STOCK POINT 土屋 清美|個別企業の株価に連動する“新しいポイントのカタチ”

創業手帳

STOCK POINTならポイントのまま投資運用が試せる!気軽に始められる投資運用の第一歩

STOCK POINTは買い物などで付与されるポイントを選んだ銘柄と連動させて、株価に合わせてポイントも増減する仕組みです。

ポイントのまま投資運用を試せるこのサービスで、資産運用を入り口に、経済や企業活動に関心を持ち、社会にオーナーシップを持つ人を増やすため事業を推進しているのがSTOCK POINTの土屋さんです。

STOCK POINTのサービス概要やベンチャー企業経営について、創業手帳代表の大久保が聞きました。

土屋 清美(つちや きよみ)
STOCK POINT株式会社 代表取締役
東京工業大学理学部応用物理学科卒業。電通国際情報サービスで「金融業務」×「IT」をSEとして経験した後、2000年にゴールドマン・サックスのメンバーが起業したクォンツ・リサーチ株式会社に、企画営業担当として参画。2006年に独立し、株式会社Sound-Fを創業。金融機関向けの、新しい金融サービスのコンサルティングとシステム提供の事業を開始。近年注目されているFinTech分野にも進出する中、本事業をプロジェクト化し、2016年9月に「STOCK POINT株式会社」を設立。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

STOCK POINT創業に至るまでの背景

大久保:まずSTOCK POINTの事業概要のご説明をお願いします。

土屋:STOCK POINT株式会社は2016年に創業しました。個別企業の株価に連動するポイント運用サービスを行っておりまして、日本とアメリカで特許も取得しています。

買い物などで付与されるポイントを選んだ銘柄と連動させて、株価に合わせてポイントも増減する仕組みです。このポイントが1株分貯まったら、実際の株と交換も可能です。

サービス内容としては、自社のオリジナルアプリに加えて、CONNECT(大和証券グループ)さんやMUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)さんと連動したアプリなどの運営もしています。

STOCK POINTでのポイント運用ユーザー数は2022年1月時点で50万人を超えています。

大久保:STOCK POINTのサービスを始めた背景を教えていただけますか。

土屋:STOCK POINTを始める前は、金融機関向けのITコンサルサービスを提供する「Sound-F」という会社を経営していました。その際に投資や投資運用に苦手意識を持っている日本人が多いという課題を感じて、買い物でもらったポイントで気軽に投資運用が始められるようにしたいと思ったのが背景です。

大久保:Sound-Fが最初の起業ですか。

土屋:はい、その通りです。最終的にはその会社は売却しました。

ゴールドマン・サックスのメンバーが起業したベンチャー企業にジョイン

大久保:起業する前のキャリアについて教えていただけますか。

土屋:大学卒業後はコニカミノルタで研究職をしていました。次に電通国際情報サービスに転職し、メガバンクの海外支店設立に関わる業務を行っていました。

その後、友人が起業した「クォンツ・リサーチ株式会社」というベンチャー企業の創業時にジョインしました。クォンツ・リサーチはゴールドマン・サックスのメンバー2名が創業した企業で、金融系の情報サービスを提供しています。

大久保:クォンツ・リサーチで創業メンバーとして働いた経験がその後の起業に役立ちましたか?

土屋:クォンツ・リサーチの創業時はインターネットが盛り上がってきたタイミングで、デジタルコンテンツの制作や分析がすごく求められていました。

この時期に創業メンバーとしてジョインできたことは、私の起業にとても役に立ったと思います。

大久保:具体的にはどのような経験が役に立ったと思いますか。

土屋:創業時には人が少なかったので、1人が色々な役割をしなければなりませんでした。会社を経営する上で必要な業務の全体を見ながら働けた経験が特に役に立ったと思います。

金融機関向けのITコンサルを行う「Sound-F」を起業

大久保:Sound-Fを起業した経緯を教えていただけますか。

土屋:クォンツ・リサーチで提供していた金融情報サービスの内容がかなり専門的だったため、もっと幅広いジャンルで金融についての情報やサービスを提供したいと思い、3名でSound-Fを起業しました。

大久保:Sound-Fでは具体的にはどのようなサービスを提供していましたか。

土屋金融機関向けのITシステム開発やデータの分析などを行っていました。

大久保:創業メンバーが3名の起業でトラブル等はありませんでしたか?

