控除とは?意味・仕組み・所得控除と税額控除の違いをわかりやすく解説

控除の種類や申告方法、節税の仕方をご紹介


「控除って、正直よくわからない……」「自分に関係する控除はあるのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

控除とは、税金の計算で所得や税額から一定額を差し引く仕組みです。控除を正しく理解して申告すれば、その分だけ納める税金を抑えられます。

この記事では、控除の意味と計算の流れ、所得控除と税額控除の違い、申告方法をわかりやすく解説します。近年見直されている基礎控除や扶養親族等の所得要件についても、紹介しているので、ぜひご覧ください。

この記事の目次

控除とは?意味がわからない人向けに簡単に解説


控除とは、税金の計算で所得や税額から一定額を差し引く仕組みで、上手に活用すれば、納める税金を抑えられます。控除とはどんなものか、控除を受けると税金がどう変わるのかなどについて解説します。

控除とは「税金の計算で差し引ける金額」のこと

控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味の言葉です。税金について使われる場合には、課税対象となる所得金額や納付すべき税金の額から一定の金額を引く制度を示します。

具体的には、年末調整や確定申告で所得税を計算する際に使いますが、その書類をもとに計算される住民税にも関係するものです。
所得税や住民税などの税金は、収入から必要経費を引いた「所得」と呼ばれる金額をもとに計算されます。
所得が低いほど納税額は低くなり、高いほど多くなります。この所得や税額から一定額を差し引けるのが控除です。

所得から差し引くものを「所得控除」、税額から直接差し引くものを「税額控除」と呼びます。

控除されると税金がどう変わる?

所得控除は課税対象となる所得そのものを減らし、税額控除は算出された税額から直接差し引かれる仕組みです。
それぞれ次の特徴があります。

  • 所得控除:課税所得が下がれば、その金額に応じた所得税や住民税が抑えられる
  • 税額控除:税額を直接減らすため、節税の効果がわかりやすい

いずれの場合も減るのは納める税金の額であり、控除の種類や金額によって効果の大きさは変わってきます。

控除は現金が戻る制度とは限らない

控除は納税額を抑えられる制度ですが、「控除で現金(税金)が戻ってくる」とイメージされる方が多いでしょう。所得税の年末調整などでは、控除を受けたことで還付金が得られる場合もあります。しかし、控除は「税金が戻ってくる」ことを示しているわけではありません。

還付金が戻ってきたのは結果であり、還付金の実態は、自分の給料から天引きされていた税額の一部です。控除を受けると課税される所得や納めるべき納税額は減りますが、それによって現金が手元に入るとは限りません。

控除額とは?税金からいくら引かれるのか


「控除額」とは、課税所得または税額から差し引くことができる具体的な金額のことです。控除の種類ごとに上限額や計算方法が定められています。
たとえば給与収入500万円の会社員Aさんの場合、下の表のように課税所得は178万円です。

項目 金額
給与収入 ① 500万円
給与所得控除 ② 144万円
給与所得 ③=①-② 356万円
所得控除 ④ 178万円
(基礎104万円、社会保険料70万円、生命保険料4万円)
課税所得 ⑤=③-④ 178万円

上記で算出した課税所得に税率をかけて、所得税額を計算します。所得控除が増えると課税所得が減るため、納める税金を抑えられます。ただし、所得控除額がそのまま税額から差し引かれるわけではありません。

各控除には上限額(生命保険料控除は最大12万円など)や所得要件があります。つまり課税所得はゼロを下回らないため、所得が低い方は効果が頭打ちになる場合もあるのです。
まずは自分が受けられる控除を申告することが、無理のない節税につながります。

控除には「所得控除」と「税額控除」がある

種類 差し引く場所 主な例 特徴
所得控除 所得から差し引く 基礎控除、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除など 課税所得を減らすことで税金を抑える
税額控除 計算後の税額から直接差し引く 住宅ローン控除、配当控除、外国税額控除など 税金そのものを直接減らすため効果がわかりやすい

