テナントビルの借り方は?契約の流れや審査でチェックされるポイントなどを解説!
テナントビルの借り方は賃貸住宅とほぼ同じ!
自分自身のお店をオープンしたいと考えた時、基本的にはテナントを借りることが必要です。
しかし、どのようにテナントビルを借りれば良いか悩んでしまうケースも少なくありません。
ビルを借りるのはハードルが高そうに思えますが、実は賃貸住宅と借り方がほぼ同じです。
今回の記事では、テナントビルを借りる際の流れや内覧時にチェックすべきポイント、テナントビルの入居審査にかかる時間・チェックされるポイントなどについて解説していきます。
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この記事の目次
テナントビルを借りる際の流れ
テナントビルの借り方がどのような流れなのか知らない方は多いかもしれません。
基本的には賃貸住宅と同じです。まずは、テナントビルを借りる際の流れについて解説していきます。
1.条件についてまとめる
テナントビルを借りるのであれば、まず条件をまとめる必要があります。開業したいお店のコンセプトに合う物件を選ぶ必要があるためです。
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- どこにお店があるのか
- どのような方がターゲットなのか
- 何を販売するのか
- お店はどのような雰囲気にするのか
- セールスポイントは何か
上記のポイントについて、できるだけ具体的にイメージしてください。
さらに、価格帯や売上、儲けの仕組みについても考える必要があります。人件費や売上の原価などの経費も、早い段階でまとめておくのがおすすめです。
賃料はいくらまでなら支払えるのか、自己資金と融資のどちらを選択するか、なども重要です。
融資を受ける場合は、面談してから結果が出るまでに1カ月程度は時間がかかるので、早めに動いてください。
2.物件探しをする
条件がある程度まとまったら、物件探しを行います。知り合いにビルのオーナーなどがいない限り、不動産会社に相談することになります。
テナントビルを多く取り扱っている不動産会社を探すには、インターネットの活用がおすすめです。
不動産会社に相談することで、物件に関する情報を的確に教えてもらえます。自分では気にしていなかったものの、適切なエリアや物件を提案してもらえる場合もあります。
また、テナントビルの家賃相場を知る指標にもなるので、不動産会社にある物件を見せてもらうのは有益です。
さらに、貸店舗探しのノウハウを身に付けることもできます。情報取集はお店のコンセプトを第一条件として、できるだけ多くのテナントビルを検討するようにしてください。
3.気になる物件の内覧をする
気になる物件が見つかったら内覧をします。内覧をすることで、物件の状態を自分自身の目で確認できるからです。
物件の状態だけではなく、ビルの雰囲気や周辺の環境、人通りの多さなどもチェックできます。
物件資料を不動産会社で見ただけでは、把握しきれない部分もあるかもしれません。内覧をせずに借りてしまうと「こんなはずではなかった」と後悔する可能性も高まります。
内覧で細かい部分まで確認できれば、自分のイメージに合うお店づくりもしやすくなるでしょう。
実際に入居した時のイメージが湧きやすくなり、借りた後の展望が見えやすくなることも内覧で得られるメリットです。
4.契約を結ぶ
条件に合う物件が見つかり内覧でも問題がなければ、申し込みをします。
この段階ではまだ本契約ではありません。なぜかというと、賃貸住宅と同じように入居審査があるためです。
申込書を提出した段階であればキャンセルできるため、ほかの物件を見ていても問題ありません。
しかし、不動産会社によって規定が異なる場合もあるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
申し込みをした後の審査に通過すれば、無事契約となります。契約時には初期費用の支払いなどがあるので、この時までに資金を用意しておいてください。
内覧時にチェックすべきポイント
続いては、テナントビルの内覧をする時に具体的にどのようなポイントをチェックすれば良いのか解説していきます。
テナントビルを借りるための内覧を控えている方は必見です。
アクセスや周辺環境
テナントへのアクセスがしやすいかどうかは、お店を開く際に重要なポイントとなります。
