副業していて確定申告していない人は多い?確定申告してないとどうなるかリスクやペナルティも解説

創業手帳

副業でも確定申告が必要なケースはある!


一定以上の副業収入を得ている場合、個人事業主やフリーランスのように確定申告が必要です。
しかし、副業をしている人の中には、確定申告していないケースも珍しくありません。

そこで今回は、副業で収入を得ているにも関わらず、確定申告をしないとどのようなリスクがあるのか詳しく解説します。
また、確定申告をしない理由や、無申告がバレるタイミングもご紹介します。副業をしている人はもちろん、これからはじめようか悩んでいる人もぜひ参考にしてください。

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副業している人で確定申告していないケースが多いのは本当?


国税庁が令和4年に公表した資料「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、行った特別調査・一般調査は24,000件としています。
さらに、簡易な接触なども含む調査件数は60万件、そのうち申告漏れなどが指摘された件数は317,000件あり、無申告は3,800件以上です。
上記データはあくまでも無申告者がどれくらいいるかを示したものであり、副業している人に限ったデータではありません。
しかし、これらの中には、副業している人の申告漏れや無申告が含まれていると考えて良いでしょう。

新型コロナウィルスの影響により実地調査の件数は少ないにもかかわらず、申告漏れや無申告の指摘件数は前年度に比べて増加傾向にあります。
今後、新型コロナウィルスによる影響が落ち着けば、さらに指摘される件数は増えるものと考えられます。

副業で確定申告をしていない人が多い理由とは?


副業で収入を得ているにも関わらず、確定申告をしない理由はどこにあるのか。よく見られる理由をご紹介します。

1.確定申告が必要なことを知らない

そもそも確定申告が必要であることを知らなかったという理由で無申告だった人は一定数存在します。
特に、会社員は会社が源泉徴収を行ってくれることもあり、確定申告に慣れていません。そのため、自分が対象者であることをわかっていない人もいます。
また、確定申告は「ある程度まとまった収入がある人が行うもの」との思い込みから、自分には関係ないと考え、無申告の人もいます。

2.確定申告をするほど稼いでいない

会社員の場合、副業による所得金額が20万円を超えると確定申告が必要です。
しかし、所得金額20万円以上は確定申告義務があることを知らずに、確定申告をするほど稼いでいないと考える人も少なくありません。
確定申告が必要ないと考えてしまう原因は、副業による収入は本業に比べて少ないことにあります。多くの人は年間で100万円未満です。
そのため、副業というよりちょっとしたお小遣い稼ぎ感覚でいる人もおり、確定申告をしなければいけないことを知りません。

3.本業の会社にバレるのが怖い

副業を解禁する会社が増えているとはいえ、まだまだ禁止している会社も少なくありません。
そのため、副業していることを会社に知られたくないという理由で確定申告をしない人もいます。
確定申告をすると副業の収入分で税金の額が変わるため、会社に住民税の金額が通知されるとバレてしまうかもしれません。
しかし、住民税は自分で支払う普通徴収を選ぶことで、会社に所得を知られるリスクは下げられます。

副業が会社にバレないするようについてはこちらの記事を>>
副業を会社にばれないようにするには?ばれる理由やばれにくい副業を紹介!

4.仕事が忙しくて忘れていた

確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの間に、前年の1月1日~12月31日までに生じた所得を申告します。これは、税法により定められています。
しかし、2月3月といえば、年度末であり、繁忙期真っ盛りという人も少なくありません。
そのため、確定申告期間が繁忙期と重なった場合、仕事の忙しさから確定申告を忘れてしまい無申告となるケースもあります。
最近は、パソコンやスマートフォンから確定申告ができる「e-Tax」もあります。無申告は追徴課税や罰則の対象となるため、たとえ忙しくても確実に完了させることが大切です。

5.申請作業が面倒

確定申告をするには帳簿の記録や書類を準備した上で、作成した申告書を税務署に提出する必要があります。
しかし、確定申告が初めての方にとっては説明や記述にはわからない部分も多く、税務署に問い合わせたり、相談会に出向いたりと作成までに手間がかかるのも事実です。
「何から手をつけたら良いかわからない」「申請作業が面倒」といった理由から、確定申告をせずに済ませてしまう人も少なからず存在します。

