年末調整が必要な個人事業主・フリーランスとは?従業員がいるなら必見!

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個人事業主・フリーランスが年末調整する場合や確定申告との違い、基本ルールとは?

この記事のAI要約!

●個人事業主・フリーランスの年末調整が必要なケース:従業員や青色事業専従者がいる場合。
●年末調整と確定申告の違い:年末調整は会社員向け、個人事業主は確定申告が基本。
●年末調整の手続きの流れと方法:必要書類の準備、紙ベース・電子申請の手順とメリットを解説。
●年末調整を怠るリスク:罰則や従業員との信頼損失の可能性。

個人事業主・フリーランスになった人が迷う手続きに「年末調整」があります。

会社を辞めて独立した個人事業主・フリーランスは、年末調整をする必要があるのでしょうか。必要なケースや年末調整のルールを押さえておきましょう。

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個人事業主・フリーランスは基本的に年末調整は必要ない


個人事業主やフリーランスの方は、原則として年末調整を行う必要はありません。年末調整は、基本的に雇用されている会社員向けの手続きであるためです。

会社員や公務員から個人事業主・フリーランスに転向した人が税金の計算をする場合は、別の手続きが必要です。以下に、年末調整を行うべき人の詳細や、個人事業主・フリーランスがとるべき対応について紹介します。

会社員は年末調整が必要

年末調整は会社員の所得税・住民税の計算に必要な手続きです。つまり、個人事業主・フリーランスは基本的に年末調整をしません。

会社員は、会社がまとめて税金の計算をして納税してくれるため、年末調整を行うことになります。

ただし、中には会社員でも年末調整が必要ない人、年末調整ではなく確定申告をすべき人もいるので、最終的には個々の状況で判断することが必要です。

個人事業主・フリーランスは確定申告が必要

会社員の年末調整にあたる個人事業主・フリーランスの手続きは、確定申告です。税務署に税金の計算をして届け出る手続きで、年間事業所得が20万円を超えたら必要になります。

会社員のように会社が取りまとめることはないため、個人事業主・フリーランスは一人ひとりが自分で税金の計算と届け出を行います。

確定申告が必要な人が申告を忘れると余分に課税されるなどのペナルティも発生するため、責任を持ち自分で管理して毎年申告する必要があります。

個人事業主・フリーランスで従業員がいる場合は年末調整が必要

基本的に年末調整をしなくていい個人事業主・フリーランスですが、従業員を雇っている場合は従業員に対する年末調整が必要です。

事業の経営者は、アルバイトやパート、正社員に対して年末調整を行う義務があります。従業員に年末調整の書類を配布したり、所得税を正しく計算したりしなくてはなりません。

個人事業主・フリーランスの人は自分の年末調整ではなく、従業員に対する年末調整を忘れないように注意しましょう。

青色事業専従者がいる場合は年末調整が必要

個人事業主・フリーランスで雇用主となる人は年末調整が必要です。これは、青色事業専従者の雇用主にも言えます。

青色事業専従者とは、青色申告を用いて確定申告をしている場合に、配偶者や親族を従業員として雇う際の呼び名です。

青色事業専従者がいる個人事業主・フリーランスは、他の従業員と同じように年末調整を行いましょう

個人事業主・フリーランスでも自分の年末調整が必要になるケース


年末調整は給与所得者に必要な税額の計算・納税手続きですが、例外的に個人事業主・フリーランスが自分自身の年末調整を必要とすることもあります。

その場合は事業所得分の確定申告も行うので、年末調整と合わせて2つの手続きが必要です。

以下の判断基準を目安に、自分の年末調整をすべきかを確認しましょう。

源泉徴収ありのアルバイトをした場合

個人事業主・フリーランスがアルバイト収入を得た場合、年末調整が必要となります。これは、源泉徴収が義務付けられる月額8万8,000円超の給与収入を得ているケースです。

月額8万8,000円を超えたアルバイト収入があれば、毎月の給与から源泉徴収が行われます。年末調整の対象にもなるので、勤め先から書類を配られ次第記入・提出し、控除の適用や税金の還付を受けましょう。

年末調整と確定申告の両方をする場合、確定申告時に源泉徴収票が必要です。源泉徴収票からの情報を申告書に転記するので、流れとしては年末調整が終わってから確定申告をすることになります。

