Chatwork 大森勇輝|中小企業が今すぐ実践できる!国内最大手のビジネスチャット「Chatwork」CMOに聞くマーケティング発想力

創業手帳

ビジネスチャットを導入し、業務を効率化。コミュニケーションコストを削減して利益を上げる

昨今、リモートワークの推進により、ビジネスチャットを導入した企業も多いのではないでしょうか。

Chatwork CMOを務める大森さんは「ビジネスチャットを導入することで大幅にコミュニケーションコストを削減できるため、利益を生み出す時間を確保できる」と語ります。

今回は、楽天のECコンサルティングや人材系企業の執行役員を経て、2021年1月にChatworkに参画した大森さんに、中小企業で実践できるマーケティング的思考や実践術、ビジネスチャットを導入するメリットについて、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

大森勇輝(おおもり ゆうき)
Chatwork株式会社 CMO
大学卒業後、アパレル・飲食業界を経て、楽天株式会社に入社しECコンサルタントとして活躍。2010年に成果報酬型のECコンサルティング事業で起業。2015年に製造派遣大手のUTグループに転職し、グループ全体を横断する採用部門の立ち上げに参画。採用マーケティングの仕組みを構築し、年間10万人以上の応募者を獲得することに成功。2017年4月同社執行役員に就任。年間1万人の正社員採用を実現し、事業成長に大きく貢献するとともに、中期経営計画の早期達成や東証一部上場にも寄与。2021年1月にChatwork株式会社に入社し、CMOとして全社横断型のマーケティングチームを管掌。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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マーケティングのノウハウを採用に活かす


大久保: Chatworkに参画されるまでのキャリアを教えてください。

大森:大学卒業後、アパレルの販売や飲食チェーンのSVを経験した後、20代後半にITの世界に入るため楽天に転職しました。楽天はEコマースというネット通販の世界ですが、リアルもネットも「物を売る」という点についてはそこまで差異がないと考え、それまでのキャリアを活かす形でジョブチェンジしました。楽天では、ECコンサルティング業務として、なかなか商品が売れない中小企業を中心に物が売れる仕組み作りの支援を3年ほど行い、その後、退職し独立しましたが、家庭の事情で再度、会社勤めをすることを決意し、人材派遣の会社に就職。採用マーケティングを担当しました。

当時はまだ「採用マーケティング」という言葉がない時代だったのですが、Eコマースのやり方を採用に当てはめたところ非常に上手くいきまして、爆発的に採用できたことで会社が急成長し、東証一部上場にまで上り詰めることができました。最後は執行役員という立場で経営に携わっていたのですが、目的の一つに据えていた中期経営計画を実現し、「これから自分は何をするべきか」と考えたときに、中小企業の現場オペレーションを効率化していかなければ、この先、日本は厳しくなるだろうと考え、Chatworkに参画しました。

大久保: 採用にマーケティングの知識や技術を活かすという発想は非常に面白いですね。

大森:当時は、まだ派遣業界全体が人材募集を紙媒体で行っていた時代だったのですが、デジタルマーケティングのノウハウを採用活動に転用し、デジタル化を図りました。募集広告の運用や、求めている人材とニーズの調整など、マーケティングのテクノロジーを掛け合わせることで採用人数を伸ばしていきました。

大久保: マーケティングの基本がしっかりしていると、いろいろと応用が効くのですね。ECなど、みんなが実践・導入している分野だけでなく、誰も手をつけていないところにマーケティングの発想を活用されたことが大きな功績に結び付いたのですね。

大森:そうだと思います。

大久保: ちなみに、これまでのキャリアの中で一番大変だったことや辛かったことは何ですか?

大森:すごく辛かったこととしては、飲食チェーンのSVとしてフランチャイズ加盟店のオーナーを支援する業務を行っていた時に、私がその店の売上や利益を上げなければ、その店舗が赤字になって借金がかさみ、場合によってはオーナーが破滅してしまうという状況を経験したことです。自分の結果に人の命が左右されるという状況を経験したことから、成果を上げるということに対して強くこだわるようになりました

また、私は勉強が苦手で、学生時代に努力をして何かを成し遂げるという経験をしてこなかったので、「努力できる人間になろう」と20代のほとんどの時間を仕事につぎ込んでいました。遊び盛りの20代にとっては辛く大変な経験でしたが、仕事にのめり込むことで徐々に自身の成長を実感でき、人生の選択肢が広がっていく感覚を味わえたことはとても嬉しかったですし、人生の糧となっています。

オペレーションの構造を理解することが重要


大久保: マーケティングには、どのような思考や考え方が必要でしょうか?

