2024年(2023年分)最新|確定申告のやり方/書き方をわかりやすく徹底解説します!
【見本つき】確定申告のやり方/書き方(所得税及び復興特別所得税編)
年が明けたら確定申告のシーズンです。必要書類を揃えるなど準備が整ったら、いよいよ提出書類を作成していきましょう。細かい作業になりますが、順を追って進めていけば決して難しい作業ではありません。
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この記事の目次
- 【見本つき】確定申告のやり方/書き方(所得税及び復興特別所得税編)
- 確定申告で納める税金とは
- 確定申告のやり方1.方法を決めよう
- 確定申告のやり方2. 2023年からは確定申告書の新様式に対応が必要
- 確定申告のやり方3.事前準備をしよう
- 確定申告書の書き方の流れとは
- 確定申告書の書き方1. [第一表] [第二表]基本事項
- 確定申告書の書き方2. [第一表]収入・所得・所得控除
- 確定申告書の書き方3. [第一表]税金の計算
- 確定申告書の書き方4. [第一表]その他
- 確定申告書の書き方5. [第二表]その他項目
- 確定申告書の書き方6. 損失がある場合は[第四表]を作成
- 確定申告書の書き方を間違えた場合は?主な対処法
- 確定申告書の提出の仕方
- 確定申告後の納税の仕方
- まとめ・初めはみんなわからない!確定申告の書き方を学んで備えよう
確定申告で納める税金とは
確定申告は「所得税及び復興特別所得税」「消費税/地方消費税」に関して行います。
しかし、消費税の制度では課税事業者となるのは最短でも起業して翌年、通常翌々年以降です。そのため今回が起業して「はじめての確定申告」の個人事業主の方は消費税の確定申告は対象外です。(消費税課税事業者選択届出書を提出している場合を除く)
ただし、課税売上高が1,000万円を超えた方は「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を提出する必要があります。
まずは、「所得税及び復興特別所得税」(以下、「所得税」と略します)の確定申告をマスターしましょう。
所得税は国に納める税金、「国税」ですが、個人事業主に課される税金は他に、地方自治体に納める「地方税」の住民税、個人事業税などもあります。しかし、地方税は所得税の確定申告で申告した情報をもとに各自治体から請求されますので確定申告だけで済むようになっています。
ただし、収入状況などにより確定申告の対象にならない場合でも住民税は課税される場合があります。その場合は別途市区町村などへの申告が必要になりますので、お住まいの自治体に問い合わせてください。
また、確定申告は文字通り、1年分(前年1月1日~12月31日)の収入・所得などの確定した金額を申告するものですので、あらかじめ1年分の収支や決算をまとめておく必要があります。
確定申告のやり方1.方法を決めよう
確定申告の方法は主に3通りあります。
- 確定申告の方法3つ
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- ①確定申告書作成コーナーで作成して印刷したものを提出
- ②確定申告ソフト等で作成して提出
- ③申告書に書いて提出
参考>>確定申告を郵送で行う方法。ミスしやすい「控え・封筒・宛名・消印」
①PC画面上で作成して印刷したものを提出
国税庁がウェブサイト上に「確定申告書等作成コーナー」を用意しています。こちらを利用すると、画面上で必要な項目を入力すると税額などが自動的に計算された状態で印刷できます。
また、「電子データで送信(e-Tax)」することも可能です。ウェブサイト上で入力から送信まで完結することができて便利です。
②確定申告ソフト等で作成して提出
帳簿つけに確定申告ソフトや会計ソフトなどを利用している方は、それまでの入力内容を元に決算書や確定申告書が自動作成できるかもしれません。機能を確かめてみましょう。また、e-Taxに対応していて提出まで完了できるソフトもあります。
③申告書に書いて提出
確定申告書を印刷し、直接手書きで作成する方法です。アナログな手法ではありますが、パソコンやスマホの操作が苦手な方でもとっつきやすい手段となります。
この記事では、基本の“キ”としてあえて「③申告書に書いて提出」する場合を想定して説明していきます。基本的な流れや必要事項はウェブサイト等で作成する場合も同じです。ウェブサイト等を利用する予定の方も目を通していただくと、処理の流れやイメージがつかめると思います。
参考>>ネットで完結!e-TAXで確定申告するための具体的手順と注意点
では、手順に沿って進めていきましょう。
確定申告のやり方2. 2023年からは確定申告書の新様式に対応が必要
確定申告書の様式が、2023年提出分(2022年分)から新しくなりました。これまでは確定申告書Aと確定申告書Bとがあり、給与所得者かそうでないかで使い分けが必要でした。