6.領収書・レシートを保管し忘れていた

副業するにあたってかかった費用を経費として計上する場合、レシートや領収書、請求書が必要です。
つまり、確定申告で経費を計上したいなら、レシートや領収書などを保管していなければいけません。
しかし、ちょっとしたお小遣い稼ぎ感覚で副業していた場合、領収書などの必要性がわからず、捨ててしまうケースも少なくありません。
その結果、確定申告ができないと考えて無申告を選ぶ人もいるようです。

7.税金を払いたくない

確定申告をすると税金を支払わなければならないといった理由から、無申告を選ぶ人もいます。確定申告は、納税額を決める手続きです。
確定申告をしなければ税金を支払わなくても良いといった、安易に考えてしまう人も存在します。

しかし、確定申告義務があるにも関わらず、確定申告をしないのは悪質な行為であり、最悪の場合刑事罰の対象にもなり得ます。
支払う税金を減らしたいなら、経費をきちんと計上するなど正しく節税対策することが大切です。

副業で確定申告をしないとどうなる?リスクやペナルティとは


もしも、副業で収入を得ているにも関わらず確定申告をしなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょう。ここでは、無申告によって起こり得る問題を解説します。

無申告加算税・延滞税のペナルティを受ける

確定申告義務があるにも関わらず申告をしなかった場合、以下のペナルティが課せられる可能性があります。

  • 無申告加算税
  • 重加算税
  • 延滞税

上記のペナルティが課せられた場合、本来支払うべき税金額よりも多く支払わなくてはいけません。無申告加算税と重加算税の税率は以下のとおりです。

加算税の種類 税率 概要
無申告加算税 ・50万円まで15%
・50万円を超え300万円までの部分に20%
・300万円を超える部分に30%
※令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの
※税務署からの指摘前に自ら申告すれば、加算税は5%に軽減
確定申告期間内に申告しなかった場合に課せられる。
「法定申告期限から1カ月以内に自主的に行われている」などの一定の条件を満たす場合には課されない
重加算税 無申告:40%
過少申告:35%
脱税とみなされた場合に課せられる。

延滞税の種類や税率は以下のとおりです。

延滞税の種類 税率 概要
納付期限の翌日~2カ月を経過する日まで 原則、年7.3%
※1
延滞税は延滞した期間によって変わる。
納付期限の翌日から2カ月を超えた場合 原則、年14.6%
※2

※1:ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおり。
令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は、年2.4%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%
※2:ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3パーセント」のいずれか低い割合。具体的な割合は、次のとおり。
令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は、年8.7%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%

青色特別控除が受けられなくなる

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類あります。青色申告には青色申告特別控除があり、最大65万円の特別控除を受けられます。
特別控除は、その金額分経費を計上したのと同じ効果があるため、節税に効果的です。
しかし、青色申告特別控除を受けるには、申告期限内に申告しなければいけません。つまり、無申告では青色申告特別控除を受けられないということです。
申告期限を過ぎた場合、受けられる特別控除は最大10万円になります。

会社にバレる可能性がある

副業の収入を申告しなかった場合、副業の会社に連絡が来ることがあります。
会社側は申告しているにも関わらず、報酬を受けた側が確定申告をしていない場合、税務署は確認をする必要があるからです。

さらに、税務調査によって住民税の納税額に変更があった場合、本業の会社に新しい納税額を記載した通知書が送られます。
本業の会社にも住民税の金額が変わったことが知られ、副業していることがバレる可能性があります。

社会的信用を失ってしまう

確定申告を期限内にしなかった場合、重いペナルティが課せられ、社会的信用を失う可能性があります。
社会的信用を失うと適正な行政サービスを受けられなくなるほか、自動車や住宅ローンを組む際に悪影響を及ぼし兼ねません。
無申告はもちろんですが、慣れない手続きによって遅れた場合でも、社会的信用を失う恐れがあります。
申告期限を過ぎそうな時は、「期限延長手続き」を行うなどして、ペナルティを受けることのないよう対策を取ることが大切です。

