インサイドセールスとは?メリットや具体的なやり方を徹底解説
インサイドセールスは営業活動の効率化に有効。そのやり方を解説します。
近年、セールス形態の中でも非対面で行うインサイドセールスが注目されています。
インサイドセールスは、営業活動の効率をアップさせ、顧客にピンポイントでアプローチできる方法です。
インサイドセールスには、いくつかのタイプやそれを踏まえたやり方が存在します。ポイントを押さえれば、インサイドセールスの効果が上がるでしょう。
今回は、インサイドセールスのやり方について解説します。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
インサイドセールスについて
まず、インサイドセールスとはどのようなものか見ていきます。
インサイドセールスとは何か
インサイドセールスとは、顧客に対して直接対面をせずに営業活動を行う方法です。近年ではオンラインが主流となっています。
すでに獲得している顧客への販促やリピートの促進、また、マーケティングにより特定した新規顧客の取込みが主な目的です。
オンラインで営業活動を行うことは、従来のやり方よりも時間も費用も抑えられ、より効率的に進められることから、ビジネスシーンで注目されています。
ほかのセールス方法と何が違うか
では、インサイドセールスが従来行われてきた営業活動と何が違うのでしょうか。
フィールドセールス
フィールドセールスは、これまで行われてきた営業活動のスタンダードな形であり、営業担当者が直接顧客のもとに出向いて、対面でセールスを行うものです。
顧客と直に接することでコミュニケーションは取りやすい側面はありますが、営業担当者の移動時間のロスがあることなどがリスクといえます。
テレアポ
テレアポも非対面の営業活動のひとつではありますが、テレアポの目的はターゲット層にかかわらず電話でコンタクトを取り、セールスのアポイントを取ることです。
つまり、インサイドセールスのように既存顧客、もしくは、新規顧客の絞込みを行い、営業活動を行う前段階がテレアポであるといえます。
インサイドセールスはなぜ今注目されるか
インサイドセールスが注目されているのには、以下のような理由があります。
オンラインでのコミュニケーション手段の多様化
営業活動におけるコミュニケーションにおいて、近年では直接対面するよりも方法が多様になりました。
例えば、電話はもちろん、メールやチャットアプリのように、オンラインでやり取りができるシステムが発達してきているのは周知のとおりです。
特に、チャットアプリやWeb会議ツールでは、ビデオ通話も可能であり、直接対面する場合と遜色なくコミュニケーションを取れるようになりました。
感染症拡大によるリモートワークの普及
近年の感染症拡大により、企業ではできるだけ人と接触することを避けるために、リモートワークが取り入れられるようになりました。
この動きの影響で、チャットアプリなどのツールが一般的になり、顧客とも直接対面しない方式にシフトしてきたことも、インサイドセールスが注目されている理由のひとつです。
人手不足の解消手段
業種にもよりますが、各企業が軒並み人手不足に悩まされているケースも少なくありません。
その状況の中で、営業担当者が顧客のもとに出向く時間や、顧客それぞれにかける時間を取られることは痛手でもあります。
その点、インサイドセールスであれば、移動時間の削減やより多くの顧客数を担当することが可能であり、人手不足を解消する手段となりえます。
インサイドセールスで得られるメリットがある
メリット5つ
インサイドセールスで得られるメリットは主に5つあります。以下で詳しく解説していきます。
1.ニーズの高い顧客にセールスを絞れる
従来は、アポイントから販売・クロージングまでを営業担当者がワンストップで行っていることが多くありました。
しかし、インサイドセールスを活用すれば、新規顧客となるターゲット層の特定をマーケティングに任せ、そこから選定されたニーズの高い顧客にのみアプローチできます。
つまり、マーケティングとセールスの役割を分けられ、インサイドセールスによってピンポイントでセールスに集中することが可能です。
2.セールスにかかるコストを抑えられる
前述したように、顧客のもとに直接出向くには時間を要します。さらに、遠方の顧客であれば交通費もかさみ、セールスにかかるコストが膨れ上がります。
インサイドセールスであれば、移動時間も交通費もかからず、効率的に顧客にアプローチできます。
3.顧客への手厚いサポートができる
ターゲット層に近い顧客にアプローチを絞ることで、一人ひとりの顧客へのサポートがより手厚く行えるようになります。
それだけではなく、営業活動の無駄を省けるため、ニーズが潜在化している顧客に対しても、フォローに手を回せるでしょう。
4.管理ツールの使用により手間を軽減できる
主にオンラインで営業活動を行うインサイドセールスでは、顧客を管理するためのツールが用いられることがあります。