2023年提出分からは確定申告書Aが廃止され、すべて確定申告書Bの書き方へと一本化される形になります。会社員の方も、個人事業主などと同じ様式の申告書にて提出が必要となるので注意しましょう。
なお、2021年よりも前の申告については、旧来通り確定申告書AまたはBが使えます。
確定申告のやり方3.事前準備をしよう
こちらでは、確定申告の事前準備から必要書類についてご説明していきます。
【重要】確定申告書にはマイナンバーの記入が必要です
2016年1月からマイナンバー制度が導入されたため、申告書にはマイナンバーの記入が必要になります。
従業員、扶養親族がいる方は、併せてマイナンバーを把握しておきましょう。
「申告書」と「確定申告の手引き」を入手
まず申告書を入手しましょう。
申告書は、税務署で配布しているほか、国税庁のウェブサイトにてPDF形式でダウンロードができます。確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)の「申告書等」メニューの中の「申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】(PDF/767KB)」をダウンロードします。
申告書には「第一表」「第二表」とそれぞれの控えがついています。
税務署から紙で配布される申告書用紙は複写式になっていますが、ウェブからダウンロードした場合は、記入後にコピーを取って控えを作ると簡単です。「控」マークのある書類データを申告書と合わせてダウンロードできますが、これを使わずに本書をコピーしたものでも控えとして有効です。
なお、本人確認書類や各種証明書等の提出には「添付書類台紙」を使うので、こちらも用意しておいてください。
また、あわせて「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」(以下「手引き」と略します)を必ず入手しましょう。
それぞれの項目についての説明があるほか、穴埋め式の計算欄もありますので、ダウンロードした場合は印刷しておくと便利です。(2022年分は全48ページのボリュームがありますので、税務署で配布している印刷版をもらうのがお得です)
確定申告に関係する資料や書類を集める
「申告書」「手引き」を入手したら、記入を始める前に各項目に必要な資料、根拠となる書類を手元に用意しておきましょう。主なものをリストアップしました。
参考>>確定申告の必要書類と持ち物【A様式/B様式】それぞれ解説
収入・所得に関するもの
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 源泉徴収票(給与、年金等がある場合。なお、2022年中に退職した方の場合は前勤務先が発行した源泉徴収票)
- 支払調書
控除に関するもの
- 医療費控除の明細書(未作成の場合、医療費の領収書等(医療費控除またはセルフメディケーション税制の対象になる場合))
- 社会保険料控除証明書(国民年金、国民健康保険など)
- 生命保険料の支払証明書(保険会社から年末頃送られているもの)
- 地震保険料の支払証明書(同じく保険会社から年末頃送られます)
- 寄附金の受領証、領収書等(1年間に2,000円以上のふるさと納税や、公益法人、認定NPO法人等への寄附をした場合)
確定申告書の書き方の流れとは
準備が整ったら、申告書を作成しましょう。
以下では、確定申告の書き方の手順を6つに分けて説明していきます。
- 確定申告の書き方の手順
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- 確定申告書の書き方1. [第一表][第二表]基本事項
- 確定申告書の書き方2. [第一表]収入・所得・所得控除
- 確定申告書の書き方3.[第一表] 税金の計算
- 確定申告書の書き方4. [第一表]その他
- 確定申告書の書き方5. [第二表]その他項目
- 確定申告書の書き方6. 損失がある場合は[第四表]を作成
お手元に「手引き」を手に入れた方の中には、びっしり書かれた内容にちょっと打ちのめされた方もいらっしゃるかもしれません。ただ、それだけそれぞれの多様な事業や暮らしの状況に対応する仕組みになっているとも言えます。
この記事では多くの方に共通しそうな項目や初めての方が迷いがちな点を中心にかいつまんでご紹介していきますが、最終的にはご自身の状況に応じて必ず「手引き」を参照しながら作成してください。
申告書を作成していて不明な点や、処理に迷うことがある場合は、国税庁のサイトの下記などを参考にしてください。
国税庁「確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A」
国税庁「タックスアンサー」
国税庁「チャットボット(ふたば)」
上記にも該当がない、わからない場合は以下から所轄の税務署に電話をして相談しましょう。
税についての相談窓口