オフィスとして使うのであればそこまで問題ありませんが、飲食店や小売店などを開業する場合はアクセスや周辺環境を必ず確認してください。
最寄り駅からの距離や周辺の便益施設(銀行や郵便局、公園など)、治安はチェックすべきポイントです。
また、同業他社が入居していないかもチェックしておいてください。同じ建物に同業他社が入居していると顧客が分散する可能性があるためです。
建物に入っているほかのテナントのホームページやSNSを見てみると、どのようなビジネスを行っているか把握しやすくなります。
現地に行けない場合は、物件の住所で絶対検索をするのがおすすめです。絶対検索は、キーワードを「“”」で囲んで検索し、完全一致する結果を表示される方法です。
共有部分の設備
共有部分の設備には、以下のような部分が挙げられます。
・トイレ
テナント内にトイレがないビルも少なくありません。飲食店などを開くのであれば、足を運んでくれた方が利用できるトイレがビル内にあると安心です。
バリアフリートイレがあれば、より多くの方に足を運んでもらいやすくなります。
・エントランス
エントランスは、建物の第一印象を決める部分です。しっかりと管理されていると、清潔感があるので安心感を与えられます。
・エレベーター
エレベーターの数は、ビルの規模などによって異なります。小さいビルだと荷物を運ぶためのエレベーターがない可能性もあるので、しっかりと確認しておいてください。
・メールボックス
メールボックスはテナントビルによってサイズがまちまちです。郵便物が増える可能性があるなら、大きめのメールボックスを完備したビルの選択が無難です。
専有部の設備
内覧する時に、専有部の設備も忘れずに確認しておいてください。空調システムや電気の容量は特にチェックすべきポイントです。
最近のテナントビルでは、電気の容量が足りなくなることは基本的にありません。しかし、古いビルの場合だと増設対応をしなければいけないので、確認しておくと安心です。
空調システムに関しては、4方向に吹き出し口があるタイプがオフィスビルなどでは多く見られます。
比較的新しいビルであれば、空調設定のゾーン設定が細かくなっているケースも多いです。
入居を考えているテナントビルではどのような仕組みになっているか確認しておいてください。
建物の外観
お店を開くのであれば、建物の外観も重要になります。オフィスであっても来客が多い場合は、テナントビルの外観も細かくチェックしておくことをおすすめします。
薄汚い外観だったり、外壁材が剥がれている部分があったりすると、ネガティブなイメージを持たれる可能性が高いからです。
家賃が安くて空きが多いテナントビルは、外観の問題で入居を希望する方がいない可能性もあります。
そのため、家賃の安さだけで決めるのではなく、テナントビル自体の雰囲気もチェックすることが重要です。
テナントビルの入居審査とは。流れやかかる時間を把握
テナントビルを借りる際には入居審査が行われます。入居審査をクリアしなければ、借りたくても借りられません。
続いては、入居審査の流れやかかる時間について解説していきます。
入居審査の必要性
テナントビルの入居審査があるのは、入居しているテナントに評判がビルの評判に直結するためです。
ビルの評判が悪くなるとビルオーナーは大きな損失を被るため、賃貸住宅と比較して審査は厳しめだといわれています。
テナントを貸すのはある意味お金を貸すのと同じなので、信頼できる企業や個人に貸したいと考えるのは当然です。
審査申し込み時に横柄な態度をとる入居希望者は印象が悪くなり、審査の通過率が低くなるともいわれています。
家賃滞納などのトラブルを避けるためにも、真摯(しんし)に対応してくれる方に貸したいと考えるためです。
貸主は反社会的勢力とのつながりもチェックし、トラブルを回避しなければいけない点からも、テナントビルの入居審査は必須となります。
審査に通過するためには、正しい事業計画書を提示できるようにしておくのが得策です。
テナント入居審査の流れやかかる時間
テナントビルへの入居を考えているなら、入居審査の流れやかかる時間も把握しておく必要があります。
【入居審査の流れ】
1.契約申込書(申込者の氏名や住所、電話番号、収入、連帯保証人などを記入)を提出する
2.事業内容や財務状況がわかる書類(会社の登記簿謄本や決算書、会社案内など)を提出する
3.物件のオーナーと面談する
