Square 野村 亮輔|中小企業や個人事業主に寄り添う決済サービス「Square」の魅力とは

創業手帳
※このインタビュー内容は2024年06月に行われた取材時点のものです。

最短で「決済日の翌営業日に振込可能」なSquareはキャッシュレス文化の普及に貢献


根強い「現金文化」が残っていた日本でも、近年はクレジットカード決済やQRコード決済が一般的になってきました。この時流に伴い、多くの店舗でもキャッシュレス決済端末の導入が進められています。

しかし、キャッシュレス決済端末を含めた決済事業者の多くは、決済完了後の振込に1〜2ヶ月の期間がかかることが一般的だったため、中小規模の店舗には導入しづらい状況でした。これを最短で決済日の翌営業日に振込可能にしつつ、決済を含む様々なサービスを通じて世界中の加盟店様のビジネスを支えるテクノロジーカンパニーである「Square」です。

今回の記事ではSquareでエグゼクティブディレクターを務める野村 亮輔さんに、Squareへ入社を決意した理由やSquareの魅力について、創業手帳の大久保が聞きました。

野村 亮輔(のむら りょうすけ)
Square株式会社 エグゼクティブディレクター
NTTデータで決済サービスの営業、ビジネス企画に加え、M&A等を通してのAPACへの参入プロジェクト等推進後、リテール業界のDX戦略立案等担当。Apple JapanではApple Payの事業統括責任者として、QRや電子マネーなど含めた日本独自決済手段のApple Pay対応や、iPhoneをレジにする「iPhoneのタッチ決済」の日本投入を軸にしたApple Pay事業の拡大戦略とパートナーシップ推進に携わる。2022年に参画したSquare株式会社の取締役として事業戦略統制を図り、決済プレーヤーとのパートナーシップ機関を管掌する。米ダートマス大学で経営学修士(MBA)、早大法卒。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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「中小企業の事業を成長させたい」という想いでSquareへ入社

大久保:野村様がSquareへの入社を決意した理由を教えていただけますか?

野村新卒でNTTDATAに入社し、決済サービスの営業や企画、戦略立案等々を幅広いビジネス経験を得る機会に恵まれましたが、その過程で会社のブランドや強さではなく、自分の市場価値で勝負できるようになりたいと考えるようになりました。その後機会に恵まれ、Appleを経て、2022年秋からSquareに入社しました。

Squareを選んだ理由はいくつかありますが、最大の理由は「中小企業の事業を成長させたい」という想いです。AppleにてiPhoneをレジにする「iPhoneのタッチ決済」サービスの日本展開を議論し始めた頃から本格的に中小企業でのキャッシュレス普及に目を向けるようになりましたが、大企業に属していると中小企業を中小企業という一言で一括りで見てしまう傾向がどうしても出てしまい、個人事業主様を含めた一つ一つの現場の課題や思いをしっかりと踏まえた活動ができていないのではないかと感じることが増えていました。

その際に、「中小企業を含む個人事業主から大規模法人まで様々なビジネスの成長を応援する(Empower)する」というミッションを持つSquareから誘われ、グローバル企業と日本市場の架け橋として私自身の価値を発揮できる機会になるだろうと考え、入社を決めました。

Squareは決済サービスに加え、POS関連の商品やサービスを展開する会社です。決済の領域では、QRでの決済、BNPLなど、様々なイノベーションが起きています。一方POSの領域は、決済側と比べても未だイノベーションが起きる伸び代があります。実際従来のレジを使っていただいている方も未だ多いと見ています。そのような状況を踏まえても、当社サービスを広げることで、日本の様々なビジネスをEmpowerできるポテンシャルが大きいと考えております。

Squareが中小企業・個人事業主に選ばれる理由は「スピード」

大久保:小売業界の課題としては、ECでモノが売れても、一般的に2ヶ月後に入金されることが多く、資金調達も2ヶ月分は必要です。

数年前、私がSquareのことを知った時、画期的なサービスだと感動しました。入金までのスピードが早く、さらに様々な言語の方や、ITレベルが高い方から低い方まで、誰にでもわかりやすいUI設計になっていて、他にはないサービスだと驚いたことを覚えています。

野村:ビジネスのスピードを早くすること、厳密には当社サービスをお使いいただくことで「時間を”お返し”する」ことは大きなポイントだと考えています。

キャッシュレス決済一つとっても、決済サービス利用開始までの速さ、実際に店頭で決済を受け付ける際の支払業務の簡易さ、決済そのもののスピード、そして入金までのタイムラグなど、従業員さん、個人事業主さん等で行うオペレーションは多岐にわたります。これらが簡潔になれば時間的余裕が生まれ、それがビジネスを大きくするきっかけになります。我々はそれらを如何に「時間を”お返し”するか」を意識し続けています。