大森:論理的思考能力と構造化力ですね。事象をきちんと理解し、物事の構造を組み立てていく力だと思います。どんな業種においても基本的には同じで、売り手と買い手のニーズを少しずつチューニングして合わせていく作業がマーケティングだと考えています。お客様は、購入に至るまでに検討項目や感情に変化がありますし、売る方にも思いや思惑があるので、ビジネスを成立させるためには、それを上手くマッチングさせることが大切なんです。そのために、事象や物事の構造をきちんと整理し、俯瞰的に見ながら調整していく力が必要です。

大久保: なるほど。ニーズのズレを調整していくことが大切なのですね。

大森:そう考えています。売り手も買い手も結局は人がやっていることなので、その人たちの心を動かすことで、継続的に事業が成長する仕組みを作ることがマーケティングだと考えています。

大久保: マーケティングの知識や能力は、どのように高めていけばよいのでしょうか。

大森顕在ニーズと潜在ニーズの両方を深堀りしていくことが重要です。ニーズを深堀りするためには、広く浅いマクロ的な視点と、深く狭いミクロ的視点でお客様一人ひとりが何を思い、何を考えているのかを理解する必要があります。広く浅いインプットは現場であまり役に立たないことが多いので、深く狭い情報をたくさん揃える方がマーケティング的には上手くいきますね。インプットしたことをどんどんアウトプットしていき、仮説が正しいか否かをひたすら検証していくことも大事です。結果として、それが深く狭く理解することに繋がるので。実務で量をこなしながら質を尖らせていくことで、マーケティング的思考や学習が進むと思います。

大久保: 売れる仕組みを作るためには、マーケターが事業を俯瞰的に見る必要がありますね。

大森:そうですね。例えば、ネット通販の場合は「とにかく売れるだけ売ればいい」というわけではないので、在庫の置き場所の確保や消費期限、トレンドを考慮して「いつまでにそれを捌かなければならないか」など、物流を意識したオペレーションを組む必要があります。楽天にいた時は、同僚たちが「PLって何だろう?」と収益構造を理解していなかったり、現場のオペレーションをどう組めばいいか分かっていなかったので、楽天に出店されているお客様から「大森さんは商売のことをよく分かってくれていて話しやすい」と言ってもらえることが多かったですね。

大久保: 売れるだけ売るというスタンスでは、現場が回らなくなりますからね。

大森:そうなんです。なので、人の配置やオペレーションの相談にも乗っていました。

大久保: 弊社でも、物を送るという工程が入った瞬間に急に難易度が上がるんですよね。オペレーションの1~10までを見て売れる仕組みを作るという意味では、商品開発に携わることもあるのでしょうか。

大森:そうですね。例えば、クライアントがメーカーの場合は「どのような商品を作ればいいのか」、販売店の場合は「どういう商品を仕入れたら売れるのか」など、パッケージや価格も含めてコンサルしていました。

大久保: 売れるためには、商品そのものの良さだけでなく、パッケージなど「見せ方」も重要なポイントになりますよね。

大森:はい。商品の良さっていろいろあると思うんですけど、その商品の特長をすべて並べたところで、ただ分かりにくくなるだけでお客様には伝わらないんです。「誰にどういったメッセージを伝えると、その人がどういう感情になって、どういう行動を取るのか」という点に一連のシナリオがないと、どのような商品やECサイトのページを作っても売れないんです。

大久保: では、マーケティング初級者の方は、まず何から取り組めばよいのでしょうか。

大森:一発逆転を期待すると失敗してしまうケースが多いので、まずは王道である「顧客を理解する」ことから始めることが大切だと思います。ターゲットユーザーが抱える課題に対して、心に突き刺さるメッセージを然るべきタイミングで届け、解決策を提示する。ただし、王道をやるにしてもヒト・モノ・カネ・情報のリソースが限られているケースがほとんどですから、まずは自社の製品・サービス・会社が「お客様に選ばれる理由」と「選ばれない理由」を把握し、そこを起点に対策を講じていけるよう整理することが大切です。

大久保: 選ばれる理由だけでなく、選ばれない理由も整理することが必要なんですね。次の段階としてはどのようなことが必要でしょうか。顧客を選定することも重要ですよね。

大森:そうですね。選ばれる理由と選ばれない理由をそれぞれ深堀りしたら、それを踏まえてどうポジショニングを取るかを考える必要がありますから、その際にセグメントの選定も重要になります。

大久保: そもそもマーケット全部を獲得することはできませんし、2つのマーケットを取ろうとしたら、二兎追うものは一兎も得ずという状況になりますからね。軸がブレそうになったら、まず原点に立ち返り「そもそも誰に向けたどのような商品なのか」を明確にすることが大切ですね。

ビジネスに必要なのは「要約力」


大久保: マーケターは仕事柄、相手の立場に立って物事を説明することが多いと思います。「人に伝える」という点において留意すべきポイントがあれば教えてください。

大森:自分や会社の中では当たり前だと思っていることが、世の中的には当たり前ではないことも多々あるので、私は2つ以上のことについて同時に話さないよう気をつけています。また、ライティングやコピーライティングをするときは、小学生が理解できる言葉を使うようにしています。相手に伝えるという点において、この2点は必須だと思いますね。