管理ツールを利用することで、営業部門内はもちろん、他部署との連携も取りやすくなり、顧客への営業活動の進捗をタイムラグなしで確認することが実現します。
5.社内のコア業務、人材育成に注力できる
インサイドセールスでは、マーケティングや実際の販売・クロージングを分業し、販促だけに集中することも可能です。
つまり、本来のコア業務に専念することにつながります。
また、営業活動の手間を軽減することにより、営業担当の人材育成へ注力し、営業活動の品質をマニュアル化して均一に揃え、顧客満足度を上げることもできます。
インサイドセールスのタイプ・やり方
こちらでは、インサイドセールスのやり方について解説します。
インサイドセールスのタイプについて
インサイドセールスとフィールドセールスを分業する
前述したように、営業活動全般を分業し、インサイドセールスとフィールドセールスそれぞれの役割を担うやり方です。
フィールドセールスは対面型の営業活動のことで、実際の販売やクロージングに向いています。
これは、インサイドセールスだけではフォローが届きにくい分野でもあります。
インサイドセールスでは、ターゲットに定めた新規顧客の取込みを行い、フィールドセールスには販売からクロージングを任せるなどの方法を採用するのも有効な手段のひとつです。
この手法は、インサイドセールスとフィールドセールスの役割をほぼ完全に分業化するため、営業部門の人材を多く有する大企業に適しています。
分業した場合、インサイドセールスとフィールドセールスの連携をいかに取れるかがポイントです。
ニーズに合わせてセールスする顧客を分担する
顧客それぞれのニーズに合わせ、顧客ごとにインサイドセールス、もしくは、フィールドセールスを分担し、ワンストップの営業活動を行うやり方です。
例えば、直接対面に向いている顧客はフィールドセールスに任せ、オンラインでクロージングまで行えると判断した顧客には、インサイドセールスで最後までフォローします。
この手法の導入に適しているのは、規模が比較的小さい企業です。
営業部門の人材が限られている場合、上記のように分担を行って担当者ひとりがワンストップで対応するほうが効率アップできる場合もあります。
また、インサイドセールスとフィールドセールスで顧客を分担する方法には、以下のようなものがあります。
・販売する商品の性質
インサイドセールスでは、顧客と直接対面しない分、ニッチな商品や単価の低い商品が比較的売りやすい傾向にあります。
一方で、詳細な商品説明や実物を見せての商談、単価の高い商品のセールスは、フィールドセールスに任せたほうが効果的です。
・顧客の居住地域
フィールドセールスでは、遠方の顧客へのアプローチが困難、または、ターゲットとする顧客が少ない地域で、セールスのコストパフォーマンスが悪いなどの問題が出てきます。
上記のような地域では、インサイドセールスで完結したほうが効率的です。
・顧客へのセールス進捗
例えば、ターゲット層に入るもののニーズが高くない潜在顧客には、フィールドセールスよりもインサイドセールスでニーズを高めるほうが適しています。
また、すでに契約をしている顧客に対して、リピートやさらなる商品へのニーズを促進させる営業活動も、インサイドセールスで賄えます。
インサイドセールスとフィールドセールスの割合を決める
顧客へのセールスの進捗などにより、臨機応変にインサイドセールスとフィールドセールスの割合を決めて使い分けるやり方です。
インサイドセールスとフィールドセールスがペアになって進めることが必要で、どの場面でどちらの営業活動が適しているかを見極める必要があります。
この手法は、中小企業など人材の限られる企業が取り入れると有効でしょう。
限られた人材の間で、密に連携を取りながら営業活動を行う方法なので、小規模の団体が実現しやすいといえます。
顧客を育ててフィールドセールスに引き継ぐ
インサイドセールスではあくまでターゲットとした顧客のニーズや、潜在顧客の掘り起こしのように、顧客を育てるまでを請け負います。
顧客の購買意欲のアップや見込み客への引き上げが終われば、その後の営業活動はフィールドセールスに任せて、契約まで結びつけるように道筋を作ります。
この手法は、インサイドセールスで顧客を十分に育て、より契約に結び付ける確率を上げることが目的です。
そのため、比較的高単価の商品を取り扱い、確実にリピート率を上げたいケースには適しています。
インサイドセールスをワンストップで行う
ここまではフィールドセールスとインサイドセールスを組み合わせて行う方法が多くありましたが、もちろんインサイドセールスにすべてを集約させるやり方もあります。
インサイドセールスだけに絞れば、時間やコストの削減、幅広い顧客へのフォローなどが実現し、より多くの顧客を取り込むことにつながるでしょう。
この手法の導入は、企業全体が、ニッチな商品や低単価の商品を取り扱っている場合には向いています。
直接顧客に見せないと販売が難しいものではなく、比較的売りやすい商品のセールスで、契約数を増やしながらも効率的に営業活動を進めたい企業におすすめです。
