【令和6年度版】キャリアアップ助成金とは?条件や正社員化コースの概要をわかりやすく解説

創業手帳

キャリアアップ助成金の中で最も活用されているのは「正社員化コース」

キャリアアップ助成金

日本の雇用者の約1/3が「非正規雇用労働者」となっており、2005年に1,634万人だったのが、2023年の調査では2,183万人(総務省統計局「労働力調査(基本集計)」2023年12月分)と約1.3倍にまで増えています。

不安定な立場にある非正規雇用労働者の多くは、消費や結婚を控える傾向にあり、日本経済全体に悪影響を及ぼしています。

そこで、非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するために、活用されているのが「キャリアアップ助成金」です。

今回の記事では、キャリアアップ助成金の正社員化支援を目的とした「2つのコース」、処遇改善支援を目的とした「5つのコース」のそれぞれの支給額や条件、申請方法までをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の目次

【令和5年11月29日から】キャリアアップ助成金(正社員化コース)が57万円→80万円へ拡充

厚生労働省は、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」について、1人当たりの助成金額の拡充を発表しました

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

拡充の内容は以下になります。拡充は、2023(令和5)年11月29日以降に正社員化した場合に適用されます。

ここからは、新たに拡充された正社員化コースの内容を紹介していきます。

助成金の見直し(拡充)

  • 支給対象期間を現行の6か月から12か月に拡充
  • 現行/中小企業:1期(6か月)で57万円 → 拡充/2期(12か月)で80万円助成
  • 無期から正規への転換の場合は上記の半額
  • 1人目の正社員転換時は加算措置あり

対象となる有期雇用労働者の要件緩和(拡充)

  • 対象となる有期雇用労働者の雇用期間を現行の「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和

正社員転換制度の規定に関する加算措置(新設)

  • 新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する加算措置を新設
  • 正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合、20万円を加算
  • 3行目

多様な正社員制度規定に関する加算措置(拡充)

  • 多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)制度規定に関する加算額を増額
  • 「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合、40万円を加算(現行は9.5万円)

【令和5年から】キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)が新設

2023(令和5)年10月より、キャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が新設されました。労働者への社会保険加入に際する助成金です。

社会保険への加入に伴い手取り金額が減ることから、労働時間を抑制する例は珍しくありません。いわゆる年収の壁問題を緩和するため、社会保険への加入および加入したぶんの収入低下を抑える取り組みを行うことが、支給の主な要件です。

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの「非正規雇用労働者」について、企業内でキャリアアップを推進する助成金です。非正規雇用労働者の「正社員化」や「処遇改善」を目的としています。

キャリアアップ助成金は、労働者の能力向上を支援するだけでなく、企業の競争力向上や労働市場の活性化にも寄与する重要な制度です。

本制度には複数のコースがあり、各コースの条件に沿ったキャリアアップ計画の実施が求められます。コースによっては基本となる支給額のほかに加算額が設けられ、加算条件を満たす措置を講じると助成金が増額される仕組みです。

キャリアアップ助成金の「対象となる事業主」

キャリアアップ助成金の対象となるのは、以下の全ての条件に当てはまる事業者です。

この助成金でいう事業主には、民間の事業者のほか、民法上の公益法人、特定非営利活動促進法上の特定非営利活動法人(NPO法人)、医療法上の医療法人、社会福祉法上の社会福祉法人なども含まれます。

①:雇用保険適用事業所の事業主
②:雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
(キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任は不可。)
③:雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主
④:実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
⑤:キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

キャリアアップ助成金が支給される「中小企業事業主の範囲」

キャリアアップ助成金は、中小企業と大企業で、支給される助成金の金額が異なります。

主に資本金や出資金の金額で、大企業と中小企業の範囲が分けられますが、資本金や出資金がない事業主においては、常時雇用している労働者の数で判断されます。

常時雇用している労働者とは「2か月以上雇用されている労働者」または「週あたりの所定労働時間が、当該事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等である者」のことです。

業種 資本金額・出資額の総額または常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 資本金5,000万円以下または労働者50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下または労働者100人以下
卸売業 資本金1億円以下または労働者100人以下
その他の業種 資本金3億円以下または労働者300人以下

出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

正社員化支援を目的としたキャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金の中でも、非正規雇用労働者の正社員雇用を推進する「正社員化支援」には、「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2つのコースがあります。

ここからは「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2つのコースについて、1つずつ詳しく解説します。

