【保存版】はじめてNPO法人を設立するメリットや設立費用、条件などわかりやすく徹底解説
簡単にわかる!NPO法人の設立に関する疑問にお答えします
●NPO法人の活動内容と資金調達方法
●NPO法人設立のメリットとデメリット
●NPO法人の社会的信頼性と公的機関との連携の利点
●NPO法人設立に必要な条件と費用や手続きの流れ
非営利企業の代表格となる「NPO法人」。もともと市民活動の促進を目的として作られたNPO法人制度には、一般的な株式会社などとは異なる特徴があります。
この記事では、NPO法人の設立を検討している方に向けて、NPO法人設立のポイントや手続きの方法について詳しく解説します。
筆者は創業手帳の創業者・大久保です。会社や団体など事業運営の経験や専門家のアドバイスをもとに執筆していきます。
この記事を読むことで、NPO法人設立を迷うことなく進めることができるでしょう。
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創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
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NPOとは非営利組織(団体)
NPO法人の話に入る前に「そもそもNPOとは何か」を振り返っておきましょう。
NPOは英語の「Non Profit Organization」の略称で「非営利組織(団体)」のことを指します。
市民が主体となり、医療活動や福祉活動、社会教育などの分野で人に貢献する活動を行っている組織(団体)を総称してNPOといいます。
NPOと聞くとボランティア活動や社会貢献活動をイメージするかもしれませんが、生活協同組合、労働組合、学校法人、共済、互助会、自治会、町内会、PTA、業界団体、宗教団体、同好会なども幅広くNPOに含まれます。
また、政府や自治体なども非営利組織ですが、民間ではないためNPOには該当しません。
NPOの種類
NPOは、以下の4種類に分けられます。
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・任意団体のNPO
・認定NPO法人
・仮認定NPO法人
・認定を受けていないNPO法人
大きく分けると、法人化しているNPO、非法人のNPOです。NPOは社会問題を解決する団体のため、発足のハードルがなく任意でも名乗ることができます。
ただし任意のままだと税に対する優遇や団体名義での契約ができず、これらの問題を解決するときは法人格にします。法人になると給与を払って従業員が雇えますが、法人税を納めなければなりません。
また、法人化するとさらに、認定を受けたNPOと認定を受けていないNPOに分けられており、認定を受けるには審査に通過しなければなりません。設立後5年以内でパブリック・サポート・テストの条件をクリアすると、仮認定NPO法人となります。
NPO法人とNPOの違いは?
「NPOとNPO法人は何が違うの?」と疑問に思うかもしれませんが、両者の違いは法人格を持っているか否かという点です。
以前までNPOは法人格を持つことができなかったため、社会的位置づけが明確になっておらず、認知されないことや寄付金が免税されないことなど、様々な問題を抱えていました。
しかし、こうした問題を解消するために政府が1998年にNPO法(特定非営利活動促進法)を施行し、NPOは一定の条件を満たすことで法人格を持てるようになったのです。
「NPO」は法人格を持たずに活動している組織(団体)であるのに対して、「NPO法人」はNPO法にもとづいて法人格を取得した組織(団体)ということになります。
法人格を取得することで寄付金が免税対象となり、きちんと事業活動にあてることができるほか、社会的信用力も高くなり、組織名義で銀行口座などを開設できるようになります。
NPOとNPO法人は法人格の有無という点で異なるわけです。
NPO法人でも収益事業はできる?