アルバイト収入が月額8万8,000円未満であれば会社側は源泉徴収をする必要がありません。年末調整も行われない可能性が高いので、個人事業の確定申告のみを行いましょう。

年の途中で会社員に戻った場合

個人事業主やフリーランスとして働いてきて、途中で会社員になった場合にも年末調整の対象となります。

この場合には、個人事業主・フリーランスとしての事業収入と、その後に会社員としてもらった給料の2つが課税対象となり、確定申告もしなければいけません。

会社では、雇用されてから年末まで働いた分を年末調整し、それ以前の事業収入は会社の年末調整後、源泉徴収票を持って確定申告に行くことになります。

個人事業主・フリーランスの雇用主が年末調整をするには?基本や流れ


雇用主の立場にある個人事業主・フリーランスは、自分の収入に対してではなく、従業員の年末調整を行います

年末調整を行うにあたって知っておきたい基礎知識や、年末調整の流れなどを紹介します。

年末調整の基本的な仕組み

年末調整は、従業員の所得税を正しく納付するために欠かせない作業です。それだけでなく、住民税の算出にも深く関わっています。

年末調整が各税金にどう関係しているか、正しく理解しておきましょう。

税金 年末調整との関係
所得税 給与から源泉徴収されている税金。年末調整で1年間の所得税を改めて計算し、過不足を調整した上で正しい額を納税する。
住民税 前年の課税所得に基づいて決まる税金。課税所得は各種控除が適用されたあとの金額であるため、年末調整による控除の適用がなければ課税所得が増え、住民税も高まる恐れがある。

年末調整は、所得税の過不足を調整したり、課税所得に見合った住民税を適用したりするための大切な作業です。

個人事業主・フリーランスの雇用主であっても、従業員がいれば年末調整を実施し、従業員が正当な税金額を納付できるよう努めなくてはなりません。

年末調整の流れとスケジュール

個人事業やフリーランスの雇用主が年末調整を行う際、全体のスケジュールから流れを把握するのがおすすめです。以下に年末調整に関わる作業をまとめました。

時期 概要
1月~ 毎月の給与から源泉徴収する
10月~11月 年末調整に必要な各申告書を従業員に配る
11月上旬まで 当年入社の従業員から前社の源泉徴収票を回収する
11月中 各申告書を従業員から回収し、内容を確認する
12月中旬まで 従業員ごとの所得税を計算する
12月中の給与支給日 源泉徴収票の配布と、所得税の過不足を還付または徴収する
翌年1月10日まで

(特例適用事業者は1月20日まで)

所得税徴収高計算書(納付書)を作成し、所得税を納付する
翌年1月31日まで 税務署に給与の源泉徴収票と法定調書合計票を、市区町村へ給与支払報告書をそれぞれ提出する

毎月の給与からの源泉徴収に始まり、10月頃から本格的に年末調整の準備を進めていきます。書類の配布と回収、チェックから計算までを雇用主が行わなくてはなりません。

従業員の数や事業の忙しさによってスケジュールを調整し、余裕を持って年末調整に取りかかりましょう

年末調整のやり方について、詳しくはこちらの記事を>>
【令和6年分最新】年末調整のやり方が簡単にわかる!定額減税もおまかせ

年末調整に必要な書類

年末調整では、従業員に記入してもらう書類の準備が必須です。

従業員に記入・提出を求める年末調整の主な書類は以下となります。

  • 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書(令和6年分は「年末調整に係る定額減税のための申告書」も兼ねる)
  • 保険料控除申告書および控除証明書
  • 扶養控除等申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書
  • 前職の源泉徴収票(当年入社で前職がある者のみ)

住宅借入金等特別控除申告書、保険料控除申告書に添付する控除証明書は、従業員自身で準備し、提出してもらいます。当年に入社した従業員であれば、前職の源泉徴収票も出してもらいましょう。

年末調整のやり方

年末調整は旧来通り紙ベースで行うか、電子申請の2種類からやり方を選択できます。各メリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を導入しましょう。

年末調整を紙ベースで行う場合

書類の準備から計算までを紙ベースで行う方法です。紙ベースの場合は配布・回収・確認といった工程に時間がかかるため、余裕をもって取り組む必要があります。

紙ベースのメリットは、従業員のITリテラシーを問わないことで、手続きのハードルを低くできる点です。電子申請は前提としてツールの利用方法を理解しなくてはならず、年末調整を億劫に感じる要因になります。

