「ステマ」って何?その実態や問題点、事例についてわかりやすく紹介します!

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広告の話題でよく耳にする「ステマ」とはどのようなものか?その実態や実際にあった事例を紹介します。


様々にあるマーケティング方法のひとつに、ステマがあげられます。ステマは、何かと話題になることが多く、その度に問題視されてきました。
そして、会社経営者がステマについてどのようなものかを理解していないと、なぜ問題視されているかわからないだけではなく、その方法で広告を打ってしまう可能性もあります。
そのため、ステマについてよく理解し、どのような点に問題があるのかを把握しておくことが大切です。今回は、ステマの実態や問題点に加え、実際の事例を交えて紹介します。

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ステマとは何か


ステマとは、ステルスマーケティングの略であり、英語ではStealth Marketingと記載します。この言葉の中で、ステルスが持つ意味は「こっそりする」などであり、それがステマの本質を表しています。
では、ステマとは具体的にどのようなものでしょうか。

ステマの概要について

ステマとは、ユーザーに対して商品やサービスを広めるにあたり、広告であることを隠した状態で行う広告活動のことです。
ポイントは、あくまでユーザーに広告ではなく一般の声と偽って虚偽の口コミを広める点であり、形態としては「サクラ」や「やらせ」に通じるものがあります。

ステマは2種類に分類される

ステマには、様々な手法がありますが、大きく分けると下記のような2種類です。

  • 広告とは無関係な一般人を装う
  • 広告したい商品やサービスの関係者であるメーカーが、さも無関係な一般人であるかのように装って口コミサイトやSNSなどで高評価を投稿する形態です。
    このタイプには、商品やサービスを持ち上げるだけではなく、競合他社の商品・サービス、またその会社そのものを貶めるような投稿を行うこともあります。

  • 芸能人に報酬を支払い実際に使用しているかのように発信させる
  • 芸能人やインフルエンサーのように影響力や拡散力のある人を利用し、報酬を支払って商品やサービスをすすめる発信をしてもらうものです。
    この形態だけを見れば、通常の広告活動と変わりがない印象ですが、芸能人やインフルエンサーに、宣伝ではなく実際に利用した感想として拡散させる形態であれば、ステマとみなされます。

 

どのようなものがステマにあたるか

では、具体的な例としてどのようなものがステマにあたるのかを見ていきます。

広告であることを隠している

商品やサービスを持ち上げる投稿を見たとき、広告活動であることを明言せずに隠しているケースは、ステマに該当します。
このとき、SNSなどでは通常の広告と見分けがつきにくいですが、例えばメーカーの公式アカウントからの発信であれば、広告であることは一目瞭然です。
また、それ以外の場合にも「広告」という表記をしたり、メーカーから直々に商品やサービスを提供されたことを明らかにしたりしていれば問題ありません。

実物よりもいいものと錯覚させる

広告では、商品やサービスの特徴や利点をアピールしますが、それが実物よりも著しく優れたものであるかのように錯覚させる行為も、ステマといえます。
もちろん、実際に利用したユーザーが本当に良いと感じた部分を冷静にレビューすることは問題視されませんが、過度に煽るような投稿を行うと、ステマと認識されます。

実物にはない機能や効果を表記する

ステマが問題視される理由のひとつとして、商品やサービスの中に含まれていない機能や効果を表記することもあげられます。
これは、上記の項目の方法がよりエスカレートしたものであり、明らかな虚偽を広めていることが悪質と取られるからです。このようなケースでは、法律に抵触する可能性もあります。

メーカーの会社がユーザーとして拡散する

前述でも触れましたが、商品やサービスを提供するメーカーの企業が、一般ユーザーのふりをして高評価やおすすめの投稿を行うことも、ステマで用いられる方法のひとつです。
この場合、会社関係者が明らかに広告活動として行っているはずが、それをユーザーに周知させていないことが問題です。

ステマのケース例を紹介

こちらからは、より詳しい例をあげてステマのケースを紹介します。

  • 口コミにあえて高評価・低評価をつけランキングを変える
  • ショッピングサイトやグルメサイトなど、口コミが表記されるサイトで、特定の商品・サービスやメーカー、店舗に高評価、もしくは低評価をつけて、ランキングを変える例が多いです。
    対象のものに高評価をつけるだけではなく、競合するものに低評価をつけることで、ランキング上位を独占することを狙っています。

  • 実際の評価とは異なる内容を拡散する
  • SNSやブログで、商品やサービスについている実際の評価があまりよくないものだったとしても、対象のものを絶賛し、実際の評価と異なる内容を拡散しイメージを塗り替える方法です。
    同時に、実際の評価が高くても、わざと貶めるようなコメントを拡散することも同様です。

  • 芸能人が使用していると偽装する
  • 芸能人やインフルエンサーを直接起用せずとも、あたかもそれらの人々が商品・サービスを使ってすすめているかのように偽装して広める方法もあります。
    ユーザーは、影響力のある人が褒めているなら利用してみたいと心理操作をされてしまいますが、それは偽装に乗せられているだけです。

 

