個人事業主に税理士は不要?税理士に依頼するメリット・デメリットも解説

創業手帳

個人事業主が税理士に依頼するメリット・デメリットを理解し、うまく活用しよう!

個人事業主にとって避けて通れないのが確定申告です。確定申告に向けて自分で所得計算をする個人事業主もいますが、自分で行うと大きな負担になるため、税理士に依頼する個人事業主もいます。

しかし、近年は個人事業主の中で「依頼不要論」が囁かれているのはご存知でしょうか?

この記事では、なぜ個人事業主が税理士への依頼が不要と言われるのか、税理士に依頼するメリット・デメリットも解説します。今後税理士に依頼を検討している個人事業主の方、起業予定の方、起業間もない方はぜひ参考にしてください。

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個人事業主には税理士は不要と言われる理由


基本的に自分で税務処理をやると、それだけに時間が取られてしまい業務に支障をきたす恐れがあります。

しかし、昨今では「個人事業主には税理士は不要」との声も出ており、なぜ不要と言われているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

では、個人事業主には税理士は不要と言われる理由を解説していきます。

会計ソフトサービスが充実している

近年は所得を管理してくれる会計ソフトサービスが普及しており、個人でも簡単に所得の管理がしやすくなりました。

サービスの例を挙げると、マネーフォワード、やよいの青色申告オンライン、freee会計など、どれも確定申告を控える個人事業主にとって心強いサービスです。

昔は会計ソフトサービスはなく、税務処理の負担を無くすには税理士への依頼が主流でした。

しかし、これらのサービスによって自分でも所得計算がしやすくなったことから、税理士への依頼は不要と言われています。

ネットから情報を得られる

現代はネットが発達し、わからないことは検索するとすぐ情報を手に入れられます。税務処理も同じで、グーグルなどで検索すると税務処理の仕方や所得計算方法などの情報を仕入れることが可能です。

また、YouTubeでも税理士がわかりやすく解説してくれている動画もあるので、手軽に学べる環境があるのも税理士が不要と言われる要因です。

税理士とのやり取りが面倒

個人事業主や法人にもいえることですが、税理士に依頼すると所得に関してコミュニケーションが必要です。

しかし、このコミュニケーションが負担に感じる個人事業主の方も増えており、依頼を避けるケースも少なくありません。

税理士も人によって関わりやすい人もいれば税務関係の処理に乗り気ではない人もおり、後者の場合はコミュニケーションで苦労することもあるでしょう。

コミュニケーション部分で税理士への依頼を避けるのも不要と言われる理由の一つです。

個人事業主が税理士に依頼するメリット


個人事業主は税理士への依頼は不要であると言われていますが、依頼するメリットもあります。

メリットも認識した上で、本当に不要かどうかを判断できれば後悔はないでしょう。

ここでは、個人事業主が税理士に依頼するメリットについて以下にまとめました。

業務に集中できる

税理士に依頼すると税務処理を行う手間が省けるため業務にフルコミットできます。

確定申告が迫ってるときに業務に追われて税務処理ができておらず、徹夜をしてでも帳簿付けをしなければならないケースも少なくありません。

その点税理士に依頼しておけば、日々業務をこなす裏で税務処理が進められており、慌てずに確定申告を迎えられます。

業務に集中する点においては、税理士は強い味方になるはずです。

より正確な帳簿付けができる

帳簿を付ける際は所得計算をした上で正しい数字を記入する必要があります。しかし、所得計算は複雑で正確な数字を出すことに対する難易度は高めです。

税金に関する知識が浅い場合、計算にズレが生じて余分に税金を払ってしまうことにもなりかねません。

帳簿をより正確につけ、余分な税金を払わなくても良いようにしたいのであれば税理士へ依頼しましょう。

正確な所得計算で確定申告を迎えたい方は税理士への依頼がおすすめです。

税金関連で相談できる

自分で帳簿付けを行う場合、身近に税務に関する相談ができる人がいれば問題ありません。しかし、多くが身近に税知識のある人がいないと思われます。

税理士に依頼しておけば、税金関係での困りごとや疑問点などをすぐに相談可能。

例えば、所得計算に欠かせない“経費”に関する疑問が出た場合、周りに相談できる人がいなければ本来経費に含まれない項目も含めてしまうリスクがあります。

気軽に相談できる税理士がいれば疑問点をすぐに解決できるため、これも税理士に依頼するメリットと言えます。

個人事業主が税理士に依頼するデメリット


税理士と契約をしていると確定申告のときに大変心強い存在となりますが、メリットだけではありません。

デメリットも踏まえた上で税理士への依頼を決断すると納得できます。

続いて、個人事業主が税理士に依頼するデメリットをご紹介します。

税理士費用がかさむ

税理士に依頼することで依頼料が発生します。税理士に払う依頼料は月額の半年ほどなので、およそ15万円前後かかる見込です。

それに比べて自分で会計ソフトを使ったとした場合は年に1万円ほど。税理士の費用はおよそ15倍と税務処理に関する費用はかなり跳ね上がります。

税理士に支払う余裕がない場合は、自力で会計ソフトを使って税務処理を行うのも選択肢の一つですが、その分、本業にかけられる時間などが減ってしまうため、費用対効果を考えて検討したほうがいいでしょう。

