【2024年最新版】農業ビジネスで役立つ補助金・助成金まとめ!活用してコストの負担を抑えよう

創業手帳

新規就農者や農業従事者が利用できる補助金は意外と多い

この記事のAI要約!


●農業ビジネスで活用できる最新の補助金・助成金
●新規就農者向け補助金・助成金の内容と申請条件
●設備投資に役立つ補助金・助成金の詳細
●人材育成や確保に関連する補助金・助成金
●申請手続きの注意点と成功のコツ

農業は人々の生活を支える重要なビジネスです。農業ビジネスに参入するにあたり、気になるのは資金面ではないでしょうか。
事業用資金の調達方法は様々で、国や地方自治体による補助金・助成金も選択肢になります。
実は、農業を始める人や、すでに従事している人が利用できる補助金や助成金はいくつもあります。
今回は、農業ビジネスに役立つ補助金・助成金制度をまとめてご紹介するので、ぜひ資金調達の参考にしてください。

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農業を始めるのに必要な資金はどれくらい?


農業を始めるにあたって、どのくらいの準備資金が必要なのか把握しておく必要があります。まずは、就農にかかる費用の目安をご紹介します。

準備資金は農作物や運搬費用により異なる

全国新規就農相談センターが公表する「新規就農者の就農実態に関する調査結果 -令和3年度‐」によると、就農するための準備資金の全国平均は474.4万円となっています。
自己資金の使い道ごとの全国平均額は以下のとおりです。

  • 農地・機械・施設の取得、営農用:280.9万円
  • 生活資金:169.8万円
  • その他資金:106.8万円

結果をもとにすると、農業を始めるためには少なくとも500万円の自己資金が必要になると考えられます。
しかし、実際には育てる農作物や運搬にかかる費用によって大きく変わるので注意が必要です。
農業を始めたばかりの時点では収穫するまで収入がなく、採れた農作物が売り物にならなかったというケースも珍しくありません。
500万円は最低目安と考え、準備資金は余裕を持って確保することが大切です。

初期費用を抑えるなら補助金・助成金の活用がおすすめ

農業を始めるにも大きな資金が必要となり、自己資金だけでは賄えないケースもあります。
金融機関に融資を受ける方法もありますが、審査に通過する必要があり、借入れを受けたら返済もしなければならず、負担は大きいといえます。
しかし、国や地方自治体による補助金・助成金制度であれば、基本的に返済なしで資金を調達することが可能です。
補助金や助成金にも申請の要件がありますが、融資よりも負担をかけずに資金調達ができるので、準備資金として活用してみてください。

新規就農者向けの補助金・助成金一覧


これから農業を始める人向けの補助金・助成金制度は以下のとおりです。

制度名 補助・助成額 対象者
農業次世代人材投資資金 準備型 準備型:年150万円×最長2年間 49歳以下の研修期間中の研修生
経営開始型 年150万円×最長2年間 49歳以下の認定新規就農業者
経営発展支援 上限1,000万円
※経営開始資金の交付対象者は上限500万円
49歳以下の認定新規就農業者

農業次世代人材投資資金

農業次世代人材投資資金は、新しく農業を始める人や研修生、農業法人に向けて資金の支援を行っています。
新規就農で利用できる制度は、準備型と経営開始型の2種類に分けられます。

準備型

新規で農業を始める人の研修や、経営開始後の生活をサポートするための助成金制度です。
支援対象者は研修期間中の研修生で、年間150万円(月12.5万円)の支援を最長2年間受けられます。

【主な交付要件】
  • 都道府県が認定する研修期間で約1年以上(1年につき約1,200時間以上)の研修を受けている
  • 就農時の年齢が49歳以下
  • 農業の自営や農業法人への雇用を目指している
  • 常勤の雇用契約を結んでいない
  • 生活保護や求職者支援などその他の助成金を受給していない
  • 前年の世帯所得が600万円以下

適切な研修を受けていなかったり、研修終了後の1年以内に農業経営や雇用就農していなかったりする場合には、助成金の返還が必要となるので注意してください。

経営開始型

農業を開始し、経営が安定するまでサポートしてくれる助成金です。こちらは、新規の認定就農者を対象にしています。
支援額は年間150万円(月12.5万円)で、最長3年間支援してもらうことが可能です。