ステマと似たマーケティング方法との違い


マーケティング方法として、ステマとよく似た手段を取るものがいくつかあります。それらには、ステマとは若干異なる点がそれぞれにあるため、区別するべきです。
以下では、ステマと間違えられやすいマーケティング方法をあげていきます。

広告であることを前提としたダイレクトマーケティング(ダイマ)

ステマとよく似た言葉で、ダイマといわれる方法があります。
これは、ダイレクトマーケティングの略で、特にマーケティング用語として用いられる時は、口コミやレビューについてこれが広告であることを明言して拡散する方法を指します。
また、過度に商品やサービスの利点を煽るのではなく、ユーザーが実際に利用して純粋に感じた利点を広める点も、ステマと異なります。

口コミを意図的に生むバズマーケティング

バズマーケティングとは、SNSなどの拡散力のあるツールにおいて、ユーザーが興味を持つ内容を広告とともに投稿し、意図的に口コミの拡散を狙うものです。
「バズ」とは口コミ自体を指すことから、口コミを拡散させるために話題性を作る方法として、この言葉が使用されています。
例えば、SNSの企業公式アカウントが商品に絡めた面白い投稿をして広まることは、バズマーケティングにあたります。

実際のユーザーが口コミを広めるバイラルマーケティング

実際に商品やサービスを利用したユーザーが、純粋にその感想を口コミとして広めていく方法が、バイラルマーケティングです。
例えば、ショッピングサイトの商品ページのシェア機能を利用して、SNSなどに共有する行動は、バイラルマーケティングといえます。
このケースでは、単にユーザーが感想を広めるだけであり、ユーザーの感想次第で拡散されるか否かが決まります。

インフルエンサーを介して広告を行うインフルエンサーマーケティング

ステマの中で、インフルエンサーを利用して広告であることを隠して投稿してもらう方法がありますが、インフルエンサーマーケティングは正当にインフルエンサーに広告を依頼し、拡散を狙う方法です。
この時、インフルエンサーの投稿において、広告である旨が明らかになっているか、また商品やサービスの提供をメーカーから正式に受けているかを周知させているかが、ステマとの見分け方です。

ステマのメリットと問題点とは


ステマがたびたび問題視されるにもかかわらず、ステマは未だ随所で横行しています。
では、多くの会社がステマを行うメリットとは何でしょうか。
また、ステマには具体的にどのような問題があるのでしょうか。
こちらでは、メリットと問題点の2点について触れます。

ステマのメリット3つ

まずは、ステマを行うメリットについて3つ紹介します。

コストがほぼかからない

ステマのメリットとして大きな点は、一般ユーザーになりすます方法ならコストがほぼかからないことです。
通常、正当に広告を打つ場合には膨大なコストを必要とします。
しかし、ステマは基本的に一般ユーザーの振りをして拡散を狙うものであり、その媒体は無料でも利用できるものがたくさんあります。

さらに、投稿はあくまで火種であり、その火を広めていくのは一般ユーザーです。
この点から、単純に経費をかけて広告を打つよりも、コストを抑えてユーザーの心理を動かせるステマは、効率のよい広告活動となります。

ユーザーの信頼を得やすい

芸能人やインフルエンサーを介してステマを行う方法では、それらの人々のファン層をはじめとして多くのユーザーが信頼を寄せてくれます。
名の知れた人が使っているならよい商品に違いない、と思い込ませることに成功する方法です。
通常の広告と異なるのは、前述のようにステマでは芸能人やインフルエンサーが実際に利用した感想と見せかける点で、純粋な広告よりもその人の感想として受け取ると安心しやすい一面もあります。

広告とは知られずに拡散できる

メーカーの会社関係者ではない第三者が高評価をつけることは、通常の広告よりも影響力があります。
近年、ユーザーにとって広告を安易に信用しない動きがあり、また会社そのものにも信用を寄せないユーザーもいます。
そこで、一見無関係な第三者を装う、もしくは雇うことで広告であることを隠せば、ユーザーは一般の利用者の感想として受け取り、購買意欲を高める効果を期待できます。

ステマの問題点4つ

次に、ステマが問題視される理由について4つを解説します。

ユーザーを欺いている

ステマの概要をひとことでいえば、ユーザーに虚偽の情報を流す方法です。
つまり、ユーザーを欺き、偽装や根拠のない投稿を行っている点が、大きな問題点といえます。
さらに、単に欺いているだけはなく、それにより利益を得ようとしている点もユーザーに対して不誠実です。

ユーザーが不利益を被る

仮に、実際に性能や効果が低い商品やサービスにステマで高評価をつけて、それを参考にしたユーザーが利用したとします。
しかし実際は、ステマの情報とは程遠い性能や効果で、ユーザーの想定を裏切った場合、ユーザーはステマによって明らかに不利益を被っています。
このように、第三者目線で冷静かつ事実を見据えた情報を得られないことも、ステマが問題である点のひとつです。

発覚すれば市場の価値を落とす

もしステマを行っていることが発覚すれば、その会社の信頼が落ちてしまうことは明白です。
その信頼は、当該の会社のみならず、商品やサービスの市場そのものにも悪評をつけかねません。
その業界ではステマが横行しているというイメージがつけば、市場全体の価値を落としてしまいます。

