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2022年6月9日株式会社シニアジョブ 中島康恵|50歳以上のシニアに特化した、人材紹介と人材派遣のサービスの事業展開が注目の企業
50歳以上のシニアに特化した、人材紹介と人材派遣のサービスの事業で注目されているのが、中島康恵さんが2014年8月に創業した株式会社シニアジョブです。
2020年には65歳以上の人口比率が過去最高の28.8%になり、今後もその割合は増していくと予測されています。少子高齢化が進む日本において、シニア層の現役活躍は社会の発展のために欠かすことが出来ません。
2020年3月には、改正高年齢者雇用安定法が国会で成立し、70歳までの定年延長や再雇用支援について企業側の努力義務も明記されましたし、多くのシニア層が元気に体が動くうちは少しでも長く働き続けたい、という意欲を持っています。
働く側も、働き手を欲する企業側も共に、シニア労働力への期待値を高めている一方で、現実にはこの両者のマッチングがうまく行っていないという事実もあります。
例えば、企業の求人に対し、若手とシニアが同時に応募してきた場合、若手の伸びしろや柔軟性などを見込んで優先的に採用するという企業もまだまだ多いでしょう。
また、再雇用制度でベテラン社員が会社に残る場合に、今までよりも責任や社会的地位が低いポジションに就いて、給与も低いレベルでの就業になるというパターンもあります。さらには、そうした現実をシニア労働者側も「仕方がない」と甘んじて受け入れてしまう傾向が強く、これでは社会経済の発展に繋がるシニア労働力の可能性が狭まってしまいます。
つまり、社会ルールがどれだけ整ったとしても、高齢者が本来持っている ‶長年のキャリアで培われた経験価値” を社会が活かしきれていない、ということが、シニア層労働市場を活性化させる上で大きな課題点になっていると考えられます。
シニア層と社会・企業を適切にマッチングし、シニアの経験価値を存分に活かせるような仕組みを整えることが、これからの日本社会に必要なのでは?ということに、今改めて注目が集まっています。
この社会課題解決の為に奔走している、株式会社シニアジョブの中島康恵さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
シニアジョブエージェントは、シニアに特化した人材紹介と人材派遣のサービスです。
実は、世の中で「シニア“を”採用したい求人」をご案内しているサービスは、あまり多くありません。実際は「シニア“も”採用したい求人」であることがほとんどで、シニアの方が応募しても若い人材と競合してしまい、待たされたり、不採用になってしまったりしてしまいます。
シニアジョブエージェントは、本当に「シニア“を”採用したい求人」だけを扱っているため、安心して応募いただけるだけでなく、登録からの選考でお待たせしません。
自社開発システムにより、素早いマッチングと求人企業への提案を行い、最短で登録から1週間で内定獲得に至ることも珍しくないという特色があります。
また、類似サービスと異なり、フルタイムや正社員の求人が多く、年収も高めのため、シニアでもしっかり活躍したい方に好評です。
・どういう方にこのプロダクトを使ってもらいたいですか?
シニアジョブエージェントでは主に50代60代の専門技術を持った方向けの求人が多くなっています。施工管理、税理士、看護師、医療事務、自動車整備、調理などの分野などを得意としています。
登録者や実際にお仕事が決まる方の平均年齢は60代前半で、60代で定年退職して、勤めていた会社に再雇用されたものの、給与などの条件や仕事の内容などに満足していない方や、定年退職後に再雇用を選ばなかったものの、もう一度働きたいシニアの方におすすめです。
定年後の方だけでなく、70歳くらいなど長く働き続けられる会社に転職したい50代40代の方にも多数ご活用いただいています。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
高齢者が「働きたい時に働ける社会」の実現が、私たちが社会課題を解決した先にあるもので、また私たちが目指す未来です。
日本は世界トップクラスに少子高齢化が進む国で、医療・福祉などに必要な社会保障費の逼迫はもちろん、労働人口の減少による産業・経済、ひいては国力の低迷の危機にあります。これを解決する鍵の一つにシニア人材がありますが、一方でシニアの就職難の問題があります。
そのため、シニアが自由に就業できる未来を作ることが、今後の日本経済の成長にも不可欠であると思っています。
また、高齢化が世界トップクラスの日本でシニア仕事紹介の成功事例ができたならば、それは世界のロールモデルとなり、高齢化が進む世界の先進各国、今後高齢化に直面する発展途上国を救う原動力になるとも考えています。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業時は現在のシニア転職支援ではなく、ITビジネスを立ち上げたのですが、それが上手く行かず、最初に調達した資金も底をつきかけて、大変な思いをしました。
もちろん、立ち上げ当初は節約に節約を重ねていましたが、それでもいよいよ新たな事業へとピボットしなければならなくなった時期に、営業先の会計事務所の先生から「シニア人材がほしい」という言葉をもらいました。世の中ではシニアの就職難が叫ばれている中、シニアを採用したい企業もある。その事実は、ビジネスチャンスを感じさせました。