4.結果が通知される
物件のオーナーとの面談は、必須ではありません。
しかし、契約者がどのような人物か、事業経験はどの程度あるかなどを知りたいと考えるオーナーは面談を設けるケースがあります。
入居審査の結果は一般的に2~7日程度かかり、合否にかかわらず審査結果の連絡が来ます。1週間以上結果が通知されない場合は、不動産会社に連絡してみてください。
テナントビルの入居審査で確認される5つのポイント
テナントビルの入居審査では、大きく分けて5つのポイントを確認します。確認されるのは信用調査の結果や財務状況、将来性、業種、反社チェックです。
最後に、これらのポイントについて解説していきます。
1.信用調査の結果
信用調査は、民間の調査会社に依頼して行われます。その結果から、支払い能力の有無を判断します。事業内容や業績、設立年数、資産などの情報を確認できるものです。
テナントを貸す相手が債務超過に陥っていたり、自転車操業だったりすると、家賃の支払いなどに不安が生じます。
家賃滞納などのトラブルになる可能性もあるので、信用調査を入居審査で行います。
ビジネスを円滑に進めるために必要な状況確認です。
2.財務状況
財務状況は、決算報告書で確認されます。これも、支払い能力を確認するために必要な項目です。
直近の業績がいまいちだったり、明らかに不自然だとみなされる部分があったりすると、審査に影響する可能性が高いです。
決算報告書には、以下のような種類があります。
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- 賃借対照表(決算時の資産や負債、純資産の除隊を示す書類)
- 損益計算書(収益から費用を差し引いた利益や損失を示す書類)
- 個別注記表(決算書の正確性を判断するために使われる書類)
- 事業報告書(年度ごとの状況をまとめた書類) など
3.将来性
将来性が見込める事業や業種であれば、入居審査を通過しやすくなります。
しかし、昨今の情勢を鑑み、伸びしろがあまりなさそうだったり、実績がない事業に挑戦しようとしたりしている場合はネガティブなイメージを持たれやすいです。
テナントを貸すことは、パートナーとして付き合い続けることを意味します。そのため、借りてすぐに経営が破たんしてしまうなどは言語道断です。
長くパートナーとしてビジネスを行えるかどうか判断するためにも、将来性が見込める事業や業種であることは重要です。
4.業種
どのような業種かも入居審査ではしっかりチェックされます。
クレームが多くなりそうな業種やテナントビル全体のイメージを損ねてしまいそうな業種は、当然ながら敬遠されてしまいます。
犯罪目的や反社の事務所として使うのはもってのほかです。
また、新しすぎる業種も敬遠される傾向があります。
企業についての評価が難しいため、厳しめの扱いを受けてしまいます。宇宙開発や暗号資産などに関する業種はハードルが高くなりがちです。
5.反社チェック
反社チェックは、会社名や代表者名をインターネットで検索するなどの方法で行われます。
会社のホームページは当然チェックされますが、それ以外に掲示板などの怪しい書き込みがないか確認します。
詐欺の疑いがないか、代表者に犯罪歴がないかも反社チェックで確認されるポイントです。また、日経テレコンや与信プログラムを使った与信確認を行うケースも多いです。
これらを活用してプロフィールなどを確認し、問題がないか判断します。
日経テレコンや与信プログラムの検索に引っかかると何らかのトラブルを起こした可能性が高まるためです。
反社が入居者にいると、テナントビル自体のイメージが急落します。そうなってしまうと、ビル経営が破たんすることになりかねないので反社チェックは重要です。
まとめ
テナントビルを借りたい場合、物件探しは慎重に行い、内覧は必ずするようにしましょう。
借り方は、賃貸住宅と基本的には同じです。しかし、審査に関してはテナントビルの方が厳しい傾向にあります。
テナントビルを借りようと考えているのであれば、どのような審査が行われるのか、借りる流れや借り方を事前に確認しておくことをおすすめします。
創業手帳(冊子版)では、テナントビルの借り方や審査に関する情報も掲載しています。テナントを借りたいと考えている方はぜひご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)