商工会・商工会議所の賢い活用法 ~資金調達編~

資金調達手帳

商工会・商工会議所を活用すれば、資金調達はもっと有利になる!

(2019/11/28更新)

創業準備段階や創業してからしばらくは、「お金を借りたい」「人を採用したい」等々、本業以外の様々な問題に頭を悩ますことでしょう。そんな時、身近にアドバイスをしてくれる人がいればどんなに助かることか。

みなさんは、商工会と商工会議所(以下「商工会等」といいます)をご存じでしょうか。どちらも中小規模企業に対する経営支援を行っている団体で、全国どの地域にもあり、入会すればあらゆる経営相談に乗ってもらうことができます。中でも、資金調達に関する支援を受けることで得られるメリットは大きく、創業者にとってもプラスになることが数多くあるでしょう。
この記事では、商工会等とはどういう組織か、創業者にとってどういう支援策があるのか、「資金調達」というポイントに絞って詳しく解説していきます。

資金調達の方法には商工会等が窓口になっている以外にも多数あります。資金調達に関する情報だけをまとめた創業手帳の別冊版、資金調達手帳(無料)では、融資や、補助金・助成金、ベンチャーキャピタルの出資など、さまざまな資金調達について詳しく解説しています。また、それぞれの資金調達において、資金調達を成功させるコツも解説しています。

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商工会・商工会議所とは

商工会と商工会議所は、沿革や設立の背景などは異なりますが、どちらもその地域における商工業者の経営改善と地域経済の活性化を目的としています。商工会議所と商工会の地域は重複しておらず、すべての地域の商工業者が、どちらかの支援を受けることができるようになっています。

どこが同じ?

少子高齢化や人口減少などの環境変化により、特に地方での小規模・中小企業の経営環境は厳しい状況に陥りがちです。
そのような地方での商工会等の主な活動として、中小企業支援事業、特に9割を超える小規模事業者に対する経営改善普及事業を実施しています。商工会等に所属する経営指導員が、財務経理、税務、労務などの小規模事業者にとって難しい課題について、経営相談・経営診断・経営改善などの支援を行っています。

どこが違う?

商工会・商工会議所の違いとしては、設立の経緯などがあります。主な違いは次の通りです。
特に注意をすべき点は地域です。商工会は町村、商工会議所は特別区及び市が基本です。しかし、この区割りは、平成大合併前の区市町村となっています。その他主な違いを以下の表にまとめました。

◇商工会・商工会議所の主な違い

商工会 商工会議所
根拠となる法律 商工会法 商工会議所法
管轄官庁 経済産業省中小企業庁 経済産業省経済産業政策局
担当エリア 町村 特別区、市部
会員規模 小規模事業者が圧倒的(9割超) 小規模事業者が中心(8割)、中小・中堅企業も一定程度ある
事業内容 中小企業施策。中心は、経営改善普及事業 中小企業支援事業、原産地証明などの国際的な活動、政策提言、会員交流、検定試験の主催など
設立要件 地区内の商工業者の2分の1以上が会員となること 特定商工業者の過半数の同意があること
意思決定機関 すべての会員で構成される総会 会員および特定商工業者からの選挙、部会などで選任された議員にて構成された議員総会
設置数・会員数 1,653か所、81万人(H29.4) 515か所、125万人(H30.4)

どちらの期間も目的や支援の内容は共通する部分があるので、これらの違いについては頭の隅に置いておく程度で大丈夫でしょう。

入会するには?

敷居が高い感じがしますが、商工会等への入会のハードルは決して高くありません。商工会等は、現在、国から小規模事業者の伴走型支援を求められています。創業準備段階から事業が安定するまで支援できる商工業者の入会は、商工会等にとってもウエルカムです。
入会資格は、地区内で事業を行っている商工業者であれば、基本的には、法人、団体、個人を問わず入会することができます。年会費は、年間1万円前後となっています。入会資格や年会費などは、商工会等によって違いますので、地区の商工会等にお問い合わせください。

商工会等が提供しているお勧めの「資金調達」支援4選!

