注目のスタートアップ

株式会社justInCase 畑 加寿也|わりかん保険の事業開発が注目の企業


わりかん保険の事業を展開し、注目されているのが、畑 加寿也さんが2016年12月に創業した株式会社justInCaseです。

新型コロナウイルス流行によって生活様式が変化し、収束の見通しがはっきりと立たない日々ですが、心温まるニュースを耳にすることもあります。
線路内で立ち往生するお年寄りを中学生が介助して表彰された話題、卒業して不要になった制服を集め新入生に譲る活動、食べきれないストック品をフードバンクへ寄付するなど、人が人によって助けられることは世の中にたくさんあります。

また、人に向けた小さな親切が、その後の自分に同じように思いがけなく返ってくることもあるかもしれません。
社会的に「自助・共助・公助」という言葉を聞く機会が増えましたが、広い意味での共助である「助け合い」の良さ、有難さに、改めて注目が集まっています。

株式会社 justInCaseのわりかん保険の特徴は、いざという時の保険料を加入者のグループでシェアできる、日本初のがん保険であることです。
万一、加入者の誰かががんにかかった場合は、保険金即一律80万円を支給※1。支払われる保険金は加入者全員で「わりかん」します、何もなければ保険料はゼロ円、保険料の上限もあるので安心という面を持つ、今までにないシェアエコ保険です。
※1 がんの種類にもよりますが医療費は概ね70万~200万程度となっています。社会保険や国民健康保険に加入していれば、3割負担となるので、窓口負担額は25万~60万程度。さらに、ひと月で一定額を超えた場合には高額療養費制度による払い戻しが受けられます。

株式会社justInCaseの畑 加寿也さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトを開発するに至った経緯について教えてください。

大学で学んだ数学を生かせる仕事に就きたいと思い、新卒で保険業界に入社して、保険数理を用いてさまざまな保険商品を作ってきました。
ただ、保険商品を実際に作ってみると、保険料が非常に高くなってしまうことや、商品が出来上がるまでに時間や労力がかかりすぎるという課題があることに気づき、それらに対して疑問を持つようになりました。

国内では2006年に少額短期保険業制度というものが導入されました。その制度と自分が興味を持っているIT、クラウド、最新のテクノロジーを組み合わせたら、自分が抱えている課題が解決できるのではないかとひらめいたことが、今取り扱っている保険商品の開発につながっています。

創業した2016年には、海外での少額短期保険の事例が見えてきましたし、日本ではまだ誰もやっていないものだったので、投資家も興味を持ってくれるのではないかと予想しました。

そんな構想が立った頃、私の背中を押す出会いがありました。
Airbnbで部屋を貸していた25歳のアメリカ人青年と飲む機会があって話を聞くと、私より一回りほど年下の彼は、その若さで既に2社の起業と廃業を経験していました。
そして、3社目が軌道に乗り始めたからと、日本語も中国語も話せないのにアジア展開の夢を語っていました。
彼は世界でも有名な投資会社の出身でしたが、その場では1人の平凡な若者にしか見えず、それなら自分も同じように起業してやっていけるのではないかと刺激を受けました。それが、起業に踏み出す最後の一押しとなり、彼と飲んだ日の夜から事業計画を立て、起業に向けて走り出しました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

保険というものは契約者と保険会社の1対1の契約の集まりなのでイメージしづらいかもしれませんが、保険は実は「助け合い」なのです。ある契約者にとっては、保険料が掛け捨てとなってしまうかもしれませんが、実は他の契約者の保険金となって、他の人を助けて役に立っているのです。

当社は「助けられ、助ける喜びを、すべての人へ。」というビジョンを掲げています。今まで感じにくかった、「助け合い」の流れを分かりやすく感じられることが、私たちの「わりかん保険」を代表とする保険商品の特徴です。
自分が保険に入ることで誰かの助けとなり、そして自分も助けてもらうことができるという、助け合いの良さを感じられるきっかけとなれば幸いです。

・このサービスが解決する社会課題はなんですか?