一方で、紙での申請は税務署に用紙をもらう・郵送してもらうといった手間が生じる方法です。配布のタイミングや回収が遅れると期日に間に合わない恐れがあるので、早めの準備が欠かせません。

年末調整を電子申請で行う場合

年末調整は、電子申請で行うこともできます。紙書類を廃止することで、配布や回収にかかるコストを大幅に削減可能です。

年末調整に必要な情報をデータで送受信でき、計算も自動化されるので、従業員と会社の双方で確認・計算の手間が省けます。人的ミスの抑制にも効果的です。

反面、ソフトのインストール、保険会社との電子データ連携など、従業員側に求める導入手続きも増えます。ITに不慣れな従業員には負担になりかねません。

個人事業主・フリーランスの場合は小規模であるケースが多いので、電子化にかかる費用や手間が見合っているかも踏まえて検討した方がいいでしょう。

e-Taxの使い方について、詳しくはこちらの記事を>>
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個人事業主・フリーランスが従業員の年末調整を怠るリスク

個人事業主・フリーランスであっても、雇用している従業員がいる場合は年末調整の実施義務があります。仮に忘れた場合、どんなリスクが考えられるのでしょうか。

罰金や罰則が生じる恐れがある

年末調整は、法律で定められた雇用主の義務であるため、正当な理由なく拒否すれば罰則が課せられる可能性があります。場合によっては10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはそれらが併科されることもあるのです。

個人事業主やフリーランスが従業員を雇用する場合は、年末調整の義務について正しく理解し、必要性を十分に把握しておきましょう。

従業員との信頼関係が崩れる

年末調整を忘れたり拒否したりすると、従業員から義務を怠るような事業主であると判断されます。結果起こりやすくなるのは、信頼関係の悪化や離職です。

個人事業主やフリーランスの場合、少数精鋭の事業展開も珍しくありません。事業を支える従業員の信頼を損ねてしまえば、今後の発展に致命傷となるでしょう。

事業の発展を妨げる原因を作らないためにも、従業員の年末調整は欠かさず実施してください。

個人事業主が知っておきたい年末調整と確定申告の違い


個人事業主やフリーランスには基本的に年末調整は必要なく、確定申告をしなくてはなりません。

両者を混同してしまうケースも少なくないため、どのような違いがあるかを明確にしておきましょう。

誰が行うかの違い

年末調整と確定申告は、それぞれ誰が行うべきものなのかが違います。年末調整は雇用者のいる会社や事業主、確定申告は所得がある個人がすべきものです。

個人事業主・フリーランスがどちらをすべきか迷う場合も、誰が行うものであるかから判断すれば容易に判別できます。

雇用者がいれば従業員に対して年末調整が必要になり、自身しかいなければ確定申告だけで構いません。

適用される控除の違い

年末調整と確定申告で適用される所得控除には、一部違うものがあります。年末調整で適用されない場合、個人で確定申告が必要です。

年末調整で適用されず、確定申告のみでしか使えないのは以下の控除です。

控除 概要
医療費控除 最高で200万円まで、自己負担した年間医療費の一部に相当する額が控除される
寄附金控除 ふるさと納税を含む寄附金の一部に相当する額が控除される(ワンストップ特例の適用者であればふるさと納税分は年末調整の対象になる)
雑損控除 災害、盗難、横領により対象資産が損害を受けた際に一定金額が控除される

寄附金控除のうち、ふるさと納税で支払った分はワンストップ特例制度に申請できます。申請が通れば年末調整で控除を受けることが可能です。

年末調整では処理できない控除については確定申告が必須となります。個人事業主・フリーランスの雇用主は従業員への説明を徹底しましょう。

年末調整と確定申告の違いについて、詳しくはこちらから>>
年末調整と確定申告の違いとは?両方やる場合や注意点などを徹底解説

まとめ・個人事業主でも年末調整が必要な場合があるため注意!

個人事業主やフリーランスにとって年末調整は基本的に必要ありませんが、例外的に年末調整が必要な人もいます。

特に、給与所得が発生した年は注意してください。また、従業員を雇用する個人事業主は、従業員の分も年末調整が必要です。

年末調整は会社員のものと思われがちですが、必要となった際に慌てないためにも、自分に無関係とは思わないほうがいいでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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