メディフォン 澤田真弓|国際的視野で医療領域の課題を解決!「mediPhone」「mediment」で実現する医療インフラ作り

創業手帳

医療機関向け多言語通訳サービスと、人事労務担当者向けクラウド健康管理システムで新たな社会システムの構築に挑む

多くの尊い命に関わる医療業界は、世界共通で重視されている領域のひとつです。問題にはあらゆる解決策を施し、人々の安心・安全に寄与する分野として認識されています。

日本国内では在留外国人の増加に伴い、日本語でのコミュニケーションが困難な外国人患者の円滑な受け入れが難しくなり、医療機関側の体制整備が喫緊の課題となっていました。

この問題の解決に取り組んでいるのが、「医療における言語障壁を解消する」をミッションに掲げるメディフォンです。医療機関向けの多言語通訳+機械翻訳サービス「mediPhone(メディフォン)」、人事労務担当者向けのクラウド健康管理システム「mediment(メディメント)」の2つのプロダクトを軸に事業運営しています。

今回は同社の代表取締役CEOを務める澤田さんの起業までの経緯や、外国人医療における課題解決について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

澤田 真弓(さわだ まゆみ)
メディフォン株式会社 代表取締役CEO
2005年東京外国語大学 外国語学部欧米第一課程英語専攻卒。北京大学漢語進修プログラム修了後、2008年インペリアルカレッジロンドン大学院にて経営学修士号取得。帰国後、グーグル株式会社を経て、メディフォン株式会社を創業。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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メディフォン設立の原動力となった、商習慣が異なる中国北京での学生起業経験

大久保:まずは起業のきっかけについてお聞かせ願えますか。

澤田:東京外国語大学を卒業後に北京大学へ留学したのですが、大学で学ぶかたわら、現地のネイリストを雇用してネイルサロンを開業しました。私にとって初めての起業です。

結果として1年ほどで店舗をたたむことになったものの、このときの経験が今でも私の中で活きています。

商習慣が大きく異なる国というだけでなく、当時の北京はまだオリンピック開催前。ものすごくカオスでしたね(笑)。

でもそんな状況下だったからこそ、未経験でスキルもなにもない外国人留学生の私でもチャレンジできましたし、早い段階で学ぶことができたなと。

一番大きかったのは「次は人生をかけて長期スパンで社会に貢献できる事業を起こしたい」という自分自身の強い信念に気づけたことです。ネイルサロン事業が失敗に終わってしまいましたので、この経験を糧にして今度は絶対に諦めたくないと思える社会活動に取り組みたかったんですね。

もちろんどんな事業でも世の中に貢献していると思っていますが、「より直接的な社会の仕組み作りに携われるようになりたい」との想いを抱くようになったんです。すべてがメディフォン設立の原動力になっています。

大久保:あの時期の中国、まして学生の身で事業運営をご経験されたのはすごいですね。北京から帰国後にメディフォンを立ち上げたのでしょうか?

澤田:いえ、それからイギリスに渡って、インペリアルカレッジロンドン大学院で経営学修士号を取得しました。

帰国してベンチャー企業に在籍した後、グーグルに転職してキャリアを積んでいます。メディフォン創業までに民間企業を2社経験しました。

取締役会長を務める渋谷氏との出会いからmediPhone(メディフォン)事業が誕生

大久保:先ほどお話しいただいたグーグル在籍時に、御社の取締役会長を務める渋谷さんとの出会いもあったと伺っています。詳しくお聞かせください。

澤田:渋谷が2012年12月に設立した一般社団法人ジェイ・アイ・ジー・エイチ(以下、JIGH)の理念に共感したのが、メディフォン創業の大きなきっかけです。

同法人は当時、ポリオ根絶活動に取り組んでいましたが、同時に国際規模の医療課題の解決を活動方針として掲げていました。

渋谷と出会ったときはまだ法人の設立準備中でしたので、最初はボランティアでお手伝いを始めたんですね。そんなふうに関わらせていただく中で、医療領域での新規事業立ち上げが非常に魅力的だなと感じました。

