Mentally 西村創一朗|副業ではなく「複業」を。複業研究家に聞く複業のメリット

創業手帳

会社を成長させるための複業とは?複業研究家と考える日本の複業の未来

「副業と複業は違うんです」。そう語るのは、ご自身の経験を基に複業研究家として活動する西村創一朗さん。

昨年秋には、ご自身がうつ病で苦しんだ経験から株式会社Mentallyを設立。ビジネスパーソンのメンタルサポートを行うためのアプリを開発されました。

経営者として、どう複業に向き合っていくべきなのか。そしてビジネスパーソンのメンタルケアの重要性について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

西村創一朗(にしむら そういちろう)
株式会社Mentally 代表取締役CEO
2011年から2016年までリクルートキャリア社(当時)で法人営業・新規事業・中途採用を歴任。本業のかたわら2015年には複業という働き方を広げるべく株式会社HARESを創業。2017年に独立し、「人材力研究会」(経済産業省)の委員を務めるほか、『複業の教科書』を出版するなど複業研究家として活動。
その一方で、独立一年目で双極性障害を発症し、独立初年度から3年間で3度のメンタルダウンを経験。2019年以降、ようやく自身のウェルビーイングを保つセルフケアがきちんとできるようになったものの「周囲にも世の中にもメンタルで苦しんでいる人が後を絶たない現状を変えたい」という思いから2021年10月に株式会社Mentallyを創業。メンタルケアアプリ「mentally」を2022年春のリリースに向け絶賛開発中。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

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本業を活かすための複業

大久保:大学在籍中にNPO法人ファザーリングジャパンの最年少理事に就任されたのですよね。

西村:はい。NPOでの経験は、大学卒業後入社した株式会社リクルートキャリア、そして自分の起業に役立ちました。年上のメンバーが数多くいる環境で働けたことは非常に良かったですし、私の中でワークライフバランスの価値観が変化したことで、20代でもスキルを身につけて働く道を目指すべきだと考えるようになりました。

大久保:複業研究家とのことですが、ご自身も複業のご経験があるのですよね。

西村:はい。僕は元々、本業を活かすためにリクルートキャリア在籍中である2013年に複業を始めました。そのため、『本業あっての複業』という捉え方をしています。
その後、「世の中に複業をもっと広めたい」「本業と複業、仕事と育児など『二兎を追って二兎を得られる世の中』を創りたい」と思い、2015年に株式会社HARESを設立しました。

大久保:本業あっての複業とのことですが、複業研究家としてどのような研究をされているのでしょうか。

西村:複業研究家として活動を始めたのは、まだ複業が一般的ではなかった時代、日本に3%しか複業解禁の会社がなかった時代だったのですが、複業が会社にどのような影響を与えるかについて研究しています。

一般的に「ふくぎょう」というと「副業」を思い浮かべる方が多いと思うのですが、私は「副業」と「複業」を区別しており、複業をおすすめしています。「副業」は、お金を稼ぐことを目的に、本業のサブ的な位置付けで収入が発生する業務のみを行うもの。
一方、「複業」は、収入の有無を問わず、自己実現や自己成長、社会貢献などの目的を伴い、本業と複業どちらもメインに行うものという違いがあります。
複業のメリットは、時間の切り売りではなく、本業で成果を出すための知識やノウハウを得られることです。時間を切り売りするような、単純作業かつ低賃金の副業はあまりおすすめしませんね。

会社と社員の関係性の変化

大久保:副業が広まった背景として、「会社が成長→給料が上がる→個人も成長」という流れを会社が担保できなくなったことが考えられると思います。

西村:そうですね。昔は終身雇用や年功賃金が約束される代わりに、長時間労働や副業禁止などが課せられていた部分があると思います。それがバブルの崩壊とともに長時間労働や副業禁止は引き続き課せられるにもかかわらず、終身雇用や年功賃金が約束されない状況に変化していきました。

それと同時に、会社と社員の関係性が変わる時代になりましたね。これまでは会社が社員をマネジメントしていましたが、これからはフラットな関係として、会社が複業を解禁し、成長する機会を与えることで、各個人が成長し、それを本業に反映させる。そういう時代になってきています。
そのため、2021年10月に私が新しく作った株式会社Mentallyでは、3カ月以上複業を経験してもらい、能力を確認した上で採用しています。

大久保:新卒一括採用については、どうお考えですか?

