コロナ禍でも業績好調なベンチャー企業!その理由や注目すべきベンチャー企業を紹介

創業手帳

コロナ禍でも成長しているベンチャー企業について、業績UPのポイントや具体例を紹介します。


新型コロナウイルス蔓延により、様々な企業が打撃を受け業績を落としていますが、一方で、コロナ禍でも独自の事業展開により、業績を伸ばしているベンチャー企業が存在します。
その背景には、コロナ禍ならではの社会情勢の変化などがあり、ベンチャー企業にとっては逆に追い風になっていると考えられます。

今回は、コロナ禍にあって業績好調なベンチャー企業に注目して紹介しましょう。

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コロナ禍での業績UPのポイントは業務のデジタル化


コロナ禍で、リモートワークの割合が増加したことにより、業務のデジタル化を図る事業が注目を集めています。
では、デジタル化によりどのようなメリットがあるのでしょう。

意思決定のスピード化

業務のデジタル化は、様々な部署への情報共有のスピード化を実現します。
従来では、紙の書類を上層部まで回して各部署の認印をもらい、そこで初めて決裁が終了していました。しかし、この方法では決裁までに数日を要することもあります。
デジタルツールを使用することで情報の共有が迅速に行われ、意思決定が素早く下せることで業務にすぐに取りかかれる点が大きなメリットです。

特に、少数精鋭で事業を展開するベンチャー企業では、スタッフ間の連携もスムーズであることから、より意思決定を迅速に行うことができ、事業において先手を打つことが可能です。

対面販売からオンライン販売へのシフト

各企業、商品やサービスをアピールする営業活動は、対面によるものが主でした。
しかし、対面して顧客に接することが感染リスクを伴うことから、営業活動もオンライン化しています。
上記のようなオンラインでのやりとりにシフトしたことは、結果的に営業活動の効率化につながっています。

営業活動のオンライン化は、顧客や営業担当が先方に出向くことなく、オンラインのチャットツールを通じて商談が可能です。
そのため、移動の手間を減らし、販売者と顧客の双方の負担を軽減しています。

オンライン会議や打ち合わせの需要UP

自宅にいる時間が増えたことにより、仕事でもプライベートでもオンラインによるチャットツールが爆発的に浸透したことは、記憶に新しいところです。

ビジネスにおいては、オンライン会議や打ち合わせの必要性が高まったことで、オンラインチャットツールの需要は飛躍的に向上しました。
特に、ビデオチャットのプラットフォームである「Zoom」の普及率は目覚ましく、現在もビジネスにおけるコミュニケーションに利用している人は多いでしょう。

インサイドセールスへのシフトによる業績向上

インサイドセールスとは、顧客のもとを訪ねることなく、自社で分析したマーケティングの結果や設定したターゲットに対し、自社内からの顧客開拓ルートの確保や外勤への引継ぎなどを行うものです。
コロナ禍における営業活動は、外に出向くことのないインサイドセールスにシフトしています。

同時に、インサイドセールスの一環で、オンラインの活用も積極的に行われるようになりました。
その結果、オンラインによる営業活動から商品の注文までが一般的になり、企業と顧客間のスムーズなコミュニケーションが可能になることから、業績の向上を見せるケースも多いです。

インサイドセールスはベンチャー企業が取り入れるべき

インサイドセールスは、コロナ禍においては重要な営業活動の方法です。特に、ベンチャー企業にとってインサイドセールスは業績を向上させるために有効な手段です。

以下で、ベンチャー企業がインサイドセールスを取り入れた時のメリットを挙げていきます。

・営業活動の新たな効率化を図れる
従来の外部に向けた営業活動では、営業担当個人の力量が左右する部分があります。
しかし、インサイドセールスにシフトすることにより、自社内でマーケティングや市場分析で戦略的なセールスの計画を立てられ、新たに営業活動の効率化を図ることができます。

・リモートワークへの対応力が高い
インサイドセールスは、自社内で営業活動の計画を練って実行するものであり、リモートワークでも進めることが可能です。
リモートワークでの対応力が高いことから、コロナ禍の状況でも営業活動を問題なく行えるため、外部への営業にリソースを割く必要がなくなります。

・リソースにかけるコストを抑えられる
上記のように、営業活動における人材や時間のリソースにかかるコストを抑えられることも、インサイドセールスの利点です。
営業担当だけに負担をかけるのではなく、セールスに長けた業務委託スタッフにもリモートワークで参加を請うといった方法を採ることもできます。

このように、営業活動をチームで行うことで、結果的にコストを軽減できます。

ベンチャー企業で注目される事業


現在のコロナ禍において、特にベンチャー企業で業績をUPさせている業種を見ていきます。

2021年に上位に立った注目の業種

医療

新型コロナウイルスに感染した人へ、適切な処置や検査などの技術を提供するベンチャー企業が注目されています。
特に、がん検査を自宅で行える検査キットや、AIを利用した診断ソフトなどの開発により、コロナ禍で手いっぱいの医療従事者の負担を軽減できることがポイントです。

