ビズネット 渡里直樹|14,000社以上が導入!購買管理プラットフォーム「ビズネット」で購買業務のDX推進

創業手帳
※このインタビュー内容は2023年03月に行われた取材時点のものです。

創業以来急成長!間接材調達・購買業務のデジタル化で、企業の物品コスト削減と生産性向上を実現


多くの分野でDX推進が叫ばれるなか、製品の製造やサービスの提供で必要となる資材を購入する購買業務においても、ECによる効率化でコストダウンを実現し、会社の利益率や生産性の向上を目指す動きが活発になっています。

とりわけ間接材は種類が多岐にわたるだけでなく、本社・工場・営業所・部署などそれぞれで調達している企業がほとんどで、主な購入手法や取引条件などがバラバラ。各部門が独自ルールで動いているため、従来の商慣習を変えるところから難儀するという問題を抱えています。

こうした購買業務の構造を踏まえながら、大手から中堅企業まで対応するプラットフォーム事業で急成長を続けているのがビズネットです。

同社は「購買管理をもっと便利に、スマートに。」をコンセプトに、購買管理プラットフォーム「ビズネット」を展開。電設・建設・医療・製造などの現場専門品の購買業務を最適化し、業務やコストの削減および生産性向上を実現しています。

今回は代表取締役社長を務める渡里さんの代表に就任するまでの経緯や、購買業務のDX化について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

渡里 直樹(わたり なおき)
ビズネット株式会社 代表取締役社長
日本アイ・ビー・エム、デル、マイクロソフトなど外資系IT企業で勤務し役員を歴任。2016年よりビズネットにジョインし、2018年より代表取締役社長に就任。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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外資系IT企業から参画!グローバル環境で得た知識・経験を日本企業に還元

大久保:まずはご経歴についてお聞かせ願えますか。

渡里:大学卒業以来、首尾一貫して外資系IT企業にてキャリア形成し、ビズネットへの参画前はIBMやデル・テクノロジーズ、マイクロソフトなどで実績を積んできました。

IBMでソリューション営業部長財務担当理事、デル・テクノロジーズでグローバル営業本部長、マイクロソフトで業務執行役員・グローバルビジネス統括本部長をそれぞれ務めています。

デルとマイクロソフトでは大手企業の全社IT支援を担当するなど、国内外を飛び回る毎日でした。IBM時代には約5年ほどニューヨークでの駐在経験も得ています。

ただ、「いずれは自分の知識や経験を日本の企業に還元しながら貢献したい」と考えていました。

大久保:そこで出会ったのがビズネットだったわけですね。

渡里:はい。ビズネットには2016年にジョインし、常務取締役に就任。2018年に代表取締役社長に就任して現在に至ります。

文具事務用品から間接材へ事業転換!ビズネット設立の経緯と創業後の変遷

大久保:ビズネット設立の経緯についてお教えください。

渡里:ビズネットの設立は2000年5月21日ですが、設立前の1997年から新規事業計画が始まりました。

弊社はオフィス家具・文具事務用品の製造・販売事業などを展開するプラスが親会社で、同社から先行して誕生したアスクルが弊社設立に大きく関わっています。

アスクルがプラスのアスクル事業部としてオフィス用品通販サービスを開始したのが、1993年3月です。主に中小企業向けのビジネスで順調に成長してきました。

そんななか、「新たに大手企業向けの事業を始めよう」という流れになったんですね。そこでまずは下準備をスタートさせ、2000年に会社設立となった次第です。

大久保:渡里さんが参画されてから、第二創業に移行されたそうですね。詳しくお聞かせください。

渡里:2000年の創業以来、文具事務用品の購買管理プラットフォームを運営してきたのですが、「文具事務用品に限定せず、顧客が現場で必要としている資材をお届けする事業に転換しよう」との話があがったんです。

2020年に既存のEC事業を親会社に事業譲渡し、主に大手企業が調達されている多彩な間接材などを取り扱うECプラットフォーム事業に専念することになりました。

大久保:間接材に注力するようになった理由についてお教えください。

渡里:顧客にヒアリングさせていただいたところ、ECでの間接材の調達をご希望される企業が多かったからです。

弊社は親会社がオフィス家具・文具事務用品のメーカーですし、会社設立の経緯からもオフィス関連の商材に長けている人材が多く、こだわりもありました。

また大手向けの事業運営を目的に作られた会社ということもあり、顧客にはゼネコンや電力会社など、企業規模が大きな会社が多くを占めています。そして私自身、これまでのキャリアでいずれも大手企業担当でしたので、密接な関わり方をしてきました。

