「起業したい人」が「起業家」になるための心構え・アイデア・資金ノウハウ

創業手帳

起業したいと言っているだけの人から脱却するために

(2017/10/19更新)

「いつかは好きなことで起業したいなあ……。」
「こんな会社もう耐えられない!よし、起業だ!」

そんな風に考えたことはありませんか?
しかし、いざ起業しよう!となると、いくつかの壁が立ちはだかります。実際に何から手をつけていいのか悩む人も少なくありません。そこで今回は、起業したいと思っている人が実際に起業家になるまでのプロセスとして、精神的な壁を乗り越える方法と実務的なノウハウに分け解説していきます。

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起業家予備軍は起業家の約10倍

日本政策金融公庫総合研究所が18歳から69歳の全国31万7,861人を対象に行なった起業意識に関する調査によると、対象者の中で、起業家の割合は1.5%、起業関心層は14.3%。起業予備軍は起業家の実に約10倍存在しているという結果が出ています。
(参考:2017年 日本政策金融公庫総合研究所「起業と起業意識に関する調査」

「起業したい人」が「起業家」になるための心構え

「起業したい人」と「起業する人」の違い

それでは、「起業したいと思っている人(起業予備軍)」と「実際に起業する人(起業家)」にはなぜ約10倍もの差が生まれるのでしょうか。

「起業したい人」と「起業家」の一番大きな違いは、ゴールの置き方にあります。

収入を増やしたい、時間の自由があるなどというイメージから「いつかは起業したい……。」と思っている人は、「起業すること」自体が目的になってしまいがちです。

一方、起業する人は、やりたいこと、実現したい社会が明確にあり、そのための手段として「起業」を選択します。

また、実際に起業する人は、「とにかくやってみる」という実行力に長けています。一歩を踏み出す能力とも言えます。まずは自ら行動を起こし、そこから学び、軌道修正しながら進んでいけるのです。

「起業したいけど、○○」よくあるパターン

「起業したいけど……。」と、様々な理由から、一歩を踏み出せない人は多くいます。

実際に起業家になるためには、この「だけど、◯◯」をひとつずつ克服しなければなりません。人によっては、起業しない方が良い場合もあるので、今一度自分自身の気持ちをよく考えてみましょう。

以下に「起業したいけど◯◯」よくあるパターンと、考え方のヒントをご紹介します。

パターン1. 仕事の環境が合わないので起業したいけど、まず何をどうしたら良いかわからない。
→自分にあった環境への部署移動や転職では自分の希望は叶えられませんか?

パターン2. 好きなことで仕事がしたいから起業したいけど、具体的な方法がわからない。
→好きなことは趣味の範囲を超える価値や社会的な意義がありますか?「自分が好きなこと」にお金を払ってくれそうな人はいそうですか?

パターン3. 儲かりそうなアイデアはあるから起業したいけど、一歩踏み出せない。
→一歩踏み出せない理由はなぜでしょう?失敗が怖いからでしょうか。今忙しくて時間が作れないからでしょうか。本当に起業したいなら、まずは具体的な計画を立ててみるところから始めましょう。

パターン4. 起業したいけど、資金がない。
→いくら必要で、どれぐらい足りないかは把握していますか?頭の中で曖昧なまま不安視していませんか?わかるところから、数字を書き出してみましょう。
また、記事の下部に、起業したいんだけど資金がない人へのアドバイスをまとめましたので、こちらも参考にしてください。

パターン5. 起業したいけど、良いアイデアがない。
→そもそもなぜ起業したいのかをしっかり説明できますか?「起業すること」が目的になっていませんか?起業すること自体は簡単です。しかし、その後の経営をうまく回していくことは非常に多くの苦労があることを忘れないでください。

パターン6. 起業したいけど、周りに反対される。
→周りはなぜ反対していると思いますか?周囲が思っている不安な部分を解消させる方法を一つ一つ考え、納得してもらえるように動いていきましょう。

パターン7. 就職したくないから起業したいけど、良い方法ある?
→なぜ就職したくないのか、その理由を具体化してみましょう。例えば旧体質な組織に縛られるのが嫌なのであれば、自由の効くベンチャー企業やIT企業で働くという手段もあります。
起業はとてつもないハードワークであり、全ての責任を自分で取らなければなりません。覚悟を持って進みましょう。

このほかにも色々とあると思います。まずは、起業したいのに、まだしていない理由を一度自分と向き合って深く考えることをおすすめします。

起業以外の方法で自分の要望が叶えられるのであれば、起業はしない方が良いです。起業自体は誰でも簡単にできますが、事業を運営・経営するのは生半可な気持ちでは難しいでしょう。

それでも起業したい!挑戦したい!と思う方は、行動あるのみです!

それでは、実際起業するためにどう動いていけば良いの?という方へ、起業の第一歩を踏み出すための行動指標をまとめていきます。

起業したいけど、良いアイデアが浮かばない?

