Gifut 南 隼人|「結→起承転結」が大事!スティーブ・ジョブズも実践していたプレゼン方法【前編】

創業手帳
※このインタビュー内容は2021年12月に行われた取材時点のものです。

プレゼンテーション能力を高め、自社やプロダクトの魅力を伝えることが必要

プロ野球の試合で観客を盛り上げるスタジアムDJ/アリーナMCは「場を盛り上げるプロ」といえる存在です。

そのスタジアムDJとして活動しながら、自身で創業した株式会社Gifutで代表をつとめる南隼人さん。

場を盛り上げて話を聞いてもらうためには「結→起承転結」が大事だと語ります。

起業家にも欠かせない「話を聞いてもらえるプレゼンテーション方法」について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

南 隼人

南 隼人(みなみ はやと)株式会社Gifut 代表取締役CEO
大学在学中にラジオDJを志し、オーストラリアに語学留学。帰国後、ウィンタースポーツのDJとしてキャリアをスタートし、スキー、スノーボード、自転車レースの大会実況やバスケットのMCなど経験を重ねる。 スタジアム、テレビ、ラジオ、クラブ、スポーツ、イベント、あらゆるDJの要素を持っている。さらにイベントプロデュースやコンサルティングにも意欲的に取り組み、活動の幅を広げている。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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ポジティブな言葉を使って場を盛り上げる

大久保:南さんはアナウンサーとして活動しながら、株式会社Gifutの代表もつとめられています。

自己紹介の際に、ご自身の職業をどう伝えることが多いのでしょうか。

:私自身はフリーアナウンサーと自己紹介することが多いです。もしくは最近だとビッグボスと言っています。

いまの時期、これ言うと間違いなくウケますから(笑)。あと1か月くらいは言い続けたいですね。

大久保:ビッグボスは間違いなくウケますね。野球ネタということで、南さんはプロ野球のスタジアムDJもされていましたが、スタジアムDJとはどのような仕事でしょうか。

:僕の仕事はスタジアムでお客さんを盛り上げることです。

ネガティブな言葉は使わないで、ポジティブな言葉で盛り上げることを意識しています

たとえば、試合でホームのチームが劣勢だとしても「まだ逆転できるので、一緒に応援しましょう!」と盛り上げています。その場の空気を作ることが大事です。

大久保:もともとはウインタースポーツのDJがキャリアのスタートとうかがいました。

:岐阜県のスキー場でDJとして活動したのがはじまりです。

スキー場内の大きなレストランにガラス張りの大きなDJブースがあったんですよ。そこで朝の7時45分から、ラジオの生放送のような感じでオンエアーがはじまります。

「今日は新雪パウダー祭りですよ。早くチケット買わないと!」というように、朝早くからトップギアで盛り上げていましたね。

大久保:ウインタースポーツからプロ野球のスタジアムDJやプロバスケットボールのアリーナMCや、さまざまなスポーツの実況をされていますが、どんな競技でも問題ないものなのでしょうか。

:ウインタースポーツも野球も、私自身がプレイヤーとしてずっとやっていましたが、経験のない競技でも「実況できないか」と言われたら、「できます!」と答えるようにしています。

スポーツプレゼンテーションとしては、流れは変わりませんから。そうやって仕事を受けていると、つながりがどんどん広がっていきます。

大久保:いろいろなスポーツの実況をやるのは大変そうですが、とくに気をつけている点はありますか。

:細かい内容も含め、ルールを混同しないように気をつけています。もちろん、細かいルールも把握しておかなければなりません。

昔の話ですが、大きなミスをしたことがあります。

土曜日にラグビーの試合があって、日曜にアメフトの試合がありました。アメフトの場合、相手のエンドゾーンにボールを持ち込むことを「タッチダウン」と言います。

それが、前日ラグビーの実況をしていたものだから「トライ!」と言ってしまったんです。お客さんに「トライじゃないだろ!」と怒られましたね。

大久保:スタジアムDJの文化は、日本と比べて欧米のほうが進んでいるのでしょうか。

:そうですね。欧米のスタジアムDJ文化は、30年くらい前から徐々に日本に進んできました。

Jリーグの発足によって、日本にもスタジアムDJが浸透したと思います。

欧米の中でも、とくに進んでいるのがアメリカです。NFLやNBA、UFCなどの盛り上がりがすごいですから。スタジアムDJとリングアナウンサーは近い部分があって、アメリカでは格闘技のリングアナウンサーが選手と同じくらいの収入を得ています。

彼らは自分の声やキャッチフレーズを商標登録して、グッズとして販売しているくらいです。

大久保:現場で伝えるという意味では、スタジアムDJとリングアナウンサーは似ているのですね。スタジアムDJとテレビアナウンサーは、どのような違いがありますか?