また、確定申告期間中は各税務署の相談コーナーに係が待機していますから、直接質問に行くこともできます。ただ、相談には入場整理券が必要です。状況によっては後日対応になってしまう場合がありますので、できる限り各自で調べてみることをおすすめします。
所得税の計算は大まかに言うと、「収入」から経費などを引いて「所得」を求め、さらに社会保険料などの各種「所得控除」を引いた金額に税率を掛け、最後に「税額控除」を引いて「納めるべき税金」を算出します。
申告書としては、およそ左上の欄から記入していくと「税金の計算」欄の下にある「納める税金」欄にたどり着く流れになっています。
確定申告書の書き方1. [第一表] [第二表]基本事項
①[第一表]上の欄外
つい後回しにしがちな欄外ですが、忘れずに記入しましょう。
宛先税務署長
所轄の税務署名を記入します。
年
2024年(令和6年)に提出するのは、多くの場合2023年(令和5年)分の所得に関する申告です。「5」と記入しましょう。
②[第一表]住所氏名等
個人番号
12桁のマイナンバーを記入します。
住所
個人事業主で自宅以外に事務所・店舗などがあって、管轄税務署が違う場合は記入の仕方に注意点があります。「手引き」を確認しましょう。
令和6年1月1日の住所
「令和 年」の空白に「6」と記入し、文字通り、令和6年1月1日現在の住所を記入します。すでに記入した住所と同じ場合は、「同上」と書けばOKです。
屋号・雅号
開業届に記入した屋号などを記入します。なければ空欄で構いません。
生年月日
一番左の1マス目は元号欄です。つい「昭和のS」「平成のH」「令和のR」と書きたくなりますが、ちょっと待って!正しくは“数字”で「昭和は3」「平成は4」「令和は5」です。間違えないように気を付けましょう。
種類
申告書の種類です。該当するものに全て○を入れましょう。
青色申告者→青色に〇
申告書第三表(分離課税用)を使用する方→分離に〇
国外転出時課税制度の適用を受ける方→国出に〇
申告書第四表(損失申告用)を使用する方→損失に〇
整理番号
はじめて確定申告する方は記入不要です。税務署が番号を割り当てて、次年度に送られてくる申告書には印字されます。
2年目以降も、ダウンロードした申告書などを使う場合は空欄のまま提出しても問題ありませんが、わかる方は記入しておきましょう。還付の手続きなどが早く進みやすいようです。
③[第二表]の基本事項
確定申告書の書き方2. [第一表]収入・所得・所得控除
「収入金額等」と「所得金額」とは?
申告書の左側上段と中段の、この2つの項目。
「収入」と「所得」・・・日常の言葉としては同じ意味に使われることもある二つの言葉ですが、確定申告をはじめ、税金にかかわる場面でははっきり使い分けられています。
青色申告決算書や白色申告用の収支内訳書の用紙を見るとわかりやすいですが、個人事業主の場合はざっと説明すると、以下のようになります。
- 収入:得たお金の全体、「売上額」にあたる金額
- 所得:収入から仕入額や地代家賃などの経費、青色申告特別控除額などを差し引いて手元に残った金額
したがって「収入金額等」と「所得金額」には似たような項目が並んでいますが、青色申告決算書、収支内訳書を参照して、両方に記入が必要です。
事業(営業等)
個人事業主の方はまずここですね。
[損益計算書] [確定申告書第一表]
売上(収入)金額 = 収入金額等の事業(営業等)
所得金額 = 所得金額等の事業(営業等)
[収支内訳書] [確定申告書第一表]
収入金額欄の計 = 収入金額等の事業(営業等)
所得金額 = 所得金額等の事業(営業等)
あわせて[第二表]の「所得の内訳」欄に、所得の種類と種目、報酬を受け取った取引先の名称と住所、収入金額、源泉徴収税額(源泉徴収されている場合)を記入します。欄が足りない場合は、合計を記入して別途「所得の内訳書」を作成、添付しましょう。
給与
起業と並行してアルバイトなどの収入があった場合はこちらに記入します。
また、2022年中に前勤務先を退職した方の場合、1月から退職時までに受け取った給与を申告します。
源泉徴収票に書かれている「支払金額」を[第一表]収入金額等欄の「給与」欄に記入します。「区分」は、給与所得者の特定支出控除という控除を利用しない場合空欄で構いません。
並行して[第二表]の「所得の内訳」欄にも同じ収入金額と源泉徴収税額を転記します。「所得の種類」は給与、「種目」は給料と書きましょう。
[第一表]所得金額欄の「給与」欄の記載は勤務先で2021年12月に年末調整をしたかどうかで変わります。
- 年末調整済みの場合は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を転記します。
- 退職済などで年末調整していない場合は、「手引き」に掲載されている給与所得の計算欄にあてはめて求めた金額を記入します。
雑(雑収入・雑所得)
国民年金や、厚生年金などを受給されている方はこちらの「公的年金等」に記入します。
個人事業主の場合、よくある問題はその下の「業務」です。