結果的に、ユーザーは不買運動などの行動に出ることもあり、市場が弱体化すれば企業力の弱い中小企業から倒産の憂き目に遭うこともあり得ます。

ステマで被害を受ける関係者が存在する

ステマにより会社が信用を失えば、ステマに該当する広告を出したツールの運営者にまで、管理不足として言及されることも考えられます。
さらには、芸能人やインフルエンサーを起用した場合には、その人々の評判も落としてしまうでしょう。
加えて、ステマで被害を負ったユーザーや競合他社が損害賠償を請求するケースも見られ、多くの人々に影響が波及します。

ステマに法的規制はないのか


ステマには、上記にあげたような問題点がありますが、法的には問題はないのでしょうか。
日本では、ステマに対する明確な法的規制はありませんが、以下に紹介するような法律に抵触する可能性はあります。
では、日本におけるステマと法律の関係について解説します。

ステマが法律に抵触する可能性とは

ステマが法律に抵触するケースがあるとすれば、不正競争防止法や景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の違反が考えられます。
不正競争防止法は、虚偽の表示や市場における競合他社への風評被害の流布など、不当な方法で公正な競合を妨害した場合に適用されます。
また、景品表示法は、誇大広告や表示について不当なものであり、やはり公正な競合を乱すとみなされた場合に適用を受けます。

加えて、健康への被害を防ぐために、商品への表示に厳しい規制がなされている医薬品や化粧品などに関しては、健康増進法や薬機法(医療品医療機器等法)などにも触れることがあるかもしれません。
これらの中で、商品やサービスの広告についてユーザー目線で施行されているのが景品表示法であり、ユーザーが自主的・合理的な選択をできなくなる行為について取締まる旨が表記されています。

景品表示法における禁止事項について

景品表示法では、広告における表示で、以下の2点に該当するものを禁止しています。

  • 優良誤認表示
  • 商品やサービスにおいて、実際には備わっていない性能や効果を謳って、より良いもの=優良に見せかける表示が、優良誤認表示です。
    例えば、農産物において外国産を国産と偽ったり、洗剤で完全に汚れを除去できる保証がないのに「必ず落ちる」と表記したりといったケースが該当します。

  • 有利誤認表示
  • 商品やサービスを価格面で見たとき、明らかに誇張してお得=有利に見せる表示が、有利誤認表示です。
    例をあげると、家電量販店で多く行われている割引サービスを考慮せず、定価と比較して自店のものが一番安いとして、ユーザーに錯覚させる方法がこれにあたります。

 

ステマの方法のひとつとして、価格への印象操作が行われることもあります。
このようなケースが発覚した場合は、景品表示法に抵触する可能性があります。

実際にあったステマの事例を紹介


日本でも、実際にステマが発覚して問題になったケースがいくつかあります。いずれも大きな話題を呼び、発覚後も問題が尾を引きマイナスイメージを拭えなかった事例です。
こちらでは、日本で起きたステマの事例を紹介します。

インターネットオークションでの芸能人の関与

あるインターネットオークションでは、入札するごとに高くなる手数料をユーザーから徴収することで利益を得ていました。
そこで、より利用者を増やすために芸能人を利用し、実際に落札していない商品を「安く落札した」と虚偽の書き込みをさせていたことが発覚した事件です。
有名芸能人によるステマとして、世間に衝撃が走り関与した人々がバッシングを受けました。

さらに、運営会社では利益を伸ばすために、会社自身が入札を複数回行って手数料を引き上げていたこともわかり、詐欺事件として扱われたことでも有名です。

大手グルメサイトでのランキング操作

これは、大手グルメサイトにおいて、口コミによりランキングを操作する業者が複数存在していたことで問題になった事例です。
特定の飲食店が、その業者に対して報酬を支払い、業者が多数の高評価を付ける仕組みでした。
調査の結果では、実に40社近くの書き込み業者が発覚し、消費者庁による本格的な調査も入りました。

有名映画のステマに広告代理店が関与

外国の大手映画製作会社による有名映画を日本で配給するにあたり、ほぼ同じタイミングでその映画を賞賛する漫画がSNSに投稿されたことで、物議を醸した問題です。
これに対し、日本の配給元は一時ステマを否定したものの、ステマの指示を広告代理店が行っていたことが発覚し、後日配給元が謝罪文を出すに至りました。

まとめ

ステマに関する問題がいくつも浮上している昨今でも、ステマは衰退するどころか横行する一方です。
確かに、インターネットでの拡散力によって成功すれば、大きな利益を得られる方法ではあります。しかし、ステマが発覚したときのリスクは計り知れません。

そもそも、ステマを実行しなければならない商品やサービスは、ユーザーのニーズにかみ合っていないことが考えられます。
そのため、ステマで拡散させる前に、ユーザーに受け入れられる商品やサービスの開発に注力すべきです。ユーザーが不利益を被らないよう、真摯に事業に向き合っていくことが大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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