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2023年3月22日KUROFUNE株式会社 倉片稜|在日外国人労働者の生活支援アプリ開発事業が注目の企業
在日外国人労働者の生活支援アプリの開発事業で注目なのが、倉片稜さんが2018年2月に創業したKUROFUNE株式会社です。
令和4年時点で、日本国内の外国人労働者数は約182万人となり過去最高を更新しています。
日本人の労働者人口が減っている今、外国人労働者の存在は日本社会を支える大事なものとなっています。
企業の成長を支える人材として、すでに外国人労働者を多数雇用している、あるいは雇用を検討している事業者さまも多いと思います。
しかし、そうした外国人労働者の日本における生活環境・職場環境はまだ未整備の部分が多く、日常生活に不便さを感じている方も少なくはありません。
言葉の壁、文化の壁、社会保障の壁等、少しでも早く少しでも多くの不具合を解消し、日本に暮らす外国人労働者の周辺環境を整えることは、彼らの為というだけではなく、私たち日本人にとっても、お互いの理解浸透や安全な暮らしを守り、日本の発展に繋がる重要な要素です。
今。日本に暮らす外国人労働者向けに、その生活を支援するサポートアプリを開発し、日本人と分け隔てなく快適な暮らしを担保できる社会づくりに奔走しているある起業家の取り組みに注目が集まっています。
KUROFUNE株式会社の倉片稜さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・この事業の特徴は何ですか?
日本に住む外国人労働者に対してスーパーアプリとして生活支援サービスを提供しています。
現在提供しているサービスは7個あります。
①24時間生活相談サービス
(24時間対応のチャットボットを通じて生活の困りごとを解決できます)
②オンライン薬局サービス
(チャットボットを通じて自分の症状を選ぶだけで最適な薬がわかり、必要に応じて自宅に届くサービスです)
③ポイントシステム
(1ポイント=1円としてポイントを利用することができます)
④お土産サービス
(日本で販売している商品をアプリユーザー同士で共同で安く購入し、自宅に届けるサービスです)
⑤所得補償保険の提供
(長期間の怪我や病気になった際に最大110万円まで支給する保険を提供しています)
⑥低額手数料の海外送金サービス
(オンライン上で安くかつ早く海外送金ができるサービスです)
⑦オンライン日本語教育サービス
(24時間いつでも日本語教育が利用できるサービス)
これらのサービスは、弊社の外国人メンバーを中心として実体験に基づいてサービスを作り上げております。今後は「このアプリがないと困る」というレベルまでアプリ内のサービスを高めていきたいと思います。
・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?
私たちのサービスはB to B to Cという形で提供しております。
そのため、外国人を雇用している企業の方に自社で雇用する外国人労働者の福利厚生として使っていただくことを想定します。そのため、「外国人労働者の職場環境を良くしていきたい」「外国人労働者のモチベーションを上げていきたい」「外国人労働者の管理をもっと効率化していきたい」と考える事業者様にはピッタリのサービスだと思います。私たちのサービスをきっかけとして外国人労働者の職場環境を整えていきたいと思います。
・この事業の解決する社会課題はなんですか?