大久保: 簡単な言葉で伝えるって、実はすごく難しいことなんですよね。特に専門家の方は、専門用語で話す方が簡単だったりしますし。訓練をしていないとどうしても作り手や売り手目線で話をしてしまうことがありますから、小・中学生の方にも分かるよう、嚙み砕いて話すことが伝えるという点においては重要なのですね。

大森:そう思います。要約力がないとワンメッセージにはならないので、訓練も兼ねて社員に何か説明を求める際には、「一言で要約するとどういうこと?」と質問するようにしています。

大久保: 一言で刺さる言葉を生み出すために、大森さんご自身はどのように要約力を鍛えられたのですか?

大森:接客販売を行っていたときの経験が活きているのだと思います。当時、徹底的に顧客を理解するために、毎日接客トークを振り返り、なぜ売れたのか、逆になぜ売れなかったのかを分析していたんです。毎日繰り返しているうちに、「お客様に刺さる一言はコレだな。次はこれを言おう!」と売れる要因となった一言が分かってきたので、分析と仮定、実践を繰り返していました。

顧客定着化のためには、サポート不要なプロダクトを作る


大久保: 貴社は、ユーザーにファンが多い印象があります。お客様に使い続けていただくために、どのような対策を講じていますか?

大森:SaaSの場合、解約率の目標数値を3%以下に設定することが一般的ですが、2022年3月時点でのChatworkの解約率はわずか0.4%前後です。Chatworkは操作が簡単なので、組織にも浸透しやすく、「ツールを導入したけど途中で使わなくなった」という事態が起こりにくいことや、問い合わせをしなくても簡単に使いこなせることが、解約率の低い理由だと考えています。そして、この解約率の低さが、30万社を超える導入企業数につながっています。

一般的に、中小企業をメインターゲットとした場合、サポートを必要とする会社の数が非常に多くなり、きめ細やかなサポートを提供することが難しくなりますが、Chatworkのような誰でも簡単に使えるツールであれば、サポートがなくとも十分に使いこなすことができるんです。

大久保: カスタマーサポートに力を入れるのではなく、そもそも問い合わせやサポートが不要なプロダクトを作るという視点なのですね。

大森:はい。プロダクトをシンプルに分かりやすくしていくことが、顧客を定着させる秘訣だと考えています。問い合わせが来るということは、分かりにくいということだと思うので。

大久保: それはマーケティングの構造理解の話にも通じますよね。そもそもお客様は問い合わせをしたいわけではないので、そういう意味ではお客様の本質的なニーズを解決しているといえますし。マーケティング的思考はいろいろと応用が効きますね。

大森:はい。企業と顧客、それぞれのニーズをきちんと把握し、限りあるリソースの中でニーズのズレを微調整していく作業がマーケティングなので、どのような事業・業種にも役立つと思います

ビジネスチャットを導入するメリットとは


大久保: 国産のチャットツールとして、Chatworkの強みは何でしょうか。

大森:やはり日本人が使いやすいツールであることですね。特にITリテラシーがあまり高くない方にとっては、外資系ツールはなかなかハードルが高いと思うんです。我々以外の大手チャットツールはほぼ外資系ですから、日本人に馴染むツールとは言いづらいんです。ITリテラシーが高い方や使い慣れている方は多機能で高性能なツールが使いやすいと感じられると思いますが、複雑で使いにくいツールだと感じる中小企業も多いと考えています。だからこそ、我々はシンプルで、使えば分かるツールであることに設計思想をおいてきました

大久保: それでは最後に、企業がチャットツールを導入するメリットを教えてください。

大森:業務効率化に役立ちます。具体的には、コミュニケーションコストの削減による業務効率化です。ビジネスにおけるコミュニケーションの手段には、会議や電話、メール、FAXなど様々ありますが、手段を最適化するだけで、コミュニケーションにかかる時間や手間を削減でき、既存事業の改善や新規事業に取り組む時間を確保できます

例えば、会議で共有している数値報告は、事前にチャットで済ませることで、事業を成長させるための本質的な議論に時間を費やすことができますし、毎回宛名や挨拶文を必要とするメールの代わりにチャットを活用すれば、要件だけを伝えることができます。

ビジネスチャットの導入ですべてのコミュニケーションが最適化されるわけではありませんが、不要なコミュニケーションを削減するためにビジネスチャットは非常に有効です。導入企業から「ビジネスチャットがない世界には戻れません」という声も多くいただいていますから、ぜひビジネスチャットを事業の成長や働き方の改善に役立ててもらえると嬉しいです。

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(編集:創業手帳編集部)

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