注目のスタートアップ

ヒトの末梢血リンパ球由来の完全ヒト抗体を提供する「イーベック」が「三菱UFJキャピタル」から資金調達

company

2022年5月31日、三菱UFJキャピタル株式会社は、株式会社イーベックに出資したことを発表しました。

イーベックは、北海道大学遺伝子病制御研究所名誉教授高田賢蔵氏が持つ、「EBウイルスを利用したヒト抗体産生技術」の実用化を目的に、2003年1月に設立されたベンチャー企業です。

ヒトの末梢血リンパ球から抗体を得るこの技術は、効能が高い完全ヒト抗体を安全に産生できるという特徴を持っています。

この技術をもとに、主に治療用抗体の開発と作製を展開しています。

また、イーベックは、新型コロナウイルスの治療のため、オミクロン株以前の変異株すべてを中和する可能性が示唆された抗体を用いて医薬品用抗体に取り組んでいますが、2022年2月3日に、この抗体がオミクロン株も中和する可能性が示唆されていることを発表しています。

抗体とは、体内に入り込んだ免疫反応を引き起こす異物である抗原(ウイルスや細菌など)を無力化したり、体外に排除したりするために作られるタンパク質のことです。

抗原が一番最初に入ってきたときには抗体は多くは作られず、そのため症状が重くなるのですが、次に同じ抗原が入ってきた時には抗体が迅速かつ大量に作られるため、感染を防止してくれるのです。

抗体医薬品とは、この抗体を利用した医薬品のことです。抗原をピンポイントで狙い撃ちするため、たとえばがん治療を目的とした抗体医薬品は、がん細胞の表面の抗原だけを攻撃します。抗体医薬品は、治療効果が高く副作用も少ない治療薬として注目されています。

抗体医薬品で用いられている抗体には、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体の4種類があります。

抗体医薬品が誕生した当初は、マウス由来の抗体であるマウス抗体が臨床利用されていました。しかしマウス抗体は人間にとっては異物であるため、副作用の原因となります。そのためマウスを操作することなどにより、よりヒト抗体に近い抗体を作製する技術が開発され、現在ではヒト抗体遺伝子を導入したマウスから、完全ヒト抗体を作製できるようになっています。

一方で、マウスを操作しなくてはならないため、実験や開発が複雑になったり、得られる効果が変化してしまう可能性もあります。

イーベックの技術は、マウスから抗体を作製するのではなく、ヒトの体内にある抗体を取得しそれを増殖させるというシンプルな方法であり、開発がスピーディであるというメリットがあります。

一方で、ヒトに対する操作はできないため、目的の抗体を持った検体を入手しなければならないという課題があります。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ イーベック ウイルス 三菱UFJキャピタル 免疫 医薬品 完全ヒト抗体 実用化 抗体 抗体医薬 抗体医薬品 新型コロナウイルス 株式会社 治療薬 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

シニア向け完全栄養食ブランド「Me TIME FOODS」を展開する「LacuS」が1億円超調達
2024年10月29日、株式会社LacuSは、1億円超の資金調達を実施したことを発表しました。 LacuSは、シニア向け完全栄養食ブランド「Me TIME FOODS」を展開しています。 高齢化や障害…
クリニックと法律事務所が一体となったプラットフォーム「リーガルクリニック」を提供する「Legal Doctor」が1.5億円調達
2024年9月2日、株式会社Legal Doctorは、総額1億5000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Legal Doctorは、クリニックと法律事務所が一体型となったプラットフォーム…
サブスク請求管理SaaS「KIMERA」やスケジュール管理SaaS「Aipo」など提供の「TOWN」が3.1億円調達
2022年1月13日、TOWN株式会社は、3億1,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、モバイル・インターネットキャピタル株式会社です。 TOWNは、サブスク請求管理SaaS「…
UGCメディアプラットフォームを提供する「Ubiq」が1,000万円調達
2022年12月20日、株式会社Ubiqは、総額1,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Ubiqは、次世代のUGC(ユーザー生成コンテンツ)メディアプラットフォーム「Ubiq」を開発・…
人と自然に優しい循環葬「RETURN TO NATURE」を監修する「at FOREST」が資金調達
2024年5月1日、at FOREST株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 at FORESTは、人と自然にやさしい循環葬「RETURN TO NATURE」を監修しています。 「森と生…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集