副業で確定申告していないことがバレる理由やタイミング


そもそも、副業で収入を得ていることが税務署にバレてしまうのはなぜか。ここでは、確定申告していないことがバレる理由やタイミングを解説します。

1.取引先の支払調書

支払調書とは、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」のことで、税務署への提出が義務付けられている書類です。
支払調書には、会社がいつ・誰に・いくら支払ったのかが記載されています。
したがって、取引先の会社の支払調書に記載されているにも関わらず、確定申告をしていない人がいれば、税務署はすぐにわかります。

個人の場合、強制調査ではなく任意調査であることがほとんどです。しかし、任意調査であっても帳簿などの書類の提出や質問への回答が求められます。
また、帳簿や銀行口座以外の調査をすることもできるため、副業や無申告であることはすぐに知られてしまいます。

2.取引先の一般取引資料せん

一般取引資料せんとは、税務署が情報収集の一環として提出を求めている売上げや仕入れ、費用などに関する資料のことです。
本来は公平な課税実現のために行われるものであり、無申告を調べるためのものではありません。

しかし、取引先の一般取引資料せんを調べた際に、事業の状況から確定申告していないことがバレる可能性があります。
無申告がバレると、加算税などのペナルティが課せられます。
そうならないためにも、適切に申告することが大切です。

3.税務調査

税務調査は、納税者が正しく確定申告をしているのかを調べるためのものです。
対象が自分ではなかったとしても、税務調査がきっかけで確定申告していないことがバレる可能性があります。

なぜなら、税務調査では会社が支払った報酬や外注費などのデータを収集し、調べているからです。
取引先に税務調査が入った場合、集めたデータから支払い先が無申告であればすぐにバレてしまいます。そうなれば、次の税務調査の対象になる可能性もあります。

4.不動産の購入時

不動産を購入すると、調査対象になりやすいです。土地や建物などは金額も大きいため、購入できるほどの収入が申告されていない場合、怪しまれてしまうからです。
たとえ現金一括や個人間での売買であっても、税務署は法務局から登記情報を得ているため、所有者情報はすぐにわかります。
また、不動産を売却し、利益を得た場合も確定申告が必要です。登記情報から申告漏れはすぐにバレてしまうことを覚えておいてください。

5.銀行口座の動き

銀行口座の入出金履歴から、副業によって収入を得ていることがバレることがあります。特に、本業の給与以外に頻繁に入金がある場合、税務署から怪しまれやすいです。
銀行口座は、税務署の権限によって調査可能であり、その際に口座名義人の許可は要りません。
そのため、知らないところで調査が進み、ある日突然ペナルティが課せられる可能性もあります。

6.タレコミ

市民からの情報提供により、無申告がバレるケースもあります。市民からのタレコミは大切な情報源のひとつです。
国税庁はホームページ内にて情報提供を求めており、通報は匿名ですることが可能です。
そのため、友人や周囲の人に副業をほのめかしたり、SNSで本業の収入では難しいような贅沢を投稿したりした場合、副業をしているのではと怪しまれることがあります。

無申告は些細なことからバレる可能性が高いです。副業で収入を得ている場合、ペナルティを受ける前に、きちんと確定申告することが大切です。

期限を過ぎても確定申告は行える!


確定申告には期限があります。しかし、確定申告は必ずしなければいけないものであり、申告期限が過ぎたとしても確定申告をすることは可能です。
これを「期限後申告」といい、場合によってはペナルティが軽く済む可能性があります。
たとえ忘れていたり期限を過ぎてしまったりした場合でも、諦めるのではなく気付いた時に素早く確定申告を行うことが大切です。

やむを得ない事情により期限内に確定申告が難しい場合には、事前に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出すると、期限の延長が可能です。
ただし、延長できるかは審査によって決まります。延長を希望する場合は、一度最寄りの税務署へ相談してみてください。

副業の確定申告をせず税務調査が入った場合の対処法

副業で所得があって確定申告をすべき人がしていなかった場合、税務調査が入る可能性があります。税務調査とは、国税庁が管轄する税務署などが納税者の申告内容を確認し、誤りがないかを調査する手続のことです。