西村:最近は職種別採用やジョブ型採用なども増えてきたので、そのような方法で就職する方も増えるでしょうが、新卒一括採用はそのまま継続していくと思います。

ジョブ型雇用の採用については、専門的なスキルを重視すると、どうしても年齢が高い方の方が経験値も高くなりますよね。そのため、自分のスキル不足を認識し、新しく複業を始め、経験を増やそうとする若者も増えてきています。

大久保:アメリカのある統計では、職業の数に比例して年収も下がるというデータもあるようですが。

西村:ある分野で成功している人は、それに特化して成果が出せている状態だと思います。時間を切り売りする副業と、他の分野でもスキルを掛け合わせられる複業は違うので、職業の数に比例して年収が下がるとは一概に言えないかなと思います。

大久保:会社員が複業をする上で、注意点はありますか?

西村:一番気をつけてほしいのは守秘義務ですね。本業で得た情報やノウハウの漏洩や、競合他社との関わり方については注意が必要です。

大久保:会社に複業がバレることを心配する人も多いと思います。

西村:そうですね。ただ、問答無用の複業禁止など、不合理な複業禁止に対しても思考を停止させて行動しないのはもったいないなと思います。

複業を始めるなら「目的」が大事

大久保:複業の始め方について、アドバイスをいただけますか?

西村:まずは目的を明確にすることが大切です。そうすれば、自ずと何を始めればいいのか分かってきます。私は、複業を「趣味型・プロ型・起業目的」の3つに分けて定義しているのですが、「YouTuberになって有名になりたい!」など特別な理由がない場合は、何かの分野に特化して行うプロ型がおすすめです。

私は、スキルや経験が欲しかったので、WordPressなどで文章を書くことから始めました。複業の報酬は、金銭報酬だけでなく「経験報酬」と「感情報酬」を加えたものが報酬だと考えています。
経験報酬は、複業によって得られるスキルや経験、ネットワークなどで、感情報酬は「やりたい!面白い!楽しい!嬉しい!」など、複業を行うことによって得られる感情の高まりです。そのため、複業を始めた当初は、金銭報酬ではなく経験報酬と感情報酬をメインにしていました。

大久保:近年はクラウドソーシングを利用して複業を始める方も増えていますよね。

西村:そうですね。「仕事の機会を得る」という意味では良いと思いますが、継続し続けると時間の切り売りになってしまう可能性もあると思います。
特に、未経験でも得られる仕事は足がかりとしては最適ですが、単価が安くステップアップしにくいものも多いので注意が必要です。

大久保:ステップアップしていくために大切なことは何でしょうか。

西村自分だけのコンテンツを作ることですね。そして、それを広める発信力も必要です。実績を積み重ね、SNSを活用して広めていくことが重要ですね。

私自身は、キャリアもスキルの組み合わせと考え、本業の知識を活かし、新しい事業(オリジナルのメディア)を作ることから始めていきました。その流れで複業としてコンサルもするようになり、仕事が増えていきました。

ビジネスパーソンに必要なメンタルケア

大久保:独立された当初は、不安を感じたこともあるかと思います。

西村:そうですね。正直、独立は孤独でした。もしも過去に戻れるのなら、孤独にならない仕組みを作るべきだったと感じています。
独立前から仲間にコーチングや事務仕事を任せることができていたら、メンタル的に不安になることもなかったと思うので、仲間がいることはとても重要ですね。

大久保:新しくローンチされたサービスは、このような孤独や不安を抱える方をサポートするサービスですよね。

西村:そうなんです。私自身がうつ病で苦しんでいたときに、うつ病を克服した先輩起業家のサポートで救われた経験があることから、ビジネスパーソンのメンタルをサポートする会社として、前述の株式会社Mentallyを立ち上げました。メンタルヘルスケアに特化したWebメディア「mentally」を運営しています。

大久保:最後に、これから創業される方へメッセージをお願いします。

西村:独立しようと考えている方は、やりたいことやご自身の専門領域があると思います。そのため、創業者の貴重なリソースを得意なことに集中させるためには、自分じゃなくてもできることは可能な限り自動化・外注化することをおすすめします。
そして、パートナーや機械を味方につけ、なるべく悩まないようにすることが重要です。貧乏暇なしの状態にならないよう、自分の時間を増やし、自己投資を心がけてくださいね。

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(編集:創業手帳編集部)

(取材協力: 株式会社Mentally 代表取締役CEO 西村創一朗
(編集: 創業手帳編集部)

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