ちなみに「手引き」には、雑所得とは「他の所得に当てはまらない所得」として「原稿料、講演料、シルバー人材センターやシェアリング・エコノミーなどの副収入」と書かれています。
「おや、ではライターの私が受け取った原稿料は雑収入?」と惑わされるところですが、個人事業開業届を提出するなどして、事業として得た収入の場合は名目が原稿料であっても「事業収入(営業等)」になります。
申告が必要な場合は、[第一表]にの収入金額等と所得金額等の該当欄に収入から経費を引いた金額を記入し、[第二表]「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得 譲渡所得、一時所得に関する事項」に内訳を記載します。
雑所得の計算で差し引くことができる必要経費は「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる」ものに限られますので、国税庁のウェブサイトの注意事項を確認してください。
一時(収入)
字面だけ見ると、「たまたま1回だけ頼まれて書いた記事の原稿料は一時収入?」と考えてしまいがちですが、「手引き」には以下のように記載されています。
臨時・偶発的なもので対価性のない次のような所得
● 賞金や懸賞当せん金、競馬や競輪の払戻金
● 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
この様に「対価性がない」点がポイントで、本業ではない「1回だけの原稿料」も、「原稿を書いた対価」にあたりますので雑収入になります。
所得から差し引かれる金額(控除)
「控除(こうじょ)」も日常の話し言葉ではあまり使わない単語かもしれませんが、「各納税者の個人的事情を加味」(国税庁)して所得金額からそれぞれの項目に該当する支出を差し引くものです。控除額があることで所得税額は減ることになりますので、自身に該当するものは漏れのないように申告しましょう。
【書き忘れ注意】基礎控除は必ず記入しましょう。
申告書のリストの順番としては一番下に書かれていますが、「基礎控除」はほとんどすべての人に適用される控除ですので、最初に記入してしまいましょう。
控除額は、以下のように申告をする人の合計所得金額に応じて決まります。
2,400万円超2,450万円以下……32万円
2,450万円超2,500万円以下……16万円
2,500万円超……0円(控除対象外)
社会保険料控除
個人事業主の方であれば、国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料などが該当します。なお、国民年金保険料は確定申告時に控除証明書の添付が必要ですが、健康保険料と介護保険料は不要です。
2022年中に勤務先を退職した方は、前職の源泉徴収票に記載されている「社会保険料等の金額」も忘れずに記入しましょう。
小規模企業共済等掛金控除
以下の掛金を支払った場合に全額が控除対象となります。
● 小規模企業共済法に規定された共済契約(旧第二種共済契約を除く。)に基づく掛金
● 確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金(iDeCoの掛金など)
● 条例の規定により地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度に係る契約で一定の要件を備えたものの掛金
生命保険料控除
生命保険、介護医療保険、個人年金保険に支払った保険料の一部または全部を控除できます。
この控除は保険を契約した時期によって、「新」「旧」の制度が混在している状況です。
保険会社から送られて来る保険料の支払額の証明書に、ご自身の保険が新旧どちらに該当するか書かれていますので、それに応じて、[第二表]の生命保険料控除欄を記入し、「手引き」の計算式にあてはめた計算結果を[第一表]を記入します。
地震保険料控除
損害保険(いわゆる火災保険等)のうち、地震保険部分の保険料・掛金の一部または全部が控除されます。(2006年以前に契約した長期損害保険料の一部も対象です。)
火災保険でも、地震保険が含まれていないものは控除対象になりません。また、2年以上の複数年契約の場合に保険料を契約時にまとめて支払っていても、確定申告では1年分ずつ控除していくことになりますので保険会社から送られてくる証明書を確認してください。
寡婦、ひとり親控除
夫または妻と死別・離婚した後、再婚していない方(または生死不明など)のうち、一定の要件を満たす方が利用できる控除です。
該当する可能性がある方は、「手引き」で条件を確認してください。
勤労学生、障害者控除
勤労学生控除は、働きながら学校に通っている「勤労学生」で1年間の合計所得金額が75万円以下、勤労によらない所得が10万円より少ない方などの条件を満たす場合に控除が受けられます。
主にはアルバイト収入などが考えられますが、学生起業家も条件に合えば対象になる可能性があります。