よく誤解されてしまいがちですが、非営利活動とは「利益を目的としない」ことであって「利益を取らない」ことではありません。
NPO法人でも特定非営利活動のほかに「その他の事業」として収益事業を行い、そこで得た収益を特定非営利活動のために充てることができます。
ただし、営利事業を法人の目的とすることはできませんし、収益を社員(会員)に分配することも禁止されています。会計上も特定非営利活動と分ける必要があります。
NPOの中には諸費用を個々人の持ち出し、いわゆる「手弁当」で活動している団体も少なくありません。しかし、法人として事務所の家賃や通信費、人件費など様々な費用をまかないながら事業を継続することを考えれば、営利企業でいうところの「粗利益」にあたる収入を確保することは必要になります。
たとえば、NPO法人がカフェを開いてコーヒーを提供する場合に、非営利組織だからといってコーヒー豆と水の原価で販売しなければならない、ということではありません。原価や人件費などを考えて適正な価格を設定することができます。
ただし、法人税法に定められた収益事業(物品販売業、出版業、請負業など34業種)にあたる事業を行うと、それが特定非営利活動にあたる事業であっても法人税の課税対象と判断される場合がありますので、税務署などに事前の相談をおすすめします。
NPO法人の主な資金源・資金調達方法とは?
NPO法人の資金源は、以下の6つです。
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・会費
・寄付金・募金
・補助金・助成金
・事業収入・受託事業収入
・融資・借入金や利息収入
以下で、詳しく解説していきます。
会費
NPO法人の多くは、会員を設けて会費を得ています。活動に共感した人が会員となり、月々または年間の継続的な収入となるため重要な資金のひとつです。会費の使い道は自由度が高く、限定されていません。
寄付金・募金
活動を応援する個人や企業からの寄付金も資金源のひとつです。趣旨全体への寄付なら使い道は自由ですが、内容を指定したときは限定されます。
補助金・助成金
国や地方自治体が支援するものは、補助金です。補助金によって名前が異なっており、給付金や助成金とも呼ばれています。とくに行政で対応しきれていない部分を補助する意味で、福祉系NPO法人に資金が提供されることが多いようです。また、行政から委託された事業の場合は、受託事業収入が得られます。
財団などの支援団体が、NPO法人に支援するものが助成金です。一般的に申請が必要で、審査に通れば助成金を得ることができます。助成金は一時的なものであり、助成金そのものがなくなることもあります。
事業・受託事業収入
一般的な事業と同様に、販売やサービス提供により収入を得る方法があります。
また、行政から事業を委託され、自治体から対価を受け取る場合もあります。NPO法人は公的機関と事業連携しやすいため、メリットと言えます。
融資・借入金や利息収入
NPO法人の資金は、金融機関からの融資もあります。返済計画がしっかりしていれば、融資を受けることも可能です。
受託事業収入は完成後の支払いのことが多いため、借入金を資金とすることがあります。借入先は、信用金庫や労働金庫などで、NPO法人専用融資をしているところでは有利になりやすいでしょう。
私募債として、職員や理事などの個人から借入もできます。
NPO法人設立のメリット・デメリット
では、NPOを法人化させるメリットやデメリットはどこにあるのかについてみていきましょう。
NPO法人設立のメリット
- POINT
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NPO法人を設立するメリットは5つ!
