法人登記をする際に必要な12種類の書類
提出が必要な書類を見極めて準備しよう!
(2018/04/20更新)
法人登記に必要な書類は、全部で12種類。一見、多く感じられますが、場合によっては不要な書類もありますから、実際に準備すべきものはもう少し減るかもしれません。今回は法人登記に必要な書類について、詳しく解説していきます。
法人設立後も必要な手続きがあります。それは、税務関係の手続きです。具体的には、“法人設立届出書”、“給与支払事務所等の開設届出書”、“青色申告の承認申告書”の3つです。冊子版の創業手帳(無料)では、これら3つの書類についてわかりやすく解説していますので、法人設立後の参考にしてください。また、創業手帳では法人登記後の設立の流れもまとめてあります。
この記事の目次
法人登記に必要な12種類の書類一覧
法人登記に必要な書類は、以下の12種類です。
- 登記申請書
- 定款
- 発起人の同意書
- 代表取締役を選定したことを証する書面
- 代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書
- 代表取締役の印鑑証明書
- 取締役、監査役の本人確認証明書
- 設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類
- 払込みを証する書面
- 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
- 委任状
- 印鑑届出書
一見すると、必要書類が多く大変そうに感じるかもしれません。しかし、中には特定の場合にだけ必要で、該当しない場合には準備不要の書類もあります。
それぞれの書類については後ほど詳しく解説しますので、必要かどうかを見極めて、効率的に登記準備を進めましょう。
さらに、用意すべき書類以外にも、法人登記を申請する前に決めておくべきことがいくつかあります。これについては次の章で解説しますので、気になる方は先に「法人登記までの流れ」をチェックしてみてください。
それでは法人登記に必要な書類について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.登記申請書
法人登記に一番大切な書類が、「登記申請書」です。
法務省のホームページより、記載例やテンプレートがダウンロードできます。
記載が必要な項目は、以下の8項目です。
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- 会社名(商号)
- 本店の所在地
- 登記の事由
- 登記すべき事項
- 課税標準金額
- 登録免許税
- 添付書類一覧
- 収入印紙貼付台紙
登記申請書が複数ページにわたる場合は、各ページのつづり目に契印が必要です。
使用する印鑑は、「印鑑届出書」で登記所に登録する代表取締役の印鑑です。間違えないように気をつけましょう。
2.定款
会社登記手続きには、事前に公証人に承認された「定款」の添付が必要です。
「定款」とは、会社設立時に必ず作成するもので、会社の事業目的、構成員など様々な項目で成り立つ、会社の基本的な規則が記載された文書のことです。
会社を設立する際には必ず作成が必要なので、あらかじめ用意しておきましょう。
詳しい作成方法は以下の記事で解説しています。参考にしてみてください。
3.発起人の同意書
「発起人」とは、会社設立の際、資本金の出資、定款の作成など会社設立の手続きを行う人のことです。発起人の同意書は、以下の項目が定款で定められていない場合に必要です。
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- 発起人が割当を受けるべき株式数と発起人が払い込むべき金額
- 株式発行事項または発行可能株式総数の内容
- 資本金、資本準備金の額
作成が必要な場合は、無料で利用できるテンプレートを使うと便利です。
4.代表取締役を選定したことを証する書面
代表取締役を選んだことがわかる書類のことを指します。
少数人で会社を設立する場合、口頭での話し合いで代表取締役が決まることが多くありますが、「代表取締役をあの人に頼もう」と決まったことを、書面に残すためのものです。
この書類は、次に説明する「就任承諾書」と兼用することが多くあります。
5.代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書
代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書とは、その名のとおり、選任されたことを承諾する旨の記載をした書類です。
代表取締役の場合、前述した「代表取締役を選定したことを証する書面」と兼用するために、「○○が選任され、それを○○は承諾した」という記載がされることが多くあります。
6.代表取締役の印鑑証明書
代表取締役の就任承諾書に押した印鑑の印鑑証明を用意します。発行から3か月以内の印鑑証明書が必要なので、期限切れに注意しましょう。
取締役が複数いる場合には、業務全般の意思決定をするための組織として取締役会というのを設置することが多いのですが、それがない場合は、取締役全員の印鑑証明書が必要です。同じく期限が切れていないか確認するようにしてください。