自分がやりたいことがすでに明確化している人は、ここは読み飛ばしてください。

さて、起業したいなら、まずは何をするかを決めましょう。

起業のアイデアは、3つの軸をもとに考えていくことをオススメします。
「好きなこと(自分がやっていて楽しいと思えること)」
「得意なこと(人よりも能力が秀でていること)」
「必要とされていること(十分な報酬が見込めること)」

この3つが重なることを事業として始めることができれば、起業の成功率は格段にアップするでしょう。

大手のヨガ教室チェーンで、インストラクターとして働くAさんを例に考えてみましょう。

「好きなこと」

人にヨガを教えて笑顔になってもらうこと

「得意なこと」

ヨガ

「必要とされていること」

・健康寿命を伸ばすための体力づくり
・アスリートの怪我防止、体調管理
・体が不自由な人へのリハビリ

このように、3つの軸の組み合わせを変えることによって、様々な起業アイデアが生まれていきます。とにかく数多くアイデアを出せるよう、徹底的に考えましょう。

起業アイデアがある程度出揃ったら、市場調査を行ったり、必要資金を算出するなど、実現性の高いものを絞っていきます。

その起業アイデア、どうお金に変える?

どんなに好きなこと、得意なことでも、継続的にお金に変えられないのであれば、ボランティア活動と変わりありません。起業において、誰からどのようにお金をいただくかという「ビジネスモデル」を起業前から考えておくことはとても重要です。

ビジネスモデルには、自分で作ったものを一般消費者に売る「物販型」や、初めは無料で使えるけど、一定のところから有料版にする「フリーミアム型」など、様々な形があります。

先ほどのAさんがアスリート向けのヨガのパーソナルトレーナーで起業するとした場合はどうでしょうか。

例えば、アスリートと直接契約して月額制にする、または時間単価でもらう。またはトレーニングジムやスポーツ選手のマネジメント事務所に営業をかけて契約を取るなど、様々なパターンが考えられますね。

また、ビジネスモデルは、事業を進めていく中で変化していく場合もあります。はじめから作り込みすぎてうまくいかない時に適応できないということにならないよう、ある程度柔軟な考えを持つことも必要でしょう。

起業への第一歩の踏み出し方

やりたいことが固まったら、実際に起業準備をしていきましょう。

アイデアを元に具体的な目的と目標を作る

起業したいと考えたら、自分でゴール設定をして、自分で道筋を立てて進んでいかなければなりません。誰も仕事の指示を出してはくれないのです。

さて、起業のアイデアがある程度固まってきたら、起業の目的と具体的な目標を明文化していきましょう。

まずは何のためにこの事業をやるのか、事業を行うことによりどんな世界にしたいのかを、みんなにわかるような言葉で具現化します。この会社の目的は、ミッションやビジョンなどとも呼ばれます。

参考:有名企業に学ぶ、ミッション・ビジョン・バリューのつくり方【起業家のための経営学講座】

事業の目的ができたら、次に、目標です。
1年後、3年後、5年後の自分や自分の会社はどのようになっているのか、収支の目標はどのぐらいか、など詳細な目標立てをしていきましょう。

目的・目標の明文化は、対外的に説明するときにも伝わりやすくなり、事業を進める中でも度々見返して軌道修正することができるようになるため、非常に重要な作業です。

SWOT分析で企業戦略を立ててみる

SWOT分析とは、起業するにあたり事業戦略を立てていくときに役立つフレームワークです。
SWOT分析は、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの象限に分けて自分の置かれている状況を整理していきます。

Aさんの事例をSWOT分析に当てはめるとこんな感じになります。

強み(Strength)
  • ヨガインストラクターの資格を持っている
  • 前職が介護施設で介護士の資格を持っている
  • 10代の時、陸上の国体選手だった
  • 選手だった時の繋がりで、アスリートの知人がいる
  • 介護施設で働く介護士の友人が多い
弱み(Weakness)
  • 自分のスタジオを持っていない
  • 資金があまりない
  • ヨガインストラクターとしての知名度が低い
  • 平日はスポーツクラブのクラスを担当しており、活動の日時が限られている
  • 初対面の人に営業をかけることが苦手
機会(Opportunity)
  • 勤務しているスポーツクラブの会員にはアスリートや高齢者が多い
  • アスリート向け、高齢者向けのストレッチクラスなど、新たなクラス創設のニーズがある
  • シェアスタジオが近隣に2つオープンした
  • 友人の勤めている介護施設で、体操系のイベントをしたいという話が出ている
  • 高校の陸上部の恩師が、東京都の10代アスリート育成の強化コーチになったらしい
脅威(Threat)
  • 高齢者に特化したフィットネスクラブのチェーンが、近隣に3店舗オープンした
  • そのチェーンが介護施設とタイアップして、出張型レッスンを始めている
  • 区民会館で、高齢者向けのヨガクラスが複数存在している
  • 高齢者はお友達からの紹介など、横のつながりでクラスを選ぶことが多く、新規参入が難しい傾向にある
  • ヨガに興味のあるのは20代〜50代の女性層で、10代のアスリート、特に男子には無関心層が多く馴染みがない