税務調査では税務署から税務調査を実施する旨の連絡として、事前通知が行われることになっています。もし、税務署から税務調査の連絡がきたら、どう対処すべきでしょうか。ここでは、税務調査の通知を受けた場合の対処方法を解説します。

税務調査に強い税理士に相談する

税務調査を受けることになった場合、まずは税務調査に強い税理士へ相談したほうがよいでしょう。税の知識のない会社員や公務員が自分だけで税務調査に対応するのは難しいためです。

税務調査では調査官から売上や経費について詳細に質問され、書類提出も求められます。答えに窮してしまうだけでなく、どのような準備をすべきかわからない人も少なくないでしょう。

そのような場合、費用はかかっても税理士に相談したほうが安心です。税務調査の対応に精通した税理士に相談すれば、税務調査の日までに準備すべきことのアドバイスを受けられます。また、税務調査当日の立ち会いの依頼も可能です。調査の現場に税理士に立ち会ってもらえれば、調査官から難しい質問をされた場合でも適切なサポートを受けられます。

税務調査の通知を受けたら早めに税理士を見つけて相談し、調査までにやるべきことをアドバイスしてもらいましょう。
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書類を準備して所得を確認する

税務調査では、副業の収入や経費などの証明書類を提出するように求められます。事前に書類を整理しておくことで、スムーズな調査対応が可能になるでしょう。
具体的な書類としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 副業の収入に関する書類(請求書・領収書・取引先発行の支払調書など)
  • 副業の経費に関する書類(レシート・領収書・クレジットカードの明細など)
  • 通帳

書類がそろったら年間の売上や経費を整理して、所得金額を確認します。よく分からない場合、税理士に相談する際に書類を見てもらうとよいでしょう。不足している書類があれば指摘してもらい、早めに準備することも大切です。
会社員は副業所得が20万円を超えると確定申告が必要ですが、売上に対して経費が多いケースも考えられます。売上から経費を差し引いたら20万円以下であると確認できた場合は、証拠書類を整理しておきましょう。

期限後申告をする

副業の所得が確定申告の必要な金額である場合、税務調査の前に期限後申告をしましょう。期限後申告とは、確定申告の期限が過ぎた後の申告のことです。

先述のとおり、税務署の指摘を受ける前に自主的に期限後申告をすると、無申告加算税の税率が5%に軽減されます。しかし、期限後申告は税務調査の通知後でも可能です。無申告加算税の税率も、以下のように軽減されます。

  • 50万円まで10%
  • 50万円を超え300万円までの部分に15%
  • 300万円を超える部分に25%

また、延滞税は納期限から納付日までの日数によって税率が変わります。期限後申告を早めにすることで無申告状態が解消され、支払う税額も引き下げられます。

まとめ・副業で確定申告が必要かどうか必ず確認しよう!

たとえ副業であっても所得が一定額を超えたら確定申告が必要です。無申告は様々な状況から税務署に知られる可能性があるため、リスクが高いです。
副業で収入を得ている場合は、ルールを守ってきちんと確定申告を行ってください。




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大久保写真創業手帳・代表 大久保の解説

創業手帳の代表の大久保です。
最近、副業がブームですが、20万円の収益は割とすぐに超えてしまうので注意が必要です。申告漏れはペナルティの他、今後の活動に影響を与えかねません。面倒でも、きちんと申告しましょう。
特に、最近はマイナンバーやインボイス制度の導入、キャッシュレス化により、様々な取引データがデジタル化され、可視化できるようになってきています。
そのため、従来のアナログな現金取引より申告漏れが発覚しやすい環境になりつつあります。手続きを怠る人の多くは、手間や理解の困難さを理由に挙げますが、不安を抱えるよりも早めに手続きを済ませることをお勧めします。

創業手帳では、副業向けの確定申告ガイドを無料で提供しています。所得を見直すことで学ぶことも多いため、ぜひ確定申告の手続き頑張ってくださいね!

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(編集:創業手帳編集部)

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