これを知らずに飲食店を開業してはダメ!飲食店開業資金の表に出ない真実 自己資金ゼロは本当か(前編)

飲食開業手帳

飲食店開業時、誰も教えてくれない自己資金のいろは

これを知らずに飲食店を開業してはいけない!!お金に関するオモテには絶対出てこない真実(前編)(執筆:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)

今回の連載では、飲食店を開業する前に、これだけは知っておかないと失敗するという開業資金に関する考え方をお教えします。これは、創業手帳や税理士などの専門家へ飲食店開業相談にいらっしゃる方の大半が口にされる不安でもあります。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて飲食店の開業は、資金調達のハードルも高くなっています。

過去に、開業資金に関する不安に対する解決策として日本政策金融公庫の開業融資を紹介し、申請に必要な「創業計画書」の書き方について説明をしてきましたので、融資による資金調達をお考えの方は以下のシリーズ連載をご参考にしてください。飲食店には一定の自己資金が必要です。そのための資金の算出方法や資金調達のための方法には、鉄板の絶対に押さえておかないといけない方法があります。

「融資が通る!飲食店創業計画書の書き方のポイント」シリーズ
創業動機編
事業経験編
取扱い商品・サービスの内容 セールスポイント編
取引先・取引関係等、お借入の状況など

本稿では、飲食店開業時の自己資金の重要性についてご説明します。実は、飲食店の開業資金には、自己資金として総投資額の3割が必要です。具体的に、どういうことなのかその詳細について見ていきましょう。

また、飲食店の資金の情報や飲食店の店舗立地の選び方、開業にあたって必要となる役所への届け出など、飲食店の開業において必要となるノウハウを詳しく知りたい方は、飲食開業手帳(無料)を参考にしてみてください。(創業手帳編集部)

飲食店を自己資金0円で開業できるという言葉の罠

「自己資金100万円からの飲食店」
「0円で飲食店を開業できる」
そんな本のタイトルを見たことはないでしょうか?

これは、かなり特殊な状況です。実際は、ほぼ不可能。飲食店オーナーや出資者が別にいる場合は話は別ですがこのような自己資金で飲食店を開業し、軌道に乗せることは、私の経験上、ほとんどできません

私が、いままでコンサルで入った飲食店開業の事例を見ると、最小の自己資金は180万円です。それも東京の中でもかなりの郊外で、いざ開業しても初めはかなり苦しそうでした。

このような経験から、東京都内で飲食店開業を希望されているなら、最低でも自己資金は300万円以上ないと厳しいです。安全に飲食店を開業するためには初期投資額としての目安となる約1000万円が必要となります。これを目安に、開業資金を貯めるように心がけてください。

飲食店開業後に少額の自己資金で苦しむワケ

それでは、なぜ少額の自己資金では、飲食店開業が難しくなるのかを説明します。2つの理由をあげて説明するので、開業後に資金で苦しむことがないよう覚えておきましょう。

初期投資でほとんど使い切ってしまうから

少額の自己資金では、初期の投資で融資と自己資金をほとんど使い切ってしまいます。開業後の客足は不安定なため、収入も不安定になります。

一方で支払いは、食材や飲料、家賃、融資の返済と利子など容赦なく襲いかかってきます。そのため、キャッシュフローが厳しいと、客が定着し軌道に乗る前にキャッシュが足りなくなり、廃業に追い込まれてしまう可能性が高くなってしまうのです。

これはオープンしたばかりの頃は客数・売上は多くても、開店後3か月経つ頃には次第に下がりやすいからです。売上が低迷したとき、持ちこたえるだけの資金が残っていれば乗り越える可能性が高くなるため、十分な自己資金の準備が必要です。

自己資金=開業資金と考えており家事資金を意識していないから

また、今まで相談を受けてきて強く感じるのが、「自己資金」=「飲食店開業資金」と考えている方が多いことです。開業資金は、開店してから数ヵ月程度の自分の生活資金も視野に入れて理解しなくてはいけません。つまり、正確には、「自己資金-家事資金(※)」=飲食店開業資金 というのが正しい認識です。

※家事資金とは飲食店を開業してから軌道に乗るまでの間の生活費(生活費は日本政策金融公庫の融資対象外)及び引越費用(開業場所付近に引越す可能性がある方)のこと。売上が少なく経費の支払いで精一杯になり生活費が確保できなくても、生活できるだけの準備が必要です。経営者の生活費=給料を忘れている方が多いので、飲食店開業資金とは別途に計算をしておいてください。

なので、経営が早く軌道に乗れば乗るほど、安心して生活できるということです。そのためには、やはり集客が必要でしょう。今回、この記事を書かせていただいている創業手帳が発行している無料の創業ガイドブックの冊子版の創業手帳では、飲食店および飲食店に限らずさまざまな創業の流れや資金調達、集客の方法などについて上手くまとまっています。