正社員化コース

キャリアアップ助成金の中でも、最も多く利用されているのが「正社員化コース」です。1年度につき、1事業所あたり20名まで申請できます。

非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換、あるいは直接雇用した際に、助成金を受給できます。

具体的には、アルバイトやパートを正社員として雇用した場合や、人材派遣会社から自社に派遣されていた派遣社員を直接正社員雇用した場合に適用されます。

正社員化コースの受給金額や条件は、以下の通りです。

正社員化コースの「支給額」と「加算額」

支給額
企業規模 条件 支給額(1人あたり)
中小企業 有期雇用→正規雇用 80万円
※2期(12か月)分
無期雇用→正規雇用 40万円
※2期(12か月)分
大企業 有期雇用→正規雇用 60万円
無期雇用→正規雇用 30万円
加算額
条件 有期雇用労働者の支給額(1人あたり) 無期雇用労働者の支給額(1人あたり)
派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用 28万5,000円
対象者が一人親家庭の母または父 95,000円 47,500円
人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化 ※うち、自発的職業能力訓練または定額制の訓練修了後に正社員化した場合は下段の金額 95,000円 47,500円
11万円 55,000円
「勤務地・職務限定、短時間正社員」制度を新設した上で正社員化(1事業所につき1回限り) 40万円(大企業は30万円)
正社員転換制度の導入に対する加算措置 20万円(大企業は15万円)

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金「正社員化コース」を拡充しました!』(2023年11月)、厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

障害者正社員化コース

障害者雇用促進法により、43.5人以上の従業員を雇用している事業主は、1人以上の障害者の雇用が必要です(0.5人が発生するのは、短時間労働者は「0.5人」とカウントするため)。

キャリアアップ助成金の中には、障害者の正規雇用を推進する「障害者正社員化コース」があります。

障害者正社員化コースの受給金額や条件は、以下の通りです。

障害者正社員化コースの「支給額」

企業規模 条件 支給額(1人あたり)
重度の身体障害者および知的障害者、精神障害者 重度以外の身体障害者および知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者
中小企業 有期雇用→正規雇用 120万円(60万円×2期) 90万円(45万円×2期)
有期雇用→無期雇用 60万円(30万円×2期) 45万円(22.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用 60万円(30万円×2期) 45万円(22.5万円×2期)
大企業 有期雇用→正規雇用 90万円(45万円×2期) 67.5万円(33.5万円×2期 ※第2期の支給額は34万円)
有期雇用→無期雇用 45万円(22.5万円×2期) 33万円(16.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用 45万円(22.5万円×2期) 33万円(16.5万円×2期)

出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内』(2022年4月)

処遇改善支援を目的としたキャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金では、非正規雇用労働者の正社員化だけでなく、非正規雇用労働者の労働条件の改善を支援する「処遇改善支援」の助成金もあります。

処遇改善支援とは「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「短時間労働者労働時間延長コース」「社会保険適用時処遇改善コース」の5コースです。

1つずつ詳しく解説していきます。

賃金規程等改定コース

賃金規定等改定コースは、非正規雇用労働者の基本給の賃金規定を見直し、3%以上増額した際に受給できる助成金です。

基本的には、1年度につき1事業所あたり100人までなら複数回申請できます。加算額については1事業所あたり1回のみの支給です。

賃金規定等改定コースの「支給額」と「加算額」

支給額
企業規模\賃金引き上げ率 3%以上5%未満 5%以上
中小企業 5万円 6万5,000円
大企業 3万3,000円 4万3,000円
加算額
企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合 20万
大企業 15万

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

賃金規程等共通化コース

賃金規定等共通化コースは、非正規雇用労働者に対して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規則等を新たに作成・適用した際に、1回のみ受給できる助成金です。

賃金規定等共通化コースの「支給額」

企業規模 支給額(1事業所あたり)
中小企業 60万円
大企業 45万円

出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

賞与・退職金制度導入コース

賞与・退職金制度導入コースは、非正規雇用労働者に賞与・退職金制度を新設し、支給やそのための積立てを行った場合に受給できる助成金です。

賞与または退職金制度のいずれかを導入した場合に以下の「支給額」の金額が受け取れ、双方を同時に導入すると加算額がプラスされます。本コースの支給は1事業所につき1回のみです。

賞与・退職金制度導入コースの「支給額」と「加算額」

支給額
企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 賞与または退職金制度を導入 40万円
大企業 30万円
加算額
企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 賞与および退職金制度を同時に導入 16万8,000円
大企業 12万6,000円

