働き方改革推進支援助成金とは。4つのコースの内容や支給額などを紹介。

創業手帳

取り組みが難しい中小企業の働き方改革を支援。助成金を有効活用しよう!

労働環境の変化に対応するために制定された「働き方改革関連法」は、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現に向け企業にさまざまな対応を義務づけるものです。

中小企業も例外ではありませんが、対応が遅れている企業があるのも現実です。そんな企業におすすめするのが、働き方改革をサポートする「働き方改革推進支援助成金」です。

本記事では、2022年度の働き方改革推進支援助成金の4つのコースについて解説します。申請要件や支給額も紹介しますので、活用を検討してみましょう。

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働き方改革とは

働き方改革とは、働く人が個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を選択できる職場環境を整備することです。

少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、働く人のニーズは多様化しています。働き方改革では、働く人が能力を発揮しやすい環境をつくることによって、生産性の向上や働く人のワークライフバランスの実現を目指しています。働き方改革の主な内容は、次の通りです。

  • 働き過ぎの防止(残業時間の上限規制など)
  • 正社員と非正規社員の不合理な待遇格差の是正(同一労働同一賃金など)

中小企業による働き方改革への取り組み状況

2020年版の中小企業白書によると、企業規模が小さくなるほど働き方改革の内容についての理解度は低い傾向にあります。たとえば、「時間外労働の上限規制」についての理解度をみると、企業規模別に次の通りです。

企業規模別の「時間外労働の上限規制」の理解度

従業員数 十分に理解している 概ね理解している あまり理解していない 全く理解していない
5人以下 28.1% 47.4% 21.4% 3.2%
6~20人 38.3% 52.1% 9.0% 0.6%
21~50人 50.0% 46.3% 3.4% 0.3%
51~100人 56.9% 41.6% 1.5% 0.0%
101~300人 63.8% 34.6% 1.5% 0.1%
301人以上 63.9% 35.2% 0.8% 0.1%

参考:中小企業庁「第1部令和元年度(2019年度)の中小企業の動向」

また、「年次有給休暇の確実な取得」や「同一労働・同一賃金の実施」の内容についても、大企業と比較して中小企業の理解度が低いという結果が出ています。

次に、中小企業白書で働き方改革への対応状況をみると、企業規模が小さいほど、対応が必要と考えながらも「対応は困難」とする企業の比率が高くなっています。

企業規模別の働き方改革(全般)への対応状況

従業員数 十分に理解している 概ね理解している あまり理解していない 全く理解していない
5人以下 35.7% 38.9% 22.9% 2.5%
6~20人 35.4% 47.6% 16.3% 0.7%
21~50人 36.2% 53.1% 10.5% 0.2%
51~100人 35.2% 56.0% 8.7% 0.2%
101~300人 33.0% 62.0% 5.0% 0.0%
301人以上 23.5% 73.0% 3.5% 3.5%

参考:中小企業庁「第1部令和元年度(2019年度)の中小企業の動向」

働き方改革に対する理解度や取り組み状況から見て、組織体制や従業員の充足度で劣る中小企業の取り組みは、現実的に困難な状況であるといえるでしょう。

働き方改革推進支援助成金とは

働き方改革推進支援助成金とは、長時間労働の是正など働き方改革に取り組む中小企業に対して、その費用の一部を助成するものです。取り組み内容によって、次の4つのコースが設けられています。

  • 働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)
  • 働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)
  • 働き方改革推進支援助成金 (労働時間適正管理推進コース)
  • 働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)

それぞれについて、詳しく解説します。

働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)

最初に紹介するのは、働き方改革推進支援助成金の「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。

目的

労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ「時間外労働の削減」と「年次有給休暇・特別休暇の促進に向けた環境整備」に取り組む企業を支援するための助成金です。

対象者

助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。

  • 労災保険の適用事業主であること
  • 交付申請時点で、目標設定するための条件を満たしていること
  • 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けた就業規則等を整備していること

交付申請とは取り組み計画の承認をもらうための申請で、交付決定後に実際の取り組みをスタートします。
また、中小企業事業主とは、資本金または労働者数が次のいずれかに該当する企業の事業主です。

業種 資本(出資額) 常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

申請要件

申請要件は、「成果目標」の達成と「支給対象となる取り組み」の実施です。
成果目標は、次の中から1つ以上選択します。

  • 36協定で時間外・休日労働時間数を縮減、所定の上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出すること
  • 年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
  • 時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること
  • 特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇など)の規定を1つ以上を新たに導入すること

上記に加え、「労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行う」という目標を追加できます。
支給対象となる取り組みは、次の中から1つ以上選択します。

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用機器の導入・更新
  • デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

支給額

助成金の支給額は、取り組みの実施に要した経費の原則4分の3です。ただし、成果目標によって次の上限があります。

  • 成果目標1:50万円~150万円
  • 成果目標2:50万円
  • 成果目標3:25万円
  • 成果目標4:25万円

また、賃金額の引上げ目標を設定し目標達成した場合、引き上げ率や引き上げた人の数によって15万円から240万円の金額が加算されます。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」

働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)

次に、「勤務間インターバル導入コース」について説明します。

目的

勤務間インターバル導入コースは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む企業を支援するための助成金です。

勤務間インターバル制度は、勤務終了後から次の勤務までに一定の間隔(休憩時間)を設けるものです。過重労働を防止し、労働者の健康を守るために設けられました。

対象者

助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。

  • 労災保険の適用事業主であること
  • 勤務間インターバルを導入していない事業場を有する事業主であること(対象者が所属員の半数以下の事業所、インターバルが9時間未満の事業場を含む)
  • 交付申請時点と支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること
  • 原則、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
  • 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

