創業動機の書き方! 融資が通る創業計画書のポイントを紹介 ~飲食店編~

創業手帳

日本政策金融公庫の資料から見る4つのポイント

融資が通る創業計画書の書き方 ~創業動機編~

飲食店の開業融資で、よく利用されるのが、日本政策金融公庫の融資制度です。これを申し込むときには、A4用紙2枚分の創業計画書を書かなければなりません。慣れれば、2枚分ぐらいの創業計画書は簡単に書けるのですが、初めて飲食店を開業しようとする方には、ちょっとハードルが高いです。

今回は、創業計画書の中でもあまり気にされない「創業動機」の書き方について解説します。実は、気にせずに適当に書いてしまう「創業動機」が、審査で重要になってくるのです。今回説明する4つのポイントを押さえれば、誰でも審査で好印象を与える創業動機が書けるようになります。

冊子版の創業手帳(無料)では、項目を埋めていくだけで簡単に創業計画書を作れる方法を紹介しています。創業動機についてはこの記事を参考にし、そのほかの、取扱商品、必要な資金と調達方法、事業の見通しなどは冊子版の創業手帳を参考にしてみてください。(創業手帳編集部)

創業動機とは

創業計画書のひな形は、日本政策金融公庫のWebページからダウンロードできます。その最初の項目に、「創業動機」があります。

・なぜ創業動機が必要か
それでは、なぜ日本政策金融公庫は創業計画書に創業動機を書かせるのでしょうか?

それは、過去の成功者のデータから、日本政策金融公庫は、創業に成功しやすい思考の人が分かるからです。その思考方法が創業動機の書き方である程度分かるのです。

創業には資金が必要であり、多くの方は融資を利用しなければなりません。

創業動機は、金融機関が「融資しても大丈夫か?」を判断する材料になるため、融資を利用する人にとって重要です。事業の継続性がなければ、誰も融資をしたいとは思わず、お金を借りられなければ事業を始められません。

また、目的がはっきりしない事業は、失敗する確率が高くなります。事業をするからには「何を」という動機と、「どうなりたいのか」という目標が必要です。動機や目標が明確になっていると、金融機関側からわかりやすいだけでなく、経営者本人も事業を客観視できるメリットがあります。

自分も動機や目標がわからない事業は、金融機関に伝わるでしょうか?さらにお客様に商品やサービスの想いを伝えることもできません。想いがない商品やサービスは、受け入れらにくく事業を続けることが難しいことから、金融機関は融資審査で「創業動機」を重視しています。

実は、日本政策金融公庫は「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」という冊子を発行しています。この中には、いろいろと有益な情報が書かれているのですが、しっかりと読みこまれている創業者の方は少ないようです。

創業動機についても、この冊子を読んでいただくのが一番なのです。しかし、忙しい創業者の皆様のために、私の方で冊子に書かれているポイントをピックアップしていきます。さらに今回の解説には、今まで私が開業融資の面談に同席した経験や、日本政策金融公庫の担当者と交渉をした経験もプラスアルファしています。

・融資担当者は創業動機の何をチェックしているのか
融資担当者は、創業動機で「事業が継続できるか?」を重視して見ています。金融機関が公的な日本政策金融公庫であっても、融資したお金を返してもらって利益が出せます。利益を出さなければならない以上、お金を貸す先の事業がどのくらい継続できるかを判断しなければなりません。

チェックポイントは、「売り上げが少ない時期に乗り越えられるか?」です。未経験の分野であっても、他業種による経験を活かせる動機があればプラスに働きます。またはすでに実績があり、事業の明確なプランがあれば、継続性があることをアピールできるでしょう。

・飲食店の創業動機の書き方は?
飲食店の創業動機で書きたいのは、それまでの経験や起業に対する想い、どのような対策ができるかです。単なる思い付きの事業ではなく、ストーリー性があると、融資担当者に伝わりやすいでしょう。

例えば、アルバイトであっても飲食業界で長く勤めた経験はプラスに働きます。経験を記載する際は、経営の知識がどのくらいあるのか、売上アップにどのように貢献できたのかを書けるといいでしょう。経営者になるには数字の管理も必要なため、具体的な数値もあると高評価につながります。

また、単なる夢ではなく、実際に物件を見つけているなら、その情報も記載するのがおすすめです。物件がなくても、具体的な物件費用が理解できていると、融資担当者が将来性をイメージしやすくなります。

1.なぜ今、開業しなければいけないのか?

