税金の納付方法の種類とは?おすすめの方法やメリット・デメリットを徹底解説

資金調達手帳

税金の納付方法でおすすめはある?ケースごとにおすすめの方法を解説します。


確定申告を終了させ、税額が確定すると税金の納付が必要となります。
税金の納付方法はいくつかあり、納税者は自由に選択することができます。それぞれのメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。

また、使うとお得になる納税方法もあります。利用すればさらなるメリットが享受できるかもしれません。

今回は、税金の納税方法でおすすめのものをそれぞれのケースを見ながら解説します。

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この記事の目次

税金の種類で異なる支払方法


税金の種類により、大まかには2つの方法が存在します。

申告納税方式

申告納税方式とは、その年の所得を確定させた後に、自分で納税額を計算して税額を納める方式です。
税額を自分で計算することで税金がいくらかかっているのかを把握できるだけではなく、どこで節税ができるかといったやりくりも考えることができます。

確定申告後の納税は申告納税方式で

申告納税方式において所得を確定させて税額を申告する手続きが、確定申告です。
そのため、確定申告を行う人は、おのずと申告納税方式を選択していることになります。
確定申告は、毎年2月15日~3月15日の間に行い、納付期限も3月15日までとされています。

賦課課税方式

賦課課税方式とは、固定資産税や不動産取得税といったあらかじめ登録された財産に対する税金において、国が適正額を計算して納付を求めるものです。
したがって、賦課課税方式の税金は、納付時期をしっかり覚えて納付の準備をすることが必要です。

所得税や消費税などの納付方法の種類


所得税や消費税は、以下のようなものから納付方法を選ぶことができます。

窓口での納付

事業所がある地域を管轄する税務署に出向き、窓口で直接納付する方法です。納税額を現金で持参し、納付を行います。
金融機関でも納付を受け付けているため、最寄りの金融機関を利用しても良いです。

振替納税

あらかじめ税務署や金融機関に登録した銀行口座から、税額を引き落とされるものです。
振替日は本来の納付期限から少し後であるため、その間に税額を準備することも可能です。

ただし、この方法を選択する場合は、前もって税務署もしくは金融機関に「口座振替依頼書」を提出しなければなりません。

コンビニでの納付

e-Taxなどで自分の納税額の情報が記載されたQRコードを発行し、コンビニに設置されているキオスク端末(各種支払いや手続きが行える端末機)でバーコードを出力します。
このバーコードをレジで読み取ってもらうことで、納税が可能です。キオスク端末が設置されている一部のコンビニのみ利用できます。

e-Taxを利用したダイレクト納付

e-Taxを利用している方なら、ダイレクト納付という方法もあります。事前にe-Tax経由で申請を行った後、口座振替で税金を納付できるシステムです。
この方法では振替日を自分で設定することができるため、都合に合わせて余裕を持った納税ができます。

スマホアプリでの納付

スマートフォンの電子決済アプリのなかで、QRコードを利用した決済が行えるアプリを利用して税金を納付できます。
「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスし手続きを行うことで、電子決済アプリの残高から納税します。

クレジットカードでの納付

クレジットカードでの納付の場合は、「国税クレジットカードお支払いサイト」へアクセスし、カード情報などを入力することで納税が完了します。
クレジットカードを頻繁に利用する人にとっては、手軽で簡単な方法といえます。

そのほか電子納税

e-Taxを利用している場合に限り、銀行ATMまたはインターネットバンキングによって税金の納付が行えます。
この方法では、e-Taxで納付区分番号を発行するもの(登録方式)、一定のルールにより数字を組み合わせた納付目的コードを使用するもの(入力方式)の2つのパターンがあります。