医療分野はグローバルですし、尊い命に関わる課題を解決に導く理念についても「自分の人生をかけて長期スパンで目標を達成したい」「もっと社会の役に立ちたい」と願っていた私にとって、これ以上ない使命を持って邁進できると思ったんですね。

その後、彼も経営サイドを担える人材を探していたこともあって「一緒にやってみませんか?」と声をかけられたんです。

こうした流れからmediPhone(メディフォン)事業の立ち上げにつながりました。

大久保:グーグルを退社された後、メディフォン創業前にJIGHで医療領域の課題解決に取り組んでらっしゃったんですね。

澤田:はい。現在弊社で展開している「mediPhone」は、当初JIGHで事業化しました。私を含む3名ほどのプロジェクトで始めたのですが、事業規模が拡大したところで「資金調達をしてもっと事業を成長させたい」と考えたんです。

そこで2018年6月に株式会社化してメディフォンを設立しました。

メディフォンが掲げるミッションは「医療における言語障壁を解消する」

大久保:御社の事業内容をお教えください。

澤田:現在、弊社では2つのプロダクトを軸として運営しています。先ほどお話しした医療機関向けの多言語通訳+機械翻訳サービス「mediPhone」と、企業の人事労務担当者向けのクラウド健康管理システム「mediment(メディメント)」です。

臨床現場と予防医療現場をつなぎ、医療現場のオペレーションやコミュニケーションを円滑にしながら、多様な人たちにより良い医療を提供する医療インフラ作りに挑戦しています。

弊社のミッションは「医療における言語障壁を解消する」。全社一丸となって試行錯誤の毎日を送っています。

大久保:事業の構想は、JIGH時代に現在の「mediPhone」を生み出したところから始まっていますよね。2つのプロダクトのサービス内容をお伺いする前に、まずは「mediPhone」を事業化した経緯についてお聞かせください。

澤田:当時から医療領域の課題解決に取り組んでいましたが、そこで直面したのが日本における外国人医療問題でした。ある医師から「外国人の患者さんが来院されたときに、スムーズな問診ができなくて困っている」という悩みを打ち明けられたんですね。

それで初めて気づいたんです。患者さんが日本人だと特別意識することはありませんが、確かにどこの病院でも多言語対応されていないなと。

さらに外国人医療問題を調べてみると、医療通訳者が外国人患者と医療従事者の間に入ってサポートしていることがわかりました。

そこで今度は「素晴らしいスペシャリストがいるのに、医療通訳システムが普及していないのはなぜだろう?」と疑問に感じたんですね。なり手不足の問題も考えたのですが、彼らの活動形態に無理が生じているのが原因でした。

医療通訳者は個人での活動、もしくは自治体・NPOに所属して派遣されていて、すべてボランティアだったんです。そのため報酬は交通費支給程度、または無報酬でした。

「これでは医療通訳システムが普及しないのは当然だし、このままでは維持もできなくなるだろう」と。現状をひとつずつ紐解くことで、現場が抱えている外国人医療の課題を把握することができました。

大久保:外国人患者だけでなく、外国人医療に携わるすべての方々がお困りだったんですね。

澤田:はい。外国人患者は、日本語を話すことができずに適切な医療を受けることができませんでした。一方、医療機関では患者の言葉がわからないため、円滑な医療提供が実現できず、医療通訳者は報酬を得る仕組みがないことから、ボランティアで活動せざるを得なかったんです。

ただ、外国人患者と医療従事者の間に医療通訳者が入ることで課題が解決できているのは間違いありませんでした。

だったらきちんと仕組み化して、医療通訳者も報酬を得られるようにすれば、すべてが幸せになるのではないかなと。

こうした経緯で事業計画を練り、mediPhone事業を立ち上げました。

医療機関向け「mediPhone」と人事労務担当者向け「mediment」を軸として運営

大久保:「mediPhone」のサービス内容をお教えください。

澤田:「mediPhone」は電話回線・スマートフォン・タブレットから使える、医療に特化した遠隔医療通訳+機械翻訳サービスです。

外国人患者の急な来院時に即座に使える電話医療通訳ビデオ医療通訳サービスをはじめ、医療翻訳アプリ、高度治療や健診などへの医療通訳者の派遣、診断書や同意書・入院案内・院内表示などの医療翻訳に対応しています。