→社会的信頼性が高い
→公的機関と事業連携しやすい
→資金調達面で有利
→少額の費用で設立できる
→税制面での優遇がある
それぞれのメリットについて解説します。
NPO法人とは。利益は出していいの?一般的な会社との違いは
社会的信頼性が高い
団体の活動を行うにあたって事務所の賃貸、通信回線などのほか、行政や企業などとの契約が必要になる場面は少なからずあるでしょう。
このときに、法人格がないと団体としての契約ができない場合や、助成金や行政などからの委託事業など「法人格があること」が応募条件になっている場合もあります。
とくに不動産登記などは任意団体の名義ではできないため、代表者の個人名で処理しているケースもみられます。しかし、代表者が死亡した場合や交代した場合には厄介な問題が起きてしまうことも考えられるので、ある程度活動が安定してきたら法人化を検討した方がよいでしょう。
公的機関と事業連携しやすい
公的機関との事業連携では、福祉関連のNPO法人にチャンスがあるでしょう。提携先は、国や地方公共団体などです。これらの公的機関が直接運営をするのではなく、NPO法人に事業委託することがあります。
公的機関がNPO法人に事業を委託すると職員を雇用する形となるため、ボランティアだけに頼らなくてよく雇用の受け皿になり、組織的な運営ができるメリットがあります。NPO法人側としては、公的機関と事業連携できれば、大きな事業に関われるチャンスだといえるでしょう。
補助金や助成金など資金調達面で有利
ほかの任意団体や一般社団法人・一般財団法人などと比べて、NPO法人は認知度や社会的な信頼性が高いため、資金調達面でも有利になることがあります。
NPO法人の場合は、予算や人材の問題などでITツールの導入が進まないことも多いでしょう。「IT導入補助金」により補助金が交付されれば、運営が少しでも楽になるのではないでしょうか。
少額の費用で設立できる
法律上、NPO法人には資本金・出資金のような決まりはないので、法人の財産がなくても設立可能です。
また、登記時の登録免許税もかからないため、少額で設立手続きを行うことができます。
税制面での優遇がある
NPO法人は、税制面でもメリットがあります。
任意団体の場合は、活動や運営の状況によって団体の所得を代表者個人の所得とみなされて課税されるケースもあります。
しかし、収益事業を行っていないNPO法人では、法人住民税なども免除される場合があります。
認定または特例認定NPO法人になると、寄付した人に所得税の優遇があるほか、一部の自治体は指定のNPO法人に寄付した人が住民税控除を受けられる制度を設けています。
NPO法人設立のデメリット
NPO法人を設立するメリットをご紹介しましたが、一方でデメリットも存在します。
デメリットを考慮した上で、NPOの法人化を進めるようにしましょう。
設立に時間がかかる
詳しくは後述しますが、
災害対応活動などで「いますぐ設立したい!」と思って動きだしても、すぐには法人化できません。
10人以上の社員が必要
NPO法人の設立には社員や役員の人員要件というハードルがあります。
NPO活動は数人が意気投合しただけでも始めることができます。しかし、NPO法人として認証を受けるには、10人以上の社員(NPO法人の社員は「従業員」ではなく「正会員」という意味合い)が必要です。
また、役員要件として3名以上の理事と1名以上の監事を置かなくてはなりません。
このように、NPO法人を設立するには十分な人員の確保が求められるのです。
活動分野が決められている
こちらも詳しく後述しますが、NPO法人は法律で決められた分野以外の活動をすることができません。
活動分野の変更などを行う際は、再度認証手続きが必要になる場合もあります。そのため、NPO法人設立時には「どの活動分野にするのか」を慎重に検討するようにしましょう。
独特な会計などに対応する必要がある
収益事業を行う場合は、収益事業とそれ以外を区分した会計が必要になるなど、一般的な企業会計と異なる処理が必要になる場合があります。
こちらについても、詳しくは後述しているので確認しておきましょう。
情報公開が必要
NPO法人は、ほかの非営利企業と比べて報告書や提出書類の煩雑さが増します。
年度ごとに、事業報告書や活動計算書類などを所轄の都道府県庁・市役所等に提出しなくてはなりません。
また、財産目録や役員名簿、社員名簿などの情報公開が義務付けられているため、しっかりした組織運営体制を作り、第三者から見ても問題のない透明性を確保する必要があります。
NPO法人設立にかかる税金
NPO法人を設立すると様々な税金がかかります。どのような税金がかかるのかを知っておかなければ、せっかく設立しても運営を維持することが難しくなってしまいます。
ここでしっかりと確認しておきましょう。
法人税等
NPO法人は法人税関連では「公益法人等」とみなされるので、特定非営利活動に関わる所得に法人税はかかりません。ただし、収益事業の所得は課税されるので注意しましょう。
