退職金にも税金がかかる!仕組みや金額を解説

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退職金にかかる税金はいくら?納税額の計算方法や控除・注意点について


退職金にも、給料やボーナスと同様に税金がかかります。ただし、退職金の税金は、給料やボーナスよりも優遇されている点もあるため、それが節税につながることもあります。

退職金の税金の仕組みや納税額の計算方法を理解した上で、節税につながる工夫をしてみましょう。
多くの場合には会社が手続きしてくれますが、どんな税金がかかるか、自分ですべき手続きは何か、基本的な知識は必要です。

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退職金にかかる税金とは


退職金は、退職する際に勤務先から受け取るもので、退職手当などの所得のことを言います。
退職金も、所得の一つとして給料やボーナスと同じように税金がかかるものです。
独立起業を目指して、退職を検討している人などは、退職金にかかる税金についても考えておきましょう。
いくら引かれるか知っておくことで、手取りとして受け取れる金額が分かり、先々の資金繰りの予定も立ちやすくなります。

退職金は税法上「退職所得」

退職金は、税法上は「退職所得」となります。ただし、税金を計算するための「退職所得」は、退職金から控除額を引くといった計算をしなければいけません。

退職所得の出し方は、退職所得金額=(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2です。
退職資金にかかる税金は、給料やボーナスなど他の収入よりも優遇されており、控除後の金額の半額のみが対象となります。
また、勤続年数に応じて控除金額が定められており、長く勤めてきた人ほど優遇される仕組みです。

その他、障害者になったことが原因で退職した場合や本人の死亡により退職した場合など、それぞれのケースでも優遇措置があります。
そもそも退職金は、長年勤めてきた功労に報いるための意味も強く、そのために他の所得よりも優遇されているものです。
また、障害や死亡など、本人や家族に対して今後の生活のための配慮もあります。

退職金に税金がかかる条件

退職金にかかる税金は、他の収入にかかる税金よりも対象となる条件の面でも優遇されています。退職金は、非課税となる幅が広く、元から節税効果が高い所得です。

勤続30年の人の退職金については1,500万円までは税金がかからないルールとなっています。
勤続30年の人が2,000万円を受け取った場合には、1,500万円まで差し引かれ、残りの500万円÷2=250万円が退職所得として税金の対象となる計算です。

また、死亡によって退職した場合には、死亡退職金に税金はかからず、相続税としても法定相続人1人につき500万円が非課税となります。

退職金にかかる税金の種類

退職金にかかる税金の種類は、所得税と住民税です。
この二つの税金は、どちらも収入に対してかかるものであり、サラリーマンの場合には給料やボーナスから差し引かれ、会社が代わりに納税しています。

退職金を受け取った後は会社に所属していないため、基本的には自分で納税することが必要です。
しかし、退職前の勤務先で手続きしておくと会社が税金の額を預かり、納税してもらえます。

所得税

退職所得にかかる所得税は分離課税と言い、他の所得とは切り離して退職金だけで計算するものです。

所得税の課税方法は、分離課税と総合課税があり、個人事業主の所得である事業所得やサラリーマンの給与所得は総合課税となっています。
総合課税は複数の所得があった場合にはそれらを合算して課税する方法です。合計額に対して、累進課税で課税されます。

ところが、分離課税では他の所得とは合算することなく、それだけに税率をかけて課税します。
こうすることで、税負担を減らすことができるために退職所得では分離課税が用いられています。
退職所得は老後の生活資金としても大切なものなので、給与所得や事業所得とは切り離し、納税額を抑えようという考え方によるものです。

住民税

退職金には住民税もかかります。
住民税は、サラリーマンの給与所得や個人事業主の事業所得でもかかるもので、会社に勤めている人は天引きで、個人事業主は市町村からくる通知書で納付するものです。
一般的に住民税は前年の所得に応じて決まりますが、退職金の住民税は退職金を受け取った時に差し引いて、その年に納めることになっています。
これを現年課税と言います。

また、退職金の住民税も、所得税と同様に分離課税です。他の所得とは分けて課税されます。

退職金にかかる税金の計算方法は?