このほか、「mediPhone」に関連して外国人患者受け入れ体制整備の支援を展開しています。

大久保:まさに外国人医療における課題を解決するサービスですね。参考までに導入医療機関数もお教えください。

澤田:2022年9月時点での利用可能機関数は約87,000まで拡大しました。

大手病院をはじめ、日本医師会との連携を通じて診療所やクリニックもカバーしています。調剤薬局企業、自治体などでも導入が広がっていますね。

大久保:急速に発展していますね。2021年4月に始めた「mediment」は「mediPhone」を通して臨床現場の課題解決に取り組む中で、コロナ禍で企業からの依頼が増えたことから「企業の予防医療活動のサポートにも力を入れないといけない」との想いで開発されたと伺っています。サービス内容をお教えください。

澤田:「mediment」は組織の健康管理・データ活用をスマートに解決するクラウド健康管理システムです。従業員のパフォーマンス向上に貢献しながら、予防医療の普及を目指す新しいヘルスケアSaaSとして展開しています。

これまで人事・総務担当者の大きな負担となっていた従業員の健康管理業務を、クラウドにより一元化を実現しました。産業医とのオンライン面談やPCR検査申し込みなどの新型コロナ対策も網羅するなど、ニューノーマル時代に対応する多彩な機能を搭載しています。

大久保:従業員50人以上の事業場は健康診断とストレスチェックが義務化されていますから、多くの企業が管理担当者の負担を減らしたいと考えているでしょうね。

澤田:はい。特にコロナ禍でDX化の波が一気に押し寄せました。

企業の予防医療に関してDX化が遅れていたのは、一般的にオフラインでの管理が基本となっている医療業界に合わせ、企業側でも書類ベースで対応せざるを得なかった事情が関係しています。たとえば定期健康診断の結果は5年間保存が義務付けられていますが、すべて倉庫での書類保管が実情だったんです。

ところが新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業がリモートワークに移行したことで、従来の手法では対応や管理が難しくなりました。その結果として、予防医療現場がDX化に大きく舵を切ったんですね。

もともと弊社でも予防医療領域への参入タイミングを見計らっていましたので、コロナ禍で問い合わせが急増したのを機に、本格的なプロダクト開発を進めてリリースしました。

社会貢献を噛み締めながら取り組める事業の魅力とともに見据える今後の展望

大久保:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

澤田:まずは「mediPhone」「mediment」を、それぞれ医療現場と予防医療現場にさらに広げて浸透させることが直近の目標です。

その後、この2つを連携させながら課題解決を行うフェーズへの移行を視野に入れています。

現時点でも少しずつではありますが、「mediment」を利用している海外出張者が、「mediPhone」導入の医療機関でオンライン診療を受ける際に予防医療データを連携するといった事例が増えつつあるんですね。

医師からも「非常に助かる」というお声をいただいていますので、まずはデータ連携から進めていきたいと考えています。

こうしたシームレスなサービス提供が実現できれば、治療時に効率的なタイミングで情報提供が可能になったり、軽症の段階でも自身の健康管理を意識できるようになるのではないかなと構想を練っているんですね。

あらゆる場面で、よりスムーズな受診や治療を現実化する事業推進をしていきたいです。

大久保:素晴らしいですね。社会的意義の高い事業ですので、大きなやりがいを実感されてらっしゃるのではないでしょうか。

澤田:はい。社会への貢献を噛みしめながら取り組めるのが、弊社の事業の魅力だと思っています。

患者さんから「ありがとう」、医療従事者の方々から「mediPhoneのおかげで、以前より多くの命を救えるようになった」といったお言葉をいただくこともあるんです。

すべてにおいて顧客の声が常に心に残るんですね。これからもご期待に応え続けながら、さらなる貢献を目指していきたいです。

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(取材協力: メディフォン株式会社 代表取締役CEO 澤田 真弓
(編集: 創業手帳編集部)

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