配偶者(特別)控除
配偶者の合計所得が48万円以下の場合は配偶者控除、48万円超133万円以下の場合は配偶者特別控除の対象になります。ただし、申告する本人の合計所得金額が1,000万円を超えると利用できません。
配偶者控除の対象者は、区分欄には何も書かずに控除額を記入します。配偶者特別控除の対象者は区分欄に「1」と書いた上で控除額を記入してください。
控除額は配偶者の所得と申告する方本人の所得に応じて決まるため、「手引」を参照してください。
ちなみに配偶者(特別)控除は夫妻問わず対象になりますので、例えば「共働き夫婦の夫が独立開業したけれども、思うように収入が増えなかった」場合などは条件に合えば妻の所得に配偶者控除を受けられます。ただし、夫と妻がお互いに控除を申告することはできません。
なお、配偶者控除、配偶者特別控除とも、配偶者が「事業専従者」(「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出している場合や、白色申告収支内訳書の事業専従者の氏名等欄に該当する場合)になっている場合は控除を受けられません。夫婦で一緒に事業を営んでいる方は注意が必要です。
扶養控除
「配偶者以外の親族で納税者と生計を一にしている合計所得金額が48万円以下、16歳以上の人」がいる場合に控除の対象になります。例としては、16歳以上の子供、同居や仕送りをしている両親、義理の両親などが挙げられます。対象者がいる場合は、「手引き」を確認して控除額を記入してください。
「生計を一にしている」というと、日常の言葉としては「一緒に暮らしている」イメージですが、確定申告の場合、同居はもちろん、別居していても例えば生活費、療養費等を継続的に仕送りしている場合などは「生計を一にしている」ととらえられます。逆に、仕送りをしている大学生の子供がアルバイトを頑張って所得金額が上限を超えると扶養控除対象から外れることになります。
なお、扶養控除の申告をできるのは生計を一にする家族の中で1人だけです。具体的には、夫が扶養控除の対象にしている子供は同時に妻の扶養控除の対象にはなれない、といった場合です。共働き夫婦、なかでも、どちらかが会社勤めで年末調整をして、もう一方が確定申告する場合、書類を作る時期がずれることになりますので、「あれ?どうしたっけ?」とならないように確認しておきましょう。
また、配偶者控除の場合と同様に、「事業専従者」になっている場合は控除対象外です。
医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円を超した場合(または総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%を超した場合)に、超えた金額が控除対象になります。ただし条件がありますので、該当しそうな方は「手引き」を確認しましょう。
なお、予防接種や健康診断といった一定の取り組みをしている方は、セルフメディケーション税制を利用することも可能です。1年間にドラッグストア等で購入した特定の医薬品が1万2,000円を超える場合、超えた金額が控除されます。
医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか申告できません。有利な方を選んで利用しましょう。
寄附金控除
ふるさと納税、特定の政治献金、公益法人、社会福祉法人、認定NPO法人等に2,000円超の寄附をした場合は控除対象になります。寄附した団体などからの領収書、受領証等の添付が必要です。
領収書、受領書、添付資料等に「寄附金控除の対象になります」などと書かれていれば問題ありませんが、記載がない場合は寄附先の法人等に控除対象かどうか確認してください。
[第二表]の寄附金控除欄に記入したうえで、「手引き」の計算式にあてはめた金額を[第一表]寄附金控除欄に記入します。
また、寄附金は所得税だけでなく、一部が住民税からも控除できますが、控除対象になる法人等の指定状況は自治体ごとに違います。事前に寄附先の団体に問い合わせるか、お住まいの自治体がウェブサイトに掲載している寄附金控除対象法人の一覧表などを確認する必要があります(それによって[第二表]の「住民税・事業税に関する事項」欄の記載のしかたが変わってきます)。
ちなみに政治団体や政党等への寄附金を控除するやり方としては、この「所得から差し引かれる金額」欄に計上する方法と、「税金の計算」欄の「政党等寄附金等特別控除」欄に計上する方法の2パターンがあり、申告する人が選べることになっているのですが、どちらが有利(より税額が減る)かは、所得額、寄附額によって変わってきます。2022年にある程度まとまった金額の寄附をした方はご自身で2パターンのシミュレーションをしてみることをおすすめします。
なお、ふるさと納税をして「ワンストップ特例の適用に関する申請書」を提出している方も、確定申告をする場合は含めて申告をしなければいけません。2022年中に企業して、会社員時代に申請書を出していた方などは、申請漏れに気を付けましょう。