コンサルティング

弁護士や税理士、会計士といった士業をはじめとするコンサルティング業も、業績を伸ばしている業種のひとつです。
その理由の大きなものは、コロナ禍で業績を落とした企業が、資金調達や税金に関する各種相談を専門家に依頼する傾向が強くなったためと考えられます。

バイオ、創薬

新型コロナに対応するワクチン接種は、ようやく普及の兆しを見せ始めた頃です。
その中で、あるバイオ系ベンチャー企業では、ワクチン接種を簡易かつ迅速にする器具の開発で注目を浴びています。

また、コロナ禍でエネルギー供給のラインの確保が難しくなる中、水力発電を利用しエネルギーの緊急供給を行う小型プラントを開発し、業績を伸ばしている企業もあります。

環境

環境に関する業種は、コロナ禍の先を見据えた長期的な事業に取組むことで業績を伸ばしています。持続可能な環境保全は、多くの企業にとっての課題です。
特に、CO2削減に寄与するグリーンテクノロジー(環境保全にかかる各種技術)を展開するベンチャー企業には、ベンチャーキャピタルが積極的に投資する傾向があります。

ライフスタイル

コロナ禍の中で、企業に限らず人々の生活は大きく変化しました。以前のような生活がままらなくなった中、新たなライフスタイルを提案するベンチャー企業も好調です。
例えば、ウイルスを除く殺菌機の導入や非接触型スイッチなどの技術を開発するベンチャー企業は、変わりゆく生活への導入において関心を集めています。

IoT

前述のように、業務のデジタル化を促進させることは、コロナ禍を乗り切る大きなファクターになりえます。
そのため、デジタル技術を駆使してハードウェアと連動させるIoT技術も発展しています。

リモートワークの通信技術をはじめとし、工場業務のオートメーション化やハードウェアの遠隔操作など、IoT技術を取扱うベンチャー企業の業績は右肩上がりです。

プラットフォームビジネス

オンラインによる営業・販売活動(EC)、業務管理を一括で行えるSaaS(クラウド上で稼働するソフトウェア)などのプラットフォームは、業務のデジタル化にあたり需要が増えています。
上記のようなプラットフォームを開発・リリースするベンチャー企業は、主にBtoB事業として企業からの注目度が高く、コロナ禍にあっても確実に業績をUPさせています。

人工知能(AI)

AI技術を駆使した各種システムやサービスは、人的リソースを削減するために役立っています。
例えば、AIによる音声認識ができるアプリを宿泊施設で使えば、非接触と人件費のコストダウンが可能です。

また、AIによりウイルスを瞬時に検出するシステム研究を行うベンチャー企業もあり、今後のポストコロナ時代に対応する技術として用いられることが期待されます。

教育

教育現場においては、学校への登校が規制されたことから、オンライン授業を行うケースが増加しました。
そこで、チャットツールやバーチャル授業を行うプラットフォームが急速に普及しています。

教師による授業の配信はもちろん、生徒の回答を確認・添削できる双方のコミュニケーションシステムを開発するベンチャー企業は、教育現場で注目を浴びています。

省エネ、新エネ

コロナ禍における自宅時間の増加により、省エネに対する関心も高まっています。

また、従来のエネルギー産生にとどまらない新しいエネルギー技術開発も、業績を伸ばす業種のひとつです。
エネルギー関連技術を展開しているベンチャー企業は、新しい生活様式に対応すべく省エネ・新エネ技術の実用化を目指したプログラムに参加し、ビジネスチャンスを掴んでいます。

その他成長が見られる業種

電気自動車や自動運転技術など

電気自動車に関しては、海外での需要が高まったことにより、電気自動車における優れた技術を持つ日本のベンチャー企業に追い風が吹いています。

また、自動運転技術は個人所有の自動車だけではなく、タクシーや物流トラックへの導入も視野に入れられており、技術が進歩すれば非接触での業務が期待できます。

遠隔医療技術など

医療従事者は、新型コロナ感染者への対応に手いっぱいであるほか、患者が病院に出向いた際の感染リスクも無視できません。
以上の理由から、オンライン診察などの遠隔医療やカウンセリングシステム、またコロナ禍で打撃を受けたメンタルの回復に寄与するアプリを開発する業種に注目が集まっています。

ロボットやドローン技術など

外出自粛の動きは、ネット通販への需要を後押しすると同時に、物流事業の需要向上を促し、倉庫でのピックアップや運搬を行うロボットの運用の導入が進んでいます。

さらに、自立飛行が可能なドローンを、工場内の製品運搬や、機械設備などの点検作業に利用するケースも増えており、ロボットやドローンの優れた技術を持つベンチャー企業は好調です。