法人住民税の法人税割分についても同様で、収益事業があれば課税されます。
法人住民税均等割分(都道府県、市町村分合わせて7〜9万円)については、収益事業の有無にかかわらず原則として課税されることになっていますが、収益事業を行わないNPO法人には減免する制度を多くの自治体が持っているので、あらかじめ所轄庁に確認することをおすすめします。
消費税
基本的に消費税は課税されます(介護保険法、社会福祉法などに定められたサービスなど非課税取引にあたるものは除く)。
しかし、設立から2期目までは免税事業者となり、3期目以降も課税売上が年間1,000万円以下であれば免税事業者とされ、納税義務が免除されます。なお、免税事業者であっても、仕入代金や費用等にかかる消費税は支払う必要があります。
印紙税
領収書の印紙税は非課税規定が適用されるので、5万円以上の領収書でも収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、契約書等の印紙税には非課税規定がないため、印紙を貼る必要があるケースも出てきます。こちらに関しては国税庁のWebサイトなどを確認して、適宜対応しておきましょう。
その他税金
職員の給与や原稿料、講演料などの報酬を支払った場合、所得税の源泉徴収と納税も必要です。
不動産取得税、固定資産税、都市計画税、自動車重量税、自動車税、自動車取得税、軽自動車税、事業所税などは課税されますが、地方税については条例により免除制度を設けている自治体もあります。地元の自治体窓口に相談してみるとよいでしょう。
NPO法人設立の2つの条件
前述のように、NPOを法人化せずに活動する場合は活動内容に定めがなく様々なものがあり、自由に行うことができます。
しかし、NPO法人を設立するには法令で定められた条件を満たす必要があります。
NPO法人の設立要件で特徴的なものは、おもに以下の2点です。
条件①NPO法人の活動内容は20種類に限定
NPO法に定められているNPO法人の活動分野は下記の20種類で、設立時に作成する定款に記載しておく必要があります。
また、変更・追加などを行う場合は、定款を変更するとともに所轄庁(都道府県、市町村等)の認証を受ける必要があります。
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NPO法人の活動分野
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
条件②NPO法人の設立には10名以上の社員が必要
NPO法人を設立するためには、そのNPO法人の社員が10名以上いることが条件となっています。
NPO法人における社員とは、一般的な会社の「社員」(従業員)とは異なり、議決権を持つ会員のことを指します。
社員は平等な表決権を持って社員総会に参加します。議決権を持つという点では株式会社の株主に近い印象をもつ人もいるかもしれませんが、NPO法人の社員は出資者という意味ではありません。
また、社員となる(または退会する)ために、法律では「不当な条件を付さないこと」が定められています。
NPO法人を設立する際は、基本的に活動の趣旨などに賛同する人の誰もが社員になることができて、いつでも退会できる開かれた組織にする必要があります。
社労士監修の採用面接チェックシートでは、採用時に伝えること・聞いてはいけないことについて詳しく解説しています。ぜひ採用のノウハウのヒントにしてみてください。
NPO法人の設立費用は?
NPO法人を設立する場合、実は手続き自体に費用はかかりません。一般の会社を設立登記するには登録免許税が数万円以上かかりますが、NPO法人は登録免許税法の対象外です。
また、最低資本金のような規制もありませんので、法人としての資金や財産がなくても手続き自体は可能です。
必要な費用は法人の印鑑を作る代金、役員となる人の住民票を請求する費用、手続きにかかる交通費、通信費などのみ。設立手続きを専門家などに依頼する場合は、その分の費用が発生しますが、一般的な会社設立に比べて少額で設立することが可能です。
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NPO法人設立費用の目安
- 法人の実印作成:20,000円~60,000円程
- 印鑑証明書の取得:1通400円程
- 登記簿謄本の取り寄せ:1通600円程
- 住民票の請求:1通300円程
- 通信費や交通費:数百円~5,000円程
- 行政書士の依頼費用:20万円程
以上のように、NPO法人の設立では、費用を抑えれば約22,000円程~で可能です。
一般な法人設立では最低でも約22万円ほどはかかると言われていますので、NPO法人なら設立時の費用はおさえられるといえるでしょう。
NPO法人設立までにかかる期間は?