控除には、所得控除と税額控除の2種類があり、この2つを使い分けるとより高い節税効果が望めます。控除の項目ごとに意味や使える場面を知っておくと、ご自身が受けられる控除を見極めやすくなります。

所得控除とは

所得控除は、税額を計算するベースとなる所得から差し引ける控除です。項目は全部で16種類ありますが、すべてに当てはまる人はいません。それぞれ、自分が適用となる項目の控除だけを選んで控除を受けます。

サラリーマンの給与所得は年末調整で控除を受けられますが、所得控除の中には別途確定申告が必要となるものもあります。控除は自己申告制なので、申告をしないと控除は受けられません。

所得控除について、詳しくはこちらの記事を>>
所得控除には様々な種類がある!賢く利用して節税対策をする方法を解説

税額控除とは

所得控除とは違って、課税所得を元に算出した所得税から直接控除できるのが税額控除です。
税額控除はその金額がそのまま差し引かれるため、所得控除よりも節税効果が大きくなります。

税額控除について、詳しくはこちらの記事を>>
税額控除とは? 知っておくと得をする税額控除についてわかりやすく解説

【一覧】所得控除の種類(16種類)


所得控除は全部で16種類あり、所得から直接差し引くことで課税対象額を小さくする役割があります。令和8年分以後の所得税は、基礎控除額の引き上げに伴い、配偶者控除や扶養控除、勤労学生控除などの「所得要件」も見直されています

これらの改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用される点をおさえておきましょう。以下では令和8年分以後の主な要件と控除額を確認します。なお、以下で示す要件・控除額は2026年7月現在のもので、今後の税制改正で変わる可能性があります。

人的控除・物的控除の分類表

所得控除は、人的控除と物的控除の2種類に分けられます。

人的控除とは、人に対する控除のことです。人とは、納税者本人やその家族を示します。人的控除には、以下の9種類があります。

基礎控除 すべての人が対象
配偶者控除 生計を一にする配偶者の所得が62万円以下。かつ納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
配偶者特別控除 生計を一にする配偶者の所得が62万円~133万円以下。かつ納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
扶養控除 生計を一にする16歳以上の親族の合計所得が62万円以下
特定親族特別控除 生計を一にする19歳以上23歳未満の親族の合計所得金額が、一定の範囲内にある場合
障害者控除 障害者の納税者本人・生計を一にする障害者の配偶者・障害者の親族
寡婦控除 合計所得金額500万円以下の納税者が配偶者と死別または離婚
ひとり親控除 合計所得金額500万円以下で、総所得金額等62万円以下(給与収入の納税者が、生計を一にするみなら136万円以下)の子どもがいるひとり親
勤労学生控除 合計所得金額89万円以下の勤労学生

物的控除とは、社会政策的な配慮から設けられている控除のことです。以下の7種類があります。

雑損控除 災害、盗難などの損失
医療費控除 1年間に支払った医療費が原則10万円を超える場合(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)
寄附金控除 ふるさと納税などの寄附金
社会保険料控除 納税者の社会保険料、同一生計の親族の社会保険料
小規模企業共済等掛金控除 確定拠出年金、小規模企業共済などの掛け金
生命保険料控除 生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料
地震保険料控除 地震保険の保険料または掛金

基礎控除

基礎控除とは、所得が2,500万円以下の居住者すべてに適用となる控除です。
以前は誰でも無条件に受けられる控除でしたが、2020年から所得要件が加えられました。金額も、所得金額に応じて段階的に金額が定められています。令和8・9年分は、低所得者層への加算を含む時限措置があります。令和10年以後は、物価の変動を踏まえて原則2年ごとに見直されます。

合計所得金額 令和8・9年分の控除額 令和10年分以後の控除額
132万円以下 104万円 99万円
132万円超 336万円以下 104万円 62万円
336万円超 489万円以下 104万円 62万円
489万円超 655万円以下 67万円 63万円
655万円超 2,350万円以下 62万円 62万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円