退職金にかかる税金は、基本的には会社の給与担当者が納税などの手続きを行ってくれるため、退職者自身が計算する必要はありません。
しかし、起業のために退職を控えている場合、いくら税金が引かれてどれくらい手元に残るのかあらかじめ確認しておくことは大切です。

退職を検討している人、控えている人は、自分でも税金や退職金の手取額を確認してみましょう。
退職金の金額も税金の額も、それぞれの人によって違うため、個々に計算することが必要です。

所得税の計算

退職金の所得税の計算は、退職金から控除される金額を引いて、課税退職所得を出すことから始めましょう。退職金の所得税額の計算式は以下のようになっています。

所得税額=課税退職所得金額×所得税率-控除額

課税退職所得額は、勤務先から支給される退職金の総額から退職所得控除額を引いて、さらにその金額を2分の1にした金額です。
退職所得控除額は、勤続年数によって異なります。勤続年数が20年以下の場合には、以下の計算式で算出可能です。

40万円×勤続年数

ただし、合計が80万円に満たない場合は、80万円となります。

また、勤続年数が20年を超える場合には、以下の計算式が適用されます。

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数の1年未満の端数は切り上げで計算することが可能です。
10年1カ月勤務していたら、その人の勤続年数は11年で計算します。1日でもオーバーしていれば、1年として切り上げます。

税率と控除額は以下の表に従って式に当てはめます。

課税退職所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

計算式に従って所得税額が算出できたら、それを基準所得税額として復興特別所得税を計算します。

復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%

最初の所得税額と復興特別所得税を足したものが、その人の支払う納税額です。

住民税の計算

住民税は、上記で退職金から控除される金額を引いて算出した課税退職所得額に住民税率をかけて出します。
住民税率は、課税退職所得金額に関わらず一律で都道府県民税4%、市区町村税6%の合計10%です。計算式は以下のようになっています。

住民税=課税退職所得金額×住民税率10%

実際の計算例

実際に退職金の支給額をもとに、所得税、住民税として徴収される金額を計算してみましょう。
例えば、勤続年数10年3カ月、退職金支給額が800万円の場合を考えてみます。

勤続年数は切り上げで計算できるため、計算に用いる年数は11年です。そのため、退職所得控除額は以下のようになります。

40万円×11年=440万円

計算式に当てはめて、課税退職所得額を算出、また、所得税額表から所得税率と控除額を式に当てはめ、所得税額を算出します。

(800万円−440万円)×1/2=180万円

180万円×所得税率5%-控除額0円=9万円

復興特別所得税は、9万円×2.1%=1,890円なので、この人の納税額は91,890円です。

また、住民税は180万円×10%=18万円です。

退職金の受取方法・納税方法


退職金の受取方法と納税方法を確認しましょう。退職金は受取方法に応じて税金が異なることがあります。
また、退職金として控除で優遇されるためには、必要不可欠な手続きがあります。退職金を受け取る際には、こうしたルールも合わせて理解しておくことが大切です。

退職金の受取方法

退職金を受取方法には、一時金と年金があります。一時金とは、退職金を一括ですべて受け取る方法となります。一方、年金払いは毎年分けて受け取る方法です。

一時金として退職金を受け取った場合には、退職金は税務上、退職所得として給与所得などとは違った優遇措置を取ることができます。
退職所得控除を受け、大きく課税所得を抑えることが可能です。ただし、年金として退職金を受け取る場合には少し注意が必要です。

年金払いで受け取る場合には、毎年受ける退職金は「雑所得」として扱われます。つまり、退職所得控除は受けられません。
ただし、この場合には「公的年金控除」という控除が利用でき、60歳~64歳は70万円、65歳以上は120万円が差し引かれます。