土屋:役割分担をして3名がそれぞれ違う役割を担っていたので、大きなトラブルはありませんでした。

大久保:最初の起業において、立ち上げから売却までで苦労した点などありましたか?

土屋:クォンツ・リサーチの経験もあり、立ち上げからスムーズに軌道に乗せることができました。ただ、創業して数年後にリーマンショックが起こり、どの金融機関も大打撃を受けたので、その時は苦労しました。

2度目の起業としてSTOCK POINTを創業

大久保:Sound-Fを売却した後に、STOCK POINTを創業したという流れでしょうか。

土屋:実際にはSound-Fの新規事業のような形でSTOCK POINTをスタートさせました。しかし、Sound-Fは金融機関向けが中心でBtoB向けの企業だったので、BtoCサービスが中心となるSTOCK POINTは別会社を立ち上げることになりました。

1年ほどはSound-FとSTOCK POINT両社の経営をしていましたが、STOCK POINTに専念するためにSound-Fは売却したという流れです。

大久保:一般的には既存事業をやりつつ、新規事業に着手することが多いイメージですが、新規事業に専念した理由を教えていただけますか。

土屋:私は色々なことを同時にできる性格ではないため、早い段階で専念する決断をしてよかったと思っています。

大久保:Sound-Fの売却を振り返ってみて、やっておけばよかったことなどはありますか?

土屋:良いタイミングで売却できたと考えています。ビジネスにおいてはタイミングがすごく大切だと思っているので、ここだと思ったタイミングで決断し行動するしかないと思います。

10年以上経営した企業を売却しSTOCK POINTに専念

大久保:10年以上経営した企業を売却する決断をした時の心境を教えていただけますか。

土屋:この質問はよくいただきますが、私の心境としては合理的な判断ができたと思っています。

10年間経営した会社を手放すのが惜しいという心境よりは、新しく注力しているSTOCK POINTの成長が楽しみという気持ちの方が強かったです。

大久保:それだけSTOCK POINTに可能性を感じていたということでしょうか。

土屋:STOCK POINTがさらに大きくなるという可能性も感じていましたし、投資家の方々に出資もしていただいたので、IPOを目指してがんばっているというのが現状です。

投資家選びで大切なのは「想い」と「シナジー」

大久保:STOCK POINTの出資者にはベンチャーキャピタルが入っていないとのことですが、それには理由がありますか?

土屋:ベンチャーキャピタルを避けたというよりは、STOCK POINTを一緒に育ててもらえる出資先を探しました。

単純にSTOCK POINTの企業価値を上げて最終的に売却するというゴールではなく、STOCK POINTが作りたい世界を一緒に実現したいと思ってもらえる出資者であり、お互いのサービスにシナジーを生める関係性が築ける方に出資していただきました。

大久保:今後、出資者を探す方へアドバイスなどあればいただけますか。

土屋:私たちも最初はベンチャーキャピタルの方々にも話を聞いていただきましたが、厳しいことを言われる場面も多くあります。

今後出資者を探す方へのアドバイスとしては、まず出資者の方々からの厳しい指摘にも耐えられる精神力が必要だと思います。

私たちは30社ほどの投資家の方々にプレゼンして回りましたが、そのうち9割は出資を断られました。これはまだ良い方で、一般的には100回プレゼンしても出資者が現れるかどうかです。

大久保:土屋さんも投資家の方々から厳しい指摘など受けましたか。

土屋:ビジネスモデルをプレゼンした際に「蓋然性」を示すように言われたことがありました。新しく始めることに対して、確実性を示すことは困難だと思っていますが、このような指摘もありました。

VCではなく大手CVCから出資を受けることを決意

大久保:ベンチャーキャピタルではないCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)から出資を受ける際に、M&Aを提案される恐れなどはありませんでしたか。