大久保さんにおっしゃっていただいたような言葉を、もっと多くの人に届けるために取り組んでいるところです。決済ターミナルはSquareの価値の一つの形でしかありません。Squareは決済時の手数料のお支払いだけで、POSレジ機能や、早い入金サイクル、売上レポート機能など様々なサービスをご提供しております。そのような多様なサービスをコンパクトでスタイリッシュな端末に包み、「こんな小さなモノでPOSレジとしても決済端末としても使えるのか」といった体験価値を磨き続けています。

「決済手段は多ければ便利」ということではない

大久保:シンプルさがビジネスのスピードにつながるのですね。

野村:例えば、日本の決済業界には他国と比べて「決済手段が多すぎる」という現状があります。様々な消費者の需要に応対するために多くの決済手段をサポートされると良いという考え方があるかもしれませんが、加盟店様の事情を踏まえると、一概にそうとは言えない背景もあります。

個人で様々なオペレーションを行える個人事業主様については、現金を扱うオペレーションコストはさほど大きくないため、外国人のインバウンド消費の取り込みに繋がるクレジットカードと、その他一部主要な電子マネーやQRの決済手段のカバーだけあれば十分という声を聞くこともあります。さらには現金の方が有難く、不必要にキャッシュレスのカバーを増やしたくない、という声まで聞くこともあります。

クレジットカード決済だけであればシンプルに支払いができるところ、決済方法の選択肢が多いと「〇〇PAYで払いますか?」「〇〇ポイントをつけますか?」といった確認事項が増えることで、レジ周りのオペレーションが必然的に増加します。

このような点に懸念を示す加盟店様も少なくありません。もちろん新たな決済手段を導入することで、売上が上がる可能性はあります。しかし、機能が多いほど店舗やバックオフィスでのオペレーションが増える事実も無視できず、必ずしもメリットばかりではないのが現状と考えます。

現金にしろ、キャッシュレスにしろ、抑えるべき所を抑える、という考えに基づき、場合によっては無駄な決済手段を取り払うことでシンプルな決済体験を追求し、加盟店様のビジネスのスピードアップに貢献する、という考えも一理あると考えます。

大久保:以前、イベントでSquareさんの決済システムをオンラインで申し込んで、使わせていただいたことがあります。申し込みから使用するまで、非常にシンプルで使いやすかったため、ビジネスをスタートさせたばかりの方などには良いプロダクトだと思いました。

野村:はい、当社のサービスは申請後利用開始までのタイムラグが短いため、イベント企業様等で、短時間で申し込んですぐに利用開始されたいというケースにて非常に好評で幅広くご利用いただいております。

Squareが提供するファクタリングサービス「Square資金調達」とは

画像参照:https://squareup.com/jp/ja/funding

大久保:SquareはPOSレジやオンライン決済のイメージがありますが、他にもプロダクトをお持ちですか?

野村:最近ローンチしたのは、ファクタリングの一つの新しい形「Square資金調達」です。

ビジネスにおいて、臨時でスピーディーな資金調達を受けたいという需要は一定層あると考えています。

Square資金調達は、審査後、最短翌営業日入金というスピードの早さが特徴です。Squareのサービスを利用いただいている方を対象に、決済総額、決済頻度、顧客層などのデータを活用させていただき、申込限度額を加盟店様毎に設定させていただいた上で、招待制でご案内しております。

大久保:お金を貸す上で、クライアント事業の売り上げデータなどを知っていることが強みですね。

野村:Squareの利用者様の独自かつ具体的な加盟店様のキャッシュフローデータを個別に予測して申込可能額を決めております。加盟店様からも「売上の実態に根差した’身の丈にあった’資金調達額の決定ができるので安心だ」という声をいただいております。

中小企業や個人事業主に寄り添う決済サービスでありたい

大久保:今後の展望について教えていただけますか?

野村:マクロでは加盟店様のビジネス形態は多様化しており、昨今の物価高や人件費増加といった課題も深刻化しています。

加盟店様との対話を重ね、事業推進における課題や求められるソリューションに対するフィードバックを真摯に受け止め、加盟店様の事業立ち上げや成長をEmpowerする商品やサービスを引き続き展開してまいります。こうした取り組みを着実に、確実に進めていくことに尽きます。

大久保:Squareはアメリカから日本に進出して来たIT企業なので、もっとクールなイメージを抱いていましたが、店舗や中小企業に寄り添っていただける印象を受けました。

野村:私自身も感化されましたが、弊社USの経営層一人一人も各加盟店様の声や各々が持たれているユースケースを大事にしています。

「どのような背景があるのか?」「どうしてSquareを利用しているのか?」「どうしてビジネスをやってきたのか?」など理解しながら、事業をEmpowerする姿勢を貫いていると感じています。

単にドライに数字を見る経営スタイルもありますが、当社はそうではありません。

Squareは世界中で起業のハードルを下げている

大久保:具体的にはどのようなユースケースが印象的ですか?