NPO法人の設立費用は少額ですが、手続きには時間がかかります。
まず、申請書類等を整えて所轄庁(都道府県・市区町村等)に申請します。その後、所轄庁が「縦覧」(公開)という手続きを行います。これは、申請を市民の目で点検する機会として法律で1カ月間と決められています。
続いて、所轄庁(都道府県・市町村等)による審査が行われますが、この期間は縦覧終了後2カ月以内と決められています。
審査が終わり所轄庁から認定されて、やっと法務局へ登記申請をすることができます。書類作成から設立登記完了まで、だいたい4カ月程度はかかるものと心しておきましょう。
NPO法人の設立方法・流れは3ステップ
NPO法人の設立には、次の3段階の手続きが必要です。
- NPO法人設立の3ステップ
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- (1)所轄庁へ設立認証の申請
- (2)縦覧・審査・認証
- (3)法人設立登記手続き
(1)所轄庁へ設立認証の申請
下記の書類を揃えて申請書とともに所轄庁(都道府県・市区町村)の担当窓口に提出します。
- 定款(法人の目的、名称、特定非営利活動の種類など法律で定められている14項目の事項などについて記したもの)
- 役員名簿(役員ごとの報酬の有無を明記)
- 役員の就任承諾書及び誓約書(暴力団員、過去2年以内に認証を取り消されたNPO法人の解散時の役員、など法律で定める役員の欠格事項にあたらないことの誓約)の謄本
- 役員の住所又は居所を証する書面(住民票等)
- 社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面(住民票等)
- 認証要件に適合することを確認したことを示す書面
- 設立趣旨書
- 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
(2)縦覧・審査・認証
このステップは主に所轄庁側の処理ですので、申請者にとっては基本的に待機期間です(書類の修正などの対応が必要になる可能性はあります)。
申請を受けた所轄庁(都道府県、市町村など)が下記の項目を1カ月間縦覧(公開)します。
- 申請年月日
- NPO 法人の名称
- 代表者氏名
- 主たる事務所の所在地
- 定款に記載された目的
また、申請受付から3カ月以内に都道府県・市区町村などの所轄庁が審査を行い、認証または不認証の結果が申請者に通知されます。
(3)法人設立登記手続き
認証された通知があった日から2週間以内に法務局で設立の登記を行い、登記の完了を受けて改めて設立登記完了届出書とともに登記事項証明書、財産目録などを都道府県・市区町村などの所轄庁に届け出ます。
また、おもな事務所と法務局の管轄区域が異なる場所にも従たる事務所を持つ場合は、設立登記から2週間以内に従たる事務所の所在地でも登記する必要があります。
(2)の「認証の通知」がきた段階で手続き完了ではありませんので十分注意してください。
また、認証されてから6カ月以上登記せずに放置すると認証が取り消される可能性があります。
NPO法人設立後の手続き一覧
前述の登記まででNPO法人の設立手続き自体は完了なのですが、設立後にもいくつかの手続きが必要です。
これらの手続きは、一部NPO法人特有のものがありますが、多くは営利・非営利問わず国内で法人を設立したり、人を雇用したら必要になる共通の手続きです。
また、多くの手続きで登記簿謄本や定款のコピーの添付を求められますので、必要数まとめて用意しておくと便利です。
(1)税金関係
設立後すみやかに手続きが必要です(税務署は2カ月以内、そのほかは自治体により期限が異なりますので確認してください)。
収益事業を行わない場合
- 都道府県税事務所と市町村の税金担当窓口の2カ所に法人設立届出書を提出します。法人住民税均等割分の免除申請手続きもあわせて行いましょう。
収益事業を行う場合
- 税務署、都道府県税事務所と市町村の税金担当窓口の3か所に法人設立届出書と収益事業開始届出書を提出します(「法人の異動・変更届」など、手続名、書類名などは自治体により異なることがあります)。
- 税務署には棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出も必要です。青色申告を行う場合は、青色申告の承認申請書も提出します。
