも場合によっては可能です。

私が言いたいのは、どっちが偉いとか、どっちが凄いとかということではありません。

ベンチャー企業経営者に、大企業や金融機関の担当者にタイマン張れといっているわけでもありません。

要は、「使い倒す」べき大企業や金融機関のフロントとなる担当者が、サラリーマンという、自分たちベンチャー企業経営者とは全く違った思考回路を持っている集団だということを認識してほしいということです。

「サラリーマン気質」を理解しないと大企業・金融機関とはお付き合いできない=出資や融資が見込めない

ベンチャー企業経営者の経歴も様々で、それこそ大企業や金融機関勤務を経験して独立起業した人もいれば、学生起業した人もいます。

大手企業出身者の方は、ちょっと忘れていた感覚を呼び戻していただきたいということと、学生起業や大企業未経験者の方には、「そんな世界なんだ」と改めて認識をしていただきたいと思います。

サラリーマンには独自の「サラリーマン気質」というものが存在します。

昨今は生涯雇用や年功序列の廃止などの風潮や、どんな大企業であっても倒産の憂き目に遭うことも多いです。

また、金融機関であっても金融危機やリーマンショックを経験し、絶対に潰れないと思っていた神話が脆くも崩れ去る姿を目の当たりにしてきました。

なので、昭和の時代のようなサラリーマン気質とは少々様相が変わってきているとは思います。

ただ、依然大企業や金融機関には妄信的ともいえる安定への信仰が深く根付いています。

私自身、とあるメガバンクでリーマンショックなどを経験しましたが、自分が属しているメガバンクが潰れることなど微塵も心配したことはありませんでした。

したがって、そういった信仰が根差した企業文化においては、明日のゴハンが食えなくなるといった生物的な心配はありませんので、どうやって出世レースを勝ち残ろうか?とか、上司の覚えがメデタクなるにはどうしたらよいか?ミスしないで安全に現在の役職を全うしようといった、独自の思考様式が根付いているものです。

ベンチャー企業経営者が自社の成長とステークホルダーへの好影響を考えて事業推進に邁進している姿とは全く異なります。

かくいう私も、メガバンク在籍中のもっとも関心が高かったことといえば人事異動で、異動の季節に発表される異動通知を片っ端から読み漁り、「あっ!〇〇支店の時の▲▲課長、支店長に栄転した!」とか(発見直後に「ご栄転おめでとうございます!」と電話するのがメガバンク行員の流儀)、「やっぱ××課長代理は仕事できなかったから、関連会社に出向させられちゃった!」といったことを丸1日かけて楽しんでいました(明らかに栄転でなくても、「ご栄転おめでとうございます!」とお伝えするのもメガバンク行員の流儀)。

他人の不幸は蜜の味…。そんな陰険な文化があったりするのがメガバンクです(メガバンク行員みなさんがそのようではなく、私の周りの人々がそうであっただけなので、あくまでも主観だと信じています)。

大企業や金融機関の担当者がサラリーマン気質をガッツリもったサラリーマンだということがお分かりいただけましたでしょうか?

「他人の不幸を喜んでいる人なんかと付き合いたくない!」と思われる方もいるかもしれませんが、ご説明のとおり、サラリーマンがフロントに出てくるとはいえ、大企業や金融機関が持っているパワーは底知れないものがあります。

先ほど、大企業や金融機関は「使い倒す」べきものとご説明しました。

したがって、そんな大企業や金融機関のフロントに立つサラリーマンも上手くコミュニケーションをとって「使い倒す」べきだと思っています。

まとめ

ベンチャー企業経営者にはヒトもモノもカネも、すべて不足しています。

ただ、自分自身が信じたビジネスモデルで世の中を変えてゆこうという熱意があります。

その熱意を実現させるため、大企業や金融機関といった「巨象」の力を十二分に「使い倒す」必要があります。

そのためには、相手の特徴や出方を考えて対峙しなくてはなりません。

大企業や金融機関の担当者は「サラリーマン」であり、サラリーマン気質の担当者と上手くコミュニケーションをとってその力を引き出す。

次回以降、大企業や金融機関とのお付き合いの仕方、いわば「お作法」についてお話してゆきたいと思います。

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