取締役会については詳しくは下記記事をご覧ください
また、会社設立時には、準備しておいたほうがよい3つの法人印鑑があります。印鑑証明で必要とするのは、会社名と代表者の役職が記された実印です。このほかに、銀行印と、日常的に使う角印が必要となります。冊子版の創業手帳では、この法人印鑑についてわかりやすく解説しています。また、併せて契約書の基本についても解説しています。
7.取締役、監査役の本人確認証明書
「取締役、監査役の本人確認証明書」は、取締役、監査役の印鑑証明を添付しない場合に必要です。
本人確認証明書には、以下のような書類を使用できます。
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- 住民票記載事項証明書(住民票の写し※個人番号が記載されていないもの)
- 戸籍の附票
- 住基カード(住所が記載されているもの)
- 運転免許証等のコピー
- マイナンバーカードの表面のコピー
上記のうちいずれかのもので、本人確認をとることが出来ます。
住基カード、運転免許証のコピーについては、裏面もコピーする必要があります。その際、本人が「原本と相違がない」と記載し、記名、押印も必要です。
マイナンバーカードの表面のコピーについても、本人が「原本と相違がない」と記載し、記名、押印が必要です。ちなみに、個人番号の「通知カード」は、本人確認証明書として使えません。
いずれの書類も、複数ページにわたる場合は、綴じたあと契印を忘れずにおこないましょう。
8.設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類
定款で「変態設立事項に関する事項」が定められている場合に必要な書類です。
定款に記載された内容に相違がないことを調査し、報告書にまとめたものをさします。複数ページにわたる場合は契印が必要です。
9.払込みを証する書面
「払込みを証する書面」とは、資本金の振込を証明する書類のことをいいます。
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- 通帳の表紙のコピー
- 通帳の1ページ目(口座番号・名義などの情報が載っているページ)のコピー
- 通帳の振込が確認できるページのコピー
上記4つを印刷し、綴じます。それぞれのページに契印するのを忘れずにしましょう。
10.資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
資本金として出資されるものが、金銭だけの場合は作成不要です。
土地や建物など、お金以外のものによる「現物出資」がある場合には作成します。法務省の記載例の中に作成例が載っていますので、必要な場合には利用しましょう。
11.委任状
委任状は、代理人に申請を委任した場合のみ必要です。
12.印鑑届出書
印鑑届出書は、会社の実印を法務局に届けるための書類です。
テンプレートが法務省のホームページに載っているので、ダウンロードして使用します。
法人登記までの流れ
これまで解説してきた書類の準備はもちろんですが、法人登記までにやるべきことはほかにもあります。法人登記は、以下のようなステップで進めましょう。
- 法人登記の5ステップ
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- 1.基本事項の決定
- 2.定款作成
- 3.資本金の払込み
- 4.登記書類作成
- 5.登記申請
会社名(商号)の決定や印鑑の作成、資本金額の決定など、決めることはたくさんあります。
また定款を作成する際には、必ず記載するべき「絶対的記載事項」の記載が必要です。記載がないと定款全体が無効になってしまうため、慌てて作成するようなことは避けた方がいいでしょう。
法人登記の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。確認してから作業を始めると、抜け漏れがなく時間を有効に使えるはずですよ。
まとめ
これで、法人登記に必要な書類について理解できたでしょうか?
大変そうな「法人登記」ですが、やるべきこと・準備するべきものを事前に知り、整理しておけば、実際に準備してみたらそれほどでもなかった…と感じるかもしれません。
何より、法人成りすることで受けられるメリットは数多くあります。前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
法人成りすることで受けられるメリットや会社設立することによって受けられるメリットについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
また、会社設立後に必要となるノウハウは、冊子版の創業手帳がわかりやすくまとめています。法人登記と同じように、事前に知って準備しておくだけで大変さが全然違うと思いますので、起業の際はぜひ創業手帳を参考にしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)
会社立ち上げの流れは最新号の創業手帳(冊子版・無料)も併せて読んで見て下さい。