なお、設立当初は収益事業を行わないNPO法人が収益事業を開始することになった場合は、その段階で収益事業に関する届け出が必要になります。
(2)有給の職員を雇用する場合
- 税務署に給与支払事務所等の開設届出書の提出
- 労働基準監督署に保険関係成立届、概算保険料申告書、適用事業報告書などの提出
- 公共職業安定所に保険関係成立届、雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届などの提出
- 年金事務所に新規適用届、被保険者資格取得届、被扶養者(異動)届、保険料納入告知書送付(変更)依頼書などの提出
給与の支給に伴い源泉徴収(いわゆる天引き)した所得税の納期限は支給月の翌10日です。原則は毎月納付ですが、有給職員が10人未満で源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請をすると年2回、7月と1月にすることができます(税務署に申請書の提出が必要)。
(3)毎年度必要な手続き
- 法務局に年度初め2カ月以内に資産総額について変更登記をします(なお、法改正により2018年10月以降不要になる予定です。代わって貸借対照表の公告が義務付けられます)。
理事が交代した場合や異動がなくても2年ごとには理事の変更登記(法務局)と所轄庁(都道府県、市町村)への届出が必要です(法律で役員の任期が2年以内とされているため。同じ人を「再任」する場合も手続きが必要です。)。 - 年度ごとの事業報告書、計算書、役員名簿等を作成し、翌年度初め3か月以内に前年度分を所轄の都道府県・市区町村などに提出するとともに、自身の事務所に備えておきます。
- 法人税、住民税、消費税などの確定申告、または、免除のための手続きを行います。
なお、NPO法人に寄付した人が所得控除または税額控除の優遇を受けられる「認定特定非営利活動法人(または、設立5年以内のNPO法人を対象とする特例認定NPO法人)」となるためには、所轄庁(都道府県、市町村)に申請するなど、さらに手続きが必要です。詳しくは内閣府ウェブサイトなどをご参照ください。
そのほか、都道府県、市町村などが独自に指定したNPO法人への寄付金について個人住民税の控除制度などを持っている場合があります。その場合も地元自治体への申請などの手続きが必要ですので確認してください。
このように、NPO法人にはさまざまな優遇措置がありますが、手続きが必要となってきます。
リソースの限られている創業期においては、手が回らないという場合もあるかもしれませんが、それではNPO法人を設立した意味がありません。
まとめ・NPO法人は単なるボランティア活動ではない!設立後の経営を見据えて行動しよう
モチベーションの高い個々人を集めて、営利企業では対応しにくいニーズに柔軟に対応して活動を展開できるのがNPO活動の良さです。
法人として非営利活動を事業として成立させ継続していくのは、一般的な営利企業とは違う難しさもあります。
今回の記事では、主に設立手続きに焦点をあてましたが、NPOの法人設立は、任意団体として活動する場合に比べて組織運営や管理にかかわる負荷が重くなることは避けられません。規模や活動内容、メンバーの顔ぶれによっては、法人化が必ずしもプラスにならない場合もあります。
すでに任意団体として活動実績のある方はもとより、新規でNPO法人設立を検討している方は、必ずその後の経営も見据えたうえで、NPO法人を設立するようにしましょう。
また、NPO法人ではなく、ビジネスとして行える活動もあるかもしれません。もし、法人の形態選びで悩んでいるのなら専門家などに相談することで解決するかもしれません。
冊子版の創業手帳では、創業支援を行っている地方金融機関などについて詳しく解説しています。経営コンサルティングや、セミナーなどを無料で行っていますので、新しい視点から活動内容を考えることに役立つでしょう。
また、創業手帳のアプリ版(無料)では事業計画書作成ツールをご用意しています、スマホで手軽に事業計画を練り、作成することができます。法人設立の際に、ぜひご活用ください。
創業予定日の前後一年をカテゴリと時系列で追える創業カレンダーも配布中!創業の基本を学び起業を成功させましょう!
(執筆:創業手帳編集部)
創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。