そこで参画してから積極的に顧客訪問を行い、「弊社に対するさらなるご要望をお聞かせいただきたい」とお伺いしながらまわったんですね。

すると「現場で必要な間接材などの購買管理システムを提供してほしい」とのお答えが返ってきたんです。

アスクルの設立後、次々に競合も参入し、文具事務用品のEC市場は大きな発展を遂げました。一方、資材関連はいまだにFAXなどの手作業で注文をしており、煩わしさに加えアナログによるミスが起こるなど、どの企業でも難儀な思いをされていらっしゃったんですね。

大久保:その顧客訪問により、渡里さんは購買管理分野における明確な問題を認識されたんですね。

渡里:はい。「これは大きな社会課題だ。なんとかしなければ」と決意し、サプライヤー各社に協力を依頼しながらサービス構築を進めました。

顧客の要望から誕生!あらゆる間接材の購買管理プラットフォーム「ビズネット」

大久保:先ほど間接材などを取り扱うECプラットフォーム事業に事業転換されたとお話しいただきました。現在の御社のサービス内容について詳しくお教えください。

渡里:現在弊社では「購買管理をもっと便利に、スマートに。」をコンセプトに、文具事務用品に限らず、電設・建設現場での工具や医療機関での器具、鉄道の線路工事部品などあらゆる間接材の購買管理プラットフォーム「ビズネット」を展開しています。

これまで電話やFAX、紙の帳票や手作業で行っていた見積・発注・支払い業務が、弊社の「ビズネット」をご利用いただくだけで簡単にデジタル化や業務の効率化、コスト削減の実現が可能です。

さらに間接材だけでなく、資材・サービスなどを含め調達・購買をしていただけるよう常にサービスの拡充を行っています。

大久保:御社のプラットフォームにサプライヤーが取り扱う間接材が揃っているため、これまでどの企業でも苦労していた調達・購買業務が最適化されたそうですね。

渡里:おかげさまで多くの企業がご評価くださり、現在14,000社以上の大手・中堅企業に導入いただいています。

弊社では「購買・請求エンド・ツー・エンド・デジタル」としてサービス提案を行っているのですが、電子カタログからそのまま購買手続きができて、その後の支払い処理もすべてデジタルで完結できることが大きな特長です。

また主要なサプライヤーがすべて揃い、最大5,000万点の現場専門品を取り扱っていますので、わざわざ「ビズネット」以外から探す必要もありません。

それから複数のサプライヤーが同じ商品を掲載している問題に対応し、自動相見積もりが可能な横串検索機能を提供しています。BtoCにおける価格.comの役割を果たすことで、比較検討ができるようになりました。

BtoBの受注販売は、顧客の企業規模などにより販売者が販売価格を変えているため、これまで同様のサービスが存在しなかったんですね。弊社はこの課題にも積極的に取り組み、各サプライヤーにご協力いただくことで実現しました。発注企業が検索すればするほど受注機会が増えますので、多くのサプライヤーが健全な価格競争をしてくださっています。

こうした万全の体制とさまざまな機能により、気づかないうちに会社のリソースを奪っていく間接材の購買業務を統合管理し、コア業務へのリソースの集中だけでなく物品コストの削減も叶えられることが「ビズネット」の強みのひとつです。

大久保:素晴らしいプラットフォームですね。企業間取引のデジタル化・効率化の支援にも力を入れてらっしゃると伺っています。

渡里:はい。「ビズネット」をご利用いただくことで、発注企業・受注企業双方の業務のデジタル化を促進し、業務効率の向上を図っています。

たとえば発注企業にとっては長年付き合いのある取引先がデジタルに対応していないため、導入に二の足を踏んでしまう可能性もあると考えたんですね。そのサポートとして、デジタル未対応の企業にも商品登録だけで簡単にご参加いただける機能を付加しました。

おかげさまで顧客企業からは「実際に使ってみて本当に便利だということを実感している」とのお声をいただき、「さらにこんな機能がほしい」というご要望を出してくださるようになりました。

既存顧客の声を活用!アナログな業界・領域のDX推進に効果的な導入事例の提示

大久保:古くからアナログで完結している業界や領域で、自社サービスの浸透がうまく進まず悪戦苦闘されている起業家も少なくありません。いくらDXは合理的だからといっても、長年の商慣習を変えるのは難しいですよね。御社も「なかなかサービス導入してもらえない」というケースがあったのではないでしょうか?

