起業したいけれどアイデアがない時はどうする?発想方法や考え方を解説

創業手帳

起業したいけれどアイデアがないから行動に移せない人は多い!


起業したいという気持ちは持っていても、「アイデアがない」という理由で行動に移せない人は多くいます。
ただし、必ずしも起業するためにはアイデアが必要というわけではありません。
そこで今回は、起業アイデアが出ない時に意識する点やアイデアを出しやすくする発想方法、具体的にすべきことをご紹介します。
起業を考えているものの、なかなか一歩踏み出せない人はぜひ参考にしてみてください。

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

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起業アイデアが出ない時にまず意識したいこと


日本政策金融公庫が発表した『2022年度起業と起業意識に関する調査』では、起業関心層の中で起業したいと考えている人は52.4%と半数以上いることがわかっています。
また、起業していない理由として「ビジネスのアイデアが思いつかない」という人が32.1%も占めていました。
起業したいけれどもアイデアがない時は、まず考え方から変えていくことが大切です。まずはアイデアが出ない時に意識したいことをご紹介します。

1.ゼロから生み出す必要はない

起業しようと考えた時、「どのようなビジネスで起業するのか」を決める必要があります。しかし、これまで誰もやっていないような事業を思いつくのは至難の業です。

実際には、起業する上でゼロからアイデアを生み出す必要はありません。なぜなら、これまで誰もやっていないような事業をいきなり始めるのはリスクが高いからです。

誰もやっていない場合、市場にどれくらい潜在的な顧客が存在するのか、そもそも収益性があるビジネスモデルなのかを始める前に判断できません。
また、新しい市場を作ることも可能ですが、市場を作るためには人を集める必要があり、莫大な広告費を準備しなくてはなりません。

「それなら誰かの真似をすればいいのでは?」と考えられますが、誰かの真似だけでビジネスを始めたとしても、うまくいかなくなる確率が高くなります。
アイデアがない状態で起業するなら、真似だけでなくポジションを変えるなど、少しの工夫を取り入れるのがおすすめです。

2.考える時の基準を「やってみたい」に変える

起業のアイデアを考える時、つい「できる」ことを優先してしまうケースが多いようです。
できることを優先してしまうと、いざ起業しても段々とつまらなくなり、継続できない場合があります。

そこで、考える時の基準を「やってみたい」に変えてみることをおすすめします。好きなこと・興味があることで起業してみると、試行錯誤をしている時間も楽しめるはずです。

もし「やりたいことも特に見つからない」という人は、「やりたくないけどやっていること」を一度手放してみてください。
やりたいことが見つからない人は、やりたくないけどやっていることが多すぎて見つかっていないだけだと考えられます。
やりたくないことをまず辞めてから、本当にやってみたかったことを探してみてください。

3.自分の行動を変えてみる

「やってみたい・やりたい」ことがベースの考え方になると、つい自分の好きなもの・興味がある情報ばかりをインプットすることが増えてきます。
当然インプットが増えるのは良いことですが、それだけでは起業よりも趣味に近くなってしまいます。

ここから起業アイデアを生み出すためには、行動変容によって自分の中にある枠組みを壊すことが重要です。
枠組みを壊すことで考え方だけでなく視野も広がり、様々な情報から新しい発想を生み出せるかもしれません。

いきなり自分自身を大きく変えるのは難しいので、まずは生活習慣の中でも小さなことから変えてみるのがおすすめです。
例えば、仕事から帰る時にいつも同じ道を通って帰っているのであれば、違う道を通ってみてください。いつもとは違う風景によって五感が刺激されるでしょう。

4.完璧でなくてもまずは始めてみる

何となく起業のアイデアは浮かんでいるものの、具体的なものにならないという人は、そのアイデアに対して完璧を求めている可能性があります。
完璧を求めてしまうといつまで経っても行動に移せません。

そもそもアイデアに完璧は存在しません。綿密に練った計画であっても予期せぬ事態が発生することも十分にあり得ます。

完璧な状態を作るために準備を進めていても、いつ始められるかわかりません。
それなら事業をスタートさせてみて、ブラッシュアップさせながら完璧な状態に近づけていったほうが近道になる可能性が高くなります。

起業のアイデアを出しやすくする発想方法


既存のビジネスモデルでも起業することは可能ですが、独自の要素を取り入れていったほうが成功しやすくなります。
しかし、その「独自の要素」が思いつかず悩んでしまうこともあるかもしれません。そのような時におすすめしたい、アイデアを出しやすくする発想方法を9個ご紹介します。

1.6W2H

6W2Hは、アイデア出しに使えるフレームワークの中でも一般的に使用されているものです。5W1HにWhom(誰に)とHow much(いくらで)が加わっています。

  • When……いつ
  • Where……どこで
  • Who……誰が
  • Whom……誰に
  • What……何を
  • Why……なぜ
  • How……どうやって
  • How much……いくらで

