これから起業する方は要チェック!起業家にやさしい地方自治体まとめ

創業手帳

知って得する地方自治体の取り組み

(2019/03/13更新)

これから起業する方にとって、資金や経営方針など、悩みどころは多岐にわたるでしょう。そんな方々にぜひ利用して欲しいのが、地方自治体が行なっている起業家の支援。国や金融機関だけでなく、地方自治体からも融資を受けたり、支援を受けたりすることができるのです。

今回は、地方自治体がどのような起業家の支援を行なっているのか、起業家の数が多い主要都市に絞ってご紹介します。

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地方自治体が起業家の支援に力を入れる理由

地方自治体が起業家の支援に力を入れているのには、様々な理由があります。
その一つとして、「企業の誘致が一番経済効果が高いから」ということが挙げられます。

企業が設立されると、それに伴う雇用が生まれます。つまり、地域雇用の促進につながる、ということです。
さらに、その企業が地元に根付けば、新しい企業が次々と生まれ育っていくという流れが構築され、地方創生の基礎となります。実際に、創業支援などの施策によりV字回復できた熱海市に代表される前例もあります。

このようなことから、地方自治体は地方創生のために起業家の支援に力を入れている、という側面があります。

地方自治体の起業家の支援を活用するメリット

起業家の支援は国でも行っていますが、地方自治体の制度だからこそのメリットがあります。

まずは、起業家への「融資制度」についてです。
ほとんどの地方自治体では、低金利・無担保・無保証・全期間利率固定など、創業資金の融資を受ける際の利子相当額の一部、もしくは全額を補助してくれる制度を整えています。

次に、「融資制度以外の支援」についてです。
これには、起業塾や、セミナー、個別相談など様々なものがあります。
地方自治体は、地方の現状・特性・課題をよく理解しているため、地方での起業について的確なアドバイス・支援を行ってくれます。
もし、地域密着型のビジネスを考えているのであれば、自治体が手がける個別相談などを利用してみると良いでしょう。

主要都市別”起業家にやさしい”支援・融資制度

数ある地方自治体の中でも、今回は起業する場所として選択することが多いであろう主要都市にしぼり、数ある支援制度から起業家にやさしい支援・融資制度をピックアップしました。
(2019年3月13日時点のものをピックアップしています)

東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業

まず、東京都には、「女性・若者・シニア創業サポート事業」という創業支援があります。
女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、創業の計画がある者か、創業後5年未満の者を対象としているもので、融資とその後の経営サポートにより、創業を支援するプログラムです。

具体的な流れは以下のとおりです。

  • セミナー受講・個別相談
  • 融資相談
  • 融資前の事業計画アドバイス
  • 融資申込
  • 融資審査・融資実行
  • 融資後の経営サポート

「融資後の経営サポート」は、融資実行日から最大5年間行われます。
具体的には、年3回の「事業計画のブラッシュアップ」、事業の継続発展のためのアドバイスを行う「経営アドバイス」、融資後1年目に2回、税理士が決算書作成に関するアドバイスを行う「決算書作成アドバイス」があります。

融資限度額などの条件は以下の通りです。

融資限度額 1,500万円(運転資金のみ750万円)
利率 1%以内(固定金利)
返済期間 10年以内(うち据置期間(※1)3年以内)
担保 無担保
保証人 法人:代表者個人または不要
個人事業主:不要

※1
据置期間:元金の返済が猶予される期間のこと。据置期間の間は利息の返済のみをすればよく、月々の支払いが減るため、資金繰りが安定する効果がある。

金利が安いだけでなく、無担保・保証人不要。
創業者にとって頼もしい融資制度と言えるでしょう。

東京都はビジネスプランコンテストも充実している

また、東京ではビジネスプランコンテスト(ビジコン)も充実しています。
400字にまとめたアイデアを元にエントリーすることができるスタートアップ・コンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY」を始め、「ビジコンなかの」や、「荒川区ビジネスプランコンテスト」、「大田区ビジネスプランコンテスト」、「えどがわ起業ビジネスプランコンテスト」など各区が主催するもの、女性経営者による事業を対象とした「DBJ女性新ビジネスコンペティション」など、たくさんの種類があります。