渡里:はい、実際にはかなりありました(苦笑)。一度でもご利用いただければ良さや価値をご理解いただけるのですが、そこまでが本当に大変なんですね。

いまだに大手企業のご担当者でも「FAXは便利だからこのままで構わない」とおっしゃる方が少なくありません。手書きの記載間違いや手入力による入力ミスが発生したり、電話でのやりとりにおける言った言わない論争になってしまっていても「変える必要はない」と。

私は弊社に参画するまでの間、長いことIT業界に在籍していましたので、なおさら愕然としました。と同時に、「IT産業は一体なにをやっていたのか!」と自身への反省を込めて、弊社サービスの推進に努める毎日を送っています。

大久保:日本では大手企業でもアナログの現場が多いという実態は、労働生産性の低さにも関係していそうですね。

渡里:おっしゃる通りです。強い危機意識を持つようになりました。

だからこそ、「弊社のサービスをご利用いただくだけでいいんです。特別な知識も経験も不要ですし、価格も高くありません。さらに比較までできます。ご利用いただくだけで御社の購買業務をDX化できますよ」とお伝えし続けているんですね。

簡単にご理解いただけるわけではありませんが、常に顧客にとって拒絶する要素が極めて少ない提案を心がけています。

大久保:DX支援サービスがなかなか採用されず悩んでいる起業家へのアドバイスとして、拒絶する要素が極めて少ない提案のコツについてお教えいただけますか。

渡里:弊社の事業でお話しすると、これまでアナログで購買業務を行っていた発注企業にとって、購買管理プラットフォームは未知の分野ですので「一体なにが便利になるのか?」という疑問を抱いていらっしゃるんですね。

そこで弊社では既存の顧客から「これまで購買業務に1日あたり6時間かかっていたのが、2時間で終わらせることができるようになった。その結果、計算するとこれだけコストカットができた」というようなメリットを細かくお聞かせいただき、弊社のホームページなどに掲載したり、提案時にきちんと示すようにしました。

ご検討いただく際に「他社ではこのような価値がもたらされている」という事例や数値があることで、弊社がご説明するだけより高い効果があり、導入いただけるケースが増えたんですね。

市場でのシェアが伸びずにお悩みの起業家の方々は、リアルなメリットとして導入事例と具体的な数値を示すようにすると好転するのではないかなと思います。「弊社のプロダクトならこんな未来が実現できます」明確なイメージを提示してみてはいかがでしょうか。

EC化が加速する世の中の流れを後押しすると同時に、市場のリードを目指す

大久保:最後に、今後の展望についてお教えいただけますか。

渡里:事業運営を通して、世の中に存在するあらゆる製品の販売・流通においてEC化が加速していると驚くことが年々増えました。

一昔前までオンラインで購入できるのは書籍くらいでしたが、いまや産業用ドローンやIoTまで発注することができるんですね。実際に弊社の「ビズネット」でも、ここ数年で急激に売上シェアを伸ばしています。

コロナ禍でリモートワークが定着し、対面で開催されていたイベントもオンライン化が進んだことで、たとえば企業内で技術を競い合うコンテストで使用する高性能パソコンをまとめてご購入いただくなんてことも出てきました。

ECであればWEB上でスペックを含めた比較検討ができますし、「これにしよう」と決めたらそのまま購入できます。その後の支払い完了まですべてデジタルで進められますので、リモートワークをはじめとした現在の働き方に適したサービスでもあるんですね。

このようにBtoB、BtoCを問わず「ECでモノを買う」という行為や考え方がどんどん進化していますので、弊社ではその流れを後押ししていきたいと考えています。

時代についていくのではなく、自分たちから積極的にビジネスを打ち出しながら市場をリードできるよう、これからもさらなる研鑽を積んでいきたいです。

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(取材協力: ビズネット株式会社 代表取締役社長 渡里 直樹
(編集: 創業手帳編集部)



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