確定申告書の書き方3. [第一表]税金の計算
いよいよ右の列、税金の計算に入ります。あと一息です。
ここまでに計算してきた「所得金額」の合計欄から「所得から差し引かれる金額」の合計を差し引いて「千円未満を切り捨てたもの」をまず一番上の段、「課税される所得金額」欄に記入します。
次に、所得金額によって異なる計算式に当てはめて、税額を計算します。「手引き」を確認しながら進めましょう。(株や土地取引などがある場合はさらに別の表の作成が必要です。)
計算結果は「上の30に対する税額」欄に記入してください。
税額控除
その下には、またも各種の「控除」と書かれた項目が並びます。こちらは今計算した税額から差し引かれる項目です。住宅の改築や耐震改修など、2022年中に該当するものがあれば記入して、さきに計算した「上の30に対する税額」から差し引いた金額を「差引所得税額」に記入します。
謎?の空欄と「区分」欄
配当控除の下に1行、謎の空欄がありますが、実は事業主の方には見逃せない欄です。青色申告の方に限られますが、「事業所得等の特例に係る税額控除」を記入する欄で、機械等を取得した場合など事業に関連して該当するものがあれば、控除対象になります。
この申告をする場合は、第二表の「特例適用条文等」欄に該当の条文を記入してください。詳細は国税庁のホームページか、税務署、税理士等に確認しましょう。
政党等寄附金等特別控除
寄附金を税額控除に計上することを選択した場合はこちらに記入します。
「所得から差し引かれる金額」の寄附金控除と重複しては受けられません。また、寄附先が政党以外の認定NPO法人、公益法人等の場合も、寄附金控除ではなく政党等寄附金等特別控除として申告する場合はこの欄に記入します。
災害減免額
ご自身が災害減免法の対象になる場合は「災害減免額」を差し引き、「再差引所得税額」欄に記入します。
災害減免に該当しない方は「差引所得税額」をそのまま「再差引所得税額」に転記します。
【書き忘れ注意】復興特別所得税額
東日本大震災復興のための財源確保のために作られた税金です。書き忘れが多発しているようですので、忘れずに記入しましょう。
所得税及び復興所得税の源泉徴収税額
2022年中の勤務先、アルバイトなどあらかじめ源泉徴収されている税額がある場合はここに記入します。
また、個人事業主のうち、士業の方や原稿料を受け取っている方など、一部の方は報酬から所得税が源泉徴収されています。そのような方も、この欄に源泉徴収された所得税額を記載してください。
所得税及び復興特別所得税の申告納税額
納税額を記入します。
ここまでに計算してきた所得税額から源泉徴収税額を差し引いた時に、金額がプラス(正)になっていれば、それが納税額です。もしも差し引いた時の金額がマイナス(負)になっていれば、その分が還付(払い戻し)されます。
計算結果がマイナスの場合は「△」または「-」記号を付けて記入しましょう。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額(第1期分・第2期分)
前年度の所得が一定以上の方など、予定納税をされている場合はこちらの欄に記入します。
第3期分の税額
「申告納税額」から「予定納税額」を引いた金額を記入します。予定納税額がない方は、申告納税額をそのまま転記してください。
確定申告書の書き方4. [第一表]その他
それぞれの項目に該当する申告内容がある方は記入します。
配偶者の合計所得金額
配偶者特別控除を申告する場合
専従者給与(控除)額の合計額
事業専従者がいる場合
青色申告特別控除額
青色申告で特別控除額がある場合
雑所得・一時所得等の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額の合計額
雑所得、一時所得に関する源泉徴収額がある場合
未納付の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額
還付を受ける場合で、顧客から受け取った報酬、料金等の支払調書の支払金額、源泉徴収税額欄に未納付分が分けて書かれているものがある場合はこの欄に記入します。
これは例えば、報酬の支払が月末締め翌月末払の場合に、12月分(1月末払)の源泉徴収分が支払調書作成時に「未納付」になっていると発生します。
この欄に記入した金額は、還付金から差し引かれますので、後日「源泉徴収税額の納付届出書」を提出して、この分の還付を受けましょう。
本年分で差し引く繰越損失額
青色申告の方が前年分から繰り越した損失額を差し引く場合のうち、翌年以後に繰り越す損失額がない場合に記入します。記入するのは、2022年分から差し引く繰越損失額です。
なお、確定申告書第四表(損失申告用)を提出する方は記入しません。
平均課税対象金額、変動・臨時所得金額