開業の時期が重要になります。本音では、物件が見つかったからと言いたいでしょうが、それでは、融資担当者にあなたの熱意を伝えることができません。

なぜ来年ではダメなのか?なぜ今なのということを伝えられると良いです。たとえば、2年前から飲食店を開業したかったという熱い思いと、それまでにどのような準備をしてきたかということを書き、絶対に今じゃなきゃダメという思いを伝えましょう。

逆に、思いつきでとか、友達にすすめられてなどといった主体性がない表現があると、日本政策金融公庫サイドからすれば経営も計画性がないんだろうなと思われます。主体性がなく、計画性もない事業は、失敗の確率が高いと判断され、融資の申請が却下されることにつながります。

2.ビジネスに社会性は必須

ビジネスを行うには、利益を出していかなければならないですが、もう一つ重要な目的があります。それは、ビジネスが社会に貢献できているかということです。

これは飲食店に限らず、全業種に当てはまることです。社会に貢献しているからこそ、お客はお金を出し、それが利益となるのです。

飲食店では、どんな社会性が描けるでしょうか。

例えば「利益を出して雇用を促進したい」「飲食業界の給与水準が低いため、利益を出して給与水準を上げ飲食店の地位向上に務めたい」「日本では知られていない料理やお酒を多くの人に伝え、お客の人生を豊かにしたい」など社会性がある表現を加えられるとよいと思います。

もちろん、思ってもいないことを書くのは良くないです。本当に飲食業界をよくしたい、社会をよくしたいというあなたの思いを、日本政策金融公庫へ伝えるように計画書に書きましょう。

3.今までの経験を生かしているか

飲食店を開業するのに、今までの経験は成功の可否を大きく左右します。 今回ご紹介している4項目のうち、最も重要と行っても過言ではありません。

審査の観点から考えると、今まで経験をしてきた経験を活かし、同様な業態で飲食店を独立開業させることの方が、成功確率が高いと判断します。例えば 18才の頃からフランス料理店に勤務し更に本場フランスで修行もしてきて、その経験をいかしフレンチでレストランを開業、独立したいなどです。

新たな業態でチャレンジする選択肢もあります。おおいに素晴らしいですが、チャレンジとしては、リスクが高いでしょう。その場合は、なぜその業態でチャレンジをするのかというあなたの熱い思いや、計画性をしっかりと創業動機の中で伝えないといけなくなります。

冊子版の創業手帳では、起業家のインタビューを多数掲載しています。先人の考えや、成功・失敗談など、参考にできることは多いでしょう。創業動機を考えるにあたって役に立つでしょう。(創業手帳編集部)

4.家族の理解を得られているか

ビジネスは、多くの人のサポートで成り立っています。それは社員や取引先だけではありません。一番重要なのは、一番身近な存在である家族です。

創業動機の中に、飲食店開業の相談について家族から理解してもらい、応援ももらっているという内容を入れることで、自分以外の人からもそのビジネスの賛同を得られているというポイントにもなります。

まとめ

新規ビジネスは、経営者に熱意があり、計画性がしっかりしている方が成功確率は高くなります。それは飲食店でも同じことです。

創業動機は、あなたの熱意を伝える項目なのです。紙に書き出すことで、頭に描いていた事が整理されます。特に今回ご紹介した4つのポイントをよく確認し、日本金融公庫の担当者に、あなたの熱意が伝わるように記入しましょう。

飲食開業のためのガイドブック、飲食開業手帳(無料)では、飲食開業後のノウハウを詳しく解説しています。利益の出し方や、接客の方法など飲食ならではのノウハウもあれば、資金繰りをよくする方法や、資金調達の方法、確定申告など、経営者として必要なノウハウもあります。開業後の自分を想像するのにも役立つと思いますので、ぜひ手にとってみてください。(創業手帳編集部)

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(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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