領収書の収入印紙は必要?今更聞けない収入印紙の基礎知識を解説!

創業手帳

収入印紙の特徴と注意点について

(2018/02/21更新)

収入印紙といえば「領収書に貼るもの」と知ってはいても、改めて考えるとなぜ貼らなくてはいけないのか、疑問に思いながらも習慣的に扱っている方はいらっしゃいませんか?
今回は収入印紙について、基本をおさらいしてみましょう。

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収入印紙とは

収入印紙は政府が発行している証票で、国の税金や手数料などを徴収するために使用します。

会社の登記をする際の登録免許税や、政府に対する許可申請の手数料、訴訟費用や国家試験の受験料などを支払うために使われるほか、「印紙税」という税金を納付するために使われます。

印紙税は国の税金のひとつで、印紙税法で定められた20種類の「課税文書」が決められています。これらの課税文書を作成した場合は、収入印紙を貼って納税することが義務付けられています。
領収書もこの課税文書のひとつです。

収入印紙と似たものに、「収入証紙(または、領収証紙)」というものもあります。

住民票を取る時などに使うことがあると思いますが、収入証紙(領収証紙)は道府県、市町村などに手数料などを納めるためのもので、それぞれの地方自治体が発行しています。したがって、国税の収入印紙と地方自治体の収入証紙を混ぜて使ったり、逆に収入印紙を地方自治体の手数料などに使ったりすることはできません。

収入印紙はなぜ必要なのか?

前述のように、領収書に収入印紙を貼るのは印紙税法で定められた義務とはいえ、そもそも「なぜ収入印紙が必要なのか?」という疑問を持つ方は少なくないと思います。

政府の説明によると印紙税は「経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化すること」に着目して「軽度の負担」を求めるもの(2005年に小泉総理大臣が出した答弁書)とされています。

つまり、領収書という文書が作成される背後には商品の販売などの利益を生む取引があるだろうから税負担を求める、というのが印紙税といえます。

印紙税は1件200円~の「軽度の負担」とはいえ、国税庁の統計によると印紙収入(印紙税以外の分も含む)は年間およそ1兆円余。酒税、たばこ税、関税などと並んで国の税収の重要な柱のひとつになっています。

なお、課税文書を大量に作成する場合は収入印紙を貼る代わりに、「税印を押す」「印紙税納付計器で納付印を押す」「税務署長の承認を受けて書式表示する」といった方法もあります。

印紙税額一覧

印紙税法に定められている「課税文書」は以下の20種類です。

  • 1号 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書(用船契約書を含む。)
  • 2号 請負に関する契約書
  • 3号 約束手形又は為替手形
  • 4号 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託、若しくは受益証券発行信託の受益証券
  • 5号 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書
  • 6号 定款
  • 7号 継続的取引の基本となる契約書
  • 8号 預金証書、貯金証書
  • 9号 貨物引換証、倉庫証券、船荷証券
  • 10号 保険証券
  • 11号 信用状
  • 12号 信託行為に関する契約書
  • 13号 債務の保証に関する契約書
  • 14号 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書
  • 15号 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書
  • 16号 配当金領収証、配当金振込通知書
  • 17号 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書
  • 18号 預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳
  • 19号 消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳
  • 20号 判取帳

文書に記載した金額に応じて印紙税額が変わるものがあります。また、一定の条件で非課税になる場合もありますので、詳細は国税庁のウェブサイトを確認してください。

ちなみに、領収書は17号「金銭又は有価証券の受取書」にあたり、「売上代金」の場合とそれ以外で扱いが分かれています。

売上代金の受取書の場合

領収書などの「金銭又は有価証券の受取書」が売上代金に係る場合は、記載された受取金額によって、以下の収入印紙を貼る必要があります。

5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1千円
500万円を超え1千万円以下 2千円
1千万円を超え2千万円以下 4千円
2千万円を超え3千万円以下 6千円
3千万円を超え5千万円以下 1万円
5千万円を超え1億円以下 2万円
1億円を超え2億円以下 4万円
2億円を超え3億円以下 6万円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
受取金額の記載のないもの 200円

印紙税は文書の名称や表題、見出しなどにかかわらず、文書の内容の「実質的な意義」に基いて課税対象か否かを判断されますので、表題が領収書、レシート、受取書などとなっていなくても、金銭の受取を証明する内容であれば収入印紙を貼らなくてはなりません。
例えば、請求書や納品書に「代済」と記入したものなども受取書に該当します。

なお、5万円以上であってもクレジットカード払いに発行する領収書は収入印紙不要(ただし「クレジットカードによる支払い」であることを明記することが必要)です。
しかし、デビットカード(即時決済型)払いには収入印紙が必要です。