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、社会保険の対象になっていない短時間のみ勤務している非正規雇用労働者の週所定労働時間を延長することで、新たに社会保険の被保険者とした場合に受給できる助成金です。

下記の①と②を合わせて、1年度1事業所あたりの支給申請上限は45人までとなっています。

【令和6年9月30日まで増額】支給額①

企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 所定労働時間を3時間以上延長し、新たに社会保険を適用した場合 23万7,000円
大企業 17万8,000円

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

【令和6年9月30日までの暫定措置】支給額②

企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 所定労働時間を1時間以上2時間未満延長し、手取り収入10%以上の増額と社会保険を適用した場合 5万8,000円
大企業 4万3,000円
企業規模 条件 支給額(1事業所あたり)
中小企業 所定労働時間を2時間以上3時間未満延長し、手取り収入6%以上の増額と社会保険を適用した場合 11万7,000円
大企業 8万8,000円

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

【新設】社会保険適用時処遇改善コース

新たに設けられたキャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」は、年収の壁を理由に社会保険への加入が進んでいない企業を助ける制度です。労働者を社会保険に加入させ、収入増加の取り組みを行った事業主に助成金が支給されます。

このコースには2つのメニューがあり、メニューによって条件および助成額が異なります。中小企業のケースを以下の表で見てみましょう。

各メニューの「支給額」

手当等支給メニューの支給額
条件 支給額(1人あたり)※大企業は3/4の額
①賃金の15%以上を追加支給 1年目 20万円
②賃金の15%以上を追加支給
3年目、③の取組
2年目 20万円
③賃金の18%以上を増額 3年目 10万円
動労時間延長メニューの支給額
条件 支給額(1人あたり)※大企業は3/4の額
週所定労働時間を4時間以上延長 30万円
週所定労働時間を3時間4時間未満延長、賃金を5%以上増額
週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長、賃金を10%以上増額
週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長、賃金を15%以上増額

各出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)のご案内』(2024年2月)

キャリアアップ助成金の「申請方法」

キャリアアップ助成金の申請方法は、大きく分けて2種類あります。紙書類による申請と、電子申請による方法について、詳しく解説します。

紙書類で提出する方法

キャリアアップ助成金を紙書類で申請するには、厚生労働省のホームページから「支給申請書」をダウンロードし、申請枠や必要事項を記載して書類を完成させます。また同ホームページから見られる「雇用関係助成金支給要領」にも目を通し、細かな要領を確認しておきましょう。

支給申請書を作成したら、必要な添付書類とあわせて所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。

申請書類の書き方がわからない場合には、管轄の労働局に問い合わせたら回答してもらえます。不備の内容がないように申請するためにも、積極的に活用しましょう。

電子申請で行う方法

助成金申請サイト「雇用関係ポータル」にて、キャリアアップ助成金の各コースにおける電子申請が可能になっています。

電子申請を行うには、デジタル庁が発行している「GビズID」を事前に申請・取得しなければなりません。GビズIDの取得には一定期間を要します。助成金の電子申請を行う方は、早めにGビズIDを取得しておきましょう。

IDの取得後、申請したい助成金やコース名を検索し、申請に必要な各種情報を入力します。添付書類がいる場合、ファイルのアップロードによっても書類の提出が可能です。

キャリアアップ助成金に必要な「キャリアアップ計画」のポイントや計画書の書き方

キャリアアップ計画とは、対象となる非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するための計画です。

複数のコースがあるキャリアアップ助成金では、コースごとに異なる内容でキャリアアップ計画を立てる必要があります。立案後はキャリアアップ計画書に落とし込み、書類として作成・提出しなくてはなりません。

キャリアアップ計画作成のポイントや書類の書き方を順に確認していきましょう。

コースの趣旨や実施期間に沿った取り組みを考案する

対象となる非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する、具体的な取り組み内容を考案します。利用する助成金のコースの趣旨を確認し、それぞれに沿った取り組み内容を計画しましょう。趣旨から大きく逸れていると、助成金を受給できない恐れがあります。

取り組み期間については、3年以上5年以内の期間で作成しなくてはなりません。5年間の期間満了後もキャリアアップ計画の取り組みを継続する場合は、新たなキャリアアップ計画書を労働局に提出する手続きも必要です。

労働者の意見のほか、すべての事業所の労働者代表の声をしっかりヒアリングすることも忘れないようにしましょう。現場の意見に基づいてキャリアアップ計画を立てることで、実用性のある内容として認められる可能性が高まります。