【主な交付要件】
  • 就農時の年齢が49歳以下
  • 前年の世帯所得が600万円以下
  • 自ら農業を経営している
  • 生活保護や求職者支援など他の助成金を受給していない

交付期間の修了後、または交付期間と同じ期間だけ農業経営を継続しなかった場合、助成金を返還しなければなりません。

経営発展支援

経営発展支援は、新規就農者が経営を発展させるために機械や施設の導入、果樹・茶の新植や改植などを行う際の資金を支援してもらえます。
補助対象事業費の上限は1,000万円(上記の経営開始資金も同時に受ける場合は上限500万円)です。
この制度では、上限1,000万円のうち、都道府県の支援分の2倍を国が支援します。補助率の例を挙げると、国1/2、県1/4、本人1/4となります。
本人負担額の1/4は、融資機関から融資を受けなければなりません。

【主な交付要件】
  • 独立・自営就農
  • 就農時の年齢が49歳以下
  • 生活保護や求職者支援などの他の補助金制度を受給していない
  • 本人負担分の経費は、融資機関から融資を受ける

年間150日かつ1200時間以上の農作業に従事していない場合、返還対象となります。

農業での設備投資に活用できる補助金・助成金一覧


農作業効率のアップや負担軽減などを実現するためには、設備の整備が欠かせません。続いては、農業の設備投資で活用できる補助金・助成金制度をご紹介します。

制度名 補助・助成額 対象者
強い農業・担い手づくり総合支援交付金 先進的農業経営確立支援タイプ 個人:最大1,000万円
法人:最大1,500万円
・人・農地プランの中心経営体
・農地中間管理機構で賃借権の設定を受けている
地域担い手育成支援タイプ 上限300万円 人・農地プランの中心経営体
農地耕作条件改善事業 地域内農地集積型 事業・メニューごとに変動 農地中間管理機構の重点実施区域
高収益作物転換型 事業・メニューごとに変動 農地中間管理機構の重点実施区域
スマート農業導入推進型 事業・メニューごとに変動 ・農地中間管理機構の重点実施区域
・スマート農業の基盤が整備済み、または見込みのある農地
病害虫対策型 事業・メニューごとに変動 病害虫の警報・注意報等が発表された区域
水田貯留機能向上型 事業・メニューごとに変動 流域治水プロジェクト、治水協定等防災に関する取組みが策定される地域
土地利用調整型 事業・メニューごとに変動 農地中間管理機構の重点実施区域
ものづくり補助金 一般型:上限100~4,000万円
グローバル型:上限100~3,000万円
※補助金の種類・従業員数で変動
補助金の種類によって異なる
中小企業投資促進税制 取得価格の30%の特別償却、もしくは7%の税額控除 ・中小企業(資本金1億円以下の法人等)
・従業員1000人以下の個人事業主
IT導入補助金 通常枠A類型:5~150万円未満
通常枠B類型:150~450万円以下
中小企業・小規模事業者等

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

地域農業の強化や担い手となる人に向けた支援制度で、先進的農業経営確立支援タイプと地域担い手育成支援タイプの2つの制度があります。

先進的農業経営確立支援タイプ

事業規模の拡大や農業経営体と地域の相乗発展を目指す事業体を対象にした支援制度です。
融資を受けて耐用年数5~20年の農業用機械・施設導入する際、融資残額を補助してくれます。
上限額(事業費の3/10以内)は個人が1,000万円、法人は1,500万円です。
交付対象には、以下2つのパターンがあります。

人・農地プランの中心経営体に位置づけられる人 農地利用を担う経営体の在り方を定めた「実質化された人・農地プラン」を作成する地域で、農業における中心的な役割が見込まれる農業者
農地中間管理機構で賃借権の設定等を受けた人 「実質化された人・農地プラン」が作成されていない地域の農業者に適用

実質化された人・農地プランが作成された地域であるかどうかは、市町村の農政担当部局に問い合わせてください。

【主な交付要件】
  • 高い目標を持って農業の担い手としての取組みを行う
  • 地域との相乗発展を目指す取組みを行う

地域担い手育成支援タイプ

地域農業において経営発展のための取組みを実施する農業経営体に対する支援制度です。こちらの制度は、融資主体型補助事業と条件不利地域型補助の2種類があります。
今回は、融資で農業用機械・施設を導入する際、融資残額を補助してくれる融資主体型補助事業をご紹介します。