ネット検索や自治体に直接問い合わせるなどして、自身のビジネスに合ったコンセプトのビジコンを探してみるのも良いでしょう。

埼玉県「県融資制度

埼玉県には、「県制度融資」があります。
県と金融機関、埼玉県信用保証協会、商工会議所・商工会が連携し、事業に必要な資金を融資する制度です。

開業前から開業後5年未満の方を対象とした「起業家育成資金(新事業創出貸付)」や、女性・若者を対象とした、「女性・若者経営者支援資金(女性・若者起業家支援貸付)」など、様々な制度融資があります。

今回は、起業家育成資金(新事業創出貸付)の概要をご紹介します。

融資限度額 1,500万円(設備・運転併用の場合は合計1,500万円)
利率 1年超3年以内:年0.7%以内
3年超5年以内:年0.8%以内
5年超10年以内:年0.9%以内
(平成30年10月1日~平成31年3月31日融資実行分の利率(固定金利))
返済期間 設備資金:1年超~10年以内
運転資金:1年超~7年以内
(うち据置期間1年以内)
担保 無担保
保証人 法人:代表者以外の連帯保証人は不要
個人事業主:不要

“低金利・全期間固定”、”無担保・第三者保証人不要”などが特長です。
また自治体によって、県または日本政策金融公庫の融資を受けている方を対象にした利子補給(※2)、保証料補助制度(※3)があります。埼玉県で起業を考えている方は一度チェックしてみると良いでしょう。

※2
利子補給:特定の制度による融資に対して,借入者の金利負担を軽減するため,自治体が金銭を給付すること。

※3
保証料補助制度:借入者が支払う保証料に対して、自治体が補助を出してくれること。

千葉県「県融資制度

千葉県にも、埼玉県と同じく「県制度融資」があります。こちらも、低金利かつ長期固定が特長です。

今回ご紹介するのは、創業者又は創業5年未満の中小企業者を対象にした「創業資金(一般枠)」と、千葉県が定める要件に該当し、かつ3,500万円を超える資金を必要とする方を対象にした「創業資金(経験・資格枠)」の2種類です。

「創業資金(一般枠)」は創業者又は創業5年未満の中小企業者を対象にした融資制度で、概要は以下の通りです。

融資限度額 3,500万円(運転資金は2,500万円まで)
利率 3年以下:年1%
3年超~5年以下:年1.2%
5年超~7年以下:年1.4%
(固定金利)
返済方法 割賦償還(据置期間1年以内)
担保 無担保
保証人 法人代表者以外は原則不要

「創業資金(経験・資金枠)」は前述した「創業資金(一般枠)」の対象者のうち以下の要件に該当し、かつ3,500万円を超える資金を必要とする方が対象です。(NPO法人は利用することができません)

  • 同一企業に継続して3年以上、又は同一業種の企業に5年以上勤務し、独立して同一業種の事業を創業する者
  • 法律に基づく資格を取得した者で、その資格を活かして、新たな事業を創業する者

概要は以下の通りです。

融資限度額 「創業資金(一般型)」の融資限度額に+2,500万円
利率 3年以下:年1%
3年超~5年以下:年1.2%
5年超~7年以下:年1.4%
(固定金利)
返済方法 割賦償還(据置期間1年以内)
担保 金融機関又は信用保証協会所定
保証人 法人代表者以外は原則不要

埼玉県と同じく、各市町村による利子補給・保証料補助制度もあります。

幕張メッセで開催される起業家応援イベントもある!