土屋:最初からIPOを目指すと言っていたので、その点は心配していませんでした。IPOを目指すという共通のゴールに向かって進んでくれる出資者を探しました。

大久保:大手CVCから出資を受けた際に、大企業の担当者がベンチャー企業の経営を理解してくれないなどの問題はありませんでしたか。

土屋:担当者の方が理解のある方で、その点は問題ありませんでした。

先ほども申し上げましたが、やはり出資者を選ぶ際には相手の思いや人柄をしっかりと見る必要があるのだと思います。

大久保:自社のビジネスモデルの弱い部分を指摘する投資家ではなく、良い部分を伸ばしてくれる投資家を選ぶべきということでしょうか。

土屋:限られた時間とリソースで最大限のパフォーマンスと成長を実現させるには、良い部分を伸ばすことに集中すべきだと思います。もちろん弱い部分の改善にも努めますが、良い部分を伸ばすことを中心に一緒に考えてくれる投資家がより良いと思います。

STOCK POINTのユーザー数を50万人以上に拡大できた背景

大久保:アプリのリリース初期に利用者数を獲得するために、工夫したことや苦労したことを教えていただけますか。

土屋:各社が提供するポイントサービスで、ポイント運用のニーズはすでにあったため、スムーズに利用者数を伸ばせたと思います。

最初に会員数を伸ばしたのは「Ponta(ポンタ)」と提携した時です。Pontaの利用者が一気にSTOCK POINTのアプリをダウンロードしてくれました。

今後は銀行との提携も進めているため、銀行ユーザーをどのようにSTOCK POINTにつなげていくかを考えている段階です。

このような提携をして利用者を増やしつつ、自社でもマーケティングを進めて利用者の増加を狙っています。

ベンチャー企業が大手企業と交渉を進める際の注意点

大久保:大企業との提携交渉を進める中で、工夫したことや苦労したことを教えていただけますか。

土屋:全てにおいて交渉は大変ですが、大企業には優秀な方々が多いため、しっかりと説明をすることで理解していただけました。

全ての交渉が上手くいったわけではありませんが、少なくとも相手が大企業だからといって理不尽な要求などはなく、私たちの提案を理解した上で提携するメリットとデメリットを考えていただけた印象です。

大久保:今後大企業と交渉する起業家の方々にアドバイスをいただけますか。

土屋:まず相手が大企業であっても怯まないことが大切です。

そして、お互いがwin-winになるロジックを説明する必要があります。相手のメリットを伝えることはもちろんですが、自社のメリットもしっかりと伝えることで、相手が提案内容をよりイメージしやすくなると思います。

あと自社にしかできない独自性を明示することも大切です。STOCK POINTの場合は日本とアメリカで特許を取っているなどの独自性を伝えるようにしました。

最後に、大企業は前例があると認めてもらいやすくなります。STOCK POINTでも最初の1社目の大手企業とポイント運用の提携ができた後は、かなりスムーズに他社との提携を進められました。

大企業を相手にする際には、相手の担当者はもちろんサラリーマンです。なので、その方が弊社を担当したことで社内の評価につながるような提案や交渉をするように気をつけています。

STOCK POINTの今後の展望

大久保:今後の展開を教えていただけますか。

土屋:投資運用として使えるポイントを増やすために、提携先の企業を増やす計画を進めています。

現在提携しているのは金融機関が中心ですが、今後は一般消費者向けのメーカーとの連携も進める予定です。

例えば、カップラーメンを買うとそのメーカーのポイントが付与される仕組みを作ることで、カップラーメンを食べてポイントを貯めるとその企業の株と交換できるイメージです。

ポイントを付与する企業としても、販促の一環として配ったポイントを元にお客様が株主にとなり、お客様とより強固な関係を築けます。

ユーザーとしても、普段の買い物が金融投資につながり、ITリテラシーの向上や投資運用の学びになります。

大久保:最後に読者の起業家に向けてメッセージをいただけませんか。

土屋:起業には様々な苦労がありますが、それを乗り切るための忍耐力が必要です。

しかし、それと同じくらいに「自分の限界を知る」ことも大切です。想いだけで進められない場面にいつか遭遇するでしょう。その時に自分を客観的に見て、頑張るべきなのか、撤退すべきなのかを冷静に判断することが必要です。

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(編集:創業手帳編集部)

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(取材協力: STOCK POINT株式会社 代表取締役 土屋清美
(編集: 創業手帳編集部)

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