計画の全体的な流れを決定する

キャリアアップ計画書には、キャリアアップに関する計画の全体的な流れを記載する必要があります。あらかじめ全体の流れを決めておけば、計画書の作成がスムーズに行えるのです。

取り組みは長期的に行うこととなるため、いつからいつまでにどのような施策を講じるかを念頭に置き、時系列に沿って計画しましょう。

キャリアアップ管理者を決める

事業主側で、キャリアアップ計画を管理・推進する「キャリアアップ管理者」を決める必要があります。

キャリアアップ管理者は、複数の事業所を兼任することはできず、労働者代表との兼任もできません。兼任できないことを踏まえた上で、事業所の労働者・事業主・役員のいずれかから選任しておきましょう。

計画書に必要な情報を記載する

キャリアアップ計画書に必要な情報を埋めていきます。計画書の様式は、キャリアアップ助成金のホームページからダウンロード可能です。

キャリアアップ計画期間と講じる措置の項目については、申請するコースに該当する情報を記載・選択してください。

対象者や目標、講じる措置についても順に記入します。対象者の人数や現在の雇用状況など、記載例を参考にすべて埋めていきましょう。

計画全体の流れについては、あらかじめ決めておいた内容を反映し、コース別に記載しておくとわかりやすくなります。

各画像出典:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)』(2023年4月)

取り組みの前営業日までに提出を済ませる

作成したキャリアアップ計画書は、実施するコースの取り組みを開始する前営業日までに、管轄の労働局やハローワークに提出する必要があります。

祭日や祝日が近い場合は十分に注意し、前営業日までに提出できるよう準備をしておきましょう。電子申請であれば、メンテナンス中を除き、窓口が閉まっている曜日・時間であっても申請できます。

提出から認定までに時間がかかる場合があるため、コース実施の1か月前くらいには労働局に提出するなど、余裕を持っておくことが大切です。

取り組みを変えたら変更届を労働局に提出する

キャリアアップ計画は、取り組みを実施する前の予定となる計画なので、キャリアアップの過程で内容が変わることもあるでしょう。その場合は、随時内容を書き換えても問題ありません。

ただし、キャリアアップ計画を変更した際には、速やかに「キャリアアップ計画変更届」を提出する必要があります。変更届を提出せずにキャリアアップ計画を変更した場合、助成金を受給できない可能性があるので、十分に注意しましょう。

キャリアアップ助成金が支給されない「5パターン」

キャリアアップ助成金は、申請要件を満たせば受給できる助成金です。しかし、申請要件を満たしている・満たしていないかどうかの判断は簡単ではないと感じる方も多いでしょう。

実際に、申請要件を満たしたつもりでも、キャリアアップ助成金が受給できない場合もあるので、注意が必要です。

ここからは、キャリアアップ助成金が支給されない事例を「5パターン」で解説します。

パターン1:労働関連の法令違反がある場合

支給申請日の前日から過去1年間に労働基準法をはじめとする労働関連の法令違反がある場合は、キャリアアップ助成金を受給できません。

パターン2:実地調査を拒否した場合

キャリアアップ助成金の申請後に、申請内容と実態の確認を行うために、実地調査が行われることがあります。中には予告なく行われる場合もありますが、これを拒否した場合には、助成金を受給できなくなります。

パターン3:書類の修正、再提出に応じなかった場合

キャリアアップ助成金の申請書類や添付書類に不備があった場合には、労働局から書類の修正や再提出が求められる場合があります。労働局から指示された期日までに対応しなかった場合には、助成金の受給ができなくなります。

パターン4:過去の不正受給から5年以内の場合

本来受け取れないはずの助成金を不正に受け取った事業主は、5年間はキャリアアップ助成金の支給対象外となります。

パターン5:受給後の会計検査へ協力しなかった場合

キャリアアップ助成金の支給後に、会計検査院が会計検査に来る場合があります。この会計検査に協力しなかった場合にも、助成金を受給できなくなります。会計検査に協力するためにも、キャリアアップ助成金に関係する全ての書類は、5年間は保管しておきましょう。

まとめ・最新のキャリアアップ助成金について条件や取り組みを理解しておこう

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の能力向上を支援するだけでなく、事業の競争力や企業価値の向上に繋がる可能性があります。

さらに、非正規雇用労働者の待遇を改善することで、優秀な人材の確保も期待できます。

雇用環境の変化に合わせて、キャリアアップ助成金の内容も変更されています。最新情報やご自身の状況を踏まえたご相談は、お近くの管轄労働局に問い合わせてみてください。

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