ライドシェアドライバーの収入は?自家用車活用事業での副業は稼げるのか
4月から日本型ライドシェア(自家用車活用事業)が開始!普通免許さえあればドライバーとして副業が可能に
2024年4月から日本型ライドシェア(自家用車活用事業)が4都市で開始され、今後全国に拡大予定です。日本でも自家用車での乗務で収入を得るライドシェアドライバーという職業が確立されます。
アメリカでは74%が兼業といわれるライドシェアドライバーは副業にも適した職業。起業のための資金集めとして副業でライドシェアドライバーに従事するのも良いでしょう。この記事ではそんなライドシェアドライバーの収入や働き方について解説します。
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この記事の目次
ライドシェアとは
ライドシェアとは、モバイルアプリなどで運転手と乗客をマッチングさせるビジネス。タクシー事業とは違い、ドライバーはプロではなく一般人であり、自家用車で他人を「相乗り」させることで報酬を得ます。
車社会のアメリカでは、2009年設立のUberによる起業以来、ライドシェアはタクシー事業を飲み込む勢いで市場規模を拡大。乗客にとっては安さと利便性、ドライバーにとっては柔軟な働き方や高収入などで人気を博し、すでに十分な市民権を得ています。
日本型ライドシェア(自家用車活用事業)が開始
2024年4月から、タクシーの供給不足を解消すべく、日本でもライドシェア(自家用車活用事業)が始まりました。アメリカのライドシェアとは異なり、許可を得た既存のタクシー事業者が運行管理を担う形式で、「日本型ライドシェア」と呼ばれます。
日本型ライドシェアでは、タクシー会社に雇用された一般ドライバー(普通免許所持者)が自家用車で有償運送を行います。海外のライドシェアで懸念される安全性をタクシー事業者がカバーしつつ、タクシーの供給不足問題を一般のドライバーが補う昨今注目の事業です。
まずは東京・神奈川・名古屋・京都の4都市限定で始まりましたが、タクシー事業者の実施以降に応じて順次全国で開始予定。そのため、今後は副業の選択にも「ライドシェアドライバー」という職業も加わります。
ライドシェアドライバーの働き方
ライドシェアドライバーは、早朝や夕方、深夜など、タクシーの供給が不足する時間帯に自家用車※を使って有償運送を行います。UberやGOなどのタクシー配車アプリでオーダーを受け、アプリに事前登録された目的地、ルートにしたがって送迎します。
サービス提供は配車アプリを介した注文に限られるため、タクシー運転手のような街中の「流し」はありません。支払いも配車アプリを用いた事前決済となっており、金銭のやり取りやキャッシュレス決済の手配なども不要です。
勤務はシフト制で、「平日16〜20時・週2回」など所定の勤務時間から希望の時間帯を選んで働きます。制服のタクシードライバーとは異なり、ライドシェアドライバーの服装は私服。会社によって一部指定はあるものの、基本的に髪色やアクセサリーも自由です。
※タクシー会社によっては会社所有の車両が用意されていることもあります。
1. オンラインで就業前点呼を済ませる
2. 配車アプリから依頼を受けてお客様を迎えに行く
3. 配車アプリのナビ通りに目的地まで運行する
4. 同様の乗務を勤務終了まで続ける
5. オンラインで退勤連絡を済ませて帰宅
応募資格は普通免許取得後1年以上
ライドシェアドライバーの応募資格は、普通免許(一種免許)の取得から1年以上が経過していること。タクシードライバーと異なり、二種免許を持っていなくても就労できます。
また乗務は配車アプリに事前登録されたルートでナビ通りに運行するだけなので、未経験でも土地勘がなくても就労可能です。加えて、事前にタクシー会社での研修があり、業務中も適宜サポートが受けられるため、安心して働けるでしょう。
ライドシェアドライバーの収入
以下では、ライドシェアドライバーの収入について、主に副業で働くという観点から詳しく紹介します。
大手タクシー会社では時給1,400円前後が相場
2024年4月から日本型ライドシェアを開始した4都市におけるライドシェアドライバーの時給は以下の通りです。
上記の通り、日本でのライドシェアドライバーの時給は1,400円前後。ガソリン代の扱いは地域やタクシー会社によって異なり、別途手当が支給されることもあれば時給に含まれることもあります。インセンティブの有無や金額も地域・会社によってそれぞれです。