「平均課税」は、収入の変動が大きい人の税負担を緩和する制度です。利用する方は「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」の内容を転記してください。
具体的には、作家、作曲家、漁業、養殖業などの変動所得、まとまった契約金が支払われるような契約を交わす場合(例えばプロ野球選手のような場合や、不動産貸借など)などの臨時所得が含まれます。
変動所得、臨時所得で急に収入が増えた場合には検討しましょう。
延納の届出
こちらに記入して申告することにより、納めるべき税額の50%以下の範囲で、5月末まで所得税の納付期限を延期することができます。(ただし、一定額以上の延納には利子税が加算されます。)
還付される税金の受取場所
還付される税金がある場合はこちらに記入した銀行等の口座に振り込まれます。
また、並行して還付の通知が郵送されてきます。
確定申告書の書き方5. [第二表]その他項目
ここまでにもそれぞれの項目で[第二表]を記入してきたところですが、最後に「配偶者や親族に関する事項」「事業専従者に関する事項」「住民税・事業税に関する事項」を記入します。
配偶者や親族に関する事項
配偶者控除や扶養控除を受ける場合や、扶養親族に障害者がいる場合など、該当する内容を記入します。
事業専従者に関する事項
事業専従者がいる場合は、青色申告、白色申告にかかわらず記入します。
住民税・事業税に関する事項
所得税と住民税で、税金の計算方法が異なるために記入する欄です。該当する項目がある方は記入してください。
なお、勤務先に副業を知られたくない会社員は「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選びましょう。
ここで「給与から差引き」を選択すると、勤務先からの報告と確定申告に基づいて合算した支払うべき住民税額が勤務先に通知されることになります。
「自分で納付」を選択すると、確定申告分の住民税の納付書は直接自宅に送られてきます。
会社等の勤務を続けながら副業を起業した方には見落とせない項目です。
事業税など
事業税などさまざまな項目を埋めていきます。記載する要素は以下の通りです。
- 非課税所得など
- 損益通算の特例適用前の不動産所得
- 不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額
- 事業用資産の譲渡損失など
- 前年中の開(廃)業
- 他都道府県の事務所等
「非課税所得など」の記載は、事業税非課税の特定の事業からの所得がある場合は「手引き」を参照して記入します。
開業・廃業に関しては、前年中に開業された方は開始に○をつけて、月日を記入しましょう。
「他都道府県の事務所等」の欄には、他都道府県にも事業所を構えた方が○をします。
ほかにも、それぞれ該当するものがある場合は記入してください。
確定申告書の書き方6. 損失がある場合は[第四表]を作成
損益の計算後、損失が出ることがわかった場合は「損失申告」を行います。損失申告は、第四表と言われる損失申告用の申告書を作成しましょう。損失申告を行うケースは、純損失や雑損失の金額が残ったとき、かつ一定の条件に当てはまる場合が該当します。
以下は、損失申告を行うべき主なケースの例です。
- 白色申告者で、変動所得や被災事業用資産の損失額や、雑損失が出た場合
- 青色申告者で、居住用財産に係る通算後譲渡損失に係る純損失や、雑損失が出た場合
- 株式等に関する譲渡損失、先物取引に関する損失が出た場合
住所氏名、年度などの基本項目を記入したら、次の手順に沿って第四表を作成していきましょう。
損失額又は所得金額
第四表(一)にある「1 損失額又は所得金額」の欄です。66の計上所得は、申告書第一表を参照して記載します。そのほか、収入金額や必要経費等、収入から経費を差し引いたときの損失額などを随時記入しましょう。
損益の通算
「2 損益の通算」には、同じ番号の項目を「1 損失額又は所得金額」から転記しましょう。
翌年以後に繰り越す損失額
第四表(二)に移り、「3 翌年以後に繰り越す損失額」を埋めていきましょう。当てはまる損失金額の欄に記入するほか、差引損失額を計算して書きます。青色申告か白色申告かで記載する欄が異なるため、手引きを参照しながら当てはまる項目のみ記載してください。
繰越損失を差し引く計算
「4 繰越損失を差し引く計算」の欄にて、前年・2年前・3年前の各情報を記載します。前年分までに引ききれなかった損失額、本年分で差し引く損失額をもとに計算しましょう。
確定申告書の書き方を間違えた場合は?主な対処法
手書きで確定申告書を作る場合、計算や漢字などの誤りから修正が必要になることもあります。また、提出してから間違いに気付くパターンもあるはずです。
誤った書き方で確定申告書を作った場合の修正方法や、提出後に訂正する方法について解説します。
確定申告書の記載ミスを修正する
申告書の作成途中でミスに気が付いた場合は、すぐに修正します。誤った箇所に二重線を引き、上や下の空白箇所に正しい記載をしましょう。訂正印は必要ありませんが、どの欄の修正なのかがわかるように書くことが大切です。