:発音の仕方から違います。

『日本語発音アクセント辞典』をNHKが出版していて、それが基本の発音になります。でもその発音で話すと、スタジアムの場合は盛り上がりにくいこともあるんです。

テレビの発音としては間違っているけど、スタジアム的には盛り上がる発音があります。なぜならテレビとはスピーカー機器の数も違うし、アリーナや野外スタジアムで声の反響の仕方も違いますから。

話を聞いてもらうためにジョブズが使った「結→起承転結」

大久保:そこまで考えて追求しているのですね。場を盛り上げるために、どのようなことを意識しているのでしょうか。

:場を盛り上げる方法は、ロジックとしてあります。

まずは「聞く耳を持ってもらう」ことが大事です。相手に伝わることが一番ですね。

野球の試合だと3万人くらいのお客さんが入ります。そのときに「みなさん、手を上げてください」と言うか、「Put your hands up」と言うか。どちらが伝わりやすいか考えてください。「みなさん、手を上げてください」のほうがわかりやすいですよね。

いろいろな方がいる中で、一番伝わりやすい言葉を考えるようにしています。

大久保:難しい言葉で説明するよりは、簡単な言葉で説明したほうが多くの人にとって伝わりやすいですね。

場を盛り上げるために話をしっかり聞いてもらうことは、起業家にとっても重要だと思います。全然話を聞いてくれない人や、空気が冷え切った場所で話を聞いてもらう方法はありますか?

「結→起承転結」が大事です。

以前は「起承転結」でしたが、いまの時代は「結→起承転結」のほうがわかりやすいのではないでしょうか。

起業家の方も登壇する機会があるはずです。

私も起業家の方の講演を聞くことがありますが、「この話し方だと伝わりにくいのにな」と感じることがあります。「結→起承転結」を意識すれば、話を聞いてもらいやすくなります。

大久保:「結→起承転結」で参考になる事例はありますか。

:参考になるのは、Apple社の故・スティーブ・ジョブズ氏がおこなった、iPhoneのプレゼンテーションです。

参考にしている起業家は多いと思います。ジョブズ氏のプレゼンテーションは、まさに「結→起承転結」です。

ここから「起承転結」から「結→起承転結」の流れに変わった気がします。ジョブズ氏は先に「iPhoneの最新版を○月○日に発売します」と結論を言います。そのあとに、プロダクトストーリーやプロダクトの中身について詳細に語っていくわけです。

大久保:なるほど。ジョブズ氏のプレゼンテーションを参考にしている起業家は多いですね。

:何を言いたいのか結論から伝えることで、相手が聞く体制に入ってくれます。

小学生のとき、校長先生の話って長くて退屈でしたよね。

政治家では小泉純一郎元首相の話はわかりやすかったと思います。これは「結→起承転結」で話していたからではないでしょうか。

大久保:確かに。いま思うと、小泉純一郎さんはYouTuberっぽいところがありましたね。「自民党をぶっ壊す」といった、ワンフレーズでわかりやすい言葉を使って注目させていましたから。

:そうですよね。とくにいまの時代は数字と結論を先に持ってくる伝え方のほうが、聞く耳を持ってもらいやすいと思います。

大久保プレゼンテーション能力は大事ですよね。

同じ内容を伝えるにしても、プレゼンの仕方が違うと伝わり方も全然違うと感じます。起業家もいいプロダクトを作るだけではなく、プレゼンテーション能力も必要になりそうです。

:いいプロダクトを作っても、すぐに模倣されて同じようなものが安い金額で出てきてしまいますよね。

そうならないために自社やプロダクトの魅力を伝えることが必要です。そのためにもプレゼンテーション能力が、より大事になってくると思います。

オフラインとオンラインでのプレゼンテーション方法

大久保:オフラインとオンラインでのプレゼンテーションの方法は違ってきますかね?

:私は一緒だと思っています。

でも、オンラインのほうが難しいかもしれません。

オンラインだと、情報を受け取る側が集中して話を聞いてくれているかわからないですよね。カメラがオフになっていると、どういう状況なのかもわかりません。

カメラがオンになっていても、上はスーツを着ていて、下はパジャマかもしれないじゃないですか。熱量がわからないのが、難しいところですね。

大久保:そこは何か工夫できる方法がありますか? 会場だと手拍子してもらったり立ち上がってもらったりして一体感を演出できると思いますが、オンラインでも何かいい方法があれば教えてください。

:Zoomの場合は、拍手ボタンやリアクションボタンを活用しています

オンラインイベントの場合は、YouTubeやTwitterにコメントを投稿してもらいます。それでもタイムラグが生まれるので、なかなか難しいです。

大久保:オンラインでリアルと同じような熱量を作れるようになるのは、まだまだ先になりそうですね。

:そうですね。もしかしたらオンラインではリアルと同じような熱量は作れないかもしれません。

大久保:仕事の一部はオンラインでどうにかなりそうですが、その場所にいないと体感できないことはたくさんありそうですね。

※後編に続きます

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(取材協力: 株式会社Gifut 代表取締役CEO 南 隼人
(編集: 創業手帳編集部)



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