保険商品は不要とおっしゃる方もいますが、世の中に社会保険、健康保険があるように、やはり社会にとって保険は必要なものだと私は考えています。
ただ、必要であるものの、保険商品には、「分かりづらい」「申し込みが面倒」などのマイナスイメージがあることは否定できません。
私たちはまだ小さなスタートアップで世の中にはあまり知られていませんが、このマイナスイメージを払拭していくことを目指しています。
実際に、東京海上日動さんをはじめ、大手保険会社にSaaS型保険システムを提供しており、プラットフォームを提供することで、分かりづらくて申し込みが面倒だった保険の仕組みを変え、保険業界全体で課題を解決していけるようにしたいと考えています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

資金調達がスムーズにいった一方で、非常に苦労したのが仲間集めでした。
事業が立ち上がる前に加わってくれる、ITに知見がある人を探すために、とにかく多くの人に会い関係性を作って、頼んで回りました。
良いエンジニアがいると、良いエンジニアが続いて入ってくれるものですが、保険に興味を示す20代のエンジニアはなかなかいないので苦労しました。
50人ほど会ったのち、クラウドソーシングサービスで、優秀なエンジニアに出会うことができました。

・今後どういう会社、サービスにしていきたいですか?

民間の保険に限らず、協会健保、組合健保、社会保険や公的な年金などは、広い意味で言うと「助け合い」ですので、私たちが掲げている、「助けられ、助ける喜びを、すべての人へ。」というビジョンとは切っても切れないものです。そういう意味において、将来的にはその方面でも展開できれば面白いなと思っています。

・今の課題はなんですか?

たくさんありますが(笑)、やはり人を集めることです。
創業当初も苦労しましたが、募集する際のメディアの選択や、発信方法についてより考えることが必要なステージに来ていると考えます。
現在、入社するメンバーが毎月10名というペースで進んでいるため、人事・採用にあたるチームの強化と、メンバー増に対応できる社内のルール作りや知見が必要と考えます。

・読者にメッセージをお願いします。

創業時に大変なのは、事業モデル作り、人探し、資金集めの3つに尽きると思います。
起業家は事業モデル以外の資金集めと人集めも、ほぼやらざるを得ないと思いますが、早期に自分がそれを苦手だと認識できたなら、早めに対策を打つことをお勧めします。自分の苦手なところを肩代わりしてくれる専門家を仲間に引き込むことは、早い段階から意識したほうがいいと思います。

とは言っても、何から何までやらざるを得ない状況は、多くの人が経験すると思います。自戒も込めて言っていますが、経験者や仲間を求めれば、自分が思うよりずっと周囲の方、メディアも応援してくれるものです。

困っていることを必死に伝えれば、先輩起業家たちは教えてくれたり助けてくれたりします。おそらく、先輩起業家たちも助けられてきたと思うし、助けられた分を後輩起業家に返そうという思いを持たれる方は多いと思います。

人に頼ることは自分が設定するボーダーラインよりも越えてもいいものだと思います。早晩一人ではできなくなる日がやってきますから。

会社名 株式会社justInCase / 株式会社justInCaseTechnologies
代表者名 畑 加寿也
創業年 2016年12月6日
資本金 1億9600万円(2018年10月時点)
社員数 約50名(2022年4月時点)
事業内容 toC:少額短期保険業
toB:保険テック事業
サービス名 わりかん がん保険
スマホ保険
1日ケガ保険
SaaS型保険システム「joinsure」
所在地 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル702
代表者プロフィール 保険数理コンサルティング会社Millimanで保険数理に関するコンサルティングに従事後、国内外の投資銀行や再保険会社から、商品開発・リスク管理・ALM等のサービスを保険会社向けに提供。
プログラミング: VBA / Swift / Python / Ruby. 日本アクチュアリー会正会員。米国アクチュアリー会準会員。
フィンテック協会理事。少額短期保険協会理事。ワインエキスパート。ダイブマスター。
京都大学理学部卒。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ justInCase ガン保険 シェアエコ保険 わりかん保険 日本初 畑加寿也
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