秘書からどきっとするアドバイス!?幾多の一流経営者を支えた秘書が教えてくれるリーダーの基本
数多くの一流企業の経営者を秘書として近くで接してきた能町さんが、秘書の視点でアドバイス!
(2017/03/22更新)
「リーダーとしてどうあるべきか」ということは、起業家はもとより、部下を持つビジネスパーソンには避けられない悩みのひとつではないでしょうか。今回は、一流企業エグゼクティブの秘書を歴任し、リーダーの仕事を数多く近くで接してきた能町光香さん。起業家は新米経営者ともいえます。経営者を支えてきた能町さんの視点は、経営者、起業家にとって気付きが多い内容です。優れたリーダーが共通して持っている人間力や、仕事の流儀について取材しました。
株式会社リンクCEO 人材育成コンサルタント、作家。一流秘書養成スクール校長。
10年間一流企業のエグゼクティブ秘書として秘書業務の垣根を超えた業績をあげ、「奇跡の秘書」と呼ばれる。2013年「一流秘書養成スクール」を設立。21万部のベストセラー『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』(クロスメディア・パブリッシング)『なぜ一流のリーダーは東京―大阪間を飛行機で移動するのか』(扶桑社新書)ほか多数。
部下は上司の背中を見て育つ
能町:色々と要素はありますが、第一に「気遣い力」が高い方が多いです。ホスピタリティ精神がある、と言ってもいいかもしれません。よく、「秘書の経験を通じて、気遣いができるようになったのですか?」と聞かれますが、むしろそれは逆です。素晴らしいリーダーこそが誰よりも「気遣い」ができる人でした。そして、彼らの背中を見て、自然と同じようにできるようになりました。
本当に素晴らしいリーダーほど、「もっと気を遣って仕事をしなさい」と部下に言うのではなく、自分の日頃の態度や姿勢ですべてを示します。「部下は上司の背中を見て育つ」ということは、周りの多くの人たちを見ていて身にしみて感じたことです。
その他ですと、誰にでも「対等に接する」方が多いですね。例えば、清掃係の人にもきちんと挨拶をしたり、新幹線に乗ってコーヒーを渡される時も「ありがとう、おいしくいただくよ」などと声をかけたり。誰に対しても「ありがとう」と言うのは、凄いことだなと思います。
能町:”そうですね。威張ることはありませんね。威張ることほど醜いものはないと思います。上司にはペコペコとへつらい、部下には偉そうな態度をとているような上司には誰もついていこうとしません。また、部下は上司のために120%の力を注いで仕事をすることはないでしょう。
怒る時でさえも、きちんと誠意を持って、面と向かって話します。基本的に怒るのはマイナスになると知っているから、責め続けたりすることはありませんね。
例えば、部下が締切に遅れたとしても、メール上にネガティブなことは絶対出すことはありません。単刀直入に「なぜ締切に遅れたの?」とは聞かないで「何か大変かことがあったの?」と言う。
「何か大変なことあったの?」と言われると、つい「実は今いろいろ仕事があって…」と心境を話したくなる。そして、「仕事の優先順位を一緒に見直そうか」と会話をすすめていくのです。
能町:そうですね。一流のリーダーは、そういう声の掛け方がとても上手です。
それと、一流のリーダーは部下に干渉しすぎないという共通点もあります。部下を必要以上にかまってしまうと、自律性や創造性を奪ってしまい、本来持っている才能が開花しなくなってしまうからです。
一番良いのは、上司がメンターのようになって、引き締める時はピシッと締めて、後は自由に部下に働いてもらうのがいいのだと思います。
究極のリーダーは「意思決定」しかしない
能町:時間の使い方としては、最も優先順位の高いものから取り組み、集中して淡々と仕事をされる方が多いです。当たり前といえば当たり前のことなのですが・・・それが徹底しているんですよね。大切なのは、「自分がやらなくてはいけないことは何か」を知っていることです。
逆に言うと、自分がやらなくていいことを、他の人に任せるのが上手いですね。以前、秘書が「社長は飛行機の予約も全部自分でやってくれて楽だ」と喜んでいましたが、それではダメですね。社長が飛行機の予約を自らおこなう時間があるのであれば、重要案件の意思決定など、本来社長がすべきことに力を注ぐべきですから。
能町:そうですね。実は、一流のリーダーほどあくせく仕事をしていないんです。なぜなら、リーダーを尊敬して、ファンのようになっている部下たちや同僚が仕事をこなしてしまうからです。周りの人たちがそのリーダーと一緒に働きたくて、次から次へと仕事をしてしまうんです。リーダーにとって、こんなに嬉しいことはありませんよね。「リーダーは意思決定だけしている」というのがベストです。
能町:”人間力”があるかないか、だと思います。人間力には、【信頼】【誠実さ】【責任感】など様々な要素があり、1から養うのはなかなか難しいことかもしれませんが、仕事を通じて磨くことができると思っています。
あるリーダーは「若い時は苦労したが、ある時自分が仕事をしすぎてはいけないことに気づいた。部下が育たないから、自分は意思決定とアドバイスをする役に徹するようにした」と言っていました。
部下の「強み」を見出してあげて、少し難易度の高い仕事を与えて、実力を伸ばしてあげる。部下が自律的、独創的にやったものには必ず「ありがとう」と言う。このように、部下と真剣に向き合うリーダーが、一流のリーダーの階段を登っていくのだと思います。
能町さんの著書、
「なぜ一流のリーダーは東京-大阪間を飛行機で移動するのか (扶桑社新書)」
も是非チェックしてみてください!
(取材協力:株式会社リンク/能町光香)
(編集:創業手帳編集部)