助成対象は、耐用年数5~20年の農業用機械・施設で、上限額(事業費の3/10以内)は300万円です。
上記と同じく、対象者は人・農地プランの中心経営体に位置づけられる人、または農地中間管理機構で賃借権の設定等を受けた人となります。

【主な交付要件】
  • 高い目標を持って農業の担い手としての取組みを行う
  • 地域との相乗発展を目指す取組みを行う

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業は、農業を続けるための環境整備することを目的にした支援制度です。
条件によって利用できる制度が異なり、いずれも事業・支援メニューによって補助金額が変わってきます。
農地耕作条件改善事業は条件が厳しく、制度の種類や事業内容によって手続きも変わってくるので、自治体やJAなどに確認して申請を行うことをおすすめします。

地域内農地集積型

地域計画の策定地区の農地を対象に、区画整理や暗渠排水、用排水路などの基盤整備するための支援制度です。
同時に、作物の品質向上や維持管理の省力化などの支援も実施しています。

【主な交付要件】
  • 農地中間管理機構の重点実施区域、または人・農地プランが実質化されている地域の農地
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上

高収益作物転換型

基盤整備と同時に高収益作物を導入する地区を対象に、技術研修や種子代、肥料代などの必要経費を補助してくれる支援制度です。
こちらも事業・支援メニューによって補助金額は異なります。

【主な交付要件】
  • 農地中間管理機構の重点実施区域、または人・農地プランが実質化されている地域の農地
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上
  • 受益のうちの1/4以上を高収益作物に転換する

スマート農業導入推進型

スマート農業の基盤整備が行われた農地、または整備が見込まれる農地を対象に実施される支援制度です。
スマート農業の導入に必要なGNSS基地局の設置、農業用トラクターの自動操舵システムなどを導入する際に補助を受けられます。

【主な交付要件】
  • 農地中間管理機構の重点実施区域、または人・農地プランが実質化されている地域の農地
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上

病害虫対策型

病害虫の発生防止やまん延防止のための土層改良や排水対策などの支援をしてくれる制度です。
害虫発生予察情報にて、警報や注意報、特殊報が発表される地域が対象となります。

【主な交付要件】
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上
  • 害虫対策計画、農地耕作条件改善計画を作成している

水田貯留機能向上型

田んぼダムの実施に必要な調査・調整の経費、畦畔の更新、排水口の整備などの基盤整備を支援する制度です。
田んぼダムにより水田の洪水緩和機能を人為的に向上でき、推進被害のリスクを抑えられるように整備できます。

【主な交付要件】
  • 流域治水プロジェクトや治水協定等防災に関する取組みが策定される地域
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上
  • 地区内で5割以上の面積で田んぼダムを実施する
  • 水田貯留機能向上計画を策定している

土地利用調整型

農地中間管理機構の重点実施区を対象に、域持続的かつ計画的な農地利用の実現を支援してくれる制度です。
作業用道や用排水路などの基盤整備、交換文豪や権利関係・農家意向当の調査・調整など条件改善のための費用を支援してくれます。

【主な交付要件】
  • ハード事業費200万円以上
  • 事業の受益者数が農業者2戸以上
  • 土地利用調整計画、農地耕作条件改善計画等を作成している

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、設備投資や新サービスの導入など通じて生産性の向上に取組む事業者を支援する補助金制度です。
幅広い事業で利用でき、農業の設備投資でも活用することが可能です。
補助金の種類は、一般型とグローバル展開型の2種類に大きく分けられます。さらに、一般型は通常枠や回復型 賃上げ・雇用拡大枠など、用途に応じて異なる枠組みがあります。
補助金の種類や従業員数によって、補助上限額や基本要件が異なるので注意してください。