我々、税理士のような専門家や全国の官公庁や金融機関でも使われている起業の無料の定番の教科書なので、それを無料で取り寄せて一回読んでみると、起業の流れが整理されて頭に入るのでお勧めです。また、資金や事業計画の雛形や資金の計画のシミュレーターアプリなども無料ですべて使えるので、便利なので一度使ってみてくださいね。これだけのものを創業手帳さんは無料で使い放題で開放してくれているので、上手く創業手帳を使いこなすだけで飲食店開業の成功率は向上するでしょう。それぞれの特徴がひと目でわかるようになっていますので、実践できるものが見つけやすいはずです。

飲食店開業時の初期投資に必要な金額とは

それでは、自己資金で安全と言われる初期投資額=1000万円とはどのようなものかを見ていきましょう。もちろん、この金額はお店の立地や広さ、コンセプト(内装費に直結)によって変わってきます。ここで重要なのは1000万円という金額もですが、これから開業しようと考えている皆さんが、「設備資金」「不動産資金」「運転資金」などの項目を考えて、初期投資資金を設定しているか、経営計画を立てているかということです。

具体的に、開業するために必要な備品や物件を買うにはいくら必要で、開業後はどのくらいの利益目標をどのくらいの期間で実現するか設定。さらに、目標に向けどのようなことをして、その費用はどのくらい必要なのかなど、取りまとめているとよいでしょう。なお、創業手帳では、経営計画をはじめとする事業計画を検討するためのアプリがありますので活用してみてください。

全ての項目を考えたうえで、500万円で大丈夫という場合もあるはずです。それならば、それで計画を立てれば良いのです。万一、漏れがある場合は、開業してから破綻する可能性が高くなるので、いち早く計画を見直しましょう。

ここからは、具体的に設備資金と不動産取得費、運転資金の内容を見ていきましょう。

設備資金:内装及び厨房機器(居抜き取得費含む)+食器類のその他消耗品
不動産取得費:前家賃+保証金+礼金+仲介手数料
運転資金:最低3ヵ月分の自己資金 ※ただしコロナ禍では長期にわたり収入が見込めなくなることもあるので注意が必要です。

一般的に飲食店開業融資額は、600万円から900万円(融資額は専門家の支援の有無、本人の飲食店の勤務経験や実績、事業計画書の精度、立地によって変動しますので画一的な回答はできません)と言われていますので、もし開業の初期投資額の試算が1000万円ならば、残りは自己資金で賄う必要があります。
上記に挙げた総投資額1000万円というのは、私が思う都内で飲食店を開業するなら最低限必要という金額ですので、その差額の100万円〜400万円は自己資金が必要になります。

飲食店の開業資金を抑えるポイント

開業費用を少しでも抑えられれば、開業資金をできるだけ多く手元に残せます。そのための3つの方法を紹介します。

資金の使い道に優先順位をつける

ひととおり開業費用をあげたあとで優先順位をつけ、今すぐ必要ではないものやなくても差し支えないものははぶきます。看板やホームページなど宣伝費、店舗の改装費など開店に必要最小限の費用だけに絞り込むと開業資金を抑えられます。

自分で店舗を改装する

業者に大がかりな店舗改装を依頼すると費用が高くなりがちですが、できる限り自分の手で改装を行うと、工賃などが省けて費用が抑えられます。DIY動画はネット上にたくさん上がっているので、参考にして店舗改装をしましょう。

中古品・アウトレット品を活用する

店舗に使用するものは新品でなくてもかまいません。きれいで新品同然の掘り出し物が見つかる場合もあります。中古の厨房のような大きなものを扱う店舗があるほか、テーブルやいすなどデザインのそろったものがいくつも欲しいときは、インテリアショップのアウトレット品を購入する方法もおすすめです。

飲食店の開業で活用できる補助金・助成金

飲食店を開業したあと、売上を伸ばしつつ補助金や助成金も活用して経営資金を上手にまかないましょう。補助金と助成金のどちらも、応募して通ったあと初めて受け取りの手続きを行い、支給されます。それまで時間がかかるので、補助金や助成金だけをあてにせず資金を増やす努力が必要です。

補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は中小企業や個人事業主が対象の制度で、販路の開拓や生産向上をめざした活動の一部を支援する補助金です。通常枠と一般枠にわかれた一般型は、最大200万円の補助があります。

IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールを導入する中小企業や個人事業主が活用できる補助金です。A・B類型にわかれた通常枠と、デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型にわかれたデジタル化基盤導入枠があります。最大450万円が支給されます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は新規事業に挑戦する事業者を応援する制度で、新型ウイルス感染症の影響で業態を変えざるをえなくなった起業も対象です。通常枠は最大8,000万円、グリーン成長は最大1億5,000万円を支給されます。

助成金

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済上の理由から事業を縮小せざるをえなくなった事業主が利用できる助成金で雇用の維持を目的に支給を受けられます。特例として、新型コロナウイルス感染症の影響により事業の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用を維持するための休業手当に使うことができます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、契約社員や嘱託社員・パートタイム労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員化した場合、また処遇改善に取り組んだ事業者に支給される助成金です。「正社員化コース」では、有期雇用労働者を正社員として登用した場合、最大57万円の支給があります。

事業計画書を作成して事業プランを客観視しよう!