合計所得金額とは、事業所得や給与所得、雑所得などを合計した金額です。

配偶者控除

令和8年分以後の合計所得が62万円以下(給与収入のみの場合136万円以下)の配偶者がいる人が対象です。
ただし、2018年から納税者の合計所得金額が1,000万円を超えると適用されないことになりました。
控除額は本人の合計所得金額によって違いますが、配偶者が69歳以下の場合、最高で38万円、70歳以上の場合、最高で48万円となります。

配偶者特別控除

令和8年分以後で配偶者の年間合計所得金額が62万円超133万円以下(給与収入のみの場合136万円超207万円以下)の場合、対象となります。配偶者控除と同じく、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用されません

配偶者特別控除について、詳しくはこちらの記事を>>
配偶者特別控除を受けるには。給与だけじゃない所得も含まれる?適用要件のおさらい

扶養控除

令和8年分以後の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみの場合136万円以下)の子どもや両親、兄弟姉妹などが控除対象扶養親族の場合、適用されます。生計を一にしている家族で、16歳以上が対象です。

年齢 控除額
16歳以上18歳以下 38万円
19歳以上22歳以下 63万円
23歳以上69歳以下 38万円
70歳以上(同居老親等以外) 48万円
70歳以上(同居老親等) 58万円

※同居老親等とは、納税者や配偶者の父母・祖父母などで、常に同居している人を指します。

扶養控除について、詳しくはこちらの記事を>>
扶養控除の金額はいくら?個人事業主でも受けられる?
扶養控除の仕組みとは?最新情報をわかりやすく解説!

特定親族特別控除

特定親族特別控除は令和7年から創設されました。令和8年分以後は、19歳以上23歳未満の親族について、扶養控除の所得要件を超えた場合でも受けられることがあります。

特定親族特別控除は、大学生年代の子どもなどがアルバイト収入を得ている場合に関係する控除です。生計を一にする19歳以上23歳未満の親族です。合計所得金額が62万円超123万円以下(給与収入のみの場合は136万円超197万円以下)などの要件を満たすと、所得に応じて3万円~63万円の控除を受けられます。

特定親族の合計所得金額 控除額
62万円超85万円以下 63万円
85万円超90万円以下 61万円
90万円超95万円以下 51万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

扶養控除では、19歳以上22歳以下の親族は「特定扶養親族」として63万円の控除対象になります。ただし、親族の所得が一定額を超えると扶養控除の対象外です。

特定親族特別控除は、このような場合でも、親族の所得に応じて段階的に控除を受けられる制度と考えるとわかりやすいでしょう。

特定親族特別控除について、詳しくはこちらの記事を>>
【2025年新設・税理士監修】特定親族特別控除とは?申請方法ほか年末調整・確定申告のポイント

雑損控除

災害、盗難、横領によって、自分や家族(※)の「生活に通常必要な財産」が被害を受けた場合に受けられる控除です。※令和8年分以後の家族の所得要件:合計所得金額62万円以下(給与収入のみの場合は136万円以下)
なお、詐欺や恐喝による被害、別荘などのぜいたく品、事業用の資産は対象外です。 下記の計算のうち、金額が多い方が控除額となります。

雑損控除額の算出方法
  • (損害額+災害関連の支出額-損害により受け取った保険金額)-総所得金額の10%
  • (災害関連の支出のうち、盗難・横領被害の原状回復を除く費用-損害により受け取った保険金額)-5万円

※災害関連支出には、盗難・横領による原状回復費用は含まれません。

雑損控除について、詳しくはこちらの記事を>>
雑損控除は事業用資産でも申請可能?雑損控除を受ける条件や申請方法を解説

医療費控除

1年間に10万円を超える医療費を払った人が受けられる控除です。生計を一にする配偶者や親族の医療費は対象となりますが、健康診断や美容整形、栄養ドリンクなどの費用は対象となりません。

医療費控除額の算出方法
  • 総所得が200万円以上:1年間の医療費の合計-10万円
  • 総所得が200万円未満:1年間の医療費の合計-総所得の5%

1年間とは、申告する年の1月1日~12月31日を意味します。

控除額の計算のベースは、医療費全額から保険金などで補填される金額を引いたもので、そこから10万円を引いたもの、もしくは総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額の5%が控除されます。なお、控除額の上限は200万円です。