また、千葉県には「ちば起業家応援事業」という創業支援事業があります。
この事業では、ビジネスプラン・コンペティションの実施や、県内10地域での起業家交流会の開催、幕張メッセでの全県的な起業家応援イベントの開催を行っています。
特に、幕張メッセでのイベントは、2018年度は約2,500名の来場者を記録する、大きなものとなっています。
登壇者である起業家や、来場者とのビジネス・マッチングが行えたり、企業のブースがあるため、思わぬチャンスがあったりするかもしれません。

横浜市「横浜市創業促進助成金

横浜市には、「横浜市創業促進助成金」という助成金があります。
創業時に必要となる経費の一部を、最大30万円まで助成してくれるものです。

横浜市内で創業する者を対象としたもので、「横浜市創業支援事業計画」に位置づけられるセミナーを受講し、横浜市から受講の証明を受けていることを条件としています。

平成30年度の公募は、8月1日から11月20日の期間で行われており、応募総数は29件、採択総数12件。つまり、1/3強が採択されていることとなります。

大阪府「大阪起業家スタートアップ事業

大阪府には、「大阪起業家スタートアップ事業」という創業支援があります。
ビジネスプランコンテストの開催による、起業家の発掘と目標達成型の補助金の支給、受賞者への支援を組み合わせ、創業者の確実な成長を支援しています。
コンテストは、各年2回開催されており、2018年は1月と8月に開催されました。

おおさか社会課題解決ファンド」と「だいしん創業支援ファンド

また大阪には、「おおさか社会課題解決ファンド」「だいしん創業支援ファンド」があります。
どちらも日本政策金融公庫が協力し、大阪信用金庫とフューチャーベンチャーキャピタル(FVC)が出資し設立したファンドです。

「おおさか社会課題解決ファンド」は、大阪信用金庫の営業対象地域(大阪市・尼崎市・伊丹市など)で、環境・福祉・ヘルスケアに代表される社会課題の解決に取り組む企業を対象としています。

「だいしん創業支援ファンド」の対象は、会社設立予定者、もしくは株式会社化から5年以内の企業。株式上場を前提としていないため、地域密着のビジネスなどでも利用しやすい仕組みとなっています。
また、ファンドであるため、外部の専門家のアドバイスを受けられることも大きな特長としています。

福岡県「FVM(フクオカベンチャーマーケット)

福岡県には、「FVM(フクオカベンチャーマーケット)」というシステムがあります。
中小・ベンチャー企業とビジネスパートナーを結ぶ「マンスリーマーケット」と呼ばれるプレゼンテーションの場を用意し、それをひとつの目標として、ビジネスプランの作成支援などを行います。
エントリーに要件はなく、やる気のある中小・ベンチャー企業なら誰でも参加することができます。

「マンスリーマーケット」には、プレゼンテーション目的に合ったパートナー企業が参加するため、資金の獲得や、業務提携などにつながりやすくなっています。参加後には、企業同士の交流を通じてコミュニティ形成が可能な「福岡ベンチャークラブ」に加入することができます。

「マンスリーマーケット」は、月に1回の開催。
「FVM」のWebサイトでは、「マンスリーマーケット」のレポートが月に1回度更新され、どのようなベンチャー企業が参加しているのかを知ることができます。

起業家にやさしい自治体はほかにもまだある!

今回ご紹介した主要都市以外の地方自治体でも、起業家の支援を行っています。
特に、利子補給については、ほとんどの地方自治体が行っているので、起業するエリアの目星がつけば、調べてみるのが良いでしょう。
セミナーや専門家によるアドバイスなどは無料で受けられるものが多いので、こちらも見逃せません。

また、ほとんどの自治体には、起業するために活動する入居者を支援する施設である「インキュベーション施設」があります。
起業して間もない企業に安価な賃料で事業スペースを提供してくれるだけでなく、専門家による成長支援・事業化支援を受けることができる自治体もあります。

創業手帳Webサイトでも最新の融資・助成金・インキュベーション施設を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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