様々な視点から考えることでアイデアを出しやすくします。ただし、ただ当てはめるだけでは意味がないので、6W2Hを使い、ほかの考えに結び付けることが大切です。

2.ブレインストーミング

ブレインストーミングは基本的に複数人でアイデア出しをしたい時におすすめの方法です。
自分ひとりだけで行っても自分の視点からしか物事を考えられず、良いアイデア出しにはつながりません。

ブレインストーミングを実践する際は、必ず以下のポイントを守って行うようにしてください。

  • 誰の意見も批判しない
  • 質より量を意識する
  • 洗練されていないアイデアでもOK
  • ほかのアイデアと組み合わせて発展させる

3.シナリオグラフ

シナリオグラフとは、誰が・いつ・どこで・何をの4つから単語を考え、その単語をつなぎ合わせてストーリーを作り、アイデアを生み出していく方法です。
例えば、様々な単語を出したあとに、以下の単語を組み合わせたとします。

  • 誰が……親子
  • いつ……夏休み
  • どこで……公園
  • 何を……勉強する

この単語からストーリーを作ってみましょう。
例えば、「親子が夏休みに公園で勉強する際に使える商品・サービス」になり、ここから「夏休みの自由研究として公園の砂を使って学べる、大人も子どもも一緒に楽しめる商品」というアイデアが出てきます。
シナリオグラフを活用すると具体的なターゲットや行動まで想像でき、アイデアも生まれやすいものです。

4.シックスハット法

シックスハット法は、医師・心理学者のエドワード・デボノ氏が提唱した方法です。
デボノ氏は論理的な分析と深掘りをする「垂直思考」とは異なり、視点を変えて自由に発想する「水平思考」を発表した人物でもあります。
シックスハット法はそういった水平思考を取り入れたフレームワークで、6つの観点からアイデアを考えていきます。

・客観的(ホワイトハット)
数字・データなどの事実から客観的な視点でアイデアを出す

・直感的(レッドハット)
自分の感情・勘など直感的な部分をピックアップしアイデアを出す

・肯定的(イエローハット)
アイデアが実現した時のメリットなど肯定的な視点から考える

・否定的(ブラックハット)
アイデアに対する否定的な意見を考え、改善点を見つける

・創造的(グリーンハット)
根拠よりもクリエイティブな視点からアイデアを出す

・思考的(ブルーハット)
広い視野からアイデアを捉え、統括させる

5.マンダラート

マンダラートは9つのマスを設定し、その中央にテーマを置いたら周りの8マスに連想する単語を埋めていきます。
例えば、中央に「動画」と入れたら、その周りには「YouTube」「商品紹介」「ドローン」「結婚式に流れるムービー」などが入ってきます。

すべてのマスを埋める以外は連想する単語を埋めていくだけなので、簡単に取り組みやすいのがメリットです。
ここから単語を組み合わせることで新しいアイデアにつながります。

6.なぜなぜ分析

なぜなぜ分析とは、発生した問題点から根本的な原因を探し出すための方法です。
一見アイデア出しと関係ないように思えるかもしれませんが、不満や不便に感じていることの原因を探っていくことで解決するためのアイデアが生み出せます。

なぜなぜ分析を行う時は、導き出したひとつの答えに複数の要因を加えないように注意してください。
「なぜ?」に対して、例えば「感染症拡大の影響だけでなく、燃油高騰も相まって価格の変動が起きている」という答えになった場合、「感染症拡大の影響」・「燃油高騰」・「価格変動」の3つに分けて深掘りを進めていくといった具合です。

7.アンチプロブレム

アンチプロブレムは、テーマと真逆の課題を作成し、そこからアイデアを出していく方法です。
例えば、本来は「ブログ運営を成功させるには?」というテーマでアイデアを出していきたい場合、アンチプロブレムでは「ブログ運営を失敗させるには?」のテーマでアイデアを出していきます。

本来のテーマで考えても出てこなかったアイデアが、なぜか逆のテーマにすることで新しい発想が生み出されることもあります。
考えてもなかなかアイデアが出せなくなってきた時には、アンチプロブレムを活用してみてください。

8.SCAMPER法

SCAMPER(スキャンパー)法は、ひとつのテーマやキーワードに対して視点を7つに限定することで広くアイデアを出しやすくなる方法です。

  • 代用(Substitute)……ほかのものに置き換えた場合にどうなるか
  • 組み合わせ(Combine)……何かと組み合わせられないか、組み合わせを変更できないか
  • 適応(Adapt)……ほかの何かを適応させられないか
  • 修正(Modify)……何かを修正できないか
  • その他の使い道(Put to other uses)……ほかのことに使えないか
  • 削減(Eliminate)……既存のものから何かを省けないか
  • 逆転(Reverse,Rearrange)……何かを逆転・組み替えられないか