なお、2026年12月31日までは「セルフメディケーション税制」も利用できます。こちらは健康診断や予防接種など健康促進の取り組みを一定程度行っている人およびその家族が、薬局で特定一般用医薬品等(指定の風邪薬など)を購入した費用が一定の条件で所得控除となる制度です。

年間12,000円以上該当する医薬品を購入した人が対象で、控除額は以下の様に計算します。

セルフメディケーション税制の算出方法
  • 1年間の特定一般用医薬品等購入額-12,000円
  • ※上限88,000円

セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は選択制なので、どちらか控除額が大きくなる方で申告しましょう。

医療費控除について、詳しくはこちらの記事を>>
確定申告で医療費控除をする方法とは

寄附金控除

寄付金控除は、国や公益法人などに特定の寄附金を払った人のための控除です。ふるさと納税などもこれに含まれます。
寄付金控除は、「(特定寄附金の合計額※と、総所得金額等の40%相当額のいずれか低い方の金額)-2,000円」が控除額となります。
※特定寄附金の合計額には、上限が設けられているものもあります。

寄付金控除は、税額控除にも寄附金特別控除があります。
寄付金特別控除に当たるのは、政党や政治資金団体、認定NPO法人、公益社団法人などに対する寄付金の控除です。これらの寄付をした場合には、どちらかを選べます。

社会保険料控除

社会保険料を支払った金額が、全額所得から控除されます。次の通り、該当する保険料は多岐にわたります。

  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料(健康保険税)
  • 後期高齢者医療制度の保険料
  • 船員保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 農業者年金保険料
  • 厚生年金基金の掛金
  • 労働者災害補償保険の特別加入者が支払う保険料

生計を一にする配偶者や扶養親族の保険料を支払っている場合も控除が可能です。控除できる項目が多いので、支払った社会保険料を正確に把握し、控除忘れが出ないように注意しましょう。

社会保険料控除について、詳しくはこちらの記事を>>
会社経営には欠かせない知識!社会保険料控除を知っておこう
社会保険料控除の種類と申告方法

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済掛金や確定拠出年金などを支払っている人が受けられる控除です。次の掛金が控除されます。

  • 自営業者向けの小規模企業共済
  • 企業型確定拠出年金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 心身障害者扶養共済

小規模企業共済は個人事業主の退職金制度のようなもので、サラリーマンには関係ありません。(法人の役員は加入できます。)一方で、個人型確定拠出年金(iDeCo)はサラリーマンの加入者も多い制度です。加入している方は忘れずに所得控除を受けてください。
なお、控除金額は1年間に払った全額ですが、控除対象は加入者の掛金のみで扶養者などの掛金は控除できません。

生命保険料控除

生命保険・個人年金・介護医療の保険料を支払っている人が受けられる控除です。
控除額の最高は生命保険が「新契約」が含まれる場合は、各項目4万円ずつの12万円です。旧契約のみの場合は生命保険・個人年金は各項目5万円まで控除できますが、3項目の控除総額の最高額は同様に12万円となります。

新契約(2012年1月1日以降の契約)の生命保険料・個人年金保険料控除

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超~4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超~8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

令和8年分・令和9年分に23歳未満の扶養親族がいる場合は、新生命保険料に係る一般生命保険料控除だけ、次の特例が適用されます。

年間の支払保険料等 控除額
3万円以下 支払保険料等の全額
3万円超~6万円以下 支払保険料等×1/2+1万5,000円
6万円超~12万円以下 支払保険料等×1/4+3万円
12万円超 一律6万円

旧契約(2012年1月1日より前の契約)の生命保険料・個人年金保険料控除

年間の支払保険料等 控除額
2万5,000円以下 支払保険料等の全額
2万5,000円超~5万円以下 支払保険料等×1/2+1万2,500円
5万円超~10万円以下 支払保険料等×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円