また研修期間中は時給1,100円前後での勤務となることが多いようです。
土日夕方・週8時間で月収44,800円+歩合
(時給1,400円×8時間) |
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(時給1,400円×8時間×4週) |
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(時給1,400円×8時間×4週×12ヶ月) |
上記の通り、ほかで正社員をしつつ副業する想定だと、ライドシェアドライバーの月収は44,800円+歩合となります。年間では537,600円+歩合、手取り収入を額面の85%と仮定すると年456,960円稼げる計算です。
また1日1,000円の歩合がついたと仮定すると、月に8,000円、年に96,000円のインセンティブがプラスされます。
海外のライドシェアドライバーは月収100万円以上も
アメリカのエコノミック・ポリシー研究所によると、米国におけるUberのライドシェアドライバーの平均収入は時給16.54ドル(2,481円)。アメリカ連邦政府が定める最低賃金が時給7.25ドル(約1,088円)であることを踏まえると、ライドシェアドライバーが高時給であることがうかがえます。
また野村総合研究所(NRI)の調査では、米国ライドシェアドライバーの収入は、兼業で平均月収1,489ドル(22万3,350円)/平均年収1万7,863ドル(267万9,450円)という結果も出ています。前述のシミュレーション結果と比較しても、やはり日本に比べて海外のライドシェアドライバーは高給です。
事実、アメリカでは専業で月収100万円以上を稼ぐライドシェアドライバーもたくさんいるといいます。
※日本円の換算は1ドル150円として計算
ライドシェアドライバーで副業するメリット
ライドシェアドライバーとして副業することには、以下のようなメリットがあります。
普通免許さえあればスキマ時間で稼げる
日本の自家用車活用事業では、普通免許取得後1年経過という条件を満たせばライドシェアドライバーとしての就労が可能です。普通免許さえあればスキマ時間に働けるため、始めやすさという点で良い職業といえるでしょう。
またライドシェアドライバーの勤務時間として多いのが早朝・夕方・深夜。一般的な正社員の就業時刻から外れた時間帯でシフトを組めるのも副業向きなポイントです。
自分の車を運転することで収入が得られる
自家用車を使って乗務ができることもライドシェアドライバーのメリット。知らない車種では不安でもマイカーなら自在に運転できるという方も多いでしょう。タクシーやバスと違い、一般の車両と異なる特殊な仕様を覚える必要もありません。
実際、米国のライドシェアドライバーは、同職に満足する理由として「自分の車を使える(楽に運転できる)」ことを挙げています。※野村総合研究所「2019年1月 米国ライドシェアドライバーアンケート調査」より
また「運転が好き」「自家用車を買ったものの使う機会がない」といった方にも、ライドシェアドライバーの副業はおすすめです。
タクシー会社の管理のもとで働ける
タクシー事業者のマネジメントのもとで働けることは日本型ライドシェアドライバーならではの利点です。タクシー会社の社員として就労するため、事前のドライバー研修を受けられるほか、交通事故などの有事にも適切なサポートがあります。
会社によってはドライブレコーダーが無償提供されることも。業務での安心感という点でもライドシェアドライバーはおすすめの職業です。
ライドシェアドライバーで副業するデメリット・課題
一方、日本型ライドシェアドライバーの副業には以下のようなデメリット・注意点もあります。
時給があまり高くない
先述の通り、日本でのライドシェアドライバーの時給は1,400円前後。東京都のパート・アルバイトの平均時給も同じく1,400円前後といわれており、時給はお世辞にも高いとはいえません。
アメリカでは収入が良いことでも人気のライドシェアドライバー。しかし、日本型ライドシェアでは割がいい副業にはならないでしょう。
働ける地域や時間帯に制限がある
日本型ライドシェアはタクシーの供給不足を補うための事業なので、タクシーが足りている地域、時間帯には基本的に働けません。そのため、居住地やライフスタイルによっては、希望するような働き方が実現できないこともあるでしょう。