インサイドセールスのやり方の手順
1.インサイドセールスのタイプを精査する
インサイドセールスを導入するにあたり、ターゲットとする顧客層や目的を特定してください。
例えば、顧客のタイプごとに分業するのか、効率を上げたいのかなど目的の洗出しを行えば、上記で説明したインサイドセールスのやり方が絞れます。
2.担当する人員の配置
次に、インサイドセールスを担当する人員を選出・配置しましょう。インサイドセールスには、オンラインでの営業活動に適した人材のタイプがあります。
例えば、オンラインでのコミュニケーションが得意、複数の顧客対応を並行して行えるなどに加え、オンライン業務へ意識の高いタイプが考えられます。
3.導入する範囲やKPIを定める
KPIとは、重要業績評価指標とも呼ばれるもので、「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インディケーター)」の頭文字を取ったものです。
営業活動の目標を設定し、それがどこまで達成されているか、成果が出ているかを測る指標を指します。
営業活動全般の中で、インサイドセールスをどの範囲まで導入するか、それにより目標とするKPIをどこに定めるかを決定することは、効率性の面でも重要です。
KPIの目標には、セールス数や時間、アクセス数などが具体的な指針になります。
4.導入から目標達成までの計画を立てる
上記の過程が終了すれば、インサイドセールス導入からKPI目標達成まで、どのようなプロセスを辿るかの計画を立てます。
ターゲットとする顧客の選定、見込み客への育成から販売・クロージングまでのプロセスを具体的に設置することで、分業の方法も決定しやすくなります。
5.PDCAサイクルを繰り返して改善を目指す
PDCAサイクルとは、PLAN(計画)・DO(実行)・CHECK(評価)・ACTION(改善)を繰り返すサイクルのことです。
上記までのプロセスはPLANにあたりますが、計画通りにいかない場合もあるかもしれません。
うまくいかない時は、問題点を洗い直した後にやり方を改善し、より良い方向にシフトさせます。
6.インサイドセールスに活用するツールを選定する
インサイドセールスに活用するための、オンラインツールを選定します。
インサイドセールスに向いているツールには、以下のようなものがあるため、必要なものを検討してください。
・MAツール
マーケティングの自動管理や顧客情報の集約などを行うシステムを、MA(マーケティングオートメーション)と呼びます。
ターゲット層の特定による顧客の選定や情報管理を、MAツールで一元化でき、顧客の契約状況や育成をリアルタイムで確認可能です。
・CRMツール
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とは、顧客情報を管理できるシステムです。
顧客管理に特化しているため、営業活動を行った顧客の個人情報や契約の進捗など、営業活動から顧客の利用状況までをまとめて参照できます。
・SFAツール
SFA(セールスフォースオートメーション)とは、営業活動のすべてを自動で一元化できるシステムを指します。
これにより、顧客へのアプローチまでのプロセスや営業活動内容そのものに加えて、顧客それぞれのニーズの傾向、ひいては、営業からの成約率などの管理を可能にします。
顧客へのアプローチについて
こちらからは、インサイドセールスにおける具体的な顧客へのアプローチのやり方を見ていきます。
イベントなどの参加者に対して
企業が各種イベントを開催した際に、参加者の情報をもとにインサイドセールスでアプローチしていきます。
イベント参加者には、確実にニーズが高い顧客や潜在的な顧客のように、様々なパターンが存在しており、インサイドセールスできめ細かなフォローを行います。
自社サイトへの訪問者に対して
自社サイトのブログをはじめとするコンテンツ購読者や、サイトへの会員登録者に対し、ニーズを掘り起こすためにインサイドセールスによる顧客育成を図ります。
メールマガジンなどでの働きかけにより、コンテンツに何を求めているかを探り、どのような商品にニーズを感じているかまでを追及しましょう。
すでについている顧客に対して
すでに自社の商品と契約実績がある顧客に対しては、リピートやさらなる商品への購買を促進するため、インサイドセールスでコンスタントにフォローをします。
例えば、購入した商品への意見・感想を集めることで今後の商品改良につなげたり、顧客との深い関係を築いたりするために有効です。
まとめ
インサイドセールスのやり方には、おおよそ決まった流れがあります。プロセスで大切なのは、企業に合ったタイプを選別することです。
インサイドセールスをどこまで導入するかの線引きも検討が必要です。
フィールドセールスとの連携で営業活動の効果をより高められることもあるため、フィールドワークとのバランスも考慮しましょう。
インサイドセールスの導入方法を精査し、綿密な計画を立て、成約率アップにつなげてください。
(編集:創業手帳編集部)