なお、新旧双方に加入している場合は、いずれか控除額の大きな方を任意で選択できます。

介護医療保険料控除(2012年1月1日以降に締結した新契約の場合)
2011年以前の旧契約の場合、介護・医療保険は「一般の生命保険料控除」の枠で計算します。

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超~4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超~8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

また、個人年金保険料については、保険料の払込期間および年金受取期間が10年以上(もしくは終身)の契約が対象です。生命保険料控除は、支払い人が本人であれば家族名義でも申告できます。ただし、保険金等の受取人が本人・配偶者・親族でなければなりません。

令和8年分・令和9年分23歳未満の扶養親族がいる場合は、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が6万円になります。この特例は令和8年分・令和9年分の2年間の措置です。介護医療・個人年金保険料控除との合計上限は従来どおり12万円です。

生命保険料控除について、詳しくはこちらの記事を>>
生命保険料控除とは?知っておきたい控除の仕組みと節税効果

地震保険料控除

地震保険などの損害保険料を払っている人が受けられる控除です。次に該当する住宅・家財の地震保険契約が控除の対象となります。

  • 所得税の確定申告/年末調整をする本人が所有・居住している自宅
  • 生計を一にする親族が所有・居住家
  • 本人/生計を一にする親族が保有する家財

地震保険には「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の2種類があり、どちらに該当するかによって計算式が異なります。なお、旧長期損害保険は2006年12月31日以前に契約して、その後契約変更がない保険が対象です。
控除額は以下の要領で計算します。

地震保険料:
  • 年間に支払った保険料の全額(上限5万円)
旧長期損害保険料:
  • 年間の保険料額が1万円以下の場合:全額
  • 年間の保険料額が1万円超2万円以下:支払った金額×1/2+5,000円
  • 年間の保険料額が2万円超:一律15,000円
地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合:
別々の契約で両方の保険料を支払っている場合は、それぞれの方法で計算した金額を合計(最高5万円)して控除を受けられます。 ただし、1つの保険契約の中で両方の保険料を支払っている場合に限り、どちらか一方の控除(額が大きい方など)を選択することになります。

寡婦控除・ひとり親控除

婚姻をしていない、または配偶者と死別した人で、本人の合計所得金額が500万円以下の場合に受けられる控除です。

  • ひとり親控除:
    • 令和8年分は35万円、令和9年分以後は38万円
    • 生計を一にする子(※)の総所得金額等が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)
  • 寡婦控除:
    • 27万円
    • ひとり親に該当しない女性で、離婚して扶養親族がいる、または死別した人が対象です。

※事実上の婚姻関係にある人がいる場合は対象外です。

障害者控除

納税者本人や控除対象配偶者、扶養家族が障害者の場合に受けられる控除です。扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族がいる場合でも、この控除は受けられます。
控除額は、ひとりにつき27万円、特別障害者はひとりにつき40万円、同居特別障害者はひとりにつき75万円となっています。

勤労学生控除

納税者が勤労学生の場合に適用となり、控除額は一律27万円です。令和8年分以後は所得要件が見直されています。条件は、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • アルバイトなどの勤労による所得があること
  • 合計所得金額が89万円以下(給与収入のみの場合、年収163万円以下が目安)で、かつ給与以外の所得が10万円以下であること
  • 大学、高校、専修学校などの特定の学校の学生・生徒であること

あわせて令和8年分以後は、専修学校の専攻科の課程を履修する学生が新たに対象へ加わるなど、対象となる学校の要件も一部見直されました。

【一覧表】税額控除の種類


税額控除は、主に以下のようなものがあります。納めるべき税額から控除額を差し引けるのが特徴です。それぞれの控除対象者や、控除額について詳しく見ていきましょう。

控除の種類 概要 主な控除額
住宅ローン控除 マイホーム購入・リフォーム時に適用 年末ローン残高×0.7%(最大)
住宅特定改修特別税額控除 バリアフリー・省エネリフォームが対象 工事費用の一定割合
住宅耐震改修特別控除 耐震改修工事が対象 工事費用の10%など
配当控除 国内法人から配当を受けた場合 配当金額×一定率
外国税額控除 海外で納めた税額の二重課税を防ぐ 外国で支払った税額
災害減免額 住宅・家財に甚大な損害を受けた場合 所得税額の一定割合