SCAMPER法もブレインストーミングと同様に、アイデアの質は考慮せずとにかくいろいろなアイデアを幅広く出していくことが大切です。
また、SCAMPER法は今すでにあるアイデアをふくらましたり、発展させたりする際に効果があります。
何もないところからSCAMPER法を使ってアイデアを生み出すことはできない点に注意してください。

9.複合連結型発想法

複合連結型発想法は、「ソフトバンク」グループの代表取締役会長兼社長を務める孫正義氏も実践していることで知られるアイデア出しの方法です。
この方法は、複数の単語を組み合わせることで新たなアイデアを生み出していきます。

孫正義氏が複合連結型発想法を用いて生み出したのは、音声機能が備わった多国語翻訳機でした。
ただ既存の単語を組み合わせるだけでできる方法なので、スキマ時間などで手軽にアイデア出しをしたい方にも適しています。

起業したいけれどアイデアのない人がすべきこと


どうしても起業アイデアが浮かばない時は、上記でご紹介したアイデア出しを実践するだけでなく、以下に紹介する具体的な方法も試してみてください。

1.起業・経営に関連する情報の収集

まずは起業に向けて一歩を踏み出すためにも、起業や経営に関連する情報を集めていきます。
起業をサポートする企業のサイトから専門的な書籍、個人ブログやSNSまで、あらゆる方法で起業・経営に関連する情報が集めてみてください。

こうした情報を収集していけば、どこかで自身が何となく思い描いていたことが具体的なものとなり、そこから起業アイデアにつながるケースもあります。
ただし、中には根拠のない情報が発信されている場合もあるので、きちんと根拠のあることかどうかを調べてから参考にすることが重要です。

2.公的機関・身近な起業家に相談する

アイデアを出したくても、自分ひとりで考えるだけではどうしても限界があります。そのような時は誰かに相談するのがおすすめです。
相談先は、中立的な立場からアドバイスをしてくれる公的機関や、実際に起業した経験を持つ身近な起業家を選んでください。

ただし、身近な起業家を選んだ場合、一方的な意見だけを言ってくる人も存在します。このような人に相談すると、意見や考え方に偏りが生じてしまうので注意が必要です。
もし根性論を押し付けられたり、自分が「違う」と感じたりした場合は、その人と少し距離を置いてみることも大切です。

3.現代のネガティブな感情を探す

現代にはあらゆるネガティブな感情が渦巻いています。それは一般的で身近なものだけでなく、ある一定層だけが感じているネガティブな感情もあります。

自分自身が良く思っていないことを挙げていくのも良い方法ですが、周囲の人たちや他人がどこを良く思っていないのかを観察してみましょう。
何となくやっていた仕事やただ楽しんでいた趣味の時間も、そういった部分に目を向けてみるだけで新しいアイデアを生み出すきっかけにつながります。
特に多くの人が不満や不便を感じていることはないかを調べてみてください。

4.起業関連のコミュニティに参加する

起業アイデアが生み出せない時や、何となくアイデアは浮かんでいるものの一歩が踏み出せないという時は、起業関連のコミュニティに参加してみるのもおすすめです。
コミュニティには同じ悩みを抱えている人や、「アイデアが出ない」問題をクリアして実際に起業した人などが集まっています。

コミュニティに参加する際は、本当に信頼できるところなのかを見極めることが大切です。
中にはお金だけを取っておきながら、一向に有益な情報が発信されない悪質なコミュニティも存在します。
悪質なコミュニティを避けるためにも、口コミ・評判や実績などを確認してください。

5.既存の商品・サービスの問題を解消させる

現在成功している起業家たちは、誰しもが新しいアイデアで成功を収めたわけではありません。
中には既存の商品やサービスにあった問題を解消させるものを生み出したり、既存の商品・サービスに改良を加えたりしたことで成功したパターンもあります。

この場合だと新しいアイデアを出す必要はなく、ただ問題点を解消させただけで起業を成功させることが可能です。
自分がいつも使っているものの中に不満点はないかを探ってみることも有効な方法です。

まとめ

アイデアがなかなか生み出せない場合は、いろいろな発想法を試しつつ、既存の商品・サービスの不満点からヒントを掴めないかを探ってみるのもおすすめです。
自分が「やってみたい」と思うことがあれば、完璧でなかったとしてもまずは始めてみてください。

創業手帳(冊子版)では、創業前後の不安・悩みを解消するアドバイスなども掲載しています。
起業で成功した人の事例などを知ることもできるので、起業に向けて一歩踏み出したい方も創業手帳をぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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