ベンチャーキャピタル(VC)の注目度から見るベンチャー企業への期待度


ベンチャー企業の時価総額や資金調達額は、企業の価値を推し量る要素のひとつです。そして、企業価値はベンチャーキャピタル(VC)からの注目度にもつながります。

2020年のベンチャー企業の時価総額・資金調達額

2020年ベンチャー企業の時価総額の想定は、2019年と比較して全体的に右肩上がりの傾向を見せています。
この結果により、ベンチャー企業の革新的な技術がコロナ禍の需要とマッチしていると読取ることができるでしょう。

一方で、2020年の資金調達額は全体的に下半期に落ち込んでおり、年間では2019年と比較して下降気味です。
ただし、1社あたりの資金調達額は増加しており、業績の伸びを見せた企業とそうでない企業の格差が出たと考えられます。
想定時価総額が高いベンチャー企業は、ベンチャーキャピタルからの注目度も高く、より多くの資金調達を受けられる傾向があります。

時価総額上位の注目ベンチャー企業4社

こちらからは、想定時価総額のランキングで、2020年に急成長したベンチャー企業を4社ピックアップします。

・Mobility Technologies
同社は、主にタクシー配車アプリの開発・運営を行っており、2020年に急成長したことから、想定時価総額のランキング上位に入っています。
資金調達額に関しても、複数の大手ベンチャーキャピタルから投資を受けていることから上昇の兆しを見せています。

・Paidy
電子決済サービスを運営する企業で、ネット通販において氏名・メールアドレスの登録のみで完了させられる利便性が注目を浴びています。
ネット通販の需要増加に伴い業績を伸ばし、想定時価総額を引き上げているほか、大手ベンチャーキャピタルからのまとまった投資額を得ているデータがあります。

・ビットキー
同社は様々なハードウェアをデジタル技術でつなぐサービスを開発しており、顔認証やスマホでの施錠・開錠が可能なスマートロックシステムで、好調な業績を残しています。
また、新たなビジネスツールのリリースも見据えており、想定時価総額を急激に上昇させベンチャーキャピタルからの期待も寄せられています。

・Looop
電力小売り自由化に伴い、再生可能エネルギーにより電気を供給する企業です。
自社で電気の受給管理を行うシステムを開発し、発電状況と電気購入先での利用の把握を可能にしています。

同じくエネルギー事業を展開するベンチャーキャピタルからの投資額で好調な伸びを見せ、想定時価総額も急上昇する結果となっています。

資金調達額上位の注目ベンチャー企業3社

2020年において、特にベンチャーキャピタルからの資金調達額を伸ばしたベンチャー企業を3社紹介します。

・Spiber
微生物の発酵による次世代のタンパク質素材を開発・販売しており、環境に影響を与えることなく、様々な質感を持つ衣類素材から樹脂素材などに活用されています。
大手証券会社を幹事とし、自社の事業価値を証券化することで投資を受け、2020年における資金調達額の第1位にランクインしています。

・VPP Japan
自家発電を行う太陽光発電設備を提供しており、企業における省エネ対策として需要を高めているベンチャー企業です。
事業の好調に伴い、大手銀行を幹事としたシンジケートローン(複数の金融機関から同様の条件で融資を受ける)により、多額の融資を受けています。

・アストロスケールホールディングス
宇宙環境に目を向けた事業展開を行っており、特にスペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去システムの開発・提供により、宇宙事業の円滑な遂行をサポートしています。
システムの研究・開発について日本を拠点とし、ベンチャー企業の成長ステージ・シリーズEで安定した収益を上げ、資金調達額も伸びる結果となりました。

VCがコロナ禍で成長するベンチャー企業を見極めるポイント

では、ベンチャーキャピタルが注目する、成長が見込めるベンチャー企業のポイントとは何でしょうか。

市場におけるシェアの想定ができること

ベンチャー企業が展開する事業において、市場におけるシェアがどれくらいあるか、将来的に市場シェアの大部分を占めることができるかの想定ができる企業は有利です。

ベンチャー企業の事業がニーズに応えられているか

上記のように市場シェアの想定は、同時に市場におけるニーズに応えたものか否かにもつながります。
ニーズをうまく掴んでいるとみなされれば、事業への将来性が見込めます。

ベンチャー企業の起業者が優秀な人材を惹きつけること

投資対象となるベンチャー企業の起業者を見た時、個人のみの力量だけではなく、優秀な人材を惹きつけ強いチームを作り、事業展開を行う能力も試されています。

まとめ

ベンチャー企業は、小規模ならではの小回りの利く対応力と、コロナ禍にフィットした新たな事業展開により、業績を伸ばしているところが多いです。

今回紹介した注目すべきベンチャー企業は、いずれも業績好調な事業を展開している企業です。
これから起業する人は、厳しい社会情勢を見据えて新たな事業へ乗り出しましょう。

創業手帳の冊子版(無料)では、コロナ禍にも負けないベンチャー企業の特徴について紹介しています。これから起業をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
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(編集:創業手帳編集部)

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