また、売上代金の受取書であっても「営業に関しないもの」は非課税文書とされていますので、収入印紙を貼る必要がありません。

この場合の「営業」は「営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこと」とされています。例えば、“個人的に家で不要になったテレビをたまたま友人に6万円で売って領収書を書いた”といった場合には、収入印紙を貼る必要はありません。

そのほか、店舗などの設備がない農家、漁師などが自分の生産物を販売する場合、医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などの行為も通常は営業に当たらないとされています。

一般社団法人、特定非営利活動法人などで、法令や定款により「利益や剰余の配当や分配ができない」と定められている法人の行為も営業になりません。

売上代金以外の受取書の場合

「売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書」とは、借入金、保険金、損害賠償金、補償金などの領収書のことです。

「金銭又は有価証券の受取書」(領収書など)が売上代金以外の受取書の場合は、記載の金額が5万円未満が非課税なのは売上代金の場合と共通ですが、5万円以上で金額が大きくなっても200円のまま変わりません。

5万円未満 非課税
5万円以上 200円
受取金額の記載のないもの 200円

売上代金の場合と同様、営業に関しないものは非課税です。

収入印紙を貼らないと過怠税を徴収される

記載金額5万円以上の領収書などの課税文書に収入印紙を貼らなかった場合は、過怠税として本来納付すべきだった税額とその2倍の額、合計で本来の3倍の額が課されます。

ただし、税務調査などを予知しないで自主的に不納付(貼り忘れなど)を申し出たときの過怠税は1.1倍に軽減されます。この場合、印紙税不納付事実申出書の提出が必要となります。

過怠税は会計上、損金や必要経費とすることはできません。また、脱税には3年以下の懲役、100万円以下の罰金の規定もありますので十分注意が必要です。

ちなみに、印紙税は文書に課税されますので、逆に言うと文書でないものには課税されません。

例えば、5万円以上の領収書でもPDFなど電子的に発行してメールなどで送付する場合は収入印紙不要です。それを受け取った人が紙に印刷しても「領収書のコピー」になります。
ただし、パソコンなどで作成した領収書を「印刷して渡す」のは課税対象です。ご注意ください。

領収書に収入印紙を貼る際の注意点

収入印紙を領収書に貼る場合は、はがれないようにしっかり貼るのはもちろんですが、税金にかかわるものですので他にも注意するべきポイントがあります。

消印を忘れずに

収入印紙を貼ったら、印紙の彩紋(絵柄部分)と領収書の双方にかかるように消印としてハンコを押すか、署名をします。しかし、不動産の名義変更時の登録免許税などで「印紙は消印しないこと」の記載がある場合があります。その際には受理した担当者が収入印紙による納付の事実を確認してから消印をするので、消印をしないようにしましょう。

領収書に角印などを押している場合も多いと思いますが、消印に使うハンコはそれと違う三文判、シヤチハタなどで問題ありません。
消印の目的は貼った収入印紙を剥がして再利用したりできなくするためですので、署名する場合はボールペンなどで記入します。鉛筆や消せるボールペンなどの使用は避けましょう。

消印しないと額面相当額の過怠税が課されることになります。例えば、200円の収入印紙に消印しないと、さらに200円過怠税を支払うことになりますので、十分注意しましょう。

内訳を書くことで印紙代節約になる場合も

消費税課税事業者の場合、領収書に消費税額を区分して記載するか、税込価格と税抜価格両方を明記することで印紙代が節約できる場合があります。

前に述べたとおり、記載金額が5万円未満の領収書は非課税ですが、例えば「商品代金48,000円、消費税3,840円、税込合計51,840円」の場合など、税込・税抜で5万円をまたぐ場合がこれにあたります。

領収書の額面欄に「¥51,840-」と書くだけでは課税文書になり、収入印紙200円を貼る必要がありますが、合計金額にあわせて「税抜金額48,000円」あるいは「消費税3,840円」を併記すると記載金額48,000円の非課税文書となります。なお、税額は%ではなく金額で明記する必要があります。

ひと手間かかりますが、簡単な節税方法のひとつです。市販の領収書には内訳を記入する欄を持つものがありますので、活用してみましょう。
※ただし、消費税免税事業者には適用されません。

まとめ

今回は領収書に貼る収入印紙を中心にまとめましたが、契約書を交わす場合など、起業したらさまざまな場面で収入印紙を取り扱うことになります。収入印紙が正しく扱われているかどうかは税務調査でもチェックされるポイントの一つですので、知識と意識を高めていきましょう。

(編集:創業手帳編集部)

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