PCで作成した際は、間違った箇所を入力し直してから印刷、あるいはe-Taxにて提出してください。
確定申告書の提出後に訂正する
確定申告書を提出したあとに間違いに気付いたら、次の方法で正しい内容への再申告が必要です。確定申告の期間であるかや、支払った税金の過不足によって選ぶ手続きが異なります。
確定申告期間内なら「訂正申告」
確定申告の期間内に発覚した間違いは、「訂正申告」で申告し直します。正確な内容の申告書を作り、郵送や持ち込みなどで再提出しましょう。訂正申告である旨がわかりやすいよう、再提出用の申告書に「訂正申告」と書いておくと安心です。訂正に必要な書類もあらかじめ確認しておきましょう。
還付申告を行っている場合の訂正申告は、還付の処理が済んでいないときに利用できます。税務署にて処理が済んでいる場合、更正の請求にて手続きしてください。
確定申告期間外かつ税金の不足があったら「修正申告」
確定申告の期間を過ぎている場合で、支払った税金が少ないなら「修正申告」が必要です。支払うべき税金を納めていない状態なので、遅れるほど延滞税が発生してしまいます。修正申告はできるだけ早く行ってください。
修正申告には、正しい内容の確定申告書と、所得税及び復興特別所得税の修正申告書(第五表)の作成が必要です。
確定申告期間外かつ税金の過払いがあったら「更正の請求」
確定申告の期間外に税金の払い過ぎに気付いたら、「更正の請求」を行います。申告した年の法定申告期限から5年以内に申告しましょう。所得税及び復興特別所得税の更正の請求書と、税金の誤りを証明できる書類が必要です。
確定申告の期間内であっても、還付手続きが終わっているケースは更正の請求が必要です。発覚時点で税務署に問い合わせるなど、早めの手続きをおすすめします。
確定申告書の提出の仕方
申告書、添付書類を「添付書類台紙」にはりつけ、所轄の税務署に提出します。
通常の開庁時間は月曜~金曜日(祝日除く)の8:30~17:00ですが、一部の税務署では確定申告期間中の特定の日曜日など、臨時に開庁する場合がありますので、各税務署に確認してください。時間外は「時間外収受箱」に投函することもできます。
参考>>確定申告する場所は本当にその税務署でいい?提出先と受付時間も確認
税務署の一覧
提出窓口では一見して明らかな不備(例えば、明らかに必要な添付書類がない、申告書第二表がないなど)がある場合以外、その場での指摘は受けられません。問題があると後日修正申告が必要になったり、場合によっては延滞税など余計な費用が発生したりすることもあるので、慎重に作成しましょう。
申告内容に不明、不安な点がある場合は、確定申告書作成会場や税務署、税理士、青色申告会等で相談しましょう。
なお、提出は郵便、信書便でも可能です。消印の日付が提出日とみなされます。
控えの返送を希望する場合は切手を貼って宛名を書いた返信用封筒を同封します。
ちなみに、確定申告書は「信書」なので、メール便等では送れません。
確定申告後の納税の仕方
納税は現金・口座振替・e-Tax等で行えます。以下で詳しく説明します。
現金納付
現金納付の場合は納期限3月15日まで、つまり確定申告の期限と同じです。申告書第一表に延納の申告をした場合は、延納分の納期限は5月31日になります。
税務署や金融機関に備え付けてある納付書を使って納付します。
口座振替
口座振替の場合は3月15日までに、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を税務署または金融機関に提出します。この場合の振替日は4月20日前後ですので、現金納付に比べて約1か月猶予が持てることになります。
e-Tax
e-Taxで口座振替をすることもできます。この場合は、即時または指定日に引き落としが行われます。
そのほか、コンビニ納付やクレジットカード納付、スマートフォン決済なども利用できます。詳細は「手引き」を確認してください。
参考>>【2024年最新】e-Taxの使い方とは?確定申告や納税もオンラインで手続きがスムーズに!
まとめ・初めはみんなわからない!確定申告の書き方を学んで備えよう
これで今回の確定申告は終わりです。細かい項目が多いですが少しずつ慣れていきましょう。
なお、この記事では書ききれない適用条件、計算式の枝分かれなどが多数ありますので、繰り返しになりますが、それぞれの項目を計算、記入する時は必ず「手引き」を参照して作業してください。
また、最近のニュースでは配偶者控除制度の見直しが話題になっていますが、何かしらの税制改正は毎年行われています。確定申告の際は必ず最新の「手引き」「申告書」などを使用することが大切です。
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(執筆:創業手帳編集部)
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