商工会等が担う役割の全体像についてはすでに記載した通りですが、その中でも、創業者に提供している主な「資金調達」面での支援内容は次の通りです。

お勧め① 特定創業支援事業の支援を受けることによる特典

特定創業支援事業とは、商工会等が行う創業塾、創業セミナーなどの創業支援事業のうち、国の「産業競争力強化法」に基づいて認定を受けた創業支援のことです。同事業により支援を受けたことの証明書を申請し取得すると、「資金調達」面で次のようなメリットがあります。

①創業関連保証の特例

無担保、第三者保証人なしの創業関連保証枠を利用した融資に事業開始前に申し込む場合、特例により前倒しで申し込みをすることができます。
【通常】事業開始2カ前から
【特例】事業開始6カ月前から

②日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の自己資金要件充足

創業前または創業後税務申告を2期終えていない事業者に対する融資制度である「新創業融資制度」について、創業資金総額の10分の1以上の自己資金要件を満たしたものとして、制度を利用できます。
【通常】1期目の税務申告前の創業者(創業前の方も含む)自己資金が必要
【特例】1期目の税務申告前の創業者(創業前の方も含む)自己資金要件は満たしたものとなる

③日本政策金融公庫の「新規開業支援資金」の貸付利率の引き下げ

日本政策金融公庫の新規開業資金(日本政策金融公庫のページ)について、貸付利率の引き下げ対象として同資金を利用することができます。
※地域によって支援内容が異なる場合もあるので、詳細は各商工会等にお問い合わせください。

お勧め② マル経融資

マル経融資は、無担保・無保証人・低利子で日本政策金融公庫が融資を行う国の制度です。商工会等で原則6カ月以上の経営指導を受けた小規模事業者が対象となります。

【利用できる商工業者】
・小規模事業者であること
  製造業、建設業、運輸業、その他(宿泊業、娯楽業など)… 従業員20人以下
  卸売業、小売業、サービス業             … 従業員5人以下
・商工会等の地区内で1年以上事業を行っていること
・商工会等の経営指導を原則6カ月以上受けていること
・税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納していること
・日本政策金融公庫の融資対象業種であること

【融資条件】
・貸付限度額  2,000万円
・返済期間 
  運転資金 7年以内(据置期間 1年以内)
  設備資金10年以内(据置期間 2年以内)
・無担保、無保証担保、保証協会の保証も不要
・利率  1.21%(令和元年11月1日現在)

お勧め③ 制度融資

制度融資とは、自治体、地域金融機関、信用保証協会が連携して、中小企業者に資金を供給する仕組みです。多くの自治体で申込受付期間の役割を商工会等が担っています。
制度融資では、信用保証協会の保証に加え、自治体が利子の補給や保証料補助などで中小企業の資金調達を支援しています。
特に、創業者に対しては、地域の開業率を高め地域経済の活性化を図るため、様々な支援メニューが用意されています。特に特定創業支援事業を受けた方や商工会等の推薦・斡旋がある場合には、更に有利な条件で借り入れることができます。

◇主な支援メニュー:自治体によって異なります
•金融機関への資金供給による低金利の実現
•利子補給
•信用料の一部補助

【出典】埼玉県 「制度融資の概要」

お勧め④ 補助金の活用(小規模事業者持続化補助金等)

創業者や小規模事業者にとって補助金は有効な資金調達手段のひとつです。創業者(準備者も含む)には、国や自治体が公募する「地域創造的起業補助金」などが用意されています。
「地域創造的起業補助金」は、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的に、新たに創業する者に対して創業に要する経費の一部を補助してくれます。

一方、すでに開業し事業を行っている事業者にとっては、「小規模事業者持続化補助金」が魅力的です。これは、事業の持続的な発展を目的とした、販路開拓等のPR活動に取り組む際の経費を補助するもので、「商工会等が申請の窓口となります。商工会等のサポートを受けながら経営企画書を作成し、計画に沿って行う事業が支援対象となります。補助金の補助率は補助対象経費の3分の2以内で、上限額は基本的に50万円となっています。
平成30年補正予算(令和元年実施)では、商工会で93%超、商工会議所で86%超の採択率となり、全国で3万社を超える小規模事業者が採択されています。

補助金の獲得という実利に加え、商工会等の支援を受け創業計画の見直しをする機会にもなります。補助金申請にはぜひチャレンジすることをお勧めします。

まとめ

創業時には身近な相談相手があるととても心強いです。商工会等は、困った時に自分で足を運んでも良いし、事務所に巡回に来てもらうこともできます。

資金調達も含めた小規模事業の経営改善事業は、商工会等に入会していることは条件ではありません。そうはいっても商工会等の立場であれば、会員を大事にしようと考えるのは当然のことです。
創業したばかりであれば試しに入会し、色々な支援メニューを活用してみましょう。支援メニューや相談員に満足できなければ、年度が終わるときに退会すれば良いだけのことです。

会員になってどのように活用するかは自分次第です。ネットワークや商売のチャンスも広がりますので、商工会等を賢く活用してみてください。

資金調達手帳では、様々な起業家のインタビュー記事を掲載しています。資金調達を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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