ちなみにライドシェアドライバーの勤務時間は夕方から夜間にかけて(16:00~20:00)が最も一般的※です。そのほか、地域や会社によっては金曜24:00~28:00、土日10:00~14:00なども応募があります。
※2024年4月末時点の求人内容に基づく情報
本職の労働時間が長いと働けない場合も
副業でライドシェアドライバーに従事する場合、本業の労働時間によっては諸規則により就業ができないことも考えられます。
※東京ハイヤー・タクシー協会のガイドラインに従い1週間あたりの労働時間に制限がございます。例えば副業としてライドシェアドライバーを検討されている方は、他企業様との就業を合わせて週40時間としています。詳細は応募時にお話し致します
上記の通り、東京はライドシェアドライバーとして副業が可能なのは、本業と合わせて週40時間までです。そのため、本業で40時間以上働いていた場合には、ライドシェアドライバーとしては働けません。
ライドシェアドライバーの収入を高めるコツ
ライドシェアドライバーの副業で収入を高める方法としては、以下のような手段が考えられます。
デリバリー系の副業と両立する
ライドシェアドライバーの乗務には自家用車を使うため、同じく自家用車でできるデリバリー系の仕事と組み合わせると効率的です。具体的には配達・送迎・運送代行などとの兼業が考えられます。
ただし、ライドシェアドライバーは合理的な理由なく配車依頼を断れないため、ダブルブッキングは避けなければなりません。ライドシェアドライバーの勤務前後にほかの副業を入れるのが無難でしょう。
二種免許を取ってタクシー運転手になる選択も
ライドシェアドライバーなら普通免許で乗務可能ですが、二種免許を取ってタクシー運転手になる選択肢もあります。タクシー運転手になれば、時給が上がる、働く地域や時間帯の自由度が高まるといったメリットが得られます。
人手不足のタクシー業界では、二種免許の取得費用25万〜40万円ほどを会社が全額負担してくれることも一般的。そのため、未経験から費用なしでタクシー運転手となることも可能です。
またライドシェアドライバー同様、タクシー運転手も比較的時間の融通が利きやすい職業だといえます。よって、創業資金を集めるための副業としてはもちろん、起業後、事業が軌道に乗るまで兼業するのにもよいでしょう。
日本型ライドシェアの今後
東京・神奈川・名古屋・京都の4都市限定で始まった日本型ライドシェア(自家用車活用事業)。5月以降は札幌、仙台、埼玉、千葉、大阪、神戸、広島、福岡など、タクシー事業者に実施意向のある地域で順次開始されます。
また国は自家用車活用事業に関する一定の方針を6月までにまとめる予定です。タクシー会社以外の参入を認めるか、地域や時間帯の制限を撤廃するかなど、海外に準ずる「全面解禁」がなされるかが注目のポイントになります。
国が安全性を重視していること、タクシー業界からの反発が必至であることを踏まえると、全面解禁の可能性は低いかもしれません。しかし、もしUberなどのプラットフォーム企業が本格参入すれば、ライドシェアドライバーを取り巻く環境も大きく変わります。ライドシェアドライバーとして働くことに関心のある方は、ぜひ今後の動向にご注目ください。
日本でのライドシェアドライバーの将来性
タクシーの供給不足を補うことが期待されるライドシェアドライバーの将来性は十分に高いといえます。タクシーが足りない主な原因はドライバーの高齢化であり、これは今後も解消されないと考えられるからです。
また現状は日本人に馴染みの薄いライドシェアですが、海外同様、今後は急速な広がりを見せる可能性も十分に考えられます。事実、参入当初は「決して普及しない」とも言われていたUber Eatsも、現在は広く普及して一定の市民権を得ています。
そのため、将来性という観点でもライドシェアドライバーでの副業はおすすめです。新興の事業を実際に働いて経験してみることは、起業家としてもプラスになるでしょう。将来、ライドシェア関連事業を展開できることもあるかもしれません。
まとめ
日本でのライドシェアドライバーの収入は、時給1,400円前後。土日に副業で週8時間就業するとして、月収44,800円+歩合、年収537,600円+歩合ほどが目安になります。
収入は決して高水準とはいえませんが、普通免許と自家用車ですぐに働けること、柔軟にシフトを組めることなどは魅力です。乗務に興味のある方は、これを機会にぜひライドシェアドライバーとしての副業を検討してみてください。
(編集:創業手帳編集部)