このように書き出してみることで、市場調査をする良い機会にもなり、戦略も立てやすくなります。自分の強みを生かして、他社にないポジションを作るための効果的な方法を探していきましょう。

先輩起業家に会って話を聞く

誰でも始めは起業1年生です。一人で闇雲に頑張るよりも、すでに起業を経験した先輩経営者にアドバイスをもらった方がはるかに効率は良くなります。

身近に起業家がたくさんいれば良いですが、そんな人も滅多にいないでしょう。

周りに起業家が誰もいない場合は、自分で探す以外に方法はありません。

  • 起業家交流会に足を運んでみる
  • 目標となるような起業家を見つけ直接問い合わせる、SNSなどでメッセージを送る
  • 友人・知人に起業家を紹介してもらう

など、自ら積極的に行動してみましょう。
メンター(実務的な助言をしてくれる人、指導者)となるような起業家を見つけ、つながりを持つことで、自分の目標へ向かうスピードが格段に上がります。また、自分の想いを人に話すことで、事業のブラッシュアップにもなるでしょう。

人脈が全てだとは思いませんが、何かを始めようとした時に、味方になってくれる人、助言をくれる人の存在は非常に大切です。

個人事業主 or 会社設立 どちらが良い?

いざ起業!となった時に、個人事業主で起業するか、会社設立するか悩む方もいると思います。

ざっくり言うと独立後の売上が低い見込み(数百万円程度まで)の人は個人事業主、独立後1,000万円近い売上が見込める方や、大きな資金調達をする予定の方は法人を選ぶといいでしょう。

法人は、一般に社会的な信用は高くなりますが、設立するにも解散するにもお金がかかり、手続きも複雑です。

参考:法人とは?個人事業との違いや、向いているケースを解説します!

起業したいんだけど資金がない!という人への6つのアドバイス

1.必要資金を算出してみる

調達目標がなければ、資金調達はできません。

自分がやりたい事業に対し、どのぐらいの資金が必要で、いくら足りないのか正確に把握していますか?

何をやるかを決めたら、まずは始めるための初期費用と活動費用がいくら必要か見積もってみます。

具体的な費用のイメージが湧かないという方は、中小機構の「業種別開業ガイド」で自分が起業したい業種を検索してみましょう。起業にあたって必要となる資金例が出てきます。

2.スモールスタートを心がける

特に心配性で完璧主義の人は、必要以上の準備をしてしまいがちです。そのため、必要な予算もどんどん膨らんでいきます。

起業はとにかく「小さく、早く始める」を心がけると、一歩を踏み出しやすくなります。起業準備の中で、初期のうちは不要なものは思い切って削る、中古やレンタルで済むようなものはないかを考えるなど、最小限の予算でスタートを切れるよう意識しましょう。

3.クラウドファンディングを使う

資金調達には様々な手法が考えられますが、自己資金が少ない人は融資は受けづらいですし、投資してくれそうな人を探すのも一苦労です。

そんな時は「クラウドファンディング」を検討してみても良いかもしれません。クラウドファンディングは、起業したいと考える人の理念や事業内容に共感してくれた不特定多数の人から資金を募る注目の資金調達手段です。

4.補助金・助成金を活用する

補助金・助成金は国や都道府県が中小企業向けに行なっている支援のひとつ。融資と違い、「返さなくても良いお金」というところが最大の魅力です。

ただし、補助金の場合はすべての企業が採択されるわけではなく、人気の補助金はかなり競争率は高くなります。

さらに、募集期間が短い、補助率が決められている、資金が入るのは後払いなど、様々な注意点もあります。

逐一最新情報をチェックし、タイミングよく自分の起業内容が該当する補助金・助成金募集があれば応募してみるのも手です。

5.副業から始める

今の会社員の仕事をしつつ起業できそうであれば、まず副業から始めることをおすすめします。
収入の面での不安がない上、副業でしっかりとお金に生み出す力を身につけることで、起業後の成功率も格段に上がります。

ただし、あくまでも副業OKの場合です。ご自身の勤める会社の就業規則は守るようにしましょう。

6.資金0でも始められるもので起業する

資金0でも起業はできます。自己資金が全くない方や、お金を借りることができない方は、資金0で始められる起業アイデアを探してみましょう。自分のスキルを商品にする、ネットビジネスを始めるなど、考えれば色々とできることはあるはずです。

まとめ

会社に勤めていれば、仕事の指示もフィードバックも誰かからもらえます。通常通り出勤していれば、安定したお給料ももらえます。

しかし、起業は自分で決めて、自分で行動して、自分でお金を稼ぎ、自分で責任を取らなければなりません。上手くいく保証もありません。それでも起業したいのか、覚悟はあるのか、まずは自分自身に一度問いかけてみてください。

そして、あくまでも起業はゴールではなく、スタート地点です。

本当に起業したいと思うなら、今日から、今から、できることから始めてみましょう。

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(執筆:創業手帳編集部)

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