納付方法ごとのメリット・デメリット


税金の納付方法には、それぞれメリットとデメリットが存在します。

窓口での納付

窓口での納付のメリット

・事前申請の手間が省ける
税務署および金融機関の窓口で納付する場合、事前に申請を行うといった手間がかかりません。

・安心感がある
税務署などにそのまま納付できることから、確実に納められたという安心感もあります。

窓口での納付のデメリット

・窓口に出向く手間がかかる
税務署や金融機関に、自ら足を運ばなければならない点は多少不便です。

・窓口の営業時間までに済ませる必要がある
税務署や金融機関の窓口における営業時間は限られているため、その時間内にしか利用できません。

・現金のみでの納付となる
窓口で受け付けているのは現金での納付のみであるため、手元に現金を用意する必要があります。

振替納税

振替納税のメリット

・納付の手続きは初回だけで済む
初回に「口座振替依頼書」を提出していれば、その後は自動的に指定口座から引き落とされるため特別な手続きは必要ありません。

・振替期日が後倒しになる
通常の納付期限よりも振替日が後倒しになるため、余裕を持った納付が可能です。

振替納税のデメリット

・事前の申請が必要
初めて振替納税を利用する時、前述した「口座振替依頼書」を提出しなければなりません。

・銀行口座の残高が足りないと納税できない
あらかじめ、登録した銀行口座に税額相当の残高がないと延滞したものとみなされ、延滞税を徴収されることがあります。

コンビニでの納付

コンビニでの納付のメリット

・最寄りのコンビニで気軽に納付できる
自宅もしくは通勤先などの最寄りのコンビニで買い物のついでに納付できるため、気軽に行えます。

・24時間いつでも納付できる
24時間営業のコンビニなら、時間を気にせずに空き時間に納付することができます。

コンビニでの納付のデメリット

・QRコードおよびバーコードの発行が必要
納税に必要なQRコードやバーコードを発行しなければならず、多少面倒です。

・利用できるコンビニが限られている
前述のように、キオスク端末が設置されているコンビニでしか利用できません。

・納付額に上限がある
コンビニ納付では、30万円を超える金額の納付は不可となっています。

e-Taxを利用したダイレクト納付

ダイレクト納付のメリット

・PCやスマートフォンを利用できる
e-Taxを利用していれば、PCやスマートフォンの操作だけで税金の納付ができます。

・残高不足でも再度利用が可能
ダイレクト納付なら、振替日に銀行口座に残高が足りなかったとしても、再度手続きを行うことで口座振替が利用可能です。

・税金の予納ができる
税金の予納とは、所得税などの申告前に自分で決めた金額を納税できるシステムです。ダイレクト納付なら、予納が簡単になります。

ダイレクト納付のデメリット

・e-Taxの利用登録が必要
ダイレクト納付を行うためには、事前にe-Taxの利用開始手続き、および納税用確認番号などの登録が必要です。

・事前に申請しなければならない
初回利用時のみ、e-Taxの利用登録を行った上で、「ダイレクト納付利用届出書」を提出しなければなりません。

スマホアプリでの納付

スマホアプリでの納付のメリット

・事前の申請がいらない
スマートフォンの決済アプリの利用でも、事前に申請を行う必要はありません。

・いつでもどこでも納付できる
スマートフォンに決済アプリをインストールしていれば、「国税スマートフォン決済専用サイト」にていつどこにいても税金を納めることができます。

スマホアプリでの納付のデメリット

・納付の上限額がある
スマートフォンの決済アプリによっては、チャージ金額に上限が設けられています。納税額がその上限を上回っている場合、利用できません。

クレジットカードでの納付

クレジットカードでの納付のメリット

・事前の申請がいらない
事前に申請手続きを踏む必要がないため、手間が省けます。

・PCやスマートフォンを利用できる
「国税クレジットカードお支払いサイト」からカード情報を入力すれば、PCでもスマートフォンでも納税が可能です。

・分割、リボ払いが使える
通常のクレジットカード支払いと同様に、分割やリボ払いを使って納税することもできます。

クレジットカードでの納付のデメリット

・所定の手数料がかかる
納税額によって、クレジットカードの決済手数料が設定されています。納税額が上がればその分手数料も上乗せされるため、注意が必要です。

その他電子納税

その他電子納税のメリット

・インターネットバンキングやATMが利用できる
銀行の窓口営業時間外でもインターネットバンキングやATMで手続きできるため、気軽に利用できます。

その他電子納税のデメリット

・e-Taxの利用登録が必要
電子納税は、e-Taxの登録情報をもとにして利用が可能になることから、利用開始手続きを行わなければなりません。

・銀行の所定の手数料がかかる
利用する銀行によっては、インターネットバンキングやATMを利用する際の所定の手数料がかかることがあります。

ケース別おすすめの納付方法


これまで説明してきたように、税金の納付方法はいくつかあり、任意で選択できます。では、自分の都合に合わせたおすすめの納付方法は何なのか、疑問に思うかもしれません。
状況によっておすすめの方法が違いますので、見ていきましょう。

申請だけで簡単に済ませたい場合

事前に利用申請を行うことが苦でない場合は、振替納税が比較的楽なのでおすすめです。
初回利用時にのみ「口座振替依頼書」を提出すれば、次年度以降は自動的に口座振替が適用され、自分で行う手続きは何もいりません。

納付を急いでいる場合

税金の納付期限直前であるなど急いで納付する必要がある人は、スマートフォンの決済アプリかクレジットカードを利用するのが良いです。

それぞれの専用サイトにて手続きが完了するため、簡単でスピーディに納税できます。

e-Taxに登録している場合

e-Taxに登録している人は、登録方式もしくは入力方式いずれかの電子納税を選ぶと、各金融機関のインターネットバンキングおよびATMが利用でき便利です。
また、あらかじめ予納したい人も、e-Taxに登録していればダイレクト納付で納税が可能です。

税金の納付方法はクレジットカードがおすすめ?