住宅ローン控除

住宅ローンを組んでマイホームを新築、購入した人、家の増改築をした人が所得税の減税を受けられる制度です。住宅ローンの年末残高の0.7%を、最大13年間(既存住宅等は10年間)にわたって所得税額から直接控除できます。

住宅ローン控除を受けるための条件は以下の通りです。

  • 所得制限:合計所得金額が2,000万円以下
  • 返済期間:ローン返済期間が10年以上
  • 入居時期:住宅取得後6カ月以内に住む
  • 床面積:原則として住宅の床面積が50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下の場合は、40㎡以上から適用可能)
  • 中古住宅:昭和57年(1982年)以後に建築された住宅、または現行の耐震基準に適合することが証明された住宅であること
  • 店舗併用: 店舗・事務所などとの併用住宅の場合、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること

 
会社に勤めるサラリーマンも、最初の年は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除できます。

住宅特定改修特別税額控除

自己所有の住宅に一定の改修工事(省エネ、バリアフリー、子育て対応など)を行った場合に、ローンの有無に関わらず所得税額から直接控除を受けられる制度です。
住宅特定改修特別税額控除を受けるための主な要件は、以下の通りです。

住宅特定改修特別税額控除を受けるための主な要件は、以下の通りです。

  • 適用期限:令和8年1月1日〜令和10年12月31日までに居住
  • 所得制限:合計所得金額が2,000万円以下
  • 床面積:
    • 原則として50㎡以上
    • 令和9年1月1日以後に居住する場合は40㎡以上に拡大
    • 令和9年1月1日以後、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅については、合計所得金額1,000万円以下の人に限り適用
  • 工事費:標準的な工事費用の額から補助金等を差し引いた額が50万円超
  • その他の条件:改修工事の日から6カ月以内に居住し、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること

対象となる改修工事の標準的な費用の額(上限あり)の10%、その他のリフォーム費用については5%が所得税から控除されます(最大60万〜80万円)。

住宅耐震改修特別控除

昭和56年5月31日以前に建築された(旧耐震基準の)住宅を、現行の耐震基準に適合させるための改修工事をした場合に、所得税額から直接控除を受けられる制度です。
主な適用要件は以下の通りです。

  • 対象となる住宅:昭和56年5月31日以前に建築された家屋
  • 所得制限:納税者本人の合計所得金額が2,000万円以下
  • 居住要件:本人が主として居住する住宅(2以上の住宅を所有する場合はメインの自宅)
  • 耐震基準: 改修後の家屋が、現行の耐震基準に適合することが証明されている
  • 所有要件:原則として自己の所有する家屋である

標準的な工事費用の額をもとに計算した金額が控除されます。

配当控除

確定申告で「総合課税」を選択した配当所得がある場合に受けられる控除です。日本国内に本店のある法人から受ける利益の配当や、証券投資信託の利益の分配が対象となります。
※外国法人からの配当や基金利息などは対象外
控除金額は配当所得の金額をもとに計算した金額(10%または5%など)が控除されます。
※控除額は、算出された税額が限度

外国税額控除

日本と外国の両方で二重に税金がかかるのを防ぐための控除です。日本で課税される所得の中に外国で生じたものがあり、その外国の法令で所得税に相当する税金が課されている場合に適用されます。
控除額は納付した外国所得税額をもとに計算した金額(控除限度額まで)です。以下の様に計算します。

その年分の所得税額 ×(その年分の調整国外所得金額 / その年分の所得総額)

災害減免額

震災、風水害、火災などの災害によって、住宅や家財に大きな損害を受けた場合に、その年の所得税額が軽減または免除される制度です。損害金額が時価の2分の1以上の場合に対象となり、その年の所得税額をもとに、合計所得金額に応じて控除(軽減または免除)されます。
ただし、災害にあった年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には対象となりません。その際には、所得控除の雑損控除が利用できます。