調べると、日本は世界トップクラスの高齢化大国で、人材会社の数も世界トップクラスにもかかわらずシニア特化の人材会社がなく、需要を確信して事業転換しました。
前回のITビジネスでは、Seedsのみ考えて顧客のNeedsの把握が十分でなかった反省を踏まえ、シニア転職支援事業では事業を仕組み化する前に徹底してシニアのNeedsを把握・理解しました。社員全員で巣鴨や三軒茶屋に出向き、そこで直接シニアの声を聞いてNeedsを確信して全力投球。大きな成長を実現することができました。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
シニアジョブは、私自身、学生時代に起業して成長させてきた若い会社で、他の社員も多くが20代の会社です。今も、社長室などを置かず、他の社員と同じ場所で仕事しており、「すぐ横の社長に気軽に話しかけられる」フラットな環境です。
今後さらに会社が大きくなっても、こうしたフラットな環境の会社を続けたいと思います。また、これから社会人になるさらに若い世代の人にもシニア支援のマインドを受け継いでもらいたいと思うので、常に若い世代を加えながら、いつまでもフレッシュでチャレンジし続ける会社でありたいと思います。
サービスは様々な展開を考えていますが、「シニア」というターゲットは変えません。少子高齢化という避けがたい社会課題に直面している日本で、常にシニアの活躍を応援し続ける会社でありたいと思います。そのためには、今提供しているお仕事紹介だけではない、他の分野でシニアを応援するサービスも展開していきます。
・今の課題はなんですか?
シニアジョブの今の課題は主に3つあり、人材採用、新規事業展開、事業成長です。
まず、人材サービスは求人企業と求職者をマッチングする人材コーディネーターの力が必要な事業であるため、社員の採用が進まなければ事業成長もできません。
また、シニアジョブではテクノロジーファーストを表明して社内にエンジニアを抱え、事業のコアとなるシステムを自社開発しています。このコアを担う高い技術を持ったエンジニアの採用も欠かせません。
次に、現在の事業領域にとどまらない新規事業へのチャレンジも必要だと考えています。現在提供しているシニアへのお仕事紹介についても拡充が必要ですし、将来的には仕事の領域だけでなく、シニアの婚活、オンライン教育など、生活全般の支援もシニアの活躍には必要だと考えているため、新しいチャレンジも準備しています。
そして、それらを総合した上で、大きな事業成長を目指します。具体的には、シニアへの支援を大きく拡大するためにもIPOを視野に入れており、学生起業家出身の私にはすべてが人生初の体験の連続なので苦労も多いですが、乗り越えて実現したいです。
・読者にメッセージをお願いします。
私は学生起業したので、資金調達や創業メンバー集めはもちろん、社会人経験すらない、すべて未経験の中で体当たりでの挑戦でした。実際に、順調だったわけではなく、大変な時期が何度もありました。
しかし、この体験の中で得られたものは、それこそ私の人生の中で何事にも替えがたい財産となるような、大きなものでした。皆さんも、起業ももちろんですし、それ以外の夢でも、まずは「挑戦する」ということが大切だと思います。
また、どんな夢や目標でも、何かのリスクは必ずありますが、リスクを考えても「挑戦する」と決断できた時点で、たいていのことは乗り越えることができます。自信を持って挑戦してみてください。
会社名 | 株式会社シニアジョブ |
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代表者名 | 中島康恵 |
創業年 | 2014年8月1日 |
資本金 | 2600万円 |
社員数 | 42名 |
事業内容 | 50歳以上のシニアに特化した、人材紹介と人材派遣のサービスを提供し、働きたいシニアが誰でも仕事に就ける未来を目指しています。 現在は特に、会計、建設、医療・福祉、自動車整備、調理などの専門技術を持ったシニアの紹介を得意としています。 |
サービス名 | シニアジョブエージェント |
所在地 | 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-2-15(ヒルコート東新宿ビル4F)※2022年7月移転予定 |
代表者プロフィール | 1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のジュニアユースチームで活躍。 大学4年生の時、自力で出資者と仲間を見つけて起業。 翌2014年8月シニアジョブの前身となる会社を登記。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。 専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。自身の学生起業経験を活かして、現在も学生向けに無料の起業相談を提供しており、全国や海外からも相談者が集まる。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | シニア シニアジョブ 中島康恵 再就職 求人 転職 高齢者 |
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