飲食店を開くには店のアイディアやプランを客観視するだけでなく、資金計画を明らかにするための事業計画書の作成が必要です。いくらアイディアやプランが充実していても資金繰りがうまく行かなければ、店はつぶれてしまいます。開業前には必要な資金がどれだけか不動産相場や設備資金の概算などを十分に調べて、事業計画書をつくりプランを見直しましょう。

また融資の申し込みにも事業計画書は必要なので、開業資金の融資を考えるときは以下のサイトを参考にまとめてみてください。
飲食店の事業計画書の書き方と融資のために押さえたいポイント

開業に必要な不動産取得費に関する注意点:できるだけ開業資金を貯めておこう!

初期投資のなかで、不動産取得費は大きな割合を占めます。自己資金で不動産取得(前家賃 保証金 礼金 仲介手数料)する場合は、事前に開業したい場所の不動産相場を確認し貯蓄などの対策をしておきましょう。
ただし、貯蓄もそんなにすぐに溜まるわけではありませんので、クラウドファンディングなどの新たな開業資金を調達する方法を検討するとよいでしょう。たとえば、クラウドファンディングサイトで、開業の想いや、開業後の特典、飲食のクーポンなどのサービスを提供する代わりに応援(寄付)してもらうなどがあります。クラウドファンディングで成功している人の実例や施策を参考にしつつ、まずは周囲の仲間にも協力を得て始めてみるとよいでしょう。創業手帳ではクラウドファンディングを実戦形式で学べるセミナーをはじめ、資金調達に役立つセミナーを開催しています。セミナー情報はこちらをご覧ください。

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そもそもなぜ不動産の取得に自己資金が必要なのか。それは、融資実行には原則的には不動産の契約書が必要です。つまり不動産取得費は、融資実行前に発生するため、自己資金で賄わないといけないのです。

そのような理由から、不動産取得費くらいは自己資金でカバーできる状態にしておくのが良いです。例外的な事例として、都心などの高額不動産取得費の場合には自己資金で賄えなくても大丈夫なケースがありましたが、特殊な事例と考えてください。一方、融資ありきの開業の場合は、専門家に早期に相談しておくとよいでしょう。

さらに気をつけてもらいたいのが、都心部や駅前などの人気の物件の特殊事例ですが、すぐに本契約を求められることがあるということです。本契約をするということは、解約までに数ヵ月間の家賃が発生するということです。なんらかの事情で開業前に契約した不動産を解約しようとしても、数ヵ月分の家賃を払わなければなりません。

今回説明したのは、一般的なケースです。地域やお店のコンセプトによって、設備資金、不動産取得費、運転資金は変わっていきます。重要なのは、貯金、クラウドファンディング、親族や知人からの譲渡などなど、あらゆる手段を講じて、自己資金を貯めるようにすることです。

それでも不安に感じる方は、それぞれの金額を紙に書き出してみましょう。その際に、利子返済などの金額も入れられれば、より正確な情報となるでしょう。

また、次回は、融資の審査を少しでも有利に運ぶコツをご紹介します。なお、飲食店の開業において融資を考えている場合には、専門家に聞きましょう。

―創業手帳・飲食店開業手帳編集部のコメント―

飲食店の開業には、事前のリサーチを行い、どれくらいの投資が必要なのか把握する必要があります。日本政策金融公庫が実施した創業者の実態調査では、「自己資金が不足していた」「開業時、従業員に対する教育期間が不足していた」「ターゲットとする顧客をもっと明確化しておけばよかった」「物件の選定にもっと時間をかければよかった」「商品・サービスの価格設定に問題があった」「外観・看板の視認性に問題があった」という6項目で、全体の20%を超える創業者が開業時に注意しておけばよかったと回答しています。事前の準備不足を痛感している創業者が多いことを知りましょう。

また、コロナ禍の飲食店開業では、これまでの形態にこだわらず柔軟に対応することがよいでしょう。密になりがちな店舗ではなく、間借り営業やキッチンカーが増えてきつつあります。こうした形態であれば、初期費用抑えられますし、経営計画も変わってきます。本質的に、飲食店で「実現」したいあなたの想いを時代に合わせてどのようにカタチにするのか、資金・費用とのバランスを考えてみてください。

創業手帳では飲食店開業の無料相談も行っており、日々多くの飲食店開業者の方からの相談を受けています。その中で多いのはやはり資金調達の話です。創業手帳の飲食店開業相談を行っているアドバイザーの中には金融機関の出身者もいて、資金面のアドバイスも行っていますが、融資は申請の仕方や事業計画の作り方にコツがあります。定石を踏まえれば余計な失敗をしないで済みます。

飲食開業手帳では、飲食店開業のスケジュールを、開業前、開業3ヵ月前、開業、1ヵ月後、1年後と区分し、必要なことをすべて表にまとめています。事前調査が足りず、予定していなかった出費が発生してしまい、開業できなかったといった事態にならないためにも、しっかりとスケジュールを確認するとよいでしょう。(創業手帳編集部)

続きはこちら>>
これを知らずに飲食店を開業してはダメ!飲食店開業資金の表に出ない真実 自己資金ゼロは本当か(後編)

初めて飲食店を開業される方へ 役立つ情報をセットでお送りします!

(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

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