確定申告・年末調整での控除の申告方法


サラリーマンや個人事業主が控除を受けるためには、主に年末調整や確定申告の際に申告を行います
タイミングを逃してしまうと、控除が受けられなくなったり、二度手間になったりするため、慎重に準備を進めましょう。

所得税の控除の手続きを行うと、翌年の住民税にも反映されます。

所得控除と税額控除の流れ

所得税の計算は、大きく分けて2つの段階で控除が行われます。
まず「所得控除」を差し引いて税金を計算するための基準となる金額(課税所得)を決め、そこに税率をかけて税額を算出します。さらに、その算出された税額から「税額控除」を直接差し引くことで、最終的な納税額が決まります。
所得控除は「課税される所得金額」を小さくするのに対し、税額控除は「算出された税金」から直接差し引くため、同じ金額の控除でも節税の効果が大きく異なります。

【例:所得10万円・税率5%・控除額1万円の場合】

  • 所得控除の場合
    • 所得10万円から1万円を引いた「9万円」に税率5%をかけるため、税額は4,500円になります。控除がない場合(5,000円)と比べて、安くなる税金は500円です。
  • 税額控除の場合
    • 所得10万円に税率5%をかけた税額5,000円から、1万円を直接差し引きます。この場合、税額は0円になり、税金5,000円分すべてを減らす効果があります。

※所得税の税率は、課税される所得金額に応じて5%から45%の7段階に区分されています。

基本的に自己申告が必要

所得控除も税額控除も自己申告が必要です。
ただし、サラリーマンの場合には、個人事業主のように自分で収入と控除の計算をしたり、税務署に書類を持って行ったりしなくても良い人が多くなります。
サラリーマンの場合には、ほとんどの控除は年末調整で行い、一部の控除のみ自分で確定申告することが必要です。

サラリーマンは、年末調整で申告

サラリーマンの控除は、多くが年末調整で行えます。年末調整は、会社が控除の手続きを代行してくれるため、自分で行うのは簡単な書類記入と提出だけです。

年末調整の書類とともに控除証明書などを提出すると、会社が税計算をして、還付金などの対応をしてくれます。
ただし、控除しても天引きされた所得税が余らなければ、還付金はないので注意してください。

個人事業主や一部のサラリーマンは、確定申告で申告

個人事業主だけでなく、サラリーマンも一部の控除を受けるためには確定申告が必要となる場合があります。
サラリーマンで確定申告が必要な所得控除は、主に雑損控除・医療費控除・寄附金控除などです。

また、税額控除では寄附金特別控除・外国税額控除・配当控除が確定申告をしないと受けられません。住宅ローン控除の開始の年も、確定申告が必要です。

控除に必要な書類

所得控除と税額控除、年末調整と確定申告、それぞれのために必要な書類は違います。確定申告に使う書類を年末調整に提出しないように注意しましょう。

年末調整で必要な書類
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書
年末調整に使う主な証明書類
  • 保険会社などが発行する支払額などの証明書
  • 住宅取得資金などに係る借入金の年末残高等証明書(2年目以降)
個人事業主の確定申告で必要な書類
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
個人事業主の確定申告に使う主な証明書類
  • 保険会社などが発行する支払額などの証明書
  • 住宅取得資金などに係る借入金の年末残高等証明書(2年目以降)
所得控除の確定申告に使う主な証明書類
  • 災害関連支出の金額の領収を証する書
  • 医療費・薬代等の領収書
  • 寄附した団体などから交付を受けた領収書など
税額控除の確定申告に使う主な証明書類
  • 配当金支払計算書
  • 外国所得税を課されたことを証する書類
  • 寄附金(税額)控除のための書類
  • 住宅取得資金等に係る借入金の年末残高等証明書(初年)

ワンストップ特例制度で控除とは

ふるさと納税のワンストップ特例制度を使う場合には、控除の方法が少し異なります。
ワンストップ特例では、所得税が還付されるのではなく、翌年の住民税が減額される形で控除されます。