人件費や土地・建物の購入費といった経費は、補助の対象外です。例えば、ビニールハウスを新設した際の取得費用に補助金は使えません。

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制は、2025年3月31日までに中小企業が設備投資を行った際に利用できる優遇制度です。
取得価格の30%の特別償却、もしくは7%の税額控除が受けられます。
対象は、資本金1億円以下の中小企業、農業者を含む従業員1000人以下の個人事業主です。
農業者もコンバインやトラクターなど新品の農業機械を購入した際に、特別償却や税額控除を適用できます。

なお、7%の税額控除を選べるのは、個人事業主と資本金3,000万円以下の法人です。

【取得価額の要件】
  • 機械装置:1台160万円以上のもの
  • 測定工具・検査工具:1台120万円以上のもの
  • ソフトウェア:70万円以上のもの

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業が業務効率や売上げアップを目的にITツールを導入する際に利用できる補助金制度です。
スマート農業に取組みたい農業者も補助金を使って、コストを抑えてスムーズにITツールを導入できます。

補助金の枠組みは、通常枠・デジタル化基盤導入枠・セキュリティ対策推進枠の3つがあります。
農業の場合、生産性向上につながるITツールの導入費用を補助する、通常枠の利用が一般的です。
通常枠の補助金額は、A類型が5~150万円未満、B類型が150~450万円以下です。

農業での人材の確保や育成に活用できる補助金・助成金一覧


ひとりで農業を行うのには限界があるため、人材の採用や育成が必要になります。人材確保や育成にかかるコストを抑えられる補助金もあるのでご紹介します。

制度名 補助・助成額 対象者
雇用就農資金 雇用就農者育成・独立支援タイプ 年間最大60万円 新規の就農者を雇用
新法人設立支援タイプ 年間最大120万円 一定期間、独立就農を目指す新規就農者を雇用
次世代経営者育成タイプ 月最大10万円 国内外で先進的な農業法人・異業種法人に職員を派遣する農業法人等

雇用就農資金

雇用就農資金は、新規で就農する雇用者に対して実施する研修を支援する制度です。
対象者と条件によって、雇用就農者育成・独立支援タイプ、新法人設立支援タイプ、次世代経営者育成タイプの3つの制度を利用できます。

雇用就農者育成・独立支援タイプ

新たに就農する雇用者を雇う農業法人や農業者などを対象に、技術・経営ノウハウ習得のための研修を実施する際の資金を助成してくれます。
支援額は年間最大60万円で、雇用者が障害者や生活困窮者などであれば年間で最大15万円がプラスされます。
支援期間は最長4年間となっているので、長きにわたって支援を受けることが可能です。

【主な要件(新規就農者)】
  • 新規就農者の年齢が50歳未満
  • 農業就業期間が5年以内

新法人設立支援タイプ

独立就農を目指す新規就農者を一定期間雇用する農業法人や農業者を対象に、技術や経営ノウハウを習得させる研修の実施費用を支援しています。
支援額は年間最大120万円で支援期間は最長4年間となっていますが、3年目以降は年間最大60万円となるので注意してください。
こちらも、雇用者が障害者や生活困窮者などであれば、年間で最大15万円がプラスされます。

【主な要件(新規就農者)】
  • 新規就農者の年齢が50歳未満
  • 農業就業期間が5年以内
  • 支援終了後の1年以内に新規で農業法人を設立する意思がある

次世代経営者育成タイプ

職員を次世代の経営候補者として育成をするために、国内外の先進的な農業法人、または異業種の法人に派遣する形で研修を行う農業法人や農業者が対象です。
支援額は月最大10万円で、支援期間は最短で3カ月、最長で2年間となっています。

【主な要件(派遣社員)】
  • 55歳未満
  • 派遣元の農業法人等の役員や正社員、または家族経営の後継者で農業経営に参画している

まとめ・農業関連の補助金は多いので活用しよう!

農業関連の補助金・助成金は数多く存在し、開業の準備資金や設備投資、雇用・育成にかかる費用を軽減できます。
各制度の要件を確認した上で、自分に合った補助金・助成金の利用を検討してみてください。
また、実際に申請する際は、最新情報を確認した上で手続きを行うようにしましょう。

創業手帳(冊子版)では、農業をはじめ、様々な事業に役立つ補助金・助成金の情報を提供しています。資金調達や経営に役立つ情報も掲載しているので、ぜひご覧ください。

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(編集:創業手帳編集部)

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