申請要件

申請要件は、「成果目標」の達成と「支給対象となる取り組み」の実施です。

成果目標は、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着させることです。勤務間インターバル制度が適用される労働者の範囲を拡大したり、インターバルの時間を延長したりすることも対象になります。

支給対象となる取り組みは、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様です。

支給額

助成金の支給額は、取り組みの実施に要した経費の原則4分の3です。ただし、休憩時間数などによって次の上限があります。

  • 9時間以上11時間未満:80万円(40万円)
  • 11時間以上:100万円(50万円)

()内は、すでにインターバル制度を導入していた企業が、適用される労働者の範囲を拡大した場合や、休憩時間を延長した場合の助成金額です。

また、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様に、賃金額の引上げ目標を達成した場合、15万円から240万円の加算があります。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」

働き方改革推進支援助成金 (労働時間適正管理推進コース)

3つ目は、「労働時間適正管理推進コース」です。

目的

労働時間適正管理推進コースは、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む企業を支援するための助成金です。労働時間の管理については、賃金台帳などの労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されました。

対象者

助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。

  • 労災保険の適用事業主であること
  • 交付決定日より前に、勤怠管理と賃金計算等をリンクさせた統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと
  • 交付決定日より前に、賃金台帳等の労務管理書類を5年間保存することが就業規則等に規定されていないこと
  • 交付申請時点で、36協定が締結・届出されていること
  • 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

申請要件

申請要件は、「成果目標」すべての達成と「支給対象となる取り組み」の実施です。成果目標は次の3つです。

  • 勤怠管理と賃金計算等をリンクさせた統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用すること
  • 新たに賃金台帳等の労務管理書類を5年間保存することを就業規則等に規定すること
  • 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること

支給対象となる取り組みは、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様です。

支給額

助成金の支給額は、取り組みの実施に要した経費の原則4分の3です。ただし、上限額は100万円です。

また、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様に、賃金額の引上げ目標を達成した場合、15万円から240万円の加算があります。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)」

働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)

最後に紹介するのは、「団体推進コース」です。ほかのコースと異なり、助成金の対象となるのは、個々の企業ではなく中小事業主の団体等です。

目的

団体推進コースは、傘下にある事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを行う事業主団体等を支援するための助成金です。

対象者

助成金の対象となるのは、次の要件を満たす事業主団体等です。

  • 原則3事業主以上で構成し1年以上の活動実績があること
  • 事業主団体等が労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 中小企業事業主の占める割合が、構成事業主全体の2分の1を超えていること

事業主団体等には、法律で規定する事業協同組合、商工組合、都道府県中小企業団体中央会、商工会議所、一般社団法人、一般財団法人などがあります。

申請要件

団体推進コースについては、成果目標の達成ではなく、成果目標への取り組みが申請要件となります。
以下2点の「成果目標」の達成を目指しての取り組みが必要となります。

  • 支給対象となる取り組みについて、事業主団体等が時間外労働の削減又は賃金引上げに向けた改善事業の取り組みを行うこと
  • 構成事業主の2分の1以上に対して、その取り組みや取り組み結果を活用すること

また他コース同様、以下の支給対象となる取り組みから1つ以上の実施が必要となります。

  • 市場調査の事業
  • 新ビジネスモデル開発、実験の事業
  • 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験の事業
  • 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
  • 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
  • 好事例の収集、普及啓発の事業
  • セミナーの開催等の事業
  • 巡回指導、相談窓口設置等の事業
  • 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
  • 人材確保に向けた取り組みの事業

支給額

支給額は、次のいずれか低い方の額です。

  • 対象経費の合計額
  • 総事業費から収入額を控除した額(収入が発生した場合)
  • 上限額500万円

都道府県単位などで構成する事業主団体等(構成事業主が10以上)の場合、上限額は1,000万円です。
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」

スケジュールと提出先

各コースの申請スケジュールと提出先について説明します。

スケジュール

申請スケジュールは、団体推進コースとそのほかのコースで異なります。
団体コースの申請スケジュールは、次の通りです。

  • 交付申請書・事業実施計画の提出:2022年11月30日まで
  • 交付決定後に取り組みスタート:取り組みは2023年2月17日まで
  • 取り組み完了後に支給申請を提出:事業実施予定期間の終了日から30日以内(ただし、2023年2月28日まで)

支給申請後に審査があり、助成金の支給・不支給が決定します。

団体コース以外の申請スケジュールは、次の通りです。

  • 交付申請書・事業実施計画の提出:2022年11月30日まで
  • 交付決定後に取り組みスタート:取り組みは2023年1月31日まで
  • 取り組み完了後に支給申請書を提出:事業実施予定期間の終了日から30日以内(ただし、2023年2月10日まで)

提出先

交付申請書や支給申請書の提出先は、どちらも管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室) です。事業実施計画を変更したい場合の変更申請も同様です。

まとめ

中小企業にとって、働き方改革への取り組みは大きな負担です。しかし、法律上の義務であり、従業員が働く意欲を高め能力を発揮することにより、生産性の向上が期待できます。

働き方改革に取り組む中小企業を支援する「働き方改革推進支援助成金」には、取り組み課題に応じて4つのコースが設けられています。自分の会社にあったコースを選択して、企業の発展に活かしましょう。

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