野村:先日、アメリカの本社にてグローバルチームで戦略会議を行った際に、オークランド近郊で夫婦でベーカリーをやっている加盟店様をご招待し、その方の焼いたクッキーを頂きました。

店主からは実はそのクッキーは、店主が病気で亡くなった子供に食べさせていたレシピを元にしており、Squareのサービスを使って再起し、事業を軌道に乗せて一定の成功を収めたというお話を伺いました。

今まで様々なビジネスに携わってきましたが、一加盟店様に寄り添ったお話をグローバルの戦略会議で聞くような機会は初めてでした。

有名かどうか、おいしいかどうか、安いかどうか等々お店がお客様に選ばれる理由には様々な要素があると思いますが、その加盟店様だけが持つ特有のストーリーに目を向けるアプローチは非常に新鮮に感じました。それぞれ事業主様のビジネスに寄り添っていく姿勢は当社の事業活動全体に浸透し、当社の強みの一つになっていると考えております。

大久保:効率化を求める動きとは逆行しているとも言えますね。

野村:一人ひとりに寄り添うというのは、ビジネスを大きくする”だけ”の方法とは少しずれますが、一社一社をEmpowerするスタイルを取ることに意義があると考えております。

大久保:私がSquareを初めて知った10年前と比べて、スタートアップが世の中に受け入れてもらいやすくなったと思っています。この流れに加えて、Squareのサービスにより起業のハードルがさらに下がる可能性がありますね。

野村アメリカでは日本より気軽に起業している印象です。先ほどの例のようにベーカリーショップを立ち上げるといった声がかなり頻繁に上がっている印象を受けました。

日本はチェーンストアや大手企業を中心にビジネスが構成される性質を持ちますので、アメリカとは違う部分がありますが、もっといろんな方がそれぞれのビジネスを立ち上げて、それを我々が支えていく形を増やしていければ良いと思っています。

Squareはユーザーの声に耳を傾けることで、ユーザーとともに成長し続ける

大久保:今まで店員さんが集計して銀行に振り込んで、帳簿をつけてとアナログで作業をしていたところに、Squareのサービスを導入することで、全てが自動化する。これこそ究極のDXですよね。

野村:そうですね、「DX」は例えば紙のオペレーションを電子化したり、不必要な繰り返し作業を無くしたり自動化したりといった業務プロセスのシンプル化や高速化を指すこともありますので、仰る通り、Squareのサービスをお使いいただくことで、加盟店様の「DX」を支えることになると思います。

一方で「DX」という言葉自体では価値が曖昧なので、「SquareでDXを」、といった問いかけをするよりも、オペレーションを簡易化、効率化できるサービスをしっかり提供し、気づいたときには「これがDXか」と感じていただけるような方向を目指していければと思います。

大久保:世の中には自前でシステムを組もうとしている人たちも一定数いますが、ちゃんとしたクラウドサービスを利用することも選択肢に入れるべきですね。

クラウドサービスにはノウハウが詰まっており、ユーザーのフィードバックを受けて機能改善が頻繁に入ります。Squareにも新しい機能が追加されていますよね。

野村:加盟店様の声は継続的に聞いていますし、それを踏まえてしっかり検討し、改善しています。

大久保:最後に起業家へのメッセージをお願いします。

野村:読者の皆様の中には、良い商品やサービスを作り、洗練された店舗やサービス提供の空間を通じて様々な方にプロダクトやサービスを提供し、ビジネスを大きく成長させたい、といったことを考えていらっしゃる方も多いと思います。

Squareは、引き続きシンプルかつ洗練されたプロダクトを市場に出していきます。皆様が洗練されたお店作りや、購買体験を追求される際にその一役を当社も担わせていただければ幸いです。

デザインの良さに加え、実際にサービスを利用いただいた暁には、登録から決済、そして入金までの全てのプロセスにおける速さの価値に十分に満足いただけると思います。サービスの提供を通じて、皆様の事業拡大を支援してまいりますので、ぜひお付き合いいただけると幸いです。

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(取材協力: Square株式会社 エグゼクティブディレクター 野村 亮輔
(編集: 創業手帳編集部)



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