年金払いでも控除は受けられますが、退職所得とは違って分離課税にはならないため、他の所得がある場合には注意が必要です。
他の所得と合算となった時に所得が多いと保険料が高くなることもあります。

基本的には確定申告は不要

退職所得の所得税や住民税は、何もしないと収入金額から一律20.42%の所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されることになっています。
確定申告で精算しなければ、退職所得控除は受けられません。

しかし、大抵の場合、退職金を受け取るまでに退職所得控除を受けるための手続きを行うため、実際に確定申告をする必要はありません。
納税自体も基本的には会社が代わりに行ってくれます。

「退職所得の受給に関する申告書」

退職所得の所得税や住民税で、退職所得控除を受けるためには、「退職所得の受給に関する申告書」という書類を会社に提出する必要があります。
多くの場合には、勤務先の会社から書類を渡されますが、ない場合には自分で国税庁のホームページから手に入れることも可能です。

退職金の税金で注意したいケース


退職金の税金の支払いや計算は個々に行われるものであり、ケースバイケースで事情が異なります。
そのため、中には特別な事情によって個別で確定申告をしなければいけないといったケースもあるかもしれません。
退職金を受け取る際には、こうした事情も踏まえて、自身のケースでは特別な手続きが別途必要となるかどうかを確認することが大切です。

退職金の還付金がある場合

退職金を受け取る際には、源泉徴収が受けられます。また、退職所得の需給に関する申告書を提出しておけば、退職所得控除を受けることも可能です。
そのため、ほとんどの場合には、退職金で確定申告が必要となることはありません。

しかし、特別な事情によって退職後に確定申告を行うことで、還付金が受けられることもあります。
再就職など退職後の行動によって事情が変わるため、当てはまる場合には適切な手続きを行ってください。

年の途中で退職して再就職しなかった場合

その年の途中で退職をした後そのまま再就職ぜずにいた場合、退職まで働いていた時の給与所得を合わせた総額によっては退職金から源泉徴収された所得税額が還付される可能性があります。

給与所得控除は65万円、配偶者控除38万円や基礎控除38万円などを合わせると、給料数カ月分になる人もいるでしょう。
退職したタイミングによっては、これらの控除をした後の金額が赤字になり、退職金から源泉徴収された所得税から還付があるかもしれません。

年の途中で退職して再就職したが収入が少ない場合

その年の途中で退職して再度働き始めた場合でも、その収入が少ない場合には上記と同じことが起こります。
その年全体の総所得が少ないため、退職金から源泉徴収された所得税額が戻ってくる可能性があります。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合

退職所得の受給に関する申告書は、提出しないと退職所得控除を受けられず、高額な税金がかかる可能性もあります。
しかし、退職金を受け取った後からでも確定申告で精算することが可能です。勤務先に書類を出し忘れた場合には、自分で確定申告をして、正しく優遇を受けましょう。

老齢給付金などの一時金を同じ時期に受け取る場合

退職金を受け取ってリタイアする場合には、他の老齢給付金などの一時金に注意が必要です。
退職金に加えて他の老齢給付金などを受け取った場合、それらは合算して退職所得控除を受けることになります。
その際、控除額を大きくオーバーすることになれば、課税所得が大きく増えて所得税も多額になるかもしれません。

どちらも控除を受けたい場合には、一定期間の間隔を開ける必要があります。会社からの退職金は4年超の期間を開けることで、控除の対象とすることができます。
退職時期をずらす、受取方を変えるといった合算を避ける方向を検討してみてください。

まとめ

退職金には所得税と住民税がかかります。ただし、給与所得や事業所得とは違って大きな控除を受けられる優遇措置もあるため、それを上手に生かして節税することが大切です。

退職金の税金の計算は個々によって異なる上、退職後の過ごし方によって確定申告が必要なケースも出てきます。
思わぬ落とし穴で、税金が上がってしまうこともあるため、退職の際には慎重に手続きや税金計算を行いましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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