数ある税金の納付方法のなかでもメリットが多い、クレジットカードでの納付について説明します。

クレジットカードはこのような点が有利

ポイントが付与される

クレジットカードで税金を納付すると、通常のクレジットカードの利用と同様にポイントが付与されることがあり、お得になります。
また、ポイントが付与されることにより実質的な出費が抑えられ、節税になるという考え方もできます。

支払いの管理が楽

クレジットカードを納税に利用することで、利用明細表に納税額と納付日が表記されます。これにより支払いの管理をひとまとめにでき、納税額も把握できて便利です。

現金が手元になくても納付可能

もし、納税額分の現金が手元になくても、クレジットカードなら簡単に納税ができます。
クレジットカードの引き落とし日が納付期限を過ぎていても、その前にクレジットカード会社が決済を行っているため安心です。

クレジットカード納付で注意したいこと

納付の変更は不可

もし、クレジットカードでの納税を誤ってしまった場合でも、その手続きを変更・取消することができません。
納税額を上回る金額を納付してしまった場合は、税務署にて還付手続きを行うことになります。

納付自体できないことがある

地方税の納付に関する注意点ですが、自治体によってはクレジットカード納付を受け付けていない場合があります。
そのため、地方税に関しては事業所の所在地の自治体に確認しておくようにしましょう。

クレジットカードで税金を納付する方法

所得税などを納付する時

所得税といった国税を納付する時は、「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスします。
トップページに注意事項が記載されているため、確認の上「同意」ボタンをクリック・タップします。
次の画面で氏名・住所などの個人情報と確定申告の際に発行されている整理番号を入力し、クレジットカード情報を入力して手続きを完了させます。

住民税などを納付する時

住民税などの地方税では、一般的に各自治体のホームページにて手続きを行います。手続きの方法は自治体により異なるため、まずはホームページにアクセスしてください。

ただし、前述したようにクレジットカード納付に対応していない自治体もあるため、事前に確認しておきましょう。

納付期限を過ぎた場合にはどうなるか


税金の納付期限が過ぎてしまった時は、以下のようなペナルティを課されることがあります。

延滞税を徴収される

税金の納付期限を過ぎると、過ぎた日数分と税額に応じた所定の延滞税が徴収されます。
税金の納付期限は法律によって定められており(法定納期限)、所得税を例にあげるとケースごとの法定納期限は以下のようになっています。

  • 通常通り確定申告を行った場合…3月15日
  • 3月15日を過ぎた後に修正申告を行い、納付する税金がある場合…修正申告書の提出日
  • 税務調査結果と申告内容が異なる場合(更生)、申告書が提出されない場合(決定)…更生通知書の発行日から1カ月後

これらの法定納期限を過ぎた場合には、延滞税が発生します。

行政による処分が下ることも

上記のように、法定納期限を過ぎても納税されない場合は、行政処分が行われることもあります。

督促状が届く

もともとの税金に加え延滞税も滞納した場合、税務署から督促状が届きます。督促には、直ちに対応する必要があります。

財産が差し押さえられる

督促状が届いても納税されない場合、税務署は滞納している人の財産を調査します。納税する能力があると判断した場合に行われるのが、財産の差し押さえです。
財産には、金銭や換金できる所有物、不動産などに加えて各種債権も含まれます。差し押さえを受けた財産は自分で動かすことができなくなり、税金の納付に充てられます。

悪質な場合は刑事罰が科せられる

例えば、上記の財産の差し押さえを避けるために財産を壊したり隠したりといった行為をした場合、法律に基づいて刑事罰が科せられます。
刑事罰の種類としては、罰金刑となり、最悪の場合は懲役刑が下されるケースもあります。

処分を受ける前にできること

猶予制度

何らかの事情がある場合に、税務署に申請を行うことで猶予を設けてもらえることがあります。
猶予制度は「納税の猶予」と「換価の猶予」の2つあり、どちらも猶予期間は1年です。

例えば、病気や怪我をした場合や災害の損失に遭った場合、税務署への申告が認められれば猶予期間が与えられます(納税の猶予)。
また、差し押さえが行われることで事業が滞る、生活に困窮するといった事情がある時には、差し押さえた財産の換金を猶予してもらえるケースもあります(換価の猶予)。

延納制度

延納制度は、法定納期限までに確定申告書に記載し申請を行うことで、税額の半分を期限までに納付し、残額を何度かに分けて支払えるものです。

法定納期限以降に支払う税金については、所定の利子税が上乗せされます。

納期限を忘れた時にはどうするか

もし、納期限を失念して納税できなかった時も、前述の延滞税を納める必要があります。延滞税は、法定納期限から税金を完納できるまでの期間によって割合が異なります。
また、その年度ごとにも税率が変化することがあるため、毎年確認するのが得策です。

まとめ

税金の納付方法は、直接税務署などに現金で支払うほか、近年ではスマートフォンでの納付も可能です。確実に納付したい時やより簡単に納付したい時などで、使い分けてください。
また、クレジットカードでの納付もおすすめです。ポイントが付与される利点があります。
ただし、地方税は自治体によってクレジットカードが利用できないこともあるため、確認が必要です。

税金の法定納期限を過ぎても納付できない場合、延滞税の徴収にとどまらず、何らかの行政処分を受けることもあります。自分に適した方法で早めに納税しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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