私たちは3つの方面に対して社会課題を解決していこうと考えています。
①外国人労働者
外国人労働者は日本に来て数々の困難に直面しています。まずは日本に来る前に借金を抱えてくるケースが多く、日本で働きながら返済をしています。しかし病気や怪我になると返済が滞ってしまい、本人や家族が不幸になるケースがあります。また日本語能力が不足していることによって、日本で困ったことを解決できないという問題があります。KUROFUNE LIFE SUPPORTはこのような外国人が来日してから抱える悩みを解決できるアプリとなっています。
②雇用する企業
企業の方は外国人のマネジメントで苦労するケースが多くあります。「何に困っているか?」と質問しても「大丈夫です」と返答されるケースが多く、日々何に困っているかわからずに突然辞職してしまったということもありました。また、外国人労働者が日常の悩みなどを相談する場合は企業の人事・総務の方に連絡がいくので、人事・総務の方の負担が多いと言われています。(例えばお腹痛いと言われてわざわざ薬局に薬を購入しに行くなど)KUROFUNE LIFE SUPPORTを利用することで、人事・総務の負担を減らすことができ、雇用する企業にとってもマネジメントがしやすくなるアプリとなっています。
③日本社会全体
日本社会全体として外国人労働者の受け入れ態勢が整っていません。ビザの緩和などハード面が緩和されたことにより急速に外国人労働者が増えていますが、日本人の受け入れ態勢のソフト面はまだまだ整っていません。KUROFUNE LIFE SUPPORTによって外国人と日本企業/日本人をつなげることにより、外国人を受け入れる体制を社会全体として作っていきたいと思います。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業の時に大変だったことは主に2つあります。1つ目はお客さんがなかなを見つけることができずに苦労したことです。
2つ目は外国人と膝を付き合わせて働くのが人生で初めてだったのでKUROFUNE自身も外国人のマネジメントに苦労しました。
お客さんについては当時のメインバンクさんが紹介するセミナーは全て参加していました。高速道路で2時間くらいかけてセミナーに参加していました。だいぶフットワークは軽かった方だと思います。メインバンクや知人の助けもありお客さんを少しずつ増やして事業を拡大していくことができました。
外国人のマネジメントについては一緒にその国のご飯を食べに行ったり、一緒に旅行したりして彼らがどのような考え方をしているのかを徹底的に知ろうとしました。こちらから歩み寄ることが大事であると思い、外国人を雇用する企業の方にも同様の話をしています。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
KUROFUNE会社内部/組織
KUROFUNEはメンバー14人のうち11人は外国人であり、また女性が14人中10人を占めているスタートアップです。かなりダイバーシティの進んでいる会社であると自負しております。色々な経験をしてきたメンバーがいるからこそ、さまざまな角度から意見が生まれ、新しいサービスへとつながっていきます。今後も多様なメンバーがいる組織を維持していきたいと考えています。
KUROFUNE会社全体
KUROFUNEはその名の通り「世界を開国していくこと」をミッションに掲げて事業を展開しています。日本は外国人の受け入れの点ではまだまだ鎖国状態にあると考えており、外国人労働者にとって暮らしやすい・住みやすい社会ではないと考えています。KUROFUNEの生活支援アプリを通じて、外国人が日本で暮らすハードルが下がっていき、かつ日本人との距離を縮めていきたいです。まさに令和版の黒船としてまずは日本を開国していきたいと思います。
KUROFUNEサービス
KUROFUNE LIFE SUPPORTが目指しているのは「スーパーアプリ」です。このアプリがないと生活に困るというレベルまで高めていきたいと思います。社会インフラとなるアプリに育てていきます。
・今の課題はなんですか?
現在はリクルートメントに悩んでいます。事業が急拡大していることもあり、追加での採用を進めています。経営資源であるヒト・モノ・カネについてはスタートアップ企業の永遠の悩みだと思います。
・読者にメッセージをお願いします。
この度はKUROFUNE株式会社の記事をご覧いただきましてありがとうございます。KUROFUNEはおかげ様で6期目を迎えることができ、事業拡大のためにアクセルベタ踏みでチーム一丸となって進んでおります。ただ順風満帆というわけでなく、色々な苦労もありここまで辿り着くことができました。創業当初は誰に相談していいかわからず悩んでばかりいました。そんな時に頼ることができたのが、コワーキングスペースに入居するスタートアップ仲間やアクセラレータープログラムのメンターや同期たちです。こういった仲間を大切にしながらブレない意志を持って事業に取り組みことが大事であると思います。是非とも一緒に頑張っていきましょう。
会社名 | KUROFUNE株式会社 |
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代表者名 | 倉片稜(くらかた りょう) |
創業年 | 2018年2月 |
資本金 | 4100万円 |
事業内容 | 外国人労働者の就労支援・生活支援サービス |
サービス名 | KUROFUNE LIFE SUPPORT(在日外国人労働者の生活支援アプリ) |
所在地 | 451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1 なごのキャンパス2-6 |
代表者プロフィール | 1991年神奈川県生まれ、東北大学経済学部卒業。外資系メーカーで勤務しながら年に12カ国海外旅行をしていた。外国人が日本で住みたい・働きたいと思えるような社会を実現すべく2018年にKUROFUNE株式会社を設立。外国人の生活支援を行うために2020年に一般社団法人在日外国人就業者支援協会を設立。朝日新聞マイベストプロ愛知にて外国人支援の専門家として登録。JETRO主催のセミナーなど外国人に関する講演にて数多く登壇している。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | KUROFUNE ダイバーシティ 倉片稜 外国人労働者 外国人採用 女性活躍 社会起業 |
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