税理士とのコミュニケーションが必要

先ほども解説しましたが、税理士とのコミュニケーションが負担になる場合もあります。

税理士が真摯に相談に乗ってくれなかったり、適切なアドバイスをくれないなど税理士によって当たりハズレもあります。

個人事業主と税理士の相性が合わなければ余計にストレスとなってしまうため、税理士に依頼する際は慎重に選ぶことも大切です。

選ぶポイントとして、相談のしやすさ・経験年数・サービス内容などあらゆる要素を加味した上で選ぶようにしてみてください。

個人事業主が税理士に依頼できる業務


会計ソフトの普及により自分で税務処理がしやすくなりましたが、とはいえ税理士に依頼するメリットが上回る方も多いと思います。

では、これから税理士への依頼を検討している方に向けて個人事業主が依頼できる業務を紹介します。

①記帳代行

記帳は領収書やレシート、請求書などから売上と経費を計算して帳簿に記入することですが、依頼して代わりに記帳してもらうことを「記帳代行」といいます。

税理士にも記帳代行を依頼することができ、記帳する手間を省けます。

行政書士や記帳代行業者でも記帳代行依頼はできますが、税に関する相談も含める場合は税理士に依頼した方が良さそうです。

②税務書類作成

税務書類とは市役所や税務署などに提出する税務関係の申告書です。税務書類は基本的に自分で作成しますが、税金に関する知識が必要になるため難易度が高めです。

そのことから、税理士が代わりに税務書類の作成をすることが認められています。書類作成だけでもかなりの時間が取られるため、税理士に依頼することで書類作成の手間を省けます。

③税務代理

税務代理とは、税金に関する申請や申告を企業または個人に代わって市役所、税務署などで行うことをいいます。

税務代理の役割はこれだけではなく、税務調査や不服申し立てなど、依頼主の権利を守るための役割も担います。

書類を作成して提出してもらうだけではなく、税務に関する身の回りの処理も行ってくれるため心強い存在です。

④税務に関する相談

税務に関する疑問や悩みがある場合、税理士に相談を持ちかけることもできます。相談できる内容としては、

  • 節税
  • 確定申告
  • 税務調査
  • 法人化
  • 融資を受けるための書類作成
  • 補助金や助成金についての申請

など。

確定申告は何かと複雑なことが多いため、いつでも相談できる環境を整える意味でも税理士と契約を結ぶメリットはあります。

法人設立後も税理士は不要?


個人事業主で売上が増え、法人設立を検討するパターンも多くあります。

中には経理経験が豊富で税務処理に慣れている方もいるかと思いますが、はたして法人設立後は税理士への依頼は不要なのでしょうか。

法人は税理士に依頼するべき

法人設立をした場合は税理士に依頼するべきと言えるでしょう。なぜなら、個人事業主とは違い記帳する書類が増えるためです。

個人事業主でも税務書類作成は決して簡単ではありませんが、法人設立後も自分で行うとなればさらに膨大な時間が必要となります。

また、書類の記入ミスや計算のズレなどが生じてしまうなどのトラブルにつながる恐れもあるため、法人設立後は税理士に依頼するのがベターでしょう。

税理士に依頼するベストなタイミングは?

税理士に依頼したいけど、どのタイミングで依頼するべきか悩みますよね。絶対と言えるタイミングはありませんが、以下のタイミングで検討してみるのがおすすめです。

  • 売上が増加し安定してきたとき
  • 確定申告を正確に進めたいとき
  • 開業するタイミングで

売上が増加し安定してきたとき

個人事業主が税理士へ依頼する多くのパターンとしては「売上が増加し安定してきたとき」です。

とくに売上が1,000万円を超えた場合、消費税の支払い義務も発生するため、消費税法の知見も必要になります。

売上や事業経費が増加すると所得計算もより複雑になるため、売上が増加して安定してきた段階で税理士への依頼を検討してみても良いでしょう。

確定申告を正確に進めたいとき

正確に確定申告を進めたいと考えている場合も税理士の依頼を検討してみると良いかもしれません。

毎月記帳を行っていたり、事業規模が小規模~中規模の場合は確定申告のときだけ税理士に申告を依頼することもできます。

ただし、今後事業規模が大きくなる場合や取引数が増える場合は、年間での依頼が推奨されることもあります。

開業するタイミングで

これから開業予定の場合、最初から税理士に依頼することでスムーズに開業処理を行えます。開業する際には、必要書類を複数枚記入して税務署へ提出しなければなりません。

また開業時の必要書類は提出期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと青色申告での申請ができなくなってしまいます。

青色申告は税務処理において有利になるため、期限内の提出を心がけましょう。

青色申告の提出期限など詳しくはこちらをお読みください
青色申告承認申請書はどう扱う?提出期限やメリット、正しい書き方などを解説

税理士との契約はスポット契約も可能

税理士との契約は、継続的に契約を結ぶ「顧問契約」が主流です。しかし、顧問契約以外にも「スポット契約」での依頼もできます。

スポット契約とは、確定申告のときや相談に乗ってもらうだけなど依頼範囲を限定して契約できるシステムです。スポット契約の強みとしては費用を安くおさえられる点があります。

費用面で継続的な依頼が難しい場合や限定的な依頼でも問題ない場合はスポット契約でも問題ないでしょう。

スポット契約は対応できる業務が限定的

費用が抑えらえるスポット契約ですが、対応できる業務が限られてきたり、そもそもスポット契約を受け付けていない税理士などもいます。

最初はスポット契約で問題ないと思っていたところ、それだけでは足りないような自体になっては本末転倒。料金が安く抑えられるからと安易にスポット契約を考えるのは危険です。

どちらにおいても、メリット・デメリットを把握した上で契約形態を考えていきましょう。

まとめ

個人事業主にとって税理士が不要であるかどうかは“その人次第”と言わざるを得ません。

現代では会計ソフトサービスが普及して記帳がしやすくなっていることから、自分で確定申告をするハードルも下がっています。

しかし、本業により集中し売上増加を目指すのであれば、税務処理などの事務要素は税理士に依頼をすることで、時間を効率的に使うことができます。

税理士への依頼は継続的なものからスポット契約もできるため、事業状況を考慮しつつ、自分に適した契約方法で税理士へ依頼してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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