個人事業主・フリーランスが活用したい控除


起業家・個人事業主にとって特に活用したい控除をまとめました。これらをもれなく申告するだけで、節税効果は大きく変わります。

青色申告特別控除(最大65万円、令和9年分以後は最大75万円)

青色申告を選択し、複式簿記で帳簿をつけてe-Taxで申告すると、所得から最大65万円を控除できます。単式簿記での申告は10万円控除にとどまるため、できるだけ複式簿記に対応した会計ソフトを活用するとよいでしょう。また、令和9年分以後は、控除額と適用要件が次のように変わります。

帳簿の付け方 ~令和8年分(現行) 令和9年分以後
複式簿記+e-Tax等 最大65万円 最大65万円
上記に加え、優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存(※) 最大75万円
簡易簿記 10万円 原則10万円(適用外となる場合あり)

(※)

  • 優良な電子帳簿:訂正・削除の履歴が残るなど一定の要件を満たした帳簿
  • デジタルシームレス保存:取引データを最初から電子のまま一貫して保存する方法

令和9年分以後、前々年分の事業所得または不動産所得に係る収入金額が1,000万円を超える場合、簡易簿記による10万円控除は原則として利用できません。一方、複式簿記で記帳し、期限内にe-Taxで確定申告するなどの要件を満たせば、収入金額にかかわらず65万円控除の対象になります。

小規模企業共済等掛金控除(iDeCo・小規模企業共済)

iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛け金は、支払った全額が所得控除の対象になります。老後の資産形成と節税を同時に行える、個人事業主にとって最も優先度が高い控除のひとつです。

  • iDeCo:
    • 月額最大6.8万円(国民年金第1号被保険者の場合)
    • ※令和8年12月から月額7.5万円に引き上げ
  • 小規模企業共済:月額最大7万円

社会保険料控除

国民健康保険・国民年金などの社会保険料は、支払った全額が所得控除の対象です。家族の保険料を自分が支払っている場合も、まとめて控除できます。

医療費控除・セルフメディケーション税制

1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合(合計所得200万円以下の場合は所得の5%を超えた額)に適用されます。家族分の医療費も合算できます。また、特定の市販薬の購入費用を対象とする「セルフメディケーション税制」との選択適用も可能です。

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料は、年間最大12万円まで控除できます。地震保険料は最大5万円です。保険会社から秋頃に証明書が届くので、確定申告までに確認しておきましょう。

控除についてよくある質問

Q. 控除とは簡単にいうと何ですか?

A. 控除とは、税金を計算するときに所得や税額から一定額を差し引く仕組みです。控除を受けることで、課税対象となる金額や納める税額が少なくなる場合があります。

Q. 控除されるとはどういう意味ですか?

A. 控除されるとは、税金の計算上、対象となる金額から一定額が差し引かれるという意味です。たとえば所得控除なら所得から、税額控除なら計算後の税額から差し引かれます。

Q. 控除と免除の違いは何ですか?

A. 控除は、税金の計算過程で一定額を差し引く仕組みです。一方、免除は本来支払うべき税金や保険料などの全部または一部の支払いが不要になることを指します。

Q. 所得控除と税額控除はどちらが得ですか?

A. 一般的には、税額から直接差し引ける税額控除のほうが節税効果を実感しやすい傾向です。ただし、利用できる控除は条件によって異なるため、自分が対象になる控除を確認することが大切です。

Q. 控除は多いほうがよいですか?

A. 基本的には、適用できる控除が多いほど税負担を抑えやすくなります。ただし、所得控除と税額控除では効果の大きさが異なり、税額控除のほうが1円あたりの節税効果は高くなります。控除を受けるために不要な支出を増やすと、節税額より支出のほうが大きくなる場合があります。

まとめ・控除を上手に活用して節税につなげよう

控除は所得税などの負担を抑えるうえで欠かせない制度です。控除をもれなく活用すれば、納める税金を抑えられます。手続きの方法は、控除の種類やその人の状況によって異なります。控除を受けるには必要書類を事前に整えておくことが大切です。

毎年の年末調整や確定申告では忘れずに控除を活用